梅雨も明けて、夏の日差しが強くなってきたため、少しでも涼しくしようと朝から庭に水を撒いている。
私はTシャツに麦わら帽子という出で立ちで、中に水着着用だったりする。
もちろん、ただ水を撒くだけならば水着は必要ないのだが、当然うちには水着が必要になる理由があって…。
ばしゃっあ!!
………………………。
思っているそばから思い切り水をかけられ、私は全身を水で滴らせていた。
水をかけられた方を向くと、当然のようにメイコが笑顔でその場所に立っている。
「メ イ コ!!」
私はメイコを思い切り怒鳴りつけると、当の本人は最初は笑みを浮かべていたものの、なぜかどんどん表情を曇らせてしまっている。
なんとなく気になってメイコを見ていたが、心配なってきて私は声をかけていた。
「…メイコ?」
「マスター…、どうして水着なんですか?」
「…はい?」
「せっかくマスターの水で透けた下着姿を眺めつつ、恥じらうマスターを楽しみたかったのに!」
…なんか心配して損した。
そんなことを思いつつ、私は大きく振りかぶってメイコの額に思い切り手刀を降り下ろす。
「…痛いじゃないですか」
「やかましい!メイコ、あんたが去年も同じことをしてきたから、こうして水着を着ているんでしょうが!!」
涙を浮かべて額を擦るメイコを怒鳴りつけて、私はため息をついていた。
実際、去年はいやらしい笑みを浮かべてじっと見つめてくるメイコを後で散々説教したのを覚えている。
「大体、どこの男子中学生よ?
ふざけるのもいい加減にしなさい!」
私の出す剣幕にメイコは怯む様子もなく、むしろ楽しんでいるように見える。それどころか、満面の笑みを浮かべるとメイコは私に勢いよく抱きついてきた。
「マスター、やっぱり怒っていても可愛いです!」
「こ、こらっ、メイコ!私は叱っているんだから少しは反省しなさい!」
これに懲りるどころか、またやってしまいそうなメイコに私は頭を抱えてしまう。
抱きついたまま甘えてくるメイコが可愛く思えて、結局のところ苦笑いをしつつメイコの頭を撫でていた。
「まったく…、次からはするんじゃないわよ」
あまり意味は無いと思うけれど、一応釘をさしておいてメイコを引き剥がす。
ふとあることに思い当たって、私は口を開いていた。
「もしかして、ミクとルカにこういうことを教えていないでしょうね?」
「………ソンナコトハアリマセンヨ」
思いっきり視線を反らして、分かりやすいリアクションをとるメイコに、私ははっきりと青筋を立てるのを自覚する。
だらだらと冷や汗を流しているメイコの肩を掴んで、私は真っ正面からメイコを見据えていた。
「マスター、目が怖いですよ?」
「メイコ…、あんたって…」
ばしゃっあ!!
怖じ気ついているメイコを問い詰めようとしていたところ、再び水をかけられて、私達は水浸しになってしまう。
「やりました!マスターの水の滴る姿を見るチャンスです」
「…メイコさんの言っていた通りの下着姿が見れると思うと楽しみです」
どうやらメイコにいろいろと吹き込まれたミクとルカの仕業らしく、私は妙に冷静でいられることに少しだけ驚いていた。
「あれ?マスター、なんだかものすごく怒っているみたいですよ?」
「…ミクさん、今すぐ逃げましょう」
私の気配を察知したのか、大慌てで逃げ出そうとする二人の腕を掴み取り、私は晴れやかな笑顔を二人に向けていく。
どうやら人は本気で頭にくると、かなり冷静でいられるらしいというのは本当のようだ。
「あんた達…、いい加減にしなさい!!」
『…ごめんなさい』
しょんぼりとうなだれたままでいる三人に、私は呆れてひとつため息をつく。
こういう騒がしい一日は嫌いじゃないのでなんだか複雑な気分だ。
「まったく…、あんた達も水撒きを手伝いなさい。
早く終わらせて、お風呂に入るわよ」
『…え?』
我ながら甘いと思いつつも、私は三人に笑いかけて水撒きを再開する。
三人は顔を見合わせると大きく頷いて笑顔になる。あとは三人が騒ぐのを楽しみながら、暑い日差しを見上げていた。
すいません、勢いでやりました。反省はしてません。久しぶりに壊れた文章を書きたかったんです
まだ梅雨時期だというのに、水撒きでこういうお話を思いついて書いてしまいました
とりあえず、いろいろと壊れていますが気にしないでください