Honey Bee Smile

「騙されやすそうだょね」



えっ
と聞き返した



「オレ、人騙したりいじったりするの好きなんだけど、まゆは動かしやすい」



ユウジくんは
言いながら
ニヤニヤしてた


そんなことないょ
って言いながら
やっぱり過去を振り返ってしまう


そういえば
スグルさんにも
同じようなこと
言われた


「よく今日まで生きてきたね??」
って
大袈裟だけど

「まゆみチャンにはこれ以上傷ついてほしくない」

そんなことも
言ってもらえた
嬉しい言葉だった
嬉しくて
嬉しくて
泣いてた目から
余計に涙が溢れた

じゃぁスグルさんが
アタシを守ってくださぃ
って言ったら
「一緒にいる間は守ってあげる」
って言われた


「一生守ってやるょ」
とかなんかよりは
ずっと
誠実な答えだな
ってわかっていながらも
一緒にいる間かぁ…
小さく傷ついたことを
覚えてる



「良い意味で素直なんだけど悪い人に利用されそう」



んー…
自分では違和感がある
自分は素直ぢゃないし
利用されるつもりも
騙されるつもりもない
だけどもうユウジくんを
含めて
二人に言われてる




アタシ…ダメだなぁ



そういうタイプ
苦手だ


人から騙されるくらい素直で
真っ直ぐな子


アタシは自分が
その真逆だと思ってるから
そういう子といると
自分のダメさに
愕然とする


太陽を直視したときみたいに
眩しくて目が焼ける



アタシは
しばらく考えたあと
(アタシはしばらく考えてたつもりだったんだけど、一瞬だったかもしれない)
じゃぁさ
ユウジくんが
アタシを守ってょ
とスグルさんにしたみたいに
同じことをぶつけてみた



すると
ギュッと抱き締められて
「もちろん、そのつもりだけど」
と言われた



急にホッペが
熱くなって
頭がぽー…っとした




そして
あぁいつか
アタシは泣きながら
今日のことを思い出して
余計泣き喚く日が
来るんだろうな
って思った




溺れていい間は
苦しいくらいに
溺れていいんだ


だけどいつか
否応なく
陸に上げられる日が
来る



そして
何不自由なく息を
していたはずの陸上で
今度は悶えるくらいに
息苦しくなるんだ



そんな日が
いつか来る



その日までは
目をつむっていて
いいのかな…





早く安心が
ほしい