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絶対我慢! (骸獄) R16

※ 「強化月に31のお題の『桃』の続きです!読まなくても問題はありませんが紳士かつイケメソな骸様は全くいませんので注意してください!^^













+++++++++++++



「先に貴方を頂きます。」そう、強く言ったは良いが、恥ずかしさと桃に未練がある獄寺は、ベットルームへ連れ込もうとする骸の腕の中で、ささやかながら抵抗を見せる。

普段であれば、これくらいの抵抗なんて可愛いもの……のはずなのだが、なんせ今はお腹の中で存在を主張し続ける隼人君お手製の晩御飯。

その驚異的な破壊力と存在感に、僕の胃袋も精神も限界ギリギリ。……なところに現れた、僕の手土産の桃で、隼人君の愛情料理に失礼ながら上書き保存をさせてもらおう。としたところ、隼人君からのまさかのお誘い(本人自覚なし)に、それをすることも敵わず、現在に至っている。

若さゆえの過ち……とでも言いましょうか。一口でも食べていれば、こんな胃から競り上がるモヤモヤ感に悩まされず、隼人君を美味しくいただけたのだろうに……

(気っ、気持ち悪い……!!!)

隼人君の抵抗が、振動となって僕のお腹に伝わるたびに、ヤツ等は上へ上へと移動する。

吐いてしまいたい……吐いてしまいたい……でも、
紳士たるもの、愛する者が作ったものを粗末になんてできません!!!
それに隼人君のお家でリバースしてしまうなど、末代までの恥!言語道断!六道を3回廻っても生き返れません!!(?)


だから我慢。だから我慢……!隼人君とニャンニャンした後、こっそり帰ってブチ撒いてしまえばいいのです!

それを掃除する羽目になるであろう千種には悪いが(犬じゃ無理。そーゆうことには一切使えないですし、凪の手を汚すのも冷たい目で見られるのも嫌。必然的に千種しかいません。)己のプライドと面子の為。とにかくあと小1時間程我慢して、隼人君を昇天させてしまえば良いのです!


「やっ、骸……桃がっ」

「クフフ、桃は後で頂きましょうね。」

持ち前のポーカーフェイス。
ボスンと、ベッドへ優しく横たえて、覆いかぶさるように上に乗る、が

(……ベッドがふかふか過ぎて、……揺れる!!)

まさかの誤算。こんなところにまで敵が潜んでいたとは。
こんなことなら台所でそのまま襲ってしまえば良かった。紳士さを見せる為に此処まで連れて来たのが裏目に出てしまった。

恐ろしい……今日の僕は、合鍵の件といい全くツイてない。

「……むくろ、」

嗚呼、その呼び方はキスですね。分かっています。分かっています。

「………ちゅ、」

軽く、した。
正直、今の僕に深いキスは無理です。ベロチューは無理です。
そういう間接的な刺激は、本当に避けて頂きたい。

キスの最中でのリバースは永遠のトラウマになってしまうでしょうからね。……僕の。

「………骸、」

あ、ご不満ですか。そうですよね。
でも、本当に無理なんです…!!
ここは、アレですね。余裕が無いように見せて、無理矢理コトを運んでいくしかないですね…!!

「隼人君、……」

服を脱がすことも諦め、開いた裾から手を差し込み、もともと肌蹴ていたシャツを更に乱し、
指先だけで探り当てた、胸の突起を初めから強めに弄る。
いくら開発されているとはいえ、キスや雰囲気作りが出来ない今の僕では、胸の愛撫だけで早急に隼人君の快感を高めるなんていうのは無理な話なので、己の膝を使い、隼人君の性器を服越しに擦る。

「ぇっ、あっ、……ちょ、むくろっ!」

展開が速すぎる!という抗議の声は聞かないフリ。僕だって余裕が無い。(色んな意味で)

