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小ネタ(ボーカロイドであまえんぼ その2)

「マスター分が足りません」
「ルカさん分が足りません」

夕食も終わって、こたつでまったりとしていたところ、メイコとミクが突然こんなことをのたまってきた。
あまりに突然過ぎて、私とルカは目を丸くしたまま瞬きを繰り返してしまう。

「…あの、ミクさん?」
「メイコ、またミクに変なことを吹き込んだわけ?」

戸惑うルカと冷めた視線を投げかける私、私達の様子をものともせず、メイコとミクは胸を張って主張してきた。

「マスター、今日はこんなにも寒いんですよ?
こたつで寄り添って温め合うのは世界の常識だと思います!」
「そうです!足りないのはお互いの体温です!」

要するにこたつでいちゃいちゃしたいということらしい。
目を輝かせて見つめてくるメイコとミクに私は笑って身体をずらしていく。

「いいわよ。早く入ってきなさい」
『…えっ?』

私の返答にメイコはおろか、ミクとルカまで驚いた表情で固まって動かなくなってしまった。
…一体どういう意味なのだろう?

「どうしたんですかマスター!?」
「…まさか、あっさりと肯定するとは思っていませんでした」

ミクとルカは信じられないといった表情で多少困惑気味にしている。
…失礼な。
メイコも似たような表情をしているんだろうなとメイコの方を見やると姿形が消えていた。

「メイコ…?」
「呼びました?」

いきなり背後から声をかけられて振り返ると、ミクとルカの様子とはうってかわってとても上機嫌でメイコが私の隣に潜り込んでくる。
ぎゅっと触れ合うメイコの体温はとても温かかった。

「マスター、寒がりですもんね。今日は甘えられるかなって思ってましたけど、すんなり過ぎて驚きました」

どうやらミクとルカとは違った反応だったようで、胸の内からじんわりときてしまった。
それと同時にメイコの方が分かっているみたいでなんだか悔しい複雑な気分だ。
だから、いつもより深くメイコに身を預けていく。

「バカメイコ…、大好き」

「大好き」の部分は小声で、それこそメイコにしか聞こえないように呟いて、そっと視線を上げてみる。

「はい、わたしもマスターのこと大好きですよ」

いつもの子供のような無邪気な笑顔と違って、とても大人びた優しい笑顔でメイコは私の頭を撫でてきた。
私はメイコから目が離せなくなってしまい、刻が止まってしまったかのように動けないでいる。
ただ、胸の高鳴りだけが時間が過ぎていることを示していた。

「あー、マスターばかりずるいです!
ルカさんわたしも、わたしもお願いします!」

しかし、それもつかの間のこと。ミクの声に我に返ってルカの方を見やると、ミクがこたつの中から顔を出してルカに抱きついていた。
私達の雰囲気に当てられたのか、ミクはゴロゴロと猫のように甘えている。
最初はルカも多少困惑気味にしていたけれど、私達が際限なく寄り添っているのを見て安心したのかミクに好きなだけ甘えさせていた。

「ルカさん、マスターとメイコさんには絶対負けないようにしましょうね!」

何故だかこちらに妙な対抗意識を持って、ミクは張り切った口調で呼びかけている。
ルカもまたミクの意見に同調したのか、こちらを見据えて頷いてきた。

「…もちろんです。私達が深い愛で結ばれていることを教えてさしあげます」

そういえば、ルカがここにやって来た時も似たようなことになってしまったことを思い出す。
その時も確かやいのやいのと騒いでいた記憶が蘇ってきた。
もちろんこの場合、メイコが黙ってばかりいるはずもなくて。

「受けて立つわ!あれからさらにマリアナ海溝よりも深くなったわたしとマスターの愛を刻み込んであげるわ!」

メイコは完全にノリと勢いだけで宣言して、私の首に腕を回すと思い切り抱き締めてきた。
メイコの胸に顔を押し付けられて、息苦しさから手をバタつかせてしまう。

「メイコ、苦しい…」

なんとかもがいてメイコから脱け出したところ、バチッとメイコと目が合ってしまった。
目が合った瞬間、メイコはにんまりと勝ち誇ったような笑みを浮かべて、ミクとルカに見せつけるように私の腕に手を回してくる。

「ミク、ルカ、見なさい!わたしのマスターがどれだけ愛らしい存在か!」

そう言ってメイコはいきなり私の身体中をくすぐってきて、私は思わず身をよじってしまう。
くすぐったいのを我慢して、バランスを崩してしまったところをメイコに押し倒されてしまった。
私の視界からミクとルカの姿が消えて、メイコが覆い被さっている。

「メイコ、急に…」
「マスター、覚悟してくださいね」

「どうしたの?」と聞く前に、メイコがどんどん近づいてきて、私はメイコが何をしようとしているのか理解できた。
とりあえず逃れようとしたものの、腕を押され付けられて逃げ出すことは出来ない。
みるみるうちにメイコと唇が触れ合う距離で近づいて、私は思わず目を瞑ってしまった。
しかし、いつまで経ってもメイコと唇が触れ合うことはなく、おそるおそる目を開けると、メイコは優しい瞳でまじまじと見つめていた。

