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桜のキセキ、永久に共に2

 

 

 

突然乱暴に開けられた箱蓋に怖気好いたのか、小さい身体を更に丸めた少女に、

いつもの胡散臭い笑みを貼り付けた骸がそっと抱き上げ、箱から出してやる。

 

「かわいいお嬢さん、怖がる必要はありません。何故このようなところにいらっしゃるのですか?」

 

少女の目線に合わせるように膝をつき、怖がらせないよう手を取るその構図は、やはりサマになっている。さすが、顔だけが取り得なだけあるな。と関心半分、呆れ半分で眺めていると、

幼い少女は、じっと骸の目をみつめ数秒凝視したあと、ふるふると頭を横に振った。

 

「……?」

「分からないって意味ですかね?」

「それにしては間がありすぎだろ。」

 

イタリア語じゃダメなんでしょうかね。と呟き、再度日本語でも挑戦したようだが、彼女は骸の顔を見たまま、口を開く様子が無く、諦めたように立ち上がる。

いつの間にか、少女の縄は解いたようだ。

 

「幼く美しい少女をこのような箱に閉じ込めるという、この行為からは悪意しか感じられないのですが、どう思います?」

「全く持って同感だぜ。嫌な予感が的中したな。」

 

箱を開けてよかった。どういうつもりか知らないが、客間にこんな状態の少女を監禁するようなマフィアと同盟なんて組めたものじゃない。

 

それに箱の中に入っていた紙。……漢字なんて久々に見た。

 

『種類:食用 性別:女 評価:最高値 出展先:親 取引値:金参捨萬圓 』

 

「―――なんて書いてあるんです。」

「…最低だ」

 

イタリアでは読み取られないようにする為か、もしくはこの子供に分からないようにする為か。それとも……日本にも支部があり漢字が読めるボンゴレ幹部にだけ、分かるようにするためか。

 

「この部屋の血の匂いも、そういうことなんでしょうか。」

「そこまでは分からねぇが、可能性は高そうだな。」

「まぁどちらにせよ、本日の会合は中止ですね。……物騒な気配もしますねぇ。」

「…ちょっと人数が多いな。」

 

いくら雑魚と言えど相手はマフィア。足音程立てないが、こちらへ向かってくる気配までは消しきれていない。ざっと30〜50人程だろう。

 

「おいおい、こんなところで奇襲かけられたら蜂の巣だぜ。」

「ご冗談を。貴方程の実力があれば、掠り傷一つ付かず殲滅できるでしょう。……この娘がいなければの話ですがね。」

 

いっそのこと、見殺しにするなんてどうでしょう?なんて、10代目が聞いたら冗談だろうとその場でブッ飛ばされそうなことを、どうせ日本語なら分かるまいと、堂々と言ってのける骸に厳しい視線を送りつつ、少女に目を落とせば、

急に緊迫した俺達の空気を感じ取ったのだろう、扉の方を見つめながら、両手を強く握り締めている。

おそらく無意識なんだろうが、緊張している証拠だ。

それに骸の発言にも、驚いた表情を見せないということは、やはり日本語は分からないらしい。

 

強く手を握ったまま、唇を噛み始めた少女の表情に、「あぁ、怖いんだろうな」と感じる。

辛くても唇を噛んで耐えた自分の少年時代と重ねてしまい、どうにも見ていて心が重い。

 

「もう少し歳を重ねた女性であれば、抱きしめて口を塞いで、微笑んでやれば信用するんでしょうけどね。」

「黙ってろ。」

 

この似非紳士、人がシリアスにモノを考えているというのに、本当に使えないな。と怒りを新たにしつつ、骸の応援は頼りに出来ない。と自分で少女を安心させてやる術を考えるが、如何せんこういった状況の対応など己のマニュアル本には記載されていない。困った。

 

どうしてやったらいいのか分からないが、

きっとこの少女に「大丈夫だ」と言ったところで安心なんてできないだろうし、第一、どこの国の言葉で話したら通じるのかすら分からない。

ストリート時代の自分を思い起こしてみても、やはり大人の上辺だけの台詞なんて信じないだろう。

こんなことになるなら、アホ牛が小さかった頃、もう少し研究しておけば良かったなんて、場違いなことをボンヤリ考えながら、不安げに見上げる少女の頭に掌を乗せた。

 

このまま撫でてやれればいいのかもしれないが、あいにく子どもの扱い方などしらない俺には、力加減が全く分からない。

 

それでも、少しだけでも少女の不安がなくなればいいと、微笑んでは見たものの、きっとこの状況では精々口元が笑っただけで、目は据わっていただろう。

 

あー、俺なにやってんだ。天下のボンゴレ10代目右腕ともあろうこの俺が、こんな小さいガキのご機嫌に四苦八苦する羽目になるとは……。

 

俺の、この奇怪な行動とギコチナイ表情に、骸の肩が震えだしたと同時に、

先ほどまで強く握っていた片腕を持ち上げて、綺麗な青い瞳で俺の目を凝視しながら、小さなその手が、遠慮がちに俺のスラックスの裾を握り締めた。

 

 

 

*********
長いこと放置してしまった。

とりあえず、骸さんって子供嫌いそうなイメージある。
続きます。

 

 

桜のキセキ、永久に共に





人差し指と中指の二本を、小さくて暖かいモノに包まれる感触に視線を落とすと、

花びらのように可憐なその手の持ち主の、綺麗な瞳と視線が絡む。



(嗚呼、愛しい。)



俺には、一生掛かっても手に入らないと思っていた宝物とこの感情。

小さな彼女にふわりと微笑まれて、つられるように頬が緩むのが分かる。



俺の腰よりも低い身長の彼女は、誰が見ても明らかなほど、俺の容姿とは似ても似つかない。
当然自分が産んだわけでも、血の繋がりがあるわけでもないが、
だとしても、自分の大切な娘であることにはかわりがない。

「Ti voglio bene.」

こんな言葉を使う日がくるなんて、考えた日もなかった。

そんなふうに思いをはせる俺に、それでも

"大好き。"