「あっ、んんっ、ぁやっ!」

ぐりぐり膝で押し付けて、普段ではありえないほど、強く上下させ、高みへと追い詰めていく。

「あっあぁ!やっ、やだっ!むくろっ、も、やめっ!」

「……もうイきそうですか?」

「ふっざけ…!んあぁっ、や、だぁっ…!!」

「仕方ありませんねぇ。」

さも、めんどくさそうに、余裕がありそうに言葉を発し、ベルトを引き抜きズボンを脱がせる。
その際に起こるベットの振動がやはり辛いが。

「む、むくっ、」

「……一度先にイかせてあげますね。」

なーんて、かっこよく言ったが、本音はこのまま堕ちてしまってほしい。挿して、その後自分が思うように動けるとは思えない。なんて絶望的。

「あっ、あぁっ、!」

直に触れると、今まで待ちわびていた強い刺激に、獄寺の身体は飛び跳ねるように反応する。


「あっあぁぁっ!い、いくっ…!む、くろ…!」

「どうぞ、イってくださ………っ!!!」

「……?むくろ?」


イく。と言った瞬間に止まった骸の愛撫に、どうしたものか訳も分からず名前を呼ぶが、返事は一切返ってこない。


「どうし……」

目の前には口に手を当て、下を向いたまま微動だにしない骸。

「ちょ、本当どうしたんだよ…!?」

いきなり活動を停止してしまった骸に、自分が何かマズイことでもしたんじゃないかと焦る獄寺。下を向く骸の肩に手を置くが、

(お願いです、触らないで下さい……)

先ほど、獄寺の自身を直接愛撫した際に、激しく飛び跳ねた獄寺の膝が、骸の鳩尾に入ってしまったのだ。
それに寄って活動停止した骸を心配した獄寺が、起き上がる時に揺れたベットに攻撃力は2倍に。
それでも反応を示さない骸に、肩を置いた衝撃で、攻撃力はさらに4倍。


(もう……限界です……!!!)


「す、すいませ……」

「えっ、ちょ、骸っ!?………、」

それだけ言うと、飛び降りるようにベットから這い出し、獄寺の言葉にも振り向かず、目にも留まらぬ速さで玄関を駆け抜けて行ってしまった。

口に手を当てたまま、顔面蒼白で駆け抜ける夜の並盛。
走る振動はさらに限界へと追い込んでくれるが、道端で吐いたって構わない。
獄寺の家でだけは、絶対に吐けない。
最後まで守り抜いた紳士道。


(くっ……無念です…!!)

守り抜いた紳士道。
しかし男という何か必要なモノを無くした気分だ。

それもそのはず。据え膳を食わずに放置してきたのだから。

(ごめんなさい隼人くっ、ぅぇぇぇぇ)



絶対我慢!
(僕が先に昇天してしまいました…)
(あンの野郎…放置プレイとはいい度胸じゃねぇーか…!!)




end


道標 (骸♀獄←山)

