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もう少しだけこの瞼に乗ってて

日曜日
ゆうじクン家に
勉強しに言った

「一緒に勉強した方が
遊びそうになったとき
どっちかが
止められるぢゃん」


と言われたけど
その提案には
納得できなかった


(だけどそれを
わかったうえで
ゆうじクン家に行く
アタシもアタシだ)


ゆうじクンは
中間テストの勉強をした

アタシはゼミ発表の
まとめをした



一時間くらい集中して
集中力が切れて
ベッドを借りて
横になった

しばらくすると
ゆうじクンも
やってきた


勉強は??

と聞くと

「オレ、集中するといつまでも勉強しちゃうから」

と、言われた

そのまま
勉強してていいのに
と思いながらも
その器用さと
ズルさが
気持ち良かった


夕飯は回転寿司を食べに行った


ゆうじクンが
トイレに立ってから
隣りの席の
おじさん達に
声をかけられた


「彼氏と来たの??」

うん

「彼氏優しい??」

うん

「幸せそうだね」

うん


そうこうしてるうちに
ゆうじクンが
帰ってきた


そのあとも
しばらく
絡まれていた

ゆうじクンは
少し距離を置きながら
だけどおじさん達の
機嫌を損ねないように
うまくかわしていた


お店を出てから
ゆうじクンは
「オレがいない間に話しかけられたでしょ」
とニヤニヤ聞いてきた


うん
と応えると

「まゆはおじさん達が好きそうな顔してるんだな」

とゆうじクンも
笑った


帰ってから
少し話して
アタシが先に眠った


「明日一限だから七時に起こしてね」

と言われた

そうやって人のこと
使って

というと

「使ってないょ。頼りにしてんの」

と言われた

騙されないぞ
と思いながら
睡魔に引きずりこまれた


七時に起きた

ゆうじクンを
起こした

うーんと
唸って
寝てしまった


アタシも
眠たくて
二度寝をした


次に起きたのが
八時だった


今度はしっかり
起こした

ゆうじクンが目を覚ました

「あれ??七時に起こしてって言ったょね」

と言われたから
起こしたけど
起きなかったょ
と応えると

「次はオレが立ち上がるまで起こして」

と言われた

ちょっと腹が立った


アタシは目覚まし時計じゃないから

頼りにされたのに
応えられなかった
アタシも悪いけど
ゆうじクンも
起きるつもりでいてょ


と言うと
ごめんね
と頭にキスをされた

丸め込まれるつもりは
なかったけど
怒ってる時間も
なかったので
黙った


ゆうじクンが
シャワーを
浴びてる間に
お昼ご飯として
目玉焼きを作って
マフィンの間に挟んだ


アタシもシャワーを
浴びたかったから
昼休みに鍵を
渡す約束をした


ゆうじクンが
出て行ったあと
シャワーを浴びて
山になった洗い物と
洗濯物を取り込んだ

一息つこうと
ベッドに横になってから
記憶が飛んだ


次に起きたのが
ゆうじクンからの
メールだった

「今日三限なくなって二限までになった」

ぢゃぁゆうじクン家で
留守番してる
と、返信をしてから
また瞼を閉じた


次に起きたときは
ゆうじクンの顔が
目の前にあった


びっくりして
飛び起きると
昼休みの時間だった

二時間ちょっと
寝てしまった



しばらく
話した後
じゃれあった


お腹を触られて
「少し痩せた??」
と言われた

うん
と応えた

アタシは努力して
成長できる子だょ

と言うと

「でもその分頑張り過ぎて独りで溜め込んで爆発する子でしょ??」

と言われた


中島みゆきの歌で

なぜ女は
キミのことを
わかるょ
と言う男を
好きになるのだろう


というのが
あったのを思い出した


それはきっと
女は独占欲が
強くて
自分の穴をぴたり
と埋めてくれる
パートナーを
求めているからだろう

と思う



じゃれてから
お腹がすいた
ハンバーグが
食べたいと言ったら
一緒に作ろう
ということになった

近くのスーパーに
材料を買いに行った

いつもは買ってくれないのに
今日はアイスと
ゼリーを
買ってくれた


うちに帰ってから
すぐに準備した

牛肉と玉ねぎを
ミキサーにかけて
アタシがこねて
ゆうじクンが焼いた


中にチーズを詰めて
デミグラスソースを
かけて
チーズをのせた


食べてみると
すごく美味しいわけぢゃないけど
それなりで
手作りの味がした

アイスを食べた

そのあと
ゼリーも食べた


「腹が苦しい」

と呻くゆうじクンの
お腹をくすぐった


そうこうしているうちに
ゆうじクンが
膝の上で寝始めた


アタシはしばらく
髪を撫でていた

ゆうじクンの体が
徐々にあったかくなって
寝息を立て始めた


窓から
日射しがさして
空気は冷たいのに
照らされたところだけは
体温のように
あたたかくて
柔らかだった

アタシはゆうじクンを
膝からおろすと
掛け布団を
かけた

ゆっくり準備をして
書き置きを残すと
ゆうじクンに
声をかけて
ほっぺにキスをして
家を出た

I hate this world.