と全身で伝えてくれる、彼女の表情と仕草に癒される。

今までの自分では考えもつかないほど、いろいろな感情を彼女には教えてもらった。



たとえば、今ここがボンゴレのアジトであり、部下達に俺のこの緩みきった姿を見られていると分かっていても、

ボンゴレの右腕としての、威厳を保った表情を維持できなくても構わないと思えているこの状況ですら、彼女から与えられた幸せの一つであると考れるようになったところもだ。



手を繋ぐために書類を見ながら歩くことがなくなったのも、一日3食必ず食べるようになったのも、身体が傷つくような無茶をしなくなったのだって、

10代目に何度言われても取り繕うことしかできず、直らなかった悪い癖がなくなったのも、全て彼女のおかげだ。



「―――今夜は雲雀も一緒に食べるって言ってたから、ハルに可愛い服着せてもらおうな。」



その一言で、花が咲いたように笑顔になる、彼女の綺麗なハニーブロンドの頭を撫で、

口煩いくせにやたらと手先の器用なアホ女の部屋に向かう。





そんな、今や10代目に匹敵するほど大切だと思っている彼女と出逢ったのは、ほんの3ヶ月前のことだ―――。





桜のキセキ、永久に共に





事件はとあるマフィアのアジトを訪問したときに突如起こった。

もともと悪い噂のあるファミリーではなかったので、今回の訪問で同盟を結べれば安泰だ。と、交渉ごとの得意な骸を連れ、相手アジトの応接間に通された。



「ボスが来るまで少々お待ちください。」



この組織のNo.2がいつものように仰々しく頭を下げ、部屋を出て行く。

何度も訪れたことのある部屋。ソファーの位置も、おいてある高級な家具も、アンティーク調の小物達も、出されたティーカップもいつもと同じ。

出されたお茶菓子でさえも、俺たちの好む、いつもの日本の店のものだった。封が開いていれば、安全のため手をつけない俺達を考慮して、開封していないことが分かるよう箱のまま。



「―――骸、」

「えぇ。」



でも、違う。

それは骸も気付いていたようで、お茶にも菓子にも手をつけず、注意深く気配を読み取る。お互いソファーにさえ座らなかった。



敵意を感じるわけではない。

ただ、微かだが、血の匂いがする。



ここのボスは抗争は好まなかった筈だ。血を流すような何かがあったのか?

だが、この部屋で血が流れるような争いがあったとするならば、家具が無傷なのはおかしい。



それに、この部屋、

「―――何か、いますね。」

「…あの箱だな。」



生のあるナニか。
気配がする、この大きくはない宝箱のような物の中から。

ここのボスは、こんな不気味なものを応接間に置いておくような男だっただろうか。



「敵意はなさそうですね…まぁ、この箱に閉じ込められているくらいですからねぇ。中、確認します?」



人か、人でないのか。敵か、敵でないのか。

今から同盟を組もうとしているマフィアの所有物をを勝手に見るのは気が引ける。

それに、そのことが原因で破談にでもなったら、10代目になんて説明したらいいか……、



けれど、

「開けてくれ。お前手癖悪ぃから得意だろ、ピッキング。」

「こんな南京錠開けるのは大したことありませんが、一言余分です。」



俺のカンが、箱を開けろと言っている気がした。




俺に確認すると同時に開錠し終えた骸を横目に、

万が一の為懐の銃に手を掛けて、足で箱の蓋を蹴り上げた。



「………マジかよ」



派手な音を立てて開いた箱の中身、
それは、綺麗なブロンドと、真夏の青空のような瞳を持った、両手足を縛られた状態の幼女と、

1枚の紙切れだった。





―――それが、彼女と俺の、最初の出会いだ。






*********

たんなる序章ですね^^;
長くなりそうですががんばります。
続きます。

敵か悪魔か恋人か

身体が心地よく沈むベットで、うとうとと惰眠を貪ろうかと、まだ働かない頭でぼんやり考えていたが、耳元で鳴る金属音ではっきりと目が覚めた。
人工的なその音に、明らかなる敵意を感じて目を開くことをやめた。敵が傍にいるのであれば、寝たふりをしている間に状況を把握するのが有効な手立てだからである。



眠っていた身体の感覚を取り戻すように、そっと手に神経を張り巡らせると、明らかに何かが手首に取り付けられている。どうやら足にも。
先程の金属音から予想して、恐らく手錠の類だろうと検討をつけ、音がならないよう、そっと手の筋を動かす。
……当てたくはなかったが、どうやら手錠で正解なようだ。



それにしても、昨晩はしっかり戸締りはしていたハズ。どこのどいつか知らないが、夜な夜な勝手に部屋に入って、この俺に手錠を4箇所も掛けるなんて余程の手練だ。油断はできない。



もしかしたら複数犯の可能性もある。
目を開けるのは危険なので、閉じたまま気配で探る。明らかな殺気はない、今のところは。
人の気配は……よく探さないと分からないくらい薄いものだが、すぐ傍……寝室に一人いる。他はいないだろう。


殺気はないが両手足を封じるくらいだ、何か俺に恨みでもある奴の仕業だろう。ただ、恨みを買うようなことは日常茶飯事だ。心当たりがありすぎるが、気配から察するに恐らく男。
まー、女に両手足縛られるなんて、普通じゃありえないしな。



だが、誰だ?
薄い気配に、敵だと決め付けていたが。この気配、俺は知っている。
知っているなんてもんじゃない。正直、コイツじゃないかっていう目星はついているが……ま、まさかな。
いくらアイツでも、夜這いかけて両手足拘束するなんて変態的なこと……あってほしくない。しかも今日(昨日か)は別に喧嘩もしてねぇし。
ただ、アイツの気配に似てるっつーか。……いや、そのものっつーか。うーん、やっぱり間違いないような。




「いつまで待たせるの。いい加減、僕だって分かれよ。」



バチーンと容赦なく額を叩かれて目を開けば、真っ黒なVネックシャツに、黒のジーンズを履いた、雲雀が案の定ベット脇に立っていた。



「……お前、どうやって入った。」
「合鍵。キミがくれたんでしょ。」
「そうだった。いつ来た?」
「結構前だよ。1時は回ってた。」
「……今、何時だ」
「4時。」
「3時間も経ってんじゃねーか。」
「うん。キミよく起きなかったよね、それでもマフィア?」
「お前が気配消すの上手すぎんだよ!」



なんでコイツに合鍵渡しちまったんだ俺のバカ!っていうか、合鍵渡すくらい信用してるっていう俺の気持ちを踏みにじるような使い方すんなよな!