※骸さんがあまりよくない人です。そして出て来ません。獄が女である必要はないです。お好みによって獄→←山で呼んでください^^












「なぁ、お前、最近女の入れ替わり激しくねぇ?」


2人きりで残った、夕焼けの光が射し込む教室で、ポツリと、しかしながら俺に向けてはっきりと告げられた言葉。


「……そうか?」


自分でもその自覚はある。

「あんま遊んでっと後ろから刺されるぞ。」


ニヤニヤと笑う獄寺は、いつもの意地悪い顔を崩すことなく、淡々と話す。俺が後ろから刺される心配なんて全くしてない顔だ。

「ま、山本に限ってそれはねーか。」

「……まーな、」

別に刺されたって良い。
もとはといえば俺が元凶だし。

「つか、何でそんな荒れてんだよ。」

「…前からこんなんだけど?」

「嘘言うな。」

じっ、と射抜くように見られる。正直、獄寺にそうゆう目で見られると、嘘がつけなくなる。というか、つきたくない。
でも、

「本当、何でもないんだって。」
言えない。
お前があんな奴なんて選ぶから。他の女で鬱憤を晴らしてる。
なんて、そんなこと言えない。



++++++++++

俺は、ずっと中学の頃から獄寺のことが好きだった。いや、今でも好きだ。

だけど高校にあがった頃、獄寺には恋人が出来た。
ショックだった。

好きで好きで、ずっと側で大事に守ってきたのに、一瞬のうちに横から取られてしまった。


嫌だった。大好きな野球すら手につかなくなるほど。
それでも、獄寺が幸せそうに笑うから、自分を無理矢理納得させて、他の男が隣にいても、守っていこうと決めたのに、



俺は見てしまった。
獄寺の彼氏なはずなのに、他の女と腕を組んで歩く、六道骸を。




このことを獄寺に言ってしまえばいい。そう思う自分がいるのに、獄寺の傷つく顔が見れなくて、何も言えない自分が嫌になる。

獄寺に言わないということは、間接的に六道の肩を持ってしまうことになるというのに。


それからだった。俺がいろんな女と遊ぶようになったのは。



「…なぁ、なんで六道なんだ?」

俺でも良いじゃねぇか。
獄寺に対する腹いせのように、六道がしていることを、他の女にしている俺でも。


……なんて言えないのに、こういう質問をする俺は狡い。

獄寺がもう一度考え直してくれたらいい。たったそれだけの為に、俺はこうして駆け引きをする。


「……さぁ、なんでだろーな。」

そう言って顔を背けてしまった獄寺が、今どんな顔をしてるのか俺には想像もつかない。

なぁ、お前、本当は六道に他にも女がいること気付いてるんじゃねーのか?だから最近、俺と一緒に放課後を過ごすようになったんじゃねーの?


「山本……ありがとな、」


俺には獄寺が気付いているのか、何に対してのお礼なのか分からなかったけど、
もし時間が戻るのならば、俺じゃなくても良い、
雲雀でもツナでもいいから、獄寺だけを愛してくれる人を選んでくれたら、
もう少しまともな道を歩めた気がする。





end



暗くなってしまった(´・ω・`)
山獄好きです。山→獄好きです!!
骸さん悪者みたいにしてごめんね(´;ω;`)雲雀さんか悩んだんだけど君に決めたっ☆
いや、本当ごめんねorz

山獄書こうとすると、どうしてもシリアス目になってしまう奇跡^^^^^

巻き込み注意



只今4限目、大っ嫌いな英語の授業。
いつもなら早く終われ、早く終われと時計と睨めっこするのだが、

(今日ばっかりは終わって欲しくないよ〜!)

俺がそう思うのは、
授業中にもかかわらず、どこからとも無く聞こえてくる爆発的な破壊音と、特徴的な笑い声のせい……、






+++++++




キーンコーン、

俺の願いは虚しく、本来ならばうきうきしながら迎える、放課後を示す鐘がなった。

(うううう、授業終わっちゃったよ……)

先ほどから、途切れることなく続いている破壊音と耳障りな笑い声の持ち主達は、
間違いなく俺の右腕、獄寺君の取り合いという名の殺し合いをしているわけで、

そうなると、授業が終わった獄寺君の元へ、二人まとめて襲い掛かってくる。本当迷惑な話だ、巻き込まれたくない。きっと今、俺とクラスの生徒達の心はピッタリ一致していると思う。

だけど、
「10代目っ!本日もお勤めご苦労様です、一緒に帰りましょう!」

キラキラ輝く銀色の髪を靡かせて、少し高潮した頬がピンクに染まって白い肌を際立たせている。

あああっ、そんな満面の笑みで言わないで!今まさに、この元凶を置いて帰りたいなんて思った自分を殴りたい!!


ドカドカ鳴る破壊音にも目もくれず、授業が終わればマッハで寄ってくる忠犬獄寺君に、それでもマフィアか、と思う反面、俺の頬も緩みっぱなし。


(こんな可愛い子、置いてなんて帰れない!)
「じゃぁ、帰ろっか。」
「はい!」

元凶とかさんざん邪険にした後とは思えないほど、口からはスルリと言葉が出て行った。
だって、元気に挨拶する獄寺君の可愛いこと!日々の疲れなんて一発で吹っ飛んじゃうよ、このまま攫ってしまいたいくらい。
……とにかく、あのおっかない人達が来る前に、獄寺君連れて帰らなきゃ!
あの二人に睨まれたら、俺なんかじゃ太刀打ちできないしね。(かっこ悪いけど)

「ごく、「獄寺」「隼人君」

で、出たーーーーー!!!!


「なんだ、お前ら。骸、来てたのか。」

忠犬モードoff。いつもどうりの冷めた視線で二人を一瞥。
っていうか、えぇ!?あんなに笑い声聞こえてたのに気付いてなかったの!?
お、恐ろしい子……!!

