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僕と彼女の差




「ひばりっ、おかえり!!!」

元気に僕の家に入ってきたのは、家の近所に住む中学生の女の子…であり、10歳も離れた僕の恋人。


「…隼人、」
「母さんがリンゴ持って行けって言うから来た!!!」

屈託なく笑う少女に目眩を覚える。

「…夜遅くに1人で出歩いちゃ駄目って言ってるでしょ。」


「雲雀の家は近いから大丈ー夫っ!しかも、まだ8時!」


自信満々で胸を張って言っているが、僕の家から隼人の家までは歩いて10分ほどかかる。
そんなに近くない。



はぁ、と溜め息をつくと、
「…迷惑だったか?」
と、遠慮がちに聞いてくる。


「そんな訳ないでしょ。
でも、夜遅くに1人で出歩くのは危ないから、次からは連絡して。迎えに行くから。」



そう言い、正面からぎゅっと抱き締めてやると、そろそろと遠慮がちに回された手が、背のシャツを強く握る。
自分より幾分か小さい彼女の可愛い甘えに頬が緩む。


「――――ひばり、」

呼ばれ、彼女の方を向くと、


目は潤み、見上げてくる視線に、薄く開いた唇、

「―――――、」


誘っているのか?と思えるような状況に息を飲むが、勢いよく彼女の体を離す。


「―――っ、」
「わっ、…え?」


体を離した事への不満の声が聞こえた気がするが、今は無視だ。
己の欲望を抑えるため彼女に背を向け、台所へ向かう。



「隼人、せっかくだからリンゴ、剥いてあげるよ。」


そう言うと、「お、おぅ…」と遠慮がちな返事が聞こえた。



(可愛い…、)
どうしてあんなに可愛いんだろうか。
だがまだ手を出すわけにはいかない。僕は24で彼女はまだ14歳なのだ。
…立派な犯罪だ。

犯罪になる、なんてさほど気にしているわけでは無いが、こんなに愛おしい彼女を無理矢理…とはいかなくても、強引に抱いてしまうなんて、そんなことはしたくない。

要は彼女の気持ちなのだ。



悶々と考えるが、馴れた手つきでリンゴを剥き、隼人が待つリビングへ向かう。




「隼人、できたよ。」

「おう!」


ネコ耳でも生えてたらぴょんって跳ねそうな雰囲気だ。


テーブルの上に置くと床の上にペタンと座る。

制服のスカートから覗く、白く細い足が黒のカーペットとの対比でより一層美しく見える。


…だめだ、そんな目で彼女を見ては。
全理性を総動員させ自分の視線を彼女の足から外す。


「リンゴおいしーなっ!」
「あぁ、…」


隼人が隣で何か喋っているが、今は話に集中出来ないほど心が乱れている。

自分の未熟さに内心舌打ちしていると、


「あ、俺そろそろ帰らないと。」

と彼女が腰を上げたので、


「そう、じゃぁ送っていくね。」


本当は帰したくなどないが、このまま家にいられても手を出さない自信が無い。
もう一度言うが、全く無い。






家の扉に鍵をかけ、隼人の家までの道のりを彼女の歩幅に合わせて歩く。



あと少しで着く、というところで右手に暖かい物を感じ、そちらを向くと、顔を真っ赤にして俯く彼女が、僕の右手を握っていた。



「――――くくっ、」


あまりにも可愛くなり、低く笑うと、真っ赤な顔のまま下から睨みつけてくる。


「なんだよっ、」


恥ずかしさで潤んだ目で下から睨まれたって可愛いだけなのに、


繋いだ手を恋人握りに変え、そのまま持ち上げ、目は合わせたまま、彼女の指先にキスをする。


すると大きな目を一層見開き、更に顔を赤くする。



「――…ずりぃ、」


恥ずかしそうにそれだけ言うと、また歩き出す。
先程よりも近くなった距離に暖かさを感じながら残りの道を歩く。





「―――…着いちゃった。」


彼女の寂しげな一言に、繋いだ手を、より強く握る。


「はぁ…帰りたくねぇ。」


そんな彼女の様子を見かねて無理矢理、家の門の中に入れる。


「ひばりは…寂しくねぇの?」


悲しげに聞いてくる彼女に、


「寂しいよ。
隼人とずっと一緒にいたいよ。
今度、週末…泊まりにおいで。」

「えっ、行って良いのか?」

嬉しそうに聞き返す彼女に、

「うん、ただし…好きな子が一晩側にいて、手を出さない自信なんてないから。
覚悟してきてね。」


そう言い、一方的に口付ける。


「んっ、――――!」


驚きに見開かれている目にニヤリと笑みを残すと、


「じゃぁね、おやすみ隼人――――」


真っ赤な彼女を残し、足早に元来た道を歩く。





明日は週末じゃないけど、隼人の事だから明日にでも泊まりにくるだろう。

…週末じゃないけど、手出しても良いよね?




end







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全てを一つに

眠れない夜



「獄寺氏っ!」
「んあ〜?」

なんという気の抜けた返事…!!!

