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小ネタ(ユリマラで手紙)

拝啓、マラリヤ様

前略、お元気ですか?
初めて筆をとるので誤字脱字はご容赦ください。
貴女が学園を去ってから、もう一月が過ぎようとしています。
新しい地での学園生活はどのようにお過ごしでしょうか?
あの時はお互いに泣きじゃくりましたが、今は新しい友達もできてそれなりに楽しい生活を送っています。
でも、マラリヤのいない学園はどこか寂しく、ものたりないです。
まだ慌ただしい日々が続いてますが、落ち着いたらそちらに遊びに行こうと思ってます。
では、また会えることを楽しみにしています。

草々



「…とりあえず、ユリは元気みたいね」

一通り手紙を読み終えて、マラリヤは安心したように一息ついて、丁寧に手紙を畳んで封筒へとしまう。
マラリヤがマジックアカデミーから去って約一月ほど、今は別の学園で薬の研究に取り組んでいる。
マジックアカデミーから離れたとはいえ、数日程歩けば行ける距離なので、ユリに会いに行くのは容易い。
しかし、一度離れてしまったせいか、なかなか会えずにいた。
ひょっとしたら、会うことが怖くて出かけることを躊躇っているのかもしれない。

「…ダメね」

自分に言い聞かせるように呟いて、マラリヤはゆっくりと立ち上がる。
手紙を宝物みたいに丁重にしまって、夜風に当たろうと外へ出て星空を見上げてみれば、ユリとの思い出が次々と溢れ出てきて、思わず目に涙を浮かべていた。
こうやって、ユリとの出来事を思い出す度に繋いだ手の感触が蘇ってくる。

「…やっぱり待っているだけではダメね」

そう言ってマラリヤは部屋へと戻り、スケジュールを確認していく。
気が付けば、休みの日に丸で印を付けていつでも出掛けられるように身支度を始めていた。
ユリに会いたい。ユリとおしゃべりをしたい。ユリと手を繋ぎたい。
ただそれだけを思いながら、マラリヤは準備を重ねていく。
正直、手紙がきっかけとはいえ、ここまで積極的に動いていることに自分でも驚いている。
今までの自分なら、別れてしまえばそれっきりで二度と会うことはないと思っていた。

「…どうせなら、驚かせた方が面白いかしら?」

今までにないわくわくとした感情の昂りにふふっと微笑みながら次の休日がやってくるのをマラリヤは楽しみに待っている。





「まったく!貴女ときたら、今まで手紙を出してないなんて何を考えていますの!」

一方、こちらはマジックアカデミー。ユリがようやく手紙を出したと聞き付けて、シャロンは叱るようにユリを睨み付けていた。

「だ、だって、いざ手紙を出すとなると踏ん切りがつかなくて…」
「だってじゃありません!ユリさんに手紙の書き方を教えてほしいとおっしゃってくださったから張り切って協力致しましたのに、二週間も出さずにいるなんて考えられませんわ!」
「…ごめんなさい」

しょんぼりとしたユリを後目に、シャロンは呆れたようにため息を吐く。
叱りつけているとはいえ、目の前の少女の気持ちが分からないわけではないのだ。
自分もいざ手紙を出した時はポストの前で右往左往したものだから。

「まあいいですわ。結局は出したのですし、今度は会いに行きませんとね」
「うん!」

さっきまでのおろおろとした態度とは裏腹に、ユリは満面の笑みを浮かべて頷いていく。
そんなユリに満足したのか、シャロンは微笑んでブラシを取り出していた。

「それでは身だしなみを整えませんと。久しぶりに会うのですから、身なりはきちんとしないといけませんわ」
「え〜、別にいいよ」

ユリは頬を膨らませて不満そうに主張するが、シャロンはそんなことはお構い無しにユリの後ろを陣取っていく。

「ダメですわ。ちゃんとマラリヤさんに可愛らしい姿を見せませんと」
「それは当日でいいんじゃないの?」

シャロンに丁寧に髪を溶かされながらユリは問いかけていくが、シャロンは何を謂わんやと丁寧に諭していった。

「何を言ってるんですの?こういうことは普段の積み重ねがものを言うんですわ」
「そーなんだ」

あまりよく分かってない様子でユリは何とはなしに頷いている。
普段から大雑把なユリであるが、こうしてシャロンにお世話になっているので、文句を言わずにされるがままになっていた。
その間、マラリヤとの再会した時のことを思い浮かべて、ユリはついつい頬を緩めてしまう。

「楽しそうですわね」
「うん!」

素直に頷くユリの様子に苦笑いを浮かべながらも、シャロンは手を動かしていく。
その間もユリは楽しそうに鼻歌を鳴らしていた。

「出来ましたわ。マラリヤさんと楽しめるといいですわね」

ようやく終わったようで、シャロンは送り出すようにユリを立たせていく。

「ありがとねシャロン。シャロンも次の休み、楽しめるといいね」

ユリがまるで分かっているように言うものだから、思わずシャロンの脳裏に一人の少女がよぎっていく。

「そうさせてもらいますわ」

照れた表情をごまかすように苦笑いを浮かべると、ユリが無邪気に笑顔を向けてくるものだから、ついつい吹き出してお互いに笑い合っていた。
ちなみに休みの日にマジックアカデミーの校門でばったり出会せたりするのは内緒の話だったりする。









QMA7も無事稼働し、離ればなれになってしまった後のことを思い浮かべてみました



とは言うものの、管理人は二つの時空石しかやってませんが



マラ様復活しないかなあ…
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