「駄目ですよ。わたしは嫌がっているマスターにキスしたくなんてありません」
「メイコ…」

そんなことを言われて、私は恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを自覚してしまう。
私はそのままじっと見つめ合っていて、気が付けばゆっくりと瞳を閉じていた。
ほんの数秒だろうか、じっと待っているとふわっとしたメイコの唇の感触がして、私は力が抜けたようにメイコに身を委ねていく。
やがて、メイコから唇を放すと目を開けてゆっくりと起き上がっていった。
メイコを睨み付けると、悪戯っぽい笑顔で楽しそうにしている。
私は火照った顔をごまかすようにメイコの頬をつねっていった。
そんな中、ふとミクとルカが気になって見てみると、二人は揃って頬を紅潮させてこちらを見てきている。
こちらのやり取りはこたつで見えないはずなのに、二人は私を視界に収めると慌てたようにそっぽを向いてしまった。

「どう、わたし達の愛を思い知ったかしら!?」
「この、馬鹿メイコ!」

自信満々に胸を張っていくメイコの頬をさらに力を入れてつねっていき、私は慌てて二人にフォローを入れていく。

「二人ともあんまり気にしないでね?
この馬鹿には後でキツく言っておくから」

それでようやく落ち着いたのか、二人は視線を戻して隣り合って座っていく。

「メイコさん、すごかったですね」
「…はい、私達もあんなふうになれたらいいですね」

どこかしら尊敬の込められた眼差しで二人はメイコを見つめている。
未だに顔が紅くなっているあたり、相当刺激が強かったのは想像に難くない。

「いや、二人とも真似しなくていいからね?」

そうは言っても、二人は視線をちらちらと合わせていってお互いに気になっているようだ。
仕方なく、私はメイコの視界を塞いでちょっとだけ二人から目を離す。
どうやら二人は察してくれたようで、小声ながらも「ほっぺたでいいですか?」という声が聞こえてきた。
とりあえず、数分間待って二人に向き直ると恥ずかしそうにしながらも気は済んだようで、何事もなかったようにしている。

「まあ、とりあえずみかんでも食べましょ」
「そ、そうですね」
「…お茶を汲んできますね」

その場の雰囲気をごまかすようにそれぞれが動いて、またいつもの日常に戻そうと忙しく歩き回っていく。
こうなったのは寒さとこたつのせいと言い聞かせて、私はみかんを取り出していった。









とりあえず、爆発してくれませんか?

甘いお話を書こうと思ったのにどうしてこうなった


あと、少し時間が過ぎてしまいましたがルカさん誕生日おめです

今回の話ルカさん分は少ないけど

コメント返信

・わんさんへ

おかえりなさい。そして、お疲れ様でした

大阪駅は巨大な立体迷路でしたね。せめて工事中でなければよかったんですが

自由時間についてはご愁傷様です。とりあえず疲れた身体をゆっくり休めてくださいね

小ネタ(シャロマラ)

誰もいない静かな部屋でシャロンはゆっくりとお茶の時間を過ごしていた。
外はしんしんと雪が降り、冷えた空気が身体を冷やしていく。
近くに炎の魔力を纏った火鉢のようなものがあったが、それでもシャロンの身体が温まることはなかった。

『…良い茶葉を使っているのにろくに淹れ方も知らないのね』

シャロンは紅茶を淹れる度にこの言葉を思い出す。
彼女と出会った頃、親交を目的として自分の部屋に彼女を招き入れた時に言われた言葉だ。
あの時はカチンときたが、今では笑い話になる程、とても微笑ましい出来事だった。

『だったら、私に紅茶の淹れ方というものを教えてほしいですわね!』
『…構わないわ』

売り言葉に買い言葉。あの時に彼女が教えてくれなければ、こうして紅茶を飲む機会などなかったであろう。
再びシャロンは紅茶に口を付けて、あの時の出来事を思い出していく。

『…紅茶というものはあらかじめ用意しておくものじゃないの。
始まりから終わりまで楽しむためにあるものよ』

あの時、彼女は透明なティーポットを持ち出してきて、茶葉にお湯を注ぐと楽しそうに眺めていた。

『時間も計らないで上手にお茶を入れることが出来ますの?』
『…ええ、浮かんでいる茶葉が徐々に沈んでいくでしょう?』

見れば確かに一枚、また一枚と茶葉が沈んでいく様子が見てとれた。
そのまま彼女は頬を緩ませて、茶葉の沈んでいく様子を楽しそうに眺めていく。

『…こうして、茶葉がある程度沈んでいくまでの時間を楽しんでいくの。
…好きな人の顔を眺めながらね』

言われて初めてシャロンは目の前の彼女と目を合わせてしまう。
整った顔立ちの彼女にまじまじと見つめられて、シャロンはまるでリンゴのように顔を赤くしていた。
不意打ちである一言にシャロンは頭がぐるぐると混乱してしまう。
しかし、同時に胸が締め付けられる思いに捕らわれ、彼女から視線を外すことが出来なかった。