昨日
ラーメン屋のバイトが
終わったあと
コンビニの店長の
越智田さんと待ち合わせをした



越智田さんの車で
ご飯を食べに行った


越智田さんの車は
ワゴン車で
大きくて
お香の気持ちいい匂いがした

誰かの車に乗るのは
久しぶりだった



中華を食べに行った

個人経営みたいなお店だったけど
味はすごくおいしかった

越智田さんとは
バイトのことや
部活のことや
ゆうじクンのことを話した


お店を出てから
しばらく
車の中で話した

越智田さんは
いつの間にか
タバコを吸い始めていた

彼女と別れてから
吸うようになったらしい

ちょっと切なかった



川越駅まで乗せてもらって解散した


越智田さんの車を
見送ってから
一杯だけ飲みにいこうと思って
Barに行った


Barではパーティがやってた

入り口をじっと見てると
ハットをかぶったおじさんが
「2000円のとこを1500円にしてあげるょ」
と話しかけてきた

安い
って思ったわけぢゃないけど面白そうだったから入った


狭い店内は
知らない人でいっぱいだったけど
しばらくひとりで飲んでると
おじいさんが話しかけてきた

山下さんという人だった

山下さんは
詳しく教えてくれなかったけど
国のお仕事をしていたらしい

山下さんは
顔が広かった
そして
気前が良かった

「今日、ボクは気持ちがいいんですょ」


そう言いながら
ハイボールを
おごってくれて
さらに
たくさんの仲間を紹介してくれた


特に
酒造のお仕事をしてる
彦ちゃん
ガテン系(だけど細マッチョ)の
しんちゃんと
仲良くなった

みんな20後半〜30代だった

あと
英語教師をしてるアメリカ人のアダムと
仲良くなった

アダムは身長が
2メートル近くあった
歳は24歳で一番近かった

アタシの片言の英語を
ずっと褒めてくれた


アダムと話してると
知らないおじさんが
「コイツ、夜のことしか考えてないから引っかかんなょー」
と言ってきた


アダムは
「oh.No〜」と声を挙げた

店内に有名な
洋楽がかかりはじめた

彦ちゃんに
手招きされて
フロアの方へ行った

みんな思い思いに踊った

アタシも
踊った

部活でライブをしてるときみたいで楽しかった


しんちゃんは
踊らなかった

壁際でちょっと微笑みながらみんなを見てた


たまに絡んできた人と
じゃれたりして
仲間の中では
若い方なのに
落ち着いていて
誰よりも大人に見えた


ゆうじクンみたいだな
って思った


踊るのを辞めて
しんちゃんのとこへ行った

酔った勢いで
しんちゃんの
首飾りに指を入れた

しんちゃんは
アタシをちょっと見ると
柔らかく微笑んだ


だけどしんちゃんの目はアタシを見てなかった

たまに
フロアのどこを
見るわけでもなく
アタシなどまるで
そこにいないみたいに
していた


そういうとこも
余計ゆうじクンに
似ていた


アタシはこのタイプの
人が好きなんだと思った


夜中の2時を回った


山下さんが
帰ってから
ちょっとして
仲間の人がひとり
酔いつぶれて
倒れた


彦ちゃんと
しんちゃんと
もうひとり
おにいさんが
肩を支えて外へ出た

アタシも
心配で
一緒に出た


しんちゃんが
アタシを見つけると
「コイツ、うちの若いヤツだからまゆみちゃんが心配することないょ」
と言ってくれた


でも心配です


そう応えると
彦ちゃんに

「まゆみちゃん、いい子だな」

と頭を撫でられた


ホントは
しんちゃんに
撫でられたかったけど
何にも言わなかった


結局しんちゃんは
タクシーで
倒れた人に
付き添って行った


残された
彦ちゃんと
アタシたちは
しばらく話してから
解散した


「またおいでょ、としか言えないや」


彦ちゃんは
なんだか寂しそうだった


アタシは
彦ちゃんに
笑顔になってほしくて
また来ます
と言って笑った


彦ちゃんも
ちょっと笑った



彦ちゃんたちと
別れたあと駐輪場へ行って
自転車に
またがった


そのとたん
足下がふらついた

よく考えたら
山下さんや
彦ちゃんや
見知らぬおじさんや
お酒をたくさんおごってもらった

たぶん10杯くらい
のんだと思う


よく倒れたり
記憶なくしたり
しなかったな、アタシ

と思った



それもこれも
ゆうじクンに
鍛えられた
賜物だと思う



例え
パーティのことを
話すとしても
しんちゃんへの気持ちは
内緒にしようと思う

カラー

あわわわ…………



なんかもう
よくわからない


昨日から
カオス





えっとまず



昨日
ゆうじクンに
アタシの性癖が
バレた


爆笑ですょwww



自分がドMなことは
わかってたし
いろんなプレイを
実はやってみたい
って思ってることも
知ってたけど
いざやってしまうと
溺れてしまう可能性があるから
誰にも打ち明けたことがない


