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ラビット

人には
誰かに愛されたい気持ちと
同時に
誰かを愛したい気持ちが
存在する



みんな
誰かを守るには
弱い存在だから
誰かを幸せに出来てることで
自分の価値を実感できる





「自分は
生きてていいんだな」
って
生きてんのか
死んでんのか
わからないくらい
平凡な日常の中で
ふと思えたりする



他者がいる



それだけで
アタシたちは
強くなれる



例え
片想いだとしても
好きだな
って思える相手が
いるだけで
幸せなことだと
いうこと




アタシ達は
すぐに見失う




誰かに愛されることは
当たり前ぢゃないということ

ルビー





スグルさんが
来店した




今月いっぱい
横浜の店長のうちに
住み着いて
千葉で働く
って言ってたから
ビックリした



普段スウェットなのに
黒の細見なジャケットに
スキニーデニムを
履いてた


何より
また髪型が変わっていて
短くなってた


綺麗な茶髪


目立ち過ぎない
アクセサリー


ほんのり香る
セブンスター






「髪、真っ黒だねー」


笑いながら
自分の髪に手をやるスグルさん



うぅ…









悔しいくらいカッコイイ…




もう会わない
って決めてたのになぁ…





お店にお客がいないことを
良いことに
レジで普通に話すスグルさん



これから営業らしぃ




「僕、帰ってきましたょー」




余裕たっぷりの
笑みに
アヒル口の
薄い唇




うぅぅ…



一緒にいたときの
記憶が蘇る



とにかく
アタシは
劣等感にさいなまれてた



色んなことが知れて
色んなとこに連れて行ってもらえて
何よりスグルさんの
武勇伝が面白くて
とっても楽しかった



だけど
常に安心はできなかった


どうしてこんな人が
アタシの側に
いてくれるんだろう

同い年なのに
なんでこんなに
違うんだろう


そう思えば思うほど
自分が出せなくなって
結局息苦しくなった


素敵なことも経験できた
素敵な言葉ももらえた


だけど
アタシが望む日常には
到底ならない











そんな記憶が
頭の中を駆け抜けた


だから
距離を置いたんだ
離れようって
自分がダメになりそうだから





だけど
どうしてこんなに
動揺するんだろう

そして
なんなんだ、この滝のような汗は!!!!!笑(´Д`;)


スグルさんに
見られてるだけで
緊張する

これだ
この劣等感だ…



以前感じてた
スグルさんとアタシの
不釣り合い感…


ヤダヤダヤダヤダ
ヤメロヤメロ











「じゃぁ行ってきます」


そう言って
スグルさんは
去っていった





また近いうちに
会うんだろうなぁ…



という予感がした


スグルさんとは
なんだかんだで
この先も
会える気がする…




ルックスの良い
ちょっとよく知ってる
知り合い
ってことでいいのかな笑





ちなみに
スグルさんが
去ったあとから
閉店まで
レジミスが
絶えなかった…
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