「黒耀から、わざわざ隼人君に会いに来たんですよ。」
「何言ってるの、僕に会いに来てたくせに。」


「そーだぜ。照れ隠しに、俺使うなっていつも言ってんだろ。」

「ばっ、雲雀恭弥!ち、違いますよ隼人君!」

何今の会話!雲雀さんとは思えない巧みなツンデレ!!(?)
そして疑わない獄寺君。何このカオス。

「本当、骸って雲雀のこと好きだよなー、」
「ね。僕が好きなのは獄寺なのにね。ごめんね。」
「っ貴様……!」

骸を蹴落としながら、さりげなく告白するなんて。
ツンデレ+策士……もう俺、勝てる気がしません……。


「あははっ」

そして獄寺君スルー!雲雀さんの告白スルー!?
何、笑って無かったことにしよう、みたいな雰囲気出してるの!

「ワォ、僕の告白を笑って流す気かい?」
「え?告白?誰に?」

「………」
「クハハハっ!ざまぁないですね!」

うわぁ、雲雀さん超怒ってるよ……(骸に。)怒りで身体震えちゃってるし。
でも骸は、人のこと笑えないくらい危機的状況なのを今すぐ思い出せ。獄寺君は、骸が雲雀さんのこと好きだって本当に思ってるぞ。


「もしかして、さっきの爆発音とかお前等の仕業か?」

あ、あぁやっぱり音には気付いてたんだ…、そうだよね。獄寺君、耳良いんだもんね。気付かないはずないよね。


「雲雀恭弥と、隼人君を賭けた勝負をしていましてね。」
「ふーん、」
「あれ、興味無さ気ですね。」
自分で聞いておきながら、全く聞いてない獄寺君。
こんなにアタックされてるのに、よく平気な顔してられるな。
これも普段の経験の賜物なのか!?確かにいつも女子に囲まれてるけど!
俺だったら、こんな顔だけ見たらカッコイイ二人(怖いけど)に言い寄られたら、性別とか通り越して、少しはトキメいちゃいそうなのに!

「獄寺は僕が頂くよ。」
「ふざけないで下さい。僕が頂きます。」
「雲雀を?」

「っ、ち・が・い・ま・す!!」

興味無さそうだったのに、そーゆう合いの手だけはしっかり入れるのか……
俺、骸に対して思い入れないけど、ちょっと不憫だ。

「ね、10代目どう思います?」

ってええぇ?!俺に振っちゃうの?!

「な、なにが…」
「俺らを巻き込まないで欲しいっすよね!」

何で他人事なんだ……
むしろ俺を巻き込まないでください……あああ二人がものすごい顔で睨んでる…


「そうだよ沢田、言ってやって(上手いこと言ってコイツを蹴落としな。)」
「クフフ、(下手なこと言ったら…分かってますよね?)」


…二人の口にしてない言葉が手に取るように分かるよ。
俺がどんなに上手く言ったって片方は完全に敵に回してしまうこの状況。
しかし下手をすれば二人とも敵に回してしまう。

(ど、ど〜したらいいんだよ〜!)

「言ってやってください10代目っ!」

獄寺君から飛び出した死刑宣告、
付け加えるわキラー☆ウインクと力強く立った親指。


(あああ、可愛い獄寺君!)


こんな可愛いところ見たら、そりゃ二人だってメロメロにもなるよ!


この間にも、骸と雲雀さんはお互いの足を踏みつけて牽制しあってる……2人のイライラが更に増しちゃってるよ…


と、とにかく、獄寺君の期待に応えなきゃ…!!
(冴え渡れ、俺の超直感!!!!)

「……………(閃いた。)今回はマフィアらしく、一番強い者が場を収める、っていうのでどうですか?」

「へぇ、」
「ほぉ、」
「流石ッス10代目!俺は賛成です!!」


「なかなか良い案出すじゃない。」
「えぇ、感心しましたよ沢田綱吉。」

え、あれ?2人とも納得してるし喜んでる!!
ありがとう超直感!!!

