※ 10代目が死んでます。
ツナ獄前提のD→獄です。結局Dは報われません。
死にネタだめな方はバックお願いします。







俺の可愛い弟分が、
ツナが死んだ。



死因は、ガンだった。


イタリア最強マフィアのボスとして、
10年間マフィア界の頂点に君臨していた者が、病で呆気なく他界してしまったのだ。



ボンゴレ10代目が亡くなって、今まで大人しくしていた弱小マフィアが一気にボンゴレを襲ってくるのでは無いかと警戒していたが、
生前にツナに世話になったマフィアばかりで、そういった抗争は一切起きなかった。



そこで俺は改めて、ツナの人望の厚さを知った。


これが、

俺の愛した、
だけど、一切手の届かなかったアイツが、

最も敬愛し、命を預け、心の全てを捧げた、
獄寺隼人が愛した、
ボンゴレ10代目の人望。









どうやらツナは、自分がガンに侵され、
死期が近いことは、知っていたらしい。

だから、生きている間に多くのマフィアの元を一人で訪れ、一人一人のボスに、
ボンゴレと同盟を結ぶように、交渉しに行っていたらしい。


それがどんな交渉だったのかは知らないが、
どのボスもその姿に感動し、快く同盟を結んだ。という話を人づてに聞いた。





そんなボスの姿、話に感動し、
今では沢田綱吉の下で働いていた部下達も、
誰一人抜けることなく、ボンゴレを支えている。



ただ一人、獄寺を除いては―――――――、








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ツナが死んでから、獄寺は、一切自分のリングに炎を燈すことが無くなった。
覚悟が無くなった訳ではない。
ボンゴレに対する思いが消えたわけではない。


ただ、自分では燈せないオレンジに、
もう見ることができない、忠誠を誓ったオレンジの炎に、


二度と会えない、


その事実だけで、獄寺の心は折れてしまった。



無理も無い。獄寺にとっては唯一無二の存在だったツナが、
自分の手で守ることもできず、遠くへ逝ってしまったのだから。




コンコン、
「――――獄寺、入るぜ。」


あの日以降、獄寺は部屋に誰も入れなくなった。
オレンジ以外の炎を持つ奴は、誰一人として寄せ付けない。


俺が、獄寺の傍にいるのも、
俺が唯、『ツナと同じ』オレンジの炎を持っているからだ。



「…ディーノか、」


そう言って、入室を拒まない獄寺が、
俺にツナの影を被せている事は、もうずっと前から気付いている。


それに気付かないフリをして、
お前に近づく。



「ディーノ……火…、」


そう言われ、自分の指に嵌めている、キャバッローネの指輪にオレンジの炎を燈す。



「………ちがう、」

そう口にする獄寺が、それでも俺を拒まないのは、
多分きっと、ツナと俺が似ているから。


俺の炎が、ツナの炎と少しだけ、似ているから。


(いつまで、ツナを見てるんだ。)


お前の愛したオレンジは、もう二度と戻っては来ないのに。


今、目の前に居るオレンジじゃ、どうして駄目なんだ。




「……10、代目…、」



そう言って、俺の炎から目を背ける獄寺に、

俺は、ツナにこの勝負、

一生勝てないんだと思い知らされながら…、






End