ただ、気配の件といい、流石リボーンさんが見込んでいるだけのことはある。普段からの身のこなしを見ても、コイツほど裏家業に適している人間は、世界中を探しても希少だろう。そこは、評価しよう。そこだけ!



「つーか今まで何してたんだ。」
「本読んだりしてた。……っていうかキミ、その他のことに疑問はないの?」


馬鹿なの?あぁ、ただの天然か。って呆れた顔してんじゃねぇ。
聞きたいことはある。ただ現実逃避してんだよ。怖くて聞けねぇの。お前、凶暴っつーか狂悪だから。



「聞いてよ。話が進まない。」
「……じゃぁ聞くけど、何怒ってんだよ。」
「…ワォ、そっちを先に聞かれるとは思ってなかったよ。」
「拘束されてる理由は、『怒ってるから』って答えるだろ?」
「ん、キミにしてはなかなか頭が冴えてるじゃないか。まぁ、いいや。教えてあげる。」



満足気に笑ったが、目が据わってやがる。怖ぇぇ。


「ぐふっ!」
「今日の授業後にね、」
「ってめぇ、何の断りもなく勢いつけて腹の上に乗るんじゃねえよ!」
「うるさい。」
「ごほっ、」
「だいたい7時過ぎくらいだったかな、部活動の連中が帰った後、校内の見回りをしたんだ。」
「加えて殴るんじゃねぇ……それで?」
「なんとなくだけど、キミのゲタ箱が気になって開けてみたんだ。そしたら、コレ……」



おいおいおい、コイツ勝手に人の靴箱漁んのかよ…!随分と変態じゃねぇか。


そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、雲雀が後ろポケットから取り出したのは、白い封筒。



「なんだと思う?」
「…手紙。」
「そうだね、しかもどうやら恋文だ。」



ベタなことにハートマークのシールで止めてある。つーか恋文って…せめてラブレターって言えよ。江戸時代の人じゃあるまいし。江戸がどんなだか知らないけど。



「俺宛の?」
「そう、不愉快なことにキミ宛だ。」
「……しょーがねぇだろ。俺らがそういう関係なの、学校ではバレないようにしてるし。」



俺も雲雀も不本意ながら、よく呼び出されたりもする。
そういうのは面倒だが、10代目に迷惑をかけないためにも、雲雀に頼み込んで学校では内緒にしてもらっている。



「そういう関係って?」
「はぁ!?言わなくても分かるだろ!」
「分かるけど、言って。」
「〜〜〜っ!恋人だよ!コ・イ・ビ・ト!」
「うん。そうだね。」



わざわざ確認するように、どうして言わせるかなコイツは!―――――っまぁ、普段は素直に言えない俺にも非はあるから、しょーがねぇけど。


「っつーか、それ俺のせいじゃなくね?」
「そうだね。八つ当たりだ。」
「いやそれ、八つ当たりっつーか……」



嫉妬だろ。と思ったけど、言うのはやめた。
こうやって独占欲剥き出しな雲雀のこと、嫌いじゃねーし。ただ、拘束はどうかと思うが。



「何処の馬の骨だか知らないけど、やっぱりキミのことを僕と同じ目で見てるヤツがいると思うと、腹立たしいね。」
「そりゃ、俺だってそうだ。」
「そう。ならいい。」
「………」
「………」
「……いいなら外してくんねぇ?」
「それとこれとは話が別だ。」
「は?…まだなんかあるのか?」
「無い。ただ、せっかくのこの美味しい状況を逃すのが惜しいだけ。」
「とても最低な理由ですね雲雀先輩。」
「どうも、後輩。」



ニヤリと笑んだ雲雀の目は、先ほどとは違って、口元と一緒に笑っていた。
現金なヤツめ。



ただ、このままヤるとなると、ちょっと体勢が辛いだろうから、足だけでも外してくんねぇかなぁ。どうせ俺、そんなに抵抗するつもりないし。



「――――ってお前、何してんの?」
「見て分かるだろ?」
「…読むの?手紙。」
「うん、読み上げてあげる。」
「――――っ、やめろバカ!相手の女が可哀相だろ!」



なんてデリカシーのないやつ!!
確かに気の無い相手からもらっても、どうしようもないっていうのは分かってるけど、俺は誠意を持って毎回読んでるぞ!返事はほとんどしてねーけど!
こいつ絶対、自分がもらったのは読まずに捨てるタイプだ!!




あ、くそっ!止めようにも両手足動かせねぇから、止めらんねぇ!
しかも唯一(意味は無いけど)動かせる場所だった腰も、コイツに腹の上乗られてるから動けねぇ。細いくせに、ほとんど筋肉だから重いんだよコイツ!



「獄寺隼人様へ、」
「あ〜〜、もう……」



どうせ、何言っても聞きゃしないか。



「ずっと貴方を見ていました。初めに貴方を綺麗だと思ったのは、銀色の髪が夕日に染まって、金色に輝いているように見えた時でした。
喧嘩して切れた唇や頬を、手当てしたいと目で追う様になってから、貴方以外見えなくなりました。好きなんです。本当に貴方が好きなんです。
無邪気に笑う笑顔も、窓の外を眺める横顔も、体育ではしゃぎ時折裾から覗く腹筋も、雨に濡れてシャツから透ける乳首も、愛しくてし仕方がありません。」




うわ、自分で読むのと他人に読み上げてもらうのとじゃ、全然恥ずかしさが違う。
なんだか、雲雀に言われてるみたいでちょっと嬉し………ん?
なんか途中からおかしくなかったか?
乳首?乳首っつった?
俺の聞き間違いか?もしくは雲雀の頭の中か…いや、それはねぇか。コイツ俺の乳首にそんな執着ねぇし。多分。