「これど堂々と(獄寺の前で、六道と沢田を)咬み殺せるね。」
「やっと(雲雀恭弥と沢田綱吉を)叩きのめすことができるのですね。」


……あれ?俺も含まれてる…?そんなつもりじゃ……(いや、獄寺君は欲しいんだけどさ。)
でもあの2人な勝てる気とか全くしないから、俺は除外…
「俺はせっかくなんで、10代目の勇士を見ておきますね!」

えぇぇぇ!!!獄寺君まで俺カウントしちゃってるの!?


「では、
「じゃ、
「「遠慮なく。」」


「ちょ、待ってください!は、話を…!!!!」


前言撤回!やっぱ、置いて帰ればよかった!!


巻き込み注意!
(あの3人楽しそうに戦ってるし、俺、帰ってもいーかな?)


end

more...!

love game(骸→♀獄→雲)

あいつと恋仲になれるなんて微塵も思ってないし、そんな高望みしたことない。

でも、アイツに特定の彼女が出来るまで、アタックするのは自由だし、それくらいの接触は許して欲しい。

そんな、不良の俺が恋した相手、
――――最低最強の風紀委員長。



love game




「で、何で断ったんですか?」
「うるさい。首突っ込むな。」

応接室の前まで来て、
スカートの丈をいつもより少し短めにし、今日も頑張ろっと気合いを入れると、中から聞こえてきたのは雲雀と骸の声。

(げっ、骸いんのかよ……)

骸自体は嫌いじゃないが、骸がいると雲雀の機嫌が悪くなってしまうから厄介だ。

それに骸は俺の気持ちを知ってるくせに邪魔ばかりしてくる。

現に今、雲雀は機嫌が悪そうだ。今日はあまり良い成果が出せそうもない。

(出直そう、かな)

機嫌が悪いときに行ったって、どうせ八つ当たりされて悲しいだけだし、
体制を立て直してからまた来よう、と扉の手前で踵を返すが、

「……隼人君、いるなら入ってこれば良いじゃないですか。」
ガチャリと扉を開けられて、中にすすめられる。

(ワザとだ……)

この野郎、俺が帰ろうとしたから、帰れねぇようにワザと扉まで開けやがった。
入らざる得ない状況。


どうせまた、俺がヘコむのを見て楽しむんだ。まぁいつも慰めてくれるのも、結局骸なんだけど。


「獄寺。君、また来たの。何の用?」


ううう、いつもに増して冷たい……別に普段は優しい訳じゃねーけど。
既に心が折れそうだ……


「よ、用がなきゃ来ちゃいけねーのかよ。」
「スカート短すぎ、咬み殺すよ。
そろそろ涼しくなってきたから、わざわざ此処に来なくても屋上でも良いじゃない。」

遠まわしに、出て行けと言われている。
(普通にヘコむ。)


別に優しくしてほしい訳ではないが、これはこれで心に刺さる。


「まぁまぁ良いじゃないですか。隼人君、今は雲雀君の恋愛話中なんですよ、そんなところに突っ立ってないで、こちらに座ったらどうですか?」

俺と雲雀のギスギスした空気を断ち切るように、やんわりと会話を切る。
今の俺には骸の存在がすげー有り難、

……今、コイツ何て言った?
「恋愛、話……?」


「えぇ、雲雀君がなかなか彼女が出来ないようなので、女性を紹介して差し上げたんですよ。」
「……君が勝手にしたんだろう。」
「………」

なに、それ
どーいうこと……
つか骸てめぇ…!余計なことしやがって!


「雲雀君が前に好みだと言っていた、黒髪サラサラロングヘアーで優しい目つきの、雲雀君より背の小さくて華奢で、大人しい女性を紹介して差し上げたんですよ。」
「……そんな話した覚えないけど。」


雲雀の、好みの女……?
そんなの、今まで聞いたことなかった。

(俺じゃ、全然ダメじゃねーか。)

雲雀の好みの女性というものに1ミリも掠ってない。

骸の野郎、俺をどれだけ馬鹿にすれば気が済むんだ。
俺、超かっこ悪いじゃん。……骸にかっこよく思われたって仕方ないから別に良いけどさ。


「……雲雀は、その女と、付き合うのか…?」

重要問題。好きな奴に彼女が出来るなんて、諦めるしかなくなっちまう。

「は?どうして。」
「どうしてって……」

言われたって、その女がお前の好みで、俺がお前を好きだからだろ。
コイツ何言ってんの?みたいな目で見られたって、そんなバカ正直に言えるくらいなら、とっくの昔に告白してる。


「そうですよ雲雀恭弥。せっかく好みな女性を紹介して差し上げたんですから、断らずに一度付き合ってみれば良いじゃないですか。」
「意味分からない。やだよ」

「え?断ったのか?」

好みなのに?何で?
俺は、ちょっと……いや、だいぶホッとしてるけど。


「……何、付き合った方が良かったの」

「え、別にそういう意味じゃ……」

あれ?つかなんで雲雀そんな怒ってるんだ?

