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えどさがし

作 畠中恵
新潮社


こちらも『ひなこまち』と同時に買ったのですが、しばらく寝かせておりました。
この『えどさがし』はしゃばけシリーズの初の外伝ということで、あまり若だんなは出てきません。
若だんな以外の方々のお話が詰まっております。

「五百年の判じ絵」は、若だんなと出会う前の佐助の話。妖の生は長いとは聞いていましたが、まさか佐助がそんなにも昔から生きていたとは思いませんでした。よもや弘法大師より生まれていたとは。
佐助が流れ旅をしている間に化け狐と出会った話。なんだかんだで頭を抱えつつ旅の共を増やし、五百年前と通じた時にはこう…テンションがあがるといいますか。若だんなの傍らで兄やをすることになった流れが書かれていて、とても楽しかったです。今の佐助と繋がった…!って感じがしました。

「太郎君、東へ」では坂東太郎さんと禰々子のお話。実はあまり関東の土地には詳しくないもので、川の説明があまり入ってきませんでしたが、姉さんの切ない無自覚な感じが良かったです。

「たちまちづき」は広徳寺の高僧、寛朝さんの元に夫婦が相談にやってくる話。
これね…まあなんて夫婦のめんどくさい厄介は話かと思いきや、旦那さんの安右兵衛さんにくっそ萌えました!これはとんでもない話しですよ策士策士!!かと思いきや、抜けている所もあったのがしゃばけらしいなと思いました。

「親分のおかみさん」いつも長崎屋にやってきては色々頂いて帰る日限の親分とその奥さんの話。いやー親分ってばそんなに大した働きしてないのにいつも色々もらっちゃって!とか思ってたんですが、予想以上に親分がいい旦那さんしていて、イメージ変わりました。奥さんに対してそんないい旦那さんだったとは!そしてこの奥さんがあっけらかんとしているといいますか、天然といいますか。かわいらしい奥さんで、夫婦共々幸せになってほしいですね!

「えどさがし」は本のタイトルにもなっております。これは思い切った外伝を書かれたものだと思いました。「五百年の判じ絵」は佐助の生い立ち的なものもあり、過去の話なんですが、この「えどさがし」は未来の話になっております。
時代は江戸から明治に変わり、日本という国ががらりと変わった時。京橋と名乗った仁吉は、若だんなを探していました。あの若だんなは一度一生を終え、生まれ変わった若だんなを探す妖達。仁吉が手掛かりかと思って尋ねた新聞社で殺人事件が起こる…といった話。
この妖達もそうですが、仁吉さんの若だんなへの思いよ…!!佐助の生い立ちの話でもありましたが、若だんなの祖母のおぎんさんは鈴の君と巡り合う為に長い間、仁吉と探してようやっと巡り合いました。仁吉はその傍にいて、次に若だんなが生まれ、守り、生涯を終えるまで見守り、そしてまた生まれ変わるのを待っているなんて…。いかに妖の生が長いといえど、その年月を考えると、その思いの篤さよ…。
話のラストでは別行動をしていた佐助から、若だんなに違いない人が見つかったと知らせがきます。そこで話は終わってしまっていますが、果たしてちゃんと出会えたのか。
出会えてたらいいな…と思う終り方でした。


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