【調査日・調査員】
9月28日 深夜
冒険者5名
【調査報告】
・入口の邑門は結界術で守られているのか、深夜にならないと開かなかった。
・邑内は腐敗臭が酷く、嗅覚が鋭い獣人は対策が必要。
・門をくぐると子供のような声で歌が聞こえてきた。
・「ないないないりのとおりみち ふたつひらいたぐいのもん ひとつはあたま ひとつはからだ」
歌はまだ続きがあったがよく聞こえなかった。
・北西の邑門から入り、左手の北の位置にある民家が焼けていた。遠目から確認した限り、最近燃えたもののようだ。
おそらく前に調査にきた冒険者たちの攻防の跡ではないか。
・邑の中心にほど近い位置で、バリケードのように家具などが戸口に置かれた民家を発見。
のちの調査で卦の邑長の家と知る。
・邑長の家で血で濡れた手記を発見。確認をしていた所、僵尸(きょうし/ゾンビ)に襲われる。
・家の外にも僵尸はおり、動きは鈍いが数が多く、また障気のせいか聖属性の攻撃の効きが悪い。逃げの一手となる。
・逃げている際、右手、南西の位置に井戸らしきものを見る。
・東に向かうと山肌に沿って階段があり、奥に霊廟が見えたが障気が濃く、近付くのは危険に思えた。
念のため、気の流れを確認したが、神像の気配は霊廟になし。あったとしても、守り本尊としては死んでいる。
反対に障気が霊廟へと流れ込んでいるように思えたが、はっきりせず。
・僵尸たちは北東から多く出現してきていた。遠目に墓石のようなものが並んでいるのが見えた。
・これ以上の調査は難しいと知って引き返す。
なお、邑門の外までは彊師たちは追ってこなかった。
【調査結論】
・障気は邑全体を覆っており、生存者はいない。
・障気を払うには、失われた神像を見つけ、聖魔力、もしくは鎮の気を与えて、霊廟に祀るのがベストと思われる。
・僵尸は追いつかれなければ問題ないので、相手をしない方が得策。
・邑長の手記から、一連の騒動は邑長が原因と思われる。
【卦邑長の手記(冒険者組合による公式文章)】
○月×日
邑に伝わる「蝕腐王」という剣を、前邑長から霊廟にて見せてもらう。
赤銀に輝く刀身。
血溝もなく、鍔もない、例えるならば、船の櫂のような、その大剣。
先端には鉤爪のような突起が両脇に付いている。
…美しい。
そう思ってしまった。
△月△日
あの剣は、どんな術式が組み込まれているのだろう。
古い外法を調べてみると、似た術式があるのを知った。
剣に施されている術式は、それを独自に変えたもののようだ。
解析を試みる。
(何ページにも渡って、外法と思われる術式や、概念などが書かれていた)
9月9日
おそらく、あの剣はま●●成●●●●い。
そして、私●●●欲●に逆らえ●●●●●。
あの剣を、見たい。
あの剣に、きちんと●●●●●。
あの剣を、「●」に●●い。
まずは、あの霊廟の神像をどうにかせねば。
邑人には悪いが、あの剣の贄●●●●●●●●。
ここを●●●●●●●●●●●。
(裏のページに付いている血が滲んで、所々読めなくなっている。次のページには血の跡と、乱雑な文字があった)
ま●生き●●●
●だ終わっ●●●●●
あ●剣●
だ●ら
腐 り蝕む 王
(以下、何も書かれていない)