ましてや
心が入ってる彼氏に
バレると
彼女から
セフレになりそうだから
絶対打ち明けたくなかった



困った………



ゆうじクン
ドSだし……


絶対相性いいんだよなぁ………



だけど
彼女でいたいんだょ



わぁー…
もうダメだー…

なんか
手を打たなきゃ


********************

ゆうじクンと
遊んだあと
バイトに行った



普通にレジしてると
美容師さんが来た


いつも担当してくれてる人と仲のいい人

金髪でおしゃれで
背が高くて
ゆるキャラっぽい人



レジに来たとき
あって
思ったんだけど
向こうも気づいて
話しかけてきた


「ここで働いてたんですねー」


語尾がのびる


やっぱりゆるい


アタシは
びっくりしたのと
かなり化粧が
落ちてるのとで
挙動不審に話した



話してるうちに
仲良くなった



うわー……

このタイプ



苦手


でも苦手って思ってたスグルさんと
一緒にいたこともあったから
このパターンは
マズいと思う



ってか
この人
ネコっぽい



やだなぁ………




嫌な予感がする



もう二度と
会いませんように


********************

今日自転車を
置こうとして
駐輪場の鍵を外してた


ふと後ろに
自転車が止まって
振り返ろうとしたときに
顔を覗き込まれた









S籐さんだった



びっくりし過ぎて
声が出なくなった


「お疲れ様で〜す」


またこの人が
独特な喋り方


S籐さんは
微笑みながら
自転車をおいて
出て行った


アタシは
なんにも
話せなかった






やっぱり




なんか思っちゃうなぁ…


嫌だなぁ


こんな気持ち



好きとか
そういうのとは
違う気がするんだけど



やだなぁ………




ちょっと
顔が丸くなってたな



声は相変わらずだったな

近づきたいとかぢゃないけど
前に戻れたら
いいのになー…


なんて

アダム

あぁぁ…












ついにバレた










バレた



バレた






いつかは
こうなるとは
思ってたんだ



だって向こうは
隠す気ないし



最初から
アタシは劣勢だった


彼女でいたいから
隠した




向こうはアタシが
普通の子だと
思ってくれてたはず




アタシの期待を
裏切るくらいに
壊してほしい気持ちは
グッと抑えて
ただ、彼女として
大事にしてほしかった



だから隠してた





はずだったのに……





どうしよ……



どうしようもなくなって
血迷った一手を
打った感じ



王将は
がら空き


とりあえず
立て直さなきゃ



問題は
アタシが
ゆうじクンに
本気になってるとこだょね


うん


おちつけ



何か策はあるはず

メリル

友達と遊んだあと
漫画を貸すという
口実で
ゆうじクン家に行った



うちに着いてから