つーかどうしたんだ、雲雀のやつ続き読まねぇし。
……っていうか雲雀の眉間が凄いことになってんだけど。



「おい、続きは?」
「…読みたくない。」
「は?気になるだろ。」
「………。―――――そして愛しい貴方を見つめていて、気付いてしまいました。できれば知りたくありませんでしたが、貴方と雲雀恭弥に肉体関係があるだなんてこと。
このことは秘密にしていますよね?バラされたくなければ、僕とも肉体関係を結んでください。明日の授業後、体育倉庫で待っています。
……―――――恋文か脅迫状か、半々ってところだね。」
「結論だけ見れば脅迫文だな。」



「………」
「………」
「……相手、男だね。」
「言うなよ。考えないようにしてたのに。」



最悪だ。ただの果たし状や脅迫文の方がどれだけいいか。しかもこういう稀少な部類に入る手紙を、どうして読んじまうかな。コイツ。

ちくしょう、この差出人、一生恨むぜ。このホモ野郎って直接罵ってやりたいけど、悲しいことに俺も同類だ。



「ちなみに、キミの精神状態を考えて、省略して読んであげたけど、もっとエグイこと書いてあるよ。」
「……例えば?」
「そうだねぇ、例えば『嫌がるキミに顔射したい』とか『腫上るほど揉みしだきたい』とか」
「変態じゃねぇか」
「うん。とりあえず明日は学校には行かせられないね。一日動けなくなるように酷くシてあげるね。」



いや、それとこれとは話が別だろう!!
ただヤりたいだけじゃねぇの!?しかも、手紙読み返してやがる……まさかそこに書いてあること全部ヤるんじゃねーだろうな…。



「全く、この僕に嫉妬させるなんて、つくづくキミも罪作りだ。」



それ嫉妬じゃねーし!ただマジで手紙の主に腹立ててるだけだし!
つかそもそも俺、何もしてねえだろうが!!



「キミって男からもこういう手紙もらったりするの?」
「ふざけんな!滅多にねえよ!」
「ふーん、あるんだ。」



って服脱がすな!お前も脱ぐな!!
てか今、ボソっと「ビンは可哀相だからやめてあげよう。」って、マジかよテメェこの野郎!!





End





あとがき

50000ヒット記念でaiko様に頂いたリクエストで『委員長の嫉妬話』でした。
遅くなって大変申し訳ございません!!!

もう弁解の余地もないほどの大遅刻です。
aiko様がまだ雲獄スキー様でいらっしゃることを願って捧げます!


夕菜

(続)常識って、知ってる?

 

シャワーのノズルを捻る音がして、ガチャリと風呂場の扉が開く音が続く。
長風呂の姉は、半分以上逆上せた状態で風呂からあがってくるので、それを見越した弟がレモン水を作って渡してやるのがこの家の日課だ。

先ほど姉から受けた無礼を腹に落として、いつもと変わらぬ態度で自らレモン水を作る。どちらが年上か分かったものではない。

「きょーやぁ、あついー…」

舌足らずな言葉と、ぺたぺたと湿っている足音を立てて近付いてきた姉に、レモン水を渡しながら振り返る。
「全く、いい大人なんだから逆上せるまで風呂に浸かるの、いい加減やめなよ。」と出かけた言葉が、喉で止まる。
目の前まで迫ってきていた姉は、真っ赤な顔をして髪は濡れたまま。そして、下はパジャマを履いているものの、上はキャミソール一枚という格好をしていた。

「―――どうして上、それしか着てないの?」
僕、ちゃんと持って行ったよね?と確認しつつも、姉の腕にぶらさがっている布は、紛れもなく今履いているズボンと一対の上着。そして、その手が握っているのは弟が選んでいったブラだ。

「暑くて、着てらんねーよ。
あ、さんきゅ」

固まってしまった弟の手からレモン水を受け取り、勢いよく飲み干す。
姉よりも目線の少し低い弟は、少し視線を下げるだけで、姉の谷間が至近距離で覗けてしまう。
飲み切れなかった水滴が、顎を伝い、真っ白な胸の谷間に滑り落ちていくのを見て、ゴクリと弟の喉が鳴った。形の良い乳首がキャミソールを押し上げているのも同時に見てしまい、慌てて目を逸らす。

「……知ってると思うけど、僕、男だよ。分かってるよね?」
治めた熱がぶり返さないように、一言一言確かめるように姉に告げる。

「ちゃんと知ってるけど?」
想像していた答えと全く同じモノが返ってきたことに、少なからず弟は肩を落とした。

――――全然分かってない。
「下着。」
「はぁ?…ぁー、下着は寝るときは付けねぇんだよ。」
「まだ、寝ないでしょ。」
ピシャリ、と強めに吐き捨てる。

「あーハイハイ、分かったよったく。」
お前は姉を女として意識しすぎなんだよ。と、下から睨んだ弟を訝しげに見て、リビングに戻っていく。


思いきり大きな溜息を吐いて、
(このまま一緒にいたら怒りで手を出してしまいそうだ。)
とにかく頭を冷やそうと、自室に戻ろうとする弟に、「きょうやー、きょうやー」と姉からの呼び出しがかかる。

今度はなんだ、もういい加減に解放してくれ。と若干苛つきながらも呼ばれるがまま、ソファーに近付く。

ぼすぼすと遠慮なく自分の隣のソファーを叩く姉の、座れという合図に仕方なく腰を下ろせば、
「恭弥がつけてくれよ」
ぽいっと投げ出されたのは、見覚えのある下着。

あまりにも無頓着なその行動に、投げ出された下着を取った弟の手が怒りで震える。
「……姉さんさっき、分かったって言わなかった?」
「?何言ってんだ。ほい、頼むな。」

あっさりと言ってのけると、なんの躊躇いもなく、するりとなで肩からキャミソールの紐を落とした。
姉の傷ひとつない綺麗な背中が露わになる。あまりにも白くて細いその背中に、抑えていた弟の理性はブツリと切れた。

「―――全然分かってないよ、隼人」
普段と違う声色と同時に、掴まれた肩の力強さに驚いて、弟を振り返った姉が見たのは、座っていたのでは見える筈がない天井と、雄の顔をした弟。そして片隅に投げられた下着だった。