『…どうしたのかしら?』

彼女は妖艶に笑顔で微笑みかけて、さらに追い打ちをかけてきた。
当然、心臓が鳴りっぱなしのシャロンにはどうすることも出来ず、ただただ視線を泳がせておくことしか出来ない。

『あ、あ、あのですわね』

言葉にしようにも呂律も回らず言葉にもならない。
そんなシャロンの様子がおかしくて、彼女はまたクスクスと笑っていた。

『…落ち着くといいわ。私はこの時間を貴女とゆっくりとお話したいもの』

そう言われても、これ程感情が昂ったのは初めてのことで、シャロンは右往左往と慌てたままだ。
仕方なしに彼女はため息を吐いて蒸らしていた茶葉を濾していった。

『…ほら、そうこうしているうちにお茶が入ったわよ。これを飲んで落ち着くといいわ』

そう言って淹れたお茶を差し出して、彼女はゆっくりと微笑んできた。
今までと違った穏やかな笑みにシャロンは心を奪われたように呆けてしまい、我に返るまでの僅かな時間が長く感じられた。

『その、ありがとうございます。それではいただきますわ』

その時に飲んだ紅茶の味は今でも覚えている。あの時の彼女の微笑みと共に印象的でシャロンの胸の奥に深く切り刻まれていた。
それから、シャロンはことあるごとに彼女とのお茶の時間を最大の楽しみとしていた。
彼女とのお話は楽しくて、お茶が入るまでの数分間が羽が生えたように身体が、心が軽く感じられた。
しかし、それも長くは続かず時が流れた今、彼女は独りだ。
突然、ぱったりと泡のように彼女は姿を消して一度も会っていない。
理由は分からない。もしかしたら夢だったのかもしれない。
ただ、あの時の紅茶の味は覚えている。

「あの時のお茶の味はなかなか出せませんわね…」

あの時の紅茶の味を覚えている限り、再び彼女と会えるかもしれない。
そう思いながら、シャロンは毎日のように紅茶を淹れている。
なかなかあの時の紅茶の味は出せないが、彼女と再び出会った時のために再現できるようにはなっておきたい。

「………冷えてきましたわね」

室内を温めているとはいえ、張りつめた空気が部屋に入ってきて肌寒く感じてしまう。
シャロンはすでに冷えてしまったティーポットを片付けて、火鉢に込められた炎の魔法を解除するとベッドに潜り込んでいく。
身体が冷えないように幾重にも布団を重ねていたが、身体の芯から温まることはなかった。

「会いたいですわ。マラリヤさん…」

彼女の名前を口にして、シャロンはうっすらと涙を浮かべてしまう。
彼女との時間が愛しくて、恋しくて胸がギリギリと締め付けられて涙が止まらない。
外では雪が降り始め、静かな夜を埋めるように積もっていく。
このまま雪に埋もれてしまいたい。
そう思いながら、シャロンは静かに眠りについていった。









QMAから来てくださる方、お久しぶりです

久しぶりの小ネタは悲恋系になってしまいました

だってマラ様いないし…

とはいえ、QMA8での復活は嬉しい限りです

ねむひはQMA8に向けて力をためている



ちなみにこの小ネタ、美味しい紅茶の淹れ方を教えてもらって出来ました

おすすめのお店 見つけました

こんぶ土居

地下鉄谷町六丁目から徒歩五分以内

大阪では知らぬものがいないと言われる昆布屋さんです

なかでも、良質の昆布とかつおぶしを使った「十倍だし」がおすすめです

ものづくりの難しさ、厳しさ、理不尽さを知りつつもそれを感じさせない物腰は商品にも現れて信頼できるの一言に尽きます

ただいま!

四日間大阪、神戸とお仕事で行ってまいりました。お仕事を差っ引いたレポでも

一日目 神戸

メ○ンブックスでまったり。噂の神戸新聞社を見つけて写メってました

二日目 大阪

大阪駅まじ迷路!
方向感覚ないものですから、歩き回ってここどこですか状態に。
駅の近くにあったとら○あなでまったり

三日目 大阪

堺でイベントがあると聞いてすっ飛んでいきました。
思ったよりもまったりとしたイベントでしたけど、スケブとか気になった物書きサークルさんにご挨拶とか割と充実したイベントでした。

その後はなんばへ。まずはメ○ンブックスでまったり。そして、とら○あなに向かおうとしたところ、事件発生。
ついったでもつぶやきましたが、どういうわけか登録しておいた地図サイトがてんで違うところを指していて思い切り迷子に。
あとなんばの街はすごかったですね。こちらもついったでつぶやきましたが、やたらとオタクの活気がすごかったです。
街中でボカロ曲が流れていたり、ライブハウスやメイド喫茶とかあちこちにあったり

四日目 大阪

お仕事も終わって、さあ帰ろうと早めに空港に向かったはいいのですが、まさかの携帯紛失。
慌てて心当たりを調べてみたら、空港行きバスに置き忘れ。

「二十分ほどお時間戴けますか?」



早めに行動起こしておいてよかった!

そんなこんなで大阪、神戸の四日間も無事?終了して帰ることが出来ました。

こんな慌ただしい四日間も珍しかったです
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