この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。
ログイン |
久しぶりに更新しました!!
俺の可愛い弟分であるツナと、愛弟子(って言うと機嫌が悪くなるけど)雲雀に会いに日本に来た帰り道、
世の中では珍しい部類に入るが、
俺は見慣れた、愛しく思っている銀髪に呼び止められ、近くの寂れた喫茶店に押し込まれた。
なかなか大胆な誘い方すんなー。なんて、外見だけ見れば一級品であろう女に、一方的に言い寄られているように見える構図に悪い気がするはずもなく、暢気に獄寺の後に続いて席に着く。
「んで、どうしたスモーキン。」
「……相談がある。」
真面目で思いつめたような声色に、
うーん、やっぱりそうだよな。なんつーかデートって表情じゃなかったもんなぁ。と、なんとなく残念な気持ちになりながら、注文を取りに来た店員に、「コーヒー2つ」と適当に頼んで下がらせる。
あ、そういえばスモーキンってコーヒー飲めたっけ。まぁダメそうなら別のもう一回頼めばいいや。
注文を取りに来た時と同じ店員が、何か言いたげにチラチラとこちらを見ながらコーヒーを持ってきたが、笑いかけたりでもすれば後々面倒なので、申し訳ないがそのまま無視する。
最近はこういう視線にも慣れてきたけど、マフィア関係の女から向けられるのと、一般女性からのそれとは少し種類が違うから、やりにくい。
「……てめぇ、やっぱモテんだなぁ。」
「金髪が珍しいだけじゃね?」
「俺も銀髪だけど?」
「まぁまぁ。それより、相談って何だ?」
とりあえずブラックの状態で口を付けた獄寺に安心しつつ、自分も飲み始める。……うん、ブラックは苦手だ。ありったけのミルクとシュガーを投入しよう。
「話の前に確認したいことがある。」
「ん、なんだ?」
「お前、今現在、恋人はいるのか?」
「はぁ?……………いないけど。」
恋人の有無なんて、もっとそういう雰囲気で聞いてほしかった。
「お前、スパイじゃねぇだろうな」くらいの鋭い目付きは一体なんだ。事務連絡にしたってもう少し聞き方ってものがあるだろう。まず、両手を顎の下で組むのは止せ。俺は重要参考人か。
「……恋人の有無が相談となんか関係あるのか?」
自分で言うのも悲しいけど、獄寺が俺のこと好きっていう可能性は皆無だし。(態度見てれば分かる。)
あ、もしかして獄寺に恋人ができたとか?え、それで俺に相談!?かなりショックなんですけど、それ男だと思われてない典型的なパターンじゃねぇか。
それで、マフィアとして恋人がいるとどーのこーのとか体裁でも気にしてんのか?そんなん大丈夫だとおもうけどなぁ…つーか、相手誰!!?
ツナは、確か好きな子居た気がするし、いつも一緒にいる山本か?その可能性は高いな。
俺の愛弟子も獄寺のことは好いてそうだが、本人全く自覚なしだし。それとも大穴で六道?もしくはヴァリアーっていう可能性も………
「じゃぁ好きなやつは?好みのタイプは?婚約者は?」
「ってスモーキン、ストップ!とりあえず落ち着け、なんでそんな質問すんだよ。」
「いや、落ち着いてる。見りゃわかんだろ。…………なんでって、そりゃリボーンさんに言われたんだよ。」
「リボーン?」
「女の俺に伴侶がいないとなると、争いの火種になる可能性があるから誰か相手を見つけろって。ファミリー内のヤツでも構わないけど、マフィア間の絆を深めるためには別のマフィアに所属してるヤツがいいって言われて…。」
「それで、俺?」
「お前と10代目は仲が良いから、初めはユニんところのγにしようと思ったんだけど、あいつユニのこと好きそうだからやめた。」
な、なんつーこと獄寺にさせてんだリボーン!!
コイツの性格上、そんなこと言ったら即行動するに決まってるじゃねーか。悪い男のトコロにでも行ったら、速攻喰われて捨てられるぞ。
「とりあえず、俺以外のところにはまだ行ってないんだな?」
「おう。」
なんつー無鉄砲さ。後先全く考えてねぇなコイツ。
「っていうかリボーンさんが、とりあえずお前のトコロに最初に行けって。」
「……なるほど、」
リボーンの策略は分かった。
こんだけ美人なマフィア、しかもボンゴレファミリーの部下となれば、その他の男共が群がってくるのも分かるし、恐らくファミリー内でもイザコザは起きるだろう。火種になるっつーのは的を得ている。
その抑制剤に俺を推薦したのだろう。
つか、獄寺にいつか好きな男ができるまでの当て馬ってワケか。本当、性質の悪い提案しやがる。
「俺が獄寺の恋人になればいいのか?」
「……お前が嫌じゃなければ。」
嫌なハズがない。俺が断るはずがないことを知った上で、リボーンは俺を指名したんだ。俺が、獄寺を少なからずそういう対象として好いていることを知って。だけど、
「お前はそれでいいのか?俺のことそういう対象として好きじゃねーだろ。」
「年上は全員敵だからな。」
「そうだろ。好きでもない男と付き合えるのか?俺との関係を勘繰られた時、恋人らしい行動をしなきゃなんねーんだぞ。」
「な、なんだよ恋人らしい行動って……」
「単刀直入に言おうか。俺とキスできるのか?」
「っ、キ………でも、他のヤツとするくらいなら、お前がいい。」
「…………」
ガツン、
「おわっ、跳ね馬!!?」
撃沈。何その台詞。可愛過ぎ。
あっけなく机に突っ伏した俺に、なぁどうなんだよと声を掛けてくる獄寺の顔なんてとても見れない。
俺、今、顔真っ赤です。
「……分かったよ。」
あーぁ、結局リボーンの思う壺だ。
お膳立てされて恋人の座掴むなんて、カッコ悪過ぎんじゃねーか!
「他に好きな女できたら言ってくれな。そこまで迷惑掛けるつもりはねーから。」
何、言ってんだ。こんな良い女が傍にいて、他の女に目が行くわけねーじゃんか。それは俺の台詞だっつーの。
まぁそうなる前に、獄寺が俺を好きになってくれるように自分で頑張らねーといけねぇな。それまでは生殺になるだろうけど、そこは我慢だ。そういうつもりでリボーンも俺にチャンスをくれたんだと思うし……いや、半分以上は自分の暇潰しだろうけど。
あと雲雀と山本からは殺意を向けられるんだろうな……ハハッ、まぁそこはいいや。
「おい、本当に大丈夫なのか?」
その他諸々は徐々になんとかするとして、とりあえず
「これから俺のことは"ディーノ"って名前で呼べよ、隼人。」
END