「お、おい恭弥。何して…」
「分からないの?押し倒してるんだよ。」
リビングのソファーで。キミは上半身裸で。腰にキャミソールを巻きつけたまま。――分からないならもっと説明しようか?と馬鹿にしたような言葉を、真顔で吐き出す弟。
普段口数が極端に少ない弟が流暢に繋げた言葉と意味に、姉が感じたのは今までにない恐怖。

「襲われたって、文句言えないだろ?」

ニヤリと片頬だけあげて笑う弟の表情に、背筋が凍りついた。これが冗談じゃないということぐらい、姉にもすぐ分かった。

「恭弥、やめてくれ……。」
「どうして?散々煽っといて?」

ニヤリと笑ったまま、恐怖で引き攣る姉の肩を強く抑えたまま、
空いた片手で、寝転がってなくなってしまった胸の谷間だった部分を人差し指でなぞる。

「っ、俺たち姉弟じゃねーか!」
慌てた姉が、弟の腕を咄嗟に掴み、叫ぶ。
そんな姉を気にした様子もなく、首元に唇を寄せると自分と同じ石鹸の匂いがするそこに舌を這わすと華奢な肩がビクリ震えた。

「やっ、きょうやっ!」
「―――でも血は繋がってないよ。」
尚、身を捩る姉の耳元で直接囁けば、うまく息を吸えなかった姉の喉が、ヒュッと鳴った。
怯えているのだろうか、それとも期待しているのであろうか。後者だといいなと考えながら、片手では掴みきれない胸を、無遠慮に鷲掴む。

「ぁっ、ほんとにっ、恭弥っ…!」
覆いかぶさる自分を押し返そうとする姉の手が、小刻みに震えている。
首元に伏せていた顔を上げれば、涙目で見つめてくる姉と、目が合った。

「……きょ、うや」
「っ、僕はずっと好きだったんだ。どうして分かってくれないの…!」
不安気に見つめられるその瞳に耐えられなくなり、吐き捨てるように言葉を出した。
カッコ悪い、気持ちを伝えるつもりなんてなかったのに。

頭を抱えたくなるような状況に、一旦、姉から身を離す。
「………お前、モテるじゃねーか。よりによって、なんで俺なんだよ。」
「他の女なんて、今は関係ないだろ。」
身は退いてくれたものの、まだ機嫌が悪い弟の声色に警戒しつつ、姉も自分の身を守るように、ソファーの端まで這い上がる。

恭弥の沸点が分からない今、一体自分のどの言葉が引き金となって、また先程と同じ状況になってしまうか分からないので、慎重に言葉を選ばなくてはいけない。そして行動も。
不安定な恭弥を宥めてやりたいのは山々だが、ここは姉として、恭弥を拒絶しなければならない。今後の人生のためにも、今、間違った道を歩ませることはできないのだ。
今、恭弥の道を正せるのは肉親である姉の自分だけだ。きっとこれは思春期の気の迷い。いつか大人になったときに後悔しないように、しっかり諭さなければ。たとえ、この状況を自分が作ってしまったとしても。

「……悪かった。そうとは知らず、散々煽るようなことして。今回のことは全部俺が悪い。」
俯いた弟は、顔を上げない。
「お前の気持ちは分かった。でも受け入れられねぇ。」
「……僕が弟だから?」
「そうだ。」

強く言い放った姉は、顔を沈めたままの弟の顔色を伺う。
物分りは良いが、一度言い出したら聞かない弟にしては、やけに単調過ぎる返答に、本当に分かってくれたのか疑問になり、覗き込めば、
ギラリと光る目がコチラを向いた。
「そんな理由じゃ納得できないな。」
「恭弥?」

「腹立だしいな。そこに隼人の気持ちは一切入ってないじゃないか。」
「―――っ、」
「綺麗事並べれば身を引くとでも?僕の事『嫌い』くらい言いなよ。」

どうやら、逆鱗に触れてしまったらしい。でもそんなこと、言えるハズない。『嫌い』だなんて。
確かに恭弥を性的対象として見たことなんて今まで一度もなかったが、家族の中でも一番愛していて、誰よりも可愛がってきた世界で一人しかいない大事な自分の弟だ。
――――たとえ、血は繋がってなかったとしても。

「ほら、」
「恭弥っ、ダメだ本当に…!!」
「……ふーん、言えないんだ。 なら、精々嫌がりな。」
キレた瞳の恭弥と目が合った瞬間、足首を掴まれ、元居た位置まで引き摺り下ろされた。
「ちょっ、…!!」

ソファーの背を掴み抵抗する姉を意図も簡単に引き寄せた弟は、もともと用を成さずに腰あたりでぐちゃぐちゃになっていたキャミソールと共に、下半身に身に着けた衣類を一気に取り去った。
「あ、……ぇ、うそだろ…?」

バタつこうとする足を構うことなく肩に担ぎ上げて、姉の秘部を露わにする。抵抗する間ができないほど素早く、弟は自分の前を寛げて、逸物をソコへ宛がった。
宛がわれたもモノへの熱さに、姉の体がビクリと揺れた。当然、期待ではなく恐怖で。

「やめっ、ぃっ、アァーーー!」
「っ、キツ…」

姉の反応も無視し、慣らしも前戯もせず無理矢理差し込まれたソコは当然のように濡れておらず、弟自身、あまりの締め付けに動けない。

「ぅ、ぁっ、んぅっ」
「っ隼人、息吐いて」
「ぅぐっ…!」
痛みに歯を食い縛って耐える姉の口に、自分の指を突っ込み、無理矢理呼吸をさせる。

「ぅっ、ぅぅっ…!」

無理に入れられた指を噛む強さは相当なもので、姉の苦しさが直接弟にも伝わる。
しかし、そんな姉の辛さも、呼吸を整えさせられ身体から多少なりとも力が抜けると、自然に下を締め付ける力も弱まってくる。
女の身体とは便利なもので、例え自分の意に反して犯されていたとしても、秘部は己を守るため、勝手に濡れてきてしまう。

