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白昼夢

西新宿に続く裏路地を
ゆうじクンと
歩いていた


ふと
電柱の側に人がいた


汚い身なりをしていて
男性か女性かも
判断がつかなかった


片足を引きずっていて
柱に寄りかかるように
必死で立っていた





ふと
その人が
こちらを見て口を開いた



「すみません、手を貸してくれませんか。足を悪くしていてあるけません。そこの大通りまで出してください」



しわがれた声と
必死に訴えかける目



自分でも
無意識なうちに
体がうごいていた



「おぃっ」



アタシの体が
引き留められた



見ると
ゆうじクンが
しっかりアタシを
捕まえていた



アタシは
目を見開いて
ゆうじクンを見た



ゆうじクンは
手を繋いだまま
アタシを大通りに出した




「イヤな感じがした」


ゆうじクンが歩きながら言った




「まゆ、ひとりなら助けてたでしょ??」



図星だった


実際体が動いていた



「よく考えて」






「こんなすぐ側の大通りにも出られないほどなのに





ぢゃぁあの人
どこから来たの??」





一瞬で
鳥肌が立った



そうだ

どうやって
あの電柱まで歩いたんだ



「道に倒れてるならわかるょ。突然痛くなったのかもしれない。だけどあれは危ない」



ゆうじクンは
ほとんど
表情を変えずに言った


まだアタシは
震えていた



優しいだけぢゃダメなんだ



自分の身も
守れないなら
人に優しくしちゃいけない



そして
なんでアタシは
ゆうじクンみたいに
考えられなかったんだろう




「離れてるときは出来ないけど一緒にいるときは守ってあげるから」


バイト帰り
自転車で外人に
追いかけられたときに
ゆうじクンが
言ってくれた言葉を
思い出した

もう 笑えないなんて

鍵つきです。 パスは拍手にて載せてます

淡雪

〜Pコート完結編〜




イブからXmasにかけて胃腸炎という
ネタのような
時間を過ごしてしまった、まゆみ


果たして
無事にプレゼントを
渡すことは
出来るのか!?


注目のクライマックス!!


*************************


12月29日

16時までバイトをして
その足で武蔵境へ


駅に着く少し前に
メールすると
返事がすぐに
返ってきた


「いま家にいないからどこかで時間潰してて」


ふと時計を見ると
17:30


18:00頃行く
って言ってあったから
ちょっと早かった


駅に着くと
本屋に入って
立ち読みをした



しばらくして
ゆうじクンから
電話が入った


「いまどこ??」


商店街の本屋さん

「おっけ、そのままうちに向かって歩いてきて」

本屋さんを出て
言われるがままに
歩いていると
遠くにゆうじクンらしき人影が見えた


駆け寄ろうとして
小走りしかけた瞬間
足がビタッと止まった!!!!


ゆうじクンぢゃない!!!!

「なんで止まるんだょ!!」


ゆうじクンが
笑いながら
こっちに向かってきた


反射的に後ずさりするまゆみ



髪がモシャモシャ…



ゆうじクンは
パーマをかけていた

モシャモシャで
モサモサで
フワフワ



あと
ゆうじクンぢゃない匂い!!!


