…カリカリカリ。

月夜が照らす寮の一室で、マラリヤはただひたすらと手紙を書いていた。

「…ふう」

ただ一人の少女の笑顔を思い浮かべて、マラリヤは自分の想いを書き綴る。
普段なら夜遅くまで、薬の調合などをしているのだが、それをやめてまでこんなことをしているのは初めてだった。

「…これで大丈夫かしら?」

期待と不安にかられながら、便箋に手紙を入れる。そのとなりには手作りのマナをラッピングして置いている。
プレゼントをするために夜通しで作り上げたものだ。

「…さて、いけるかしら」

自分に言い聞かせるようにつぶやいて、マラリヤは部屋をあとにした。





意を決してルキアの部屋にたどり着いたものの、マラリヤは部屋のドアの前で立ち尽くしている。

「…ついたわね」

気がつくとマラリヤの手は震えていた。
なぜ自分はここまでしているのだろう?
マラリヤは自分の抱いている感情に戸惑っている。ルキアのことを考えると、いつも今のような気持ちになる。
それも今日で終わり。この手紙を渡せばきっと気持ちが楽になる。
気持ちを伝えることさえ出来れば、たとえ後悔することになってもふっきれる。
マラリヤは静かに目を閉じた。

「…お願い」

そっと祈りを込めて、手紙をドアの下にすべり込ませる。さいは投げられた。
マラリヤは踵を返して部屋へと戻る。多分、今夜は眠れないだろう。






次の日、ルキアはドアの下に挟み込まれている手紙に気がついた。

「あれ?手紙?」

ルキアは不思議に思いながら、足元の手紙を拾いあげる。

「…?誰からだろ?」

何とはなしに便箋を開けて、ルキアは手紙を読み始めた。読み終わった時、ルキアは自分の唇が歪んでいることを自覚する。

「マラリヤ!」

思わず、ルキアは駆け出していた。
マラリヤを探している自分がいることに驚いている。イヤじゃなかった。
今からマラリヤを見つけて、気の済むまでおしゃべりしようとしている自分がいる。

「マラリヤはずるい!」

絶対に見つけだして自分の想いを伝えてみせる。
マラリヤだけに告白されるのは面白くなかった。自分から告白しようと決めていたのに、先を越された感じでなんだかくやしかった。

「待ってなさいよマラリヤ!あたしの一世一代の想いを伝えてやるんだから!」






とある人のブログを見た途端に、妄想が大爆発して小ネタを書かずにはいられませんでした



ゆきあさん、ネタをありがとうございます