「ぁ、ぅっ、」

喘ぐように呼吸をする姉が落ち着くまでは動くまいと、じっと顔色を伺っていると、脂汗を掻いてぎゅっと閉じていた目が、そろりと開けられる。

「隼人?」
大丈夫?という意味を込めて見つめると、視点の合わない目が彷徨い、弟の顔を見つけ、ピタリと止まる。

「きょー、や」
目に溜めた涙が目尻から流れ落ち、ボヤけた視界がクリアになったのか、しっかりと弟の目を見据えて安堵したように弟の名前を吐き出した。

ほっ、と姉から息が吐き出されたのを確認して、
「…大丈夫そうだね。」
心配そうな弟の瞳は消えた。

揺るりと腰を動かせば、
敏感にもそれを感じ取った細い体が、飛び跳ねた。
「ぇ、あ、やだっ、うごくな……!」
「へぇ、『抜いて』じゃなくて?」

「っ!!あっ、きょうやっ!」

講義をあげる姉を無視して、ゆっくりと長いストロークで引き抜き、もう一度奥まで入り込む。
「んっ、んんぅっ!」
咄嗟に自分の口に手を当てて声を噛み殺したが、
慎重に動く逸物の感覚が良く伝わり、声の代わりに姉の内股がビクビクと震える。

「はぁっ、こんな感じなんだ隼人のナカって。凄いね、絡み付いてくるよ。」
「んんっ、ふぅ、ゃっ、やだ、きょーやっ!」
「出て行かないでって言ってるみたい。」

腰を引く度に締め付けてくる内側に、クスクスと笑いながら比喩すれば、
いやいや、と力なく頭を横に振る。

「じゃぁ、これはどう?」
「〜〜〜〜〜っっ!!」
最奥を抉るようにグラインドさせれば、白い喉を仰け反らせて、声もなく喘いだ。


「っぁ、ぁぁ、ん、んっ」
そのままグリグリと奥を突付くと、見開いた碧の瞳から涙を零しながら、押さえきれなかった声も手の隙間から漏れる。
「ん、んぅっ、」

……この行為自体に慣れているのか。それとも相手が僕だと理解して感じているのか。
隼人の心理は全く見えないが、動く度に漏れる吐息と秘部から鳴る水音は、嫌がっているようには到底思えない。

手で押さえ、歯を噛み締めて声を出すのを耐えるのに、
蕩けそうに感じ入っている身体と、無意識に気持ち良いと訴えるその表情が気に食わない。
「……声出しなよ。」

指を口に差込み、出来た隙間から唾液を流し込むように舌を侵入させると、固く閉じられていた姉の目が驚いたように開いた。
「んむぅっ、ん、」
舌くらい噛まれるかな。と思いながら、見開いた目を見つめたまま、口の中を蹂躙すると、それに応えるように姉の舌が絡みついてくる。
「んんぅっ、はぁっ、ぁんんっ」

呼吸の合間に吐息と共に漏れる喘ぎに、気を良くして舌を引けば、追うように姉の舌が今度は弟の口内に入ってきた。
驚いて表情を伺えば、寄せられていた眉間の皺が綺麗に消え身体だけでなく、表情も蕩けそうに紅潮している。
「んんっ、」
「はぁっ、」
歯列をなぞり、一頻隼人の口内を蹂躙した後、見せ付けるように唾液の糸を引かせたまま、飲みきれず姉の口端から流れている唾液を指で拭う。

「なに、キスはしていいの?」
「はぁ、っん」
「ねぇ、」
「んっ、アァッ!」

聞いておきながら、答えさせる気は全くないと言わんばかりに、無遠慮に腰を使い始めた。

「ぁっ、あぁっ、」
「はっ、予想、してたより、っ動き辛いね…!」
ガツガツ無遠慮に腰を押し付けてくるが、この体勢では難しいと踏んだのか、なんの断りもなく、自身を引き抜いた。

「んあっ、はっ、はぁ……ぁ、なに…?」
終わったの?と、引き抜かれる感覚に、背を振るわせた隼人を引き起こし、反転させる。

「え、なっ、んアァーーっ!」
腰だけをあげさせた状態で最奥まで一気に押し入る。
前からをは違う角度で入った為、姉のイイところに当たるのか、より一層締め付けが強くなった。

「くっ、……っ、隼人は、後ろからされるほうがっ、好きなの?」
「あっ、あぁんっ、んぁぁっ」

「ねぇ、それともっ、僕の姿が、っ見えないから、…はぁっ、他の誰かでも想像してるのかな?」
「やっ、ちがっ、んぅ、ぁぁぁっ、あぁっ、」

浅いところで抜き差ししながら、問いかければ、息も絶え絶えに姉からの小さな答えが返ってくる。
「あっ、あぁっ、んっ、あぁっ!」

余程気持ちが良いのだろう、ソファーに縋る手は色を無くす程強く握られ、愛液でべたべたに濡れている。

「あっ、あぁぁっ!やっ、ああんっ、」
「そんなに気持ちいい?」
「あっ、んぅ、あぁぁ、」

答えて、と言わんばかりに指先で姉の唇をなぞる。
「ぁ、んぅ、んんんぁっ、ぅんっ、」
突如指が、温かいものに包まれたかと思うと、ぴちゃぴちゃとイヤラシイ音を立てながら、唾液を絡ませてしゃぶり出した。

「んんっ、ぁ、ふぅっ、んんっ」
拒んでいた癖に、どうしてこう男を煽るようなことを平気でするんだ。
と、窓ガラスに映る姉を確認すると、愛しいモノでも愛でているような表情で指を舐めている。

どっちなんだ。僕でいいのか、それとも、男だったらなんでもいいのか。
「はっ、んんぅっん、……きょーや、」

姉の行動に驚いて動きを止めてしまった弟を咎めるように、吐き出された名前と同時に、
ガラスに映った姉と、目が合った。

「あっ、……」
驚きで目を見開いた姉と、出された「しまった。」という気持ちを明らかに含んだ母音。

……なるほど。僕に、自分の表情が見えてないと思っていたのか。
「そういうこと。」
「あっ、いや…違う!」

「何が?……第一、違わないでしょ。」
「っ、……」

「ちゃんと、僕だって分かっててそーいうことしてたんだ。」
「ち、がうって…!」

「いい子だ。」
ご褒美だと言わんばかりに、肩を掴んで、最奥まで引き摺るように入り込む。

「やっ、あぁぁぁっ!っっぁぁ!!」
「くっ、」
「ぁっ、あぁぁっ!っきょ、やぁっ!」
「っ、はぁっ、っなぁに?」
「はっ、はな、しを…っ、ぁあっ!!」
「もういいよ、分かったから。」