しばらく
追いかけっこしたあと
ゆうじクンに捕まって
落ち着いた



ふたりが好きな
近くのケーキ屋さんに行ってケーキを買った


夕飯は
うちに帰ってから
ピザが食べたくなって
三鷹と吉祥寺に
新しくできた
美味しいピザ屋さんに
注文した


一時間くらいしてから
ピザと注文したハンバーグが来て
一緒に食べた


以前
ゆうじクンと
歩いたときに
オープンしたてのこのお店に有名人から
お花が送られていた


それだけ
美味しいってことかな、と
ゆうじクンが
目をつけていた


予想通り
ものすごく美味しかった


生地はもちもちしていたし
チーズや具も美味しかった

ハンバーグは
ソースが絶品だった


「今度店に食べに行こう」

ぜったいだぞ
というように
念を押すゆうじクンを見て
やっぱりこの人が好きだな
と思った



食べ終わってから
ケーキを食べた


ケーキの中に
洋酒につけたチェリーを使ったものがあった

しばらくお酒を
のんでいなかったからか
少量にも関わらず
ほろ酔い気分になった

「メリークリスマス」


洋酒で
ふわふわしている
アタシの頭を
ゆうじクンが
撫でた



あっ

いまだ
って思った


アタシは
よろめきながら
立ち上がると
紙袋を渡した


「ずいぶん大きいな」



受け取りながら
ゆうじクンが
驚いたように言った


古着屋の
お兄さんが
丁寧に包装してくれたおかげで
お洒落で
素敵な外見になっていた

ゆうじクンは
ゆっくり紐をといて
最後の袋から
中身を取り出した



ゆうじクンが
にんまり笑った


わぁぁと微かに
声を挙げながら
畳まれたPコートを
広げた


着てみて


そう言うと
ゆうじクンは
すぐに立ち上がって
パーカーを脱いで
シャツの上から羽織った


ピッタリだった


腕の長さも
肩幅も
丈も
体のラインを殺さないように
ピタリとゆうじクンに
重なっていた



「まゆ、ピッタリだょ」

ゆうじクンが
静かに
だけど本当に驚いたようにそう言った

「オレ、デザインはいいとしてサイズにはうるさいんだ。下は緩ければ何でも良いけど上はこの丈っていうのにこだわりがあるから」


ゆうじクンは
いったんコートと
スウェットを
脱ぐと
普段あまりはかない
細めの黒いズボンと
シンプルなTシャツに着替えた


そのまま
鏡の前に立つと
上からPコートを羽織った


もともと
スタイルが良いので
完璧に着こなしたゆうじクンはかっこよかった


「同窓会はパーティだからドレスコードってまではいかないけど綺麗めな服装しなきゃなんだ。そういうの持ってないからどうしようって思ってたんだょね」


本当に嬉しいんだけど


そう言って
ゆうじクンは
何度も鏡に向かって
微笑んだ


その姿を
ずっと眺めてた


幸せだなぁって
強く思った


同窓会
モテちゃわないでょね


そうつぶやくと
ゆうじクンは

「オレ、中学のときモテたけど」


と笑った


胸がイガイガした

アクロの丘

Xmasライブの
打ち上げが
終わり
吉祥寺から武蔵境まで
歩いていた


「友達カップルがね、こうしてた」


そう言って
ゆうじクンは
アタシの手を
自分のズボンの
ポケットに
滑り込ませると
その中に手を入れた


ゆうじクンの
あったかいポケットと
あったかい手の両方で
冷たくなった右手が
じんわりあったかくなった


意外と
ロマンチストなのだろうか

それとも
アタシが
喜ぶだろう
と思って
敢えてしているのだろうか


どっちでもいいうえに
その両方であることが
わかるため
アタシは素直に
喜んだ



ゆうじクンは
ライブでかっこよかった

ゆうじクンは
ギターがホントにうまい


というか
ゆうじクンは
何でも器用に
こなしてしまう


ギターだけぢゃない
楽器はほとんど



だけどアタシは
ゆうじクンには
ギターが一番
似合うと思う


ベースのように
サポートに
回ることも
うまいけど
ギターソロのように
目立ってる方が
ゆうじクンぽい


ボーカルは
アタシっぽい


ボーカルは
みんなの演奏ありきだし
出来たものの上に
乗っかってでしか
歌えない


だから
ゆうじクンは
ボーカルぢゃなくて
ギター

それも
リードギター


ボーカルの次に
目立っているにも
関わらず
冷静にバンドを
引っ張るパート


そんなことを
考えながら
歩いていた





「引っ越しのことなんだけどさ」


会話の途中で
ゆうじクンが言った


ゆうじクンは
春先に
今の家から引っ越す


理由は深刻なものではないし
場所も近場だから
会えなくなるわけではない



「なんか勝手に場所決められそうなんだょね」


ゆうじクンは
笑いながら
家族の話を
始めた


アタシも
話を聞きながら
笑った



ゆうじクンの話は
いつだって
面白いから




「まゆの部屋もつくる??」





…え??




「ていうか会社、五反田でしょ。うちからのが近いぢゃん。」




……。





「うち来れば」





…でも、一人暮らししたいから貯金貯めたいし。





「ぢゃぁ、それまでうちいればいいぢゃん」





……。





それって
同棲のことだろうか




アタシは
呼吸を止めた





ゆうじクンの
顔を見た


いつも通りだった



アタシは
そっぽを向いた




こんなの残酷だ




ゆうじクンは
また何にも考えずに
言ってるのだ




アタシは
そんなことを
言われるだけで
舞い上がってしまうのに…



だけど
心の底から
ゆうじクンを
憎む気には
なれなかった





すぐには
なんとも言えないや


そう言って
交わすのが
精一杯だった


ゆうじクンは
ふふん、と
笑った


ゆうじクンは
いつでも
余裕なのだ


なぜなら
ゆうじクンは
初めから
誰のことも頼ってなど
いないからだ


それにたいして
アタシは
いつでも誰かが
必要だ

いつだって
ゆうじクンの手にひかれて歩いている


必要ぢゃないふりは
本当にうまいけれど…



それからアタシたちは
取り留めもなく話して
ゆうじクン家まで帰った

ゆうじクンは
ポケットに
アタシの手を入れたまま
なんの違和感もなく
すいすいと
歩いていた

報告書

◎12月22日
ゆうじクン40℃の発熱



◎12月23日
ゆうじクン救急車に運ばれる

→看病に行くことを決意



◎12月24日
看病に行く

ゆうじクン、だいぶ元気

→泊まり込みで看病するつもりだったから、最低限の荷物しかないのでプレゼントを持ってこなかった

('A`){今日は泊まって明日自宅に帰ろう)