「ちょっと!
折角会えたというのに、何か…何か無いんですか?!」


俺が任務に行っていた為に、ずっと会えなかった。
こうして会えるのは2ヶ月ぶりだったりする。


「まぁ…確かに久しぶりだけど、何かって?」
「たっ、例えば…お帰りのキスとか、抱擁とか!!」
「はっ、ねーよ。」

くっ!…これが仮にも恋人にする態度ですか!!!


若干ふてくされ、獄寺氏に背を向けていじけていると、背後からスッと腕が伸びてきて抱きしめられる。


「っご、ごく―――
「お帰り、ランボ。
お前帰ってくるの遅すぎ。心配した。
次からはちゃんと連絡しろ。」

ちゅっ、と首元に唇の感覚がする。


キスと抱擁。思い描いていた形ではないが、俺の要望にしっかりと応えてくれた、年上の恋人。


腕に回された力が弱まる変わりに、肩に乗せられた頭の重みが増す。


「―――隼人、」

俄然攻めモードで振り向くと、

すぅすぅとした呼吸音…いや、こっこれは…
(寝てるーーーーー!!)


なっなぜ…!これからが良いところなのに…!!


そう思い涙目になりながら辺りを見回すと、先ほど見ていた雑誌に目が止まる。


熱心に読んでいると思っていたが、全く進んでいないページ。



伺うように、寝ている彼の顔を見れば、くっきりと付いているクマ。


部屋のカレンダーを見ると、俺が任務から帰る予定だった日から今日まで、ぐちゃぐちゃに塗りつぶされている。



それを見て、ピンと来た。

この人は、俺を心配してずっと眠れていなかったのだ。

雑誌を見ているフリをして下を向き、眼鏡を掛けることによって、目の下のクマを隠していたんだ。

(連絡、すればよかった…)


申し訳ないことをしてしまった。

本当はこれから恋人の夜を過ごすつもりだったが、安心しきって寝ている彼を起こすなんて事はできず、寝ている彼を起こさないよう、静かに抱き上げる。



フワリと宙に浮く体。俺より年も身長も上なのに、どうしてこんなに軽いのか、時々不安になる。


彼をベッドに寝かせ、自分も隣で横になる。


自然と擦りよってくる恋人に笑みを向け、自分も瞳を閉じた。



end






おまけ


(ちょっ!隼人!!)
無意識に擦りよってきた恋人は、
さらに無意識に、己の膝で俺の自信を撫であげる。


(くっ…!)
今日は手を出さないと決めた。
しかも、トイレに行こうにも、恋人が離してくれず起きあがることもできない。


俺の夜はまだまだ長そうだ。






end



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雨の鎮静



「うわっやべ、雨だ。」


雨が降るなんて聞いてない。
今日は日本各地で晴れるでしょう、って朝のお天気お姉さんが言っていたのに。


(ちくしょう、傘持ってねぇよ。)



こりゃずぶ濡れ確定だな。と思っていると、


「獄寺君、傘持ってないの?」


「え、あ…はい。」
さすが10代目。言わずとも分かるとは…
やはりボンゴレ10代目は、このお方しかいねぇ!!!



「雨に濡れる獄寺も、なかなかエロいと思うのな〜。」


…山本は無視だ。


「10代目は傘持ってきていらっしゃるんですか?」


「ん?いや…置き傘があるだけ。折りたたみ傘だから小さいんだけどね。獄寺君、一緒に入ろうか。」

「えぇ?!そんな恐れ多い!!!というか10代目が濡れてしまいますから!」


「あはは、そんなの別に―――


スッパーーーン!!!



「ぎゃぁぁーー!!10代目!!」


10代目の頭目掛けて、どこからか、トイレのスリッパが飛んできた。

山本はサッと綺麗に避けやがった。


「誰だ!?10代目を狙う奴は!?」

「僕だよ。」

どこからともなく、最強かつ最悪の風紀委員長が現れた。


「ひっひばり!何しに来やがった!」

「獄寺、キミ傘持って来てないんだってね。」

「ん、あぁ…」

「バイクで送っていってあげるよ。」

おっマジか、ラッキー!
まぁ見下ろされながら言われるのは癪だけど…
見下ろされ…?俺、雲雀とそんなに身長変わらなかったはず…


じとー、っと上から下まで見ると、

「雲雀ーーーッ!!てめぇ10代目踏んでんじゃねぇか!!」

「ワォ、気づかなかったよ。」

「んなワケあるか!早く退け!!しかも頭に立ってんじゃねぇ!無駄に器用なことすんな!」


「極限に曲芸なのな。」
アホ野郎。巧いこと言ったみたいな顔してんじゃねぇ。



「…雲雀さん、よくも…」
「何だい?殺るのかい、沢田綱吉。」

起きあがるなり、雲雀に牙をむく10代目。それをあざ笑うように受けて立つ雲雀。


どうでもいいけど…10代目は床に倒れた時に打ちつけて出血している鼻からの液体を拭いてください。
雲雀はトンファーの代わりにスリッパ構えるの止めろ、地味にカッコ悪ィ。