それ以上話すなと言わんばかりに腰を打ち付ける。
「あっ、あぁぁっ、きょうや!っきょうや!!」
「ふっ、はやと、」

がくがくと、揺さぶられる身体と連動して震える内股。
薄い背中に吸い付き、痕を残して、先程まで姉が咥えて唾液を絡ませた指を、一度も触っていないが既に勃起している肉芽に擦り付けた。

「ひぃっ、っっああああ!!や、っあぁぁ!だ、めっ…!!」
強めに摘めば、慌てたようにソファーに縋っていた片手が、弟の腕を強く掴んだ。

「や、っあぅ、あっ、だめっ、だめっ…!!」
せめてもの抵抗なのか、片腕で支えきれなくなった頭は、ガラス窓とは反対側に伏せてしまった。
だが、ぎゅぅぎゅぅとナカで弟を締め付け、腰ごと堕ちてしまった姉を、片腕で支えながら、最奥を抉り続けたまま、肉芽を引っかく。
「あああっ、あっ、きょっ、やぁ…!!」
「気持ち良い?」
「あっ、ああああっ!!」
狂ったように鳴き叫ぶ姉に気を良くして、そのまま最奥を抉る。

「あっ、あ、やっだめ…!!いっ、ぅあっ、アァーーーっ!!
「っ!!く、ぅっ…!!」

全身を震わせてながら、ドロドロと流れ出てくる潮と、ナカの締め付けに姉が達したことを悟る。
「あああぁっ、ぁっ、」
快感がとまらない姉が震えて喘ぐのを覗き込み、弟も自分のために動き出す。

「あっ、あぁっ、まって!っぁ、きょうや!」

速いストロークで抜き差しすれば、震えがとまらない姉の身体に、更に熱が走る。
「あっ、ああっん、ぁっ、」
「っ、出すよ」
「ぇっ、あっ、だめっ、あぁっ、ナ、っカは…!!」
「っん、くっ!」
「あ、やっ、だめっ、あっあぁぁっ、またイっちゃっ…!!」

ナカで果てた弟につられながら、姉も小さくまた達した。

「ぁっ、あぁっ…」
吐き出された弟のモノの熱さに、力が抜け切ってしまっている姉を抱き起こす。

「きょーや、」
まるでキスしてほしいと言わんばかりの瞳の熱さと口調の甘さに満足しながら、
汗と涙と唾液でぐちゃぐちゃで、それでも綺麗な姉の顔に口付けた。


「休憩したら、もう一回前からリベンジさせて。」

次は、優しくしてあげる。

 

End

 


【あとがき】

凄い時間かかった書くのに!いつものことだけど!!
久々のエロは難しい!っていうかちゃんとエロかった…??(不安)
なんかもうねぇ、あとがきで言いたいことはいっぱいあるけど、読み手様が全て読み取ってくださると信じて、全部省略します!(おーい)と、言いたいところですが分かってもらえなかったとき寂しいので、一応箇条書きにはしときます^^;


恭弥はずっと前から隼人が好き。
隼人も恭弥は好き
 最初:兄弟愛(恭弥を男として見たことがない。と、とりあえずそう思っている)
 途中:姉として恭弥を近親相姦者にはしたくない
 最後:恋愛感情として好き(本人自覚したけど、恭弥にその気持ちを認めたとは思われたくない云々)

そんな感じです。
とりあえず、これで姉獄は終了ですが、後日談は書きたい!というか、構想は出来てるし題名もできてるので絶対書く!!!

あー、楽しかった*・ω・*


2012/11/24
夕菜

 

常識って、知ってる?

共働きの両親と、美しい容姿を持つ姉弟。よくあるような二階建ての一軒家に住むこの家族は、仕事に追われる両親が殆ど家に寄り付かないため、姉と弟の二人暮しのような生活を送っている。日本人特有の黒い瞳、黒い髪を持つ弟、そして姉は世の中でも珍しい銀髪に碧眼という容姿の二人は、誰が見ても血が繋がっていない。

 

姉である隼人は今春大学に入り、弟よりも帰りが遅くなることが多くなった。今日もなんだかんだで遅くなってしまった帰宅時間に眉を顰めつつ、玄関を開ければ見慣れたローファーが行儀良く並べられていた。弟である恭弥のものだ。

「ただいまー」

静まり返った廊下に反響するのは自分の声だけで、普段なら必ず顔を見せ「おかえり」と微笑を寄越す恭弥が今日は出てこない。なんだ、とうとう反抗期か?と内心悪態を吐きつつリビングに向かう。リビングに近付いていくとそのまた奥より聞こえてくる流水音に、弟が風呂に入っていることに気付く。絶え間なく聞こえるそれに、「なんだ水音で聞こえないだけで、別にシカトされた訳じゃないのか」と安堵したと同時に沸きあがってきたのは悪戯心。

俺を一瞬でも不安にさせてバツだ、久しぶりに恭弥と遊んでやるか。と意気込んだ隼人は早速準備に取り掛かるべく目的地であったリビングは素通りし奥の風呂場に向かう。もっとも、「恭弥と遊ぶ」ではなく「恭弥で遊ぶ」というのが正しいのだが。

 

迷うことなく脱衣所の扉を開けると、ガラス戸越しに風呂場に浮かぶ影に、姉の企みなど全くしらない弟が間違いなくいることを確認する。

自分の鞄は脱衣所の外に置いておき、いそいそと準備に取り掛かる。

 

「―――――姉さん?」

 

隼人の気配に気付いたのだろう、シャワーを止めることなく伺う恭弥に、「ただいま。」と軽く返せば、扉さえ開けなかったものの、「おかえり。」と見なくても相手が微笑んでいるのが分かる口調で返された。