「ひ、ひば」
「分かった。今からその女呼ぶから。」

は?
呼ぶ???

「な、んで」
「付き合うからでしょ。分かったら早く出てって、邪魔。」


付き合う…?
断ったのに?なんで、

「………少し、言い過ぎでは無いですか?」
「うるさい。君も出てって、二度と来るな。」

一回断ったのに、なんで付き合うなんて……

「俺、なんか悪いこと言ったか…?」
「別にキミには関係ない。」
「……っ!」

関係ないなんて、…そんなの自分が一番よくわかってる…!!
「………」
「で、どの女性にするんですか?何人か紹介したと想いますけど。」
「誰でもいい。」


だれでもいいって…

「……雲雀は、黒髪で華奢で、優しい奴なら、誰でも良いのかよ。」
「…少なくとも、キミよりは良いんじゃない?」


「っ、二度と来ねぇ!!」


悔しい。
俺が銀髪で目つきが悪くて、背だって雲雀と同じくらいで、女の子らしくないから、今まで相手にしてもらえてなかったのか。

結局雲雀も俺を外見だけで判断してたのかよ!











+++++++++++++



「………言い過ぎましたね。」「……うるさい」

「泣いてましたよ。追いかけなくて良いんですか?」
「っうるさい!」

「行かないなら、僕がいきます。」
「っ、」


「………行かないのですね。貴方にはガッカリです。」


あんなにも隼人君に愛されているのに、泣かせることしか出来ないなんて。


隼人君がこういう時、どこに行くかも知らないあの男に絶対渡したくなどない。


ヘコんだり、悲しくなったりしたとき、隼人君は屋上には決して行かない。
雲雀恭弥が来たときに、泣いてるところなんて見せたくないからだろう。

だからいつも、必ず体育館の屋上にいる。
雲雀恭弥がどれだけ探したって、絶対見つけられないだろう。


「はや、」
「ぅっ、く……ひ、ばりっ…」
どうして。あの男の名前を呼ぶ。


苛々する。
あんな男より、絶対僕の方が貴女を幸せにしてあげられるのに。

あんな、自分の気持ちにさえ気付けないような男なんて、さっさと捨ててしまえばいいのに。

「泣かないでください隼人君、」
「っ!む、く……」
「スカート、濡れてしまいますよ。」
「むくろ……」

あぁその口で、もっと僕の名前を呼んでください。他の男の名前なんて、口になんてしなくていい。


そうなるように、僕は自分で種を仕掛ける。いつか貴女が、僕に堕ちてくれるように。


「すみません。追ってきたのが貴女の王子様じゃなくて。」
「……何言ってんだ馬鹿。」

「ですが、雲雀君に見つけて欲しいのなら、此処じゃなくて屋上に行かないと。」

見つけさせる気がない隼人君には余計な一言だったでしょうが、紳士を気取るためにはこれくらいの演技は打たなければならない。

「……ちがうんだ。」
「…?」

「屋上にいたら、雲雀が来ようと思わない限り会えないだろ?」
「えぇ、……?」

まぁ、そうでしょうけど、きっと今頃あの男は屋上に向かっていますよ?

「でも、ここなら……




雲雀からは見えなくても、俺からは見えるんだ。」


そう言って見つめる先には、先程までいた応接室。



(嗚呼、忌々しい。)


結局、口でなんと言ったって、
隼人君は諦める気なんてさらさらないし、
雲雀恭弥は隼人君が好きなのだ。


自分、然り。



あの男が、自分の気持ちに気付くのが先か、
彼女が、僕に堕ちるのが先か、

(負けるつもりは、ありませんけどね)



end


下剋上

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