この異様な空気に耐えられなくなったのか、教室には俺と野球バカ、雲雀と10代目しかいない。



(もうなんでもいいから帰りたい。)


「獄寺君、君のために闘っているのに早く帰りたいなんて…贅沢だね。帰ったらお仕置きだよ。」

…さすがブラッド・オブ・ボンゴレ。見事な超直感です。
最後の方は、聞こえなかったことにした。



「待ってて隼人。すぐ終わらせるから。
第2ラウンドは2人でしよう。――ベッドで。」


「…果てろ。」

「ワォ、積極的だね。
是非そうするよ、キミのナカで。」


「はっ、雲雀さんの独り善がりなHじゃ雲雀さんはイけても、獄寺君はイけませんよ。」

「…咬み殺す。」



2人はなんか言いながら喧嘩してるけど、俺には聞こえない。
そう、俺は雨の音で聞こえないことにした。



平和だ。
そう無理矢理思い込み、2人を視界から外すと、替わりに山本の姿が目に入る。



なんだよ居たなら2人を止めてくれよ。


「獄寺モテモテで大変なのな。」
「うるせぇよ。」
「まぁまぁ…――――ツナ、雲雀、そんな2人で争ってないで獄寺に構ってやれよ。寂しそうだぜ!」


「、ごめんね獄寺君。ほったらかしにして!」
「僕としたことが…隼人に寂しい思いをさせるなんて、」

山本の一言で、2人の喧嘩は幕を閉じた。

ボンゴレの守護者、鎮静の雨。

やるじゃねーか山本。
少しだけ見直した…だがな、


お前の一言のせいで、両脇から絡みついてくる2人。

頼むから笑ってないで助けてくれ。


2人の喧嘩は納まったが、
俺のお前への怒りは、まだ鎮静されてないぞ。



end




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俺と彼女の気持ち(ツナ獄)

『10代目っ!お誕生日おめでとうございます!』
けたたましいコール音、睡眠を邪魔されたことに多少イラつきながらも電話に出ると、少し高めの弾んだ声で、俺の愛しい恋人から祝福が贈られた。

「ん…ごく、でらく、ん?」

目覚め立てでは頭も働かないし、声も出ない。
掠れた声で、相手の名前を呼ぶと、『はいっ』と元気よく返された。


言われたことを、ノロノロと思い出す。
『誕生日おめでとう』と言われた気がする。
カレンダーと時計を確認すると、今は10月14日の0時過ぎだ。

「あ、おれの…たんじょうびか…」
まだ覚醒しない頭で言うと、

『はいっ!寝ていらっしゃるとは思ったんですが、誰よりも先に言いたかったので。すみませんでした!』

と謝られる。別に良いのにそんなこと。

可愛い恋人の行動なら何だって許せる。ましてや自分の為にしてくれたことなら死ぬほど嬉しいのに。
俺がそう思っているなんて知らない彼女は、しきりに謝り、
『では、そろそろ…』
と電話を切ろうとしている。


眠い頭では、うまく伝わらないかもしれないが、俺は今、キミに凄く会いたい。
誕生日だし、少しくらい我が儘言ってやろうかな、と思っていると、電話越しに車の走行音が聞こえた。

「…獄寺くん、キミ今どこにいるの?」
眠たかった頭が一気に覚醒する。

こんな遅くに外にいるわけがない。そう思いながらも、今一瞬浮かんだ光景に、眠気も飛ぶ。
彼女ならやりかねない…全身が冷えるような感覚を、感じながら問う。


『あ、あの…えっと、10代目をお祝いしようと考えてたら…その、凄く…会いたくなってしまって…、今は10代目のお宅の前に…』


途切れ途切れに言う彼女に、予感が的中したと言わんばかりに、走って部屋を出る。

 

彼女はいったいいつから外にいたのか。
(危ないじゃないか!)

そう、言って叱らなければ。自分が女であるということに、ちゃんと危機感を持たせなくては。

 

そう思う一方で、会いたいという気持ちがお互い同じだったということに、うれしさを感じ、ゆるむ頬を引き上げるのが大変だ。

 


玄関をあけたら、まず怒ろう。
その後、うなだれる彼女を思いっきり抱きしめて、目一杯甘やかそう。

 

その後のことは…
誕生日だし、大目に見てくれるよね?

 

 


end

 

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