その夜

一緒にMステを見終わった頃

急にまゆみの
体調が悪くなる
→お腹を刺されるような腹痛

('A`;){うごぉ…ぉ…)


堪えきれず
ゆうじクンに
お願いして
救急車を呼ぶことに…

→ホントに手際が良い
一回運ばれたとはいえ
ゆうじクンは必要なもの
アタシの荷物を
まとめた上で
救急車が来たときに
アタシを運びやすいように部屋の配置を
動かしていた

担架で救急車に
運ばれる途中
嘔吐
→人生初、彼氏の目の前で嘔吐www


そこから
あまり意識がない


病院に運ばれ
点滴を受け
夜間だったため
ゆうじクンに
おぶられて
タクシーに乗り込み
ゆうじクン家に帰る

→帰ってから
うなされながら
就寝

('A`;){あがが…ふぅふぅ…)→ゆうじクンは
コタツで
アタシの様子を見ながら寝ていた





◎12月25日
ゆうじクンに
起こされ起床
→朝一番で病院に行き
点滴と診察
そして薬

('A`;){点滴イテ)


ゆうじクンの腕に
つかまりながら
歩けるように
なった


帰ってきてから
ヨーグルトを食べて
薬をのみ
ふたりでベッドに入って寝る

→一日中寝てた




◎12月26日
Xmasライブ一日目

ゆうじクンは
準備のため
先に学校へ

まゆみは
昼過ぎに学校へ

お腹に違和感が
あったものの
熱は下がっていたので
運動がてら
学校まで歩いた


→jazzy the 9tライブ


そこから
最後まで
ライブが見れた

→帰ってから
近くのパン屋さんに
行き、夕飯を買う

ゆうじクンは
深夜まで練習なので
お留守番


→パン屋さんでもらったパンの耳でクルトン作り、読書、漫画、漫画描き、YouTube、etc

→ゆうじクン帰宅

なぜかまゆみグズる

('A`;){寂しかったゾ、バカ)




◎12月27日
Xmasライブ二日目

リハのため
一緒に学校に行く

→相方胃腸炎のため来られなくなる(うつした…??)

出番はなくなったものの
ゆうじクン含め
みんなのライブが見られたから満足v v v


→いったん帰り
ゆっくりしてから
ゆうじクンと吉祥寺へ

→飲み会

jazzバンドを組んだ
後輩たちとイチャイチャ

何度もお礼を
言われたけど
お礼が言いたいのは
アタシの方

('A`){おめーらさいこー)

ホントに可愛い後輩たち

大好き


→くじ引きで相手が決まるプレゼント交換で、ゆうじクンの相手が二年連続アタシにwww


部員80人くらいいるのに
なんか
ここまで来ると
怖いwww


→飲み会終了
いつも通り
吉祥寺から歩いて帰る

→家についた頃には
クタクタ…

就寝




◎12月28日
9時起床

ベッドから出たのは
11時頃www

準備して新宿へ

Xmasプレゼントの
財布を買ってもらうことに

新宿→原宿→新宿

原宿のANNA SUIと4℃の財布が可愛かった

ピンとくるものが
なかったので
次回に持ち越し

→夕飯
ミスタードーナツ

ふたりとも
疲れきって
呆然…


→まゆみバイトのため解散


*************************

部活のみんなに
迷惑かけたし
心配かけた…


だけど
今回のことで
改めて
ゆうじクンの
すごさがわかった

アタシは
真逆の立場になったとき
同じことが
出来るのだろうか


そう、ゆうじクンに
つぶやいたら
「オレになる必要はないんだょ」
と、言われた


細かく書かないけど
ゆうじクンは
お金も時間も手間も
惜しまず
一心に看病してくれた


アタシも
ゆうじクンみたいに
なりたい


そして今度は
アタシが
ゆうじクンを
助けたいって
強く思った


Xmasに救急車で
運ばれる、なんて
もはやネタだけど
もう一生の思い出かもしれないww

楽しかった

ありがとう*
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