アイスを買いに
コンビニへ行った


雪見だいふくの小豆味を買った


ゆうじクンは
小豆が
嫌いだった


「本当にそれ買うの??」
と嫌そうに
言うゆうじクンの
顔が面白かった



ゆうじクンは
チーズケーキと
ラスクを買った


うちに
帰って
食べた


ゆうじクンが
買ったラスクは
ホワイトチョコレートがかかっていた

どうやら
甘過ぎたらしい


「まゆ、食べていいょ」


そう言われて
もらった


すごくすごく
好きな味で
美味しかった



「幸せそうな顔して」

食べてる姿を
ゆうじクンに
笑われた



しばらく
テレビを見たり
漫画を読んだり
本を読んでると
不意にゆうじクンが
「まゆに呑んでもらいたいのがあるょ」
と言って
カクテルを作ってくれた

見ためは
普通の
ショートカクテルだった


だけど
ひとくち呑んでびっくりした


アポロ!!!!


お菓子のアポロの
味がするーっ



そう言うと
ゆうじクンは
笑った


「すぐ気づいてくれて良かった。」


ストロベリーリキュール
モーツァルトのカカオリキュール

牛乳


これで
オリジナルカクテル
アポロが出来る


美味しくて
美味しくて
すぐに飲み干してしまった



ゆうじクンは
二杯作ってくれた


「このカクテルはお店では出せないょ。オレしか作れないからオレに頼むしかないょ」


ゆうじクンが
シェイカーを
いじりながら
得意気に言った


その感じが
なんだか可愛くて
わかられないように
笑った



寝るちょっと前に
アタシの誕生日の
話になった



アタシの誕生日は
ちょうど
ゆうじクンの
中間テストの日だった



「当日は難しいかもしれないけど遅らせてお祝いしようょ」


そう言って
ケーキの話をしてくれた


そのケーキ屋さんは
ゆうじクンと
新宿から青山まで
歩いたときに
一緒に見つけた
ケーキ屋さんだった


果物が
たくさん乗っていて
下のタルト生地が
見えないくらいに
埋め尽くされてる


ショーウィンドを
二人で貼り付くみたいに眺めてた


「青山までいこうか」


そう言われて
うんっ
と頷くと
ゆうじクンは
少し考えてから
やっぱりやめよう
と言った



「家にしよう。またオリジナルのカクテル作ってあげる」


びっくりした


クリスマスも
ホワイトデーも
誕生日も

プレゼントを
あげたことない
って言ってたゆうじクンが
ここまで考えてくれてたなんて思ってなかった


正直
忘れられててもいいと思った


ゆうじクンなら
あり得ると
思っていたし
それでも
構わないと思っていた



だけど
いざこんな話を
切り出されると
なんだか
胸が熱くなった


まだ実際に
祝ってもらった
わけぢゃないのに
泣きそうになるのを
こらえながら
アタシは
ありがとうも言えなかった


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