可愛い弟の返事に、あぁやっぱり悪戯なんて可哀相なことするべきじゃねーな、なんて一瞬改心してみたものの、当然隼人の好奇心に罪悪感が勝るはずもなく中止とはならなかった。悪戯の準備とは言っても、己の服を脱いでいるだけなのだが。

 

自分が一緒に入ろうとしているのだと知れたら、群れ嫌いな弟は一目散に風呂を出て行ってしまうのは目に見えていたので、あまり衣類の擦れる音がしては作戦がバレてしまうと、恐る恐る脱いでいく隼人だったが、

「―――――ねぇ、そこで何してるの?」

流石の恭弥も、ただならぬ空気を感じたのか、もしくはなかなか出て行く気配のない隼人に疑問を持ったのか、シャワーを止めて様子を伺う。もちろん、扉を開けてまでの確認はしないのだが。

「…………」

「―――姉さん?」

返事をしない隼人と、シャワーを止めたことで聞こえる衣類の擦れた音、

「え、ちょ…本当に何してるの!?」

やっと姉の様子が本格的におかしいことに気付いたのだろう。ガラス戸越しに、姉の影を確認し、衣類を脱いでいるのを悟ったのか焦った声を出す。あーぁバレちゃった、と思いつつも隼人の準備はこれで完了。「入るなー」と適当に声を掛けてガラス戸を勢い良く引き開けた。

「はぁ!?ちょ、ふざけ…!!」

湯煙で互いの裸体はそこまでよく確認できなかったが、慌てた恭弥が腰にタオルを巻いて、隼人がいる反対の壁際まで素早い動きで移動した。

 

「えー、別に照れなくてもいいじゃん。昔は一緒に入ってただろ?」

「昔はね、でも今一緒に入るのはおかしいでしょ!」

驚きなのか、憤慨する恭弥だが、壁際に移動したといっても一般家庭の風呂場などそんなに広くはない。せめて少しでも距離をとりたいという心の現われだろう。冷たい壁に背中を押し当てて距離を測るが、なんの頓着もない姉はせっかく開けた、たった3歩分しかない距離を無遠慮に縮める。

 

「まぁ普通な。つかそんな壁にへばり付くことねーだろ、たまには洗ってやるよ。」

「結構だ!出てって!」

「やー、もう服脱いじゃったし。ってか恭弥がどれくらい成長したか見てーの。タオルどかせよ。」

「見せられるか!!キミこそ少しは隠しなよ!」

 

意地の悪い笑みを浮かべながら恭弥の腰に心許無く巻かれたタオルに手を伸ばすが、必死の抵抗をする恭弥の握力に叶う筈もなく、一枚のタオルによって恭弥の成長は隠されている。それに反して隼人は、恭弥が指摘するように一切隠すことなく仁王立ちしており、いくら湯煙が凄いといったって、こんな至近距離では全てが丸見えだ。それなのにもかかわらず、全く隠すつもりはないらしい。

正面を向けば豊かなバスト、下を向けば自然に視界に入ってくる下半身。目を瞑れば、敗北は目に見えているので却下。どうしようもない。

 

「目の保養だと思って見とけよ童貞君。それよりどれだけ大きくなったか見せてみ。」

ただでさえ美しい隼人の一糸纏わぬ姿を不可抗力とはいえ見せられているのだ。大きくなったのは成長したからだけじゃないです、という現在の状況。当然、見せられるはずもない。

やめてくれ、と振り払ったタオルを掴む隼人の手が、今度は下半身でなく上半身に狙いを定めた。

 

「あー、お前、細いなぁと思ってたのに、結構いい身体してんじゃん。」

「――――っ!」

湯で温まった自分の胸元を、するりと撫でた細くて冷たい姉の指に、ゾクリと背に走った戦慄。それを誤魔化すように、咄嗟に姉の手を掴み足を掛け、習ったこともない空手の技を掛けるかのごとく、湯船に投げ込んだ。

 

急な投げ技に受身もろくに取れず、湯に強かに背を打ち付けた隼人の痛みが分かるほどの水と肉との音が鳴り響いたが、そんなことに構っていられないほど動揺した恭弥は、一目散に脱衣所へ逃げ込む。

「――――っぶぁ!!あ、待て、きょうや!」

隼人の声にも目もくれず、濡れたまま下の衣類をズボンまで履く。

「あーぁ。」

四極残念そうな隼人に、じろりと恨めしい目線を一つくれてやるが、流石ここまでの行動を起こしただけのこともあり、一切気にしたそぶりもない。もう既にお気に入りのバブルバスの準備を始めている。

(このアマ……!)

こんなことなら全裸で入ってきた時点で食えばよかった。湯船に投げ込んでそのまま覆い被されば良かった…!

火照った体と、熱を集められた逸物。それにプラスで恭弥の頭も爆発寸前だが、ここで怒鳴り散らしたところで当の本人は「なに怒ってんだ?」くらいにしか思わないことは明白なので自分で怒りを静める。

もうまるで自分には興味などないかのように、別のことに集中し始めた姉に、一体何故こんな奇行をしだしたのか、と考えを張り巡らすが、一向に思い当たる節がない。

それもそのはず、隼人にとって今回の行動は、とくに意味があったわけではないのだ。可愛い弟との、ただのスキンシップの一環でしかない。姉に恋心を抱く身としては、難易度MAXの試練でしかないのだが。

 

「――――あ、なぁ恭弥。パジャマ忘れちまったから持ってきてくんねぇ?」

もやもやした頭のままちらりと振り向けば、モコモコの泡に囲まれて暖かいのか、頬を赤らめる姉。

くっ、可愛い。これで断れる男が男色以外にこの世の中にいるのなら是非見て見たい。

 

「……いいよ。どこにあるの?」

「パジャマはリビング。んで、下着は俺の部屋のタンスの上から2段目。」

「!!?」

増えてる、下着増えてる!姉の部屋に入るだなんて、今の状態を考えて理性がたもてるかどうか…いや、しかしここで持ってこないと、この姉は半裸(いや、全裸の可能性も否めない)でリビングをウロウロしだす……持ってきたほうがいいな。(自分の為にも)

「―――はぁ、下着はなんでもいいの?」

「おう、恭弥の好みなの持ってきて。」

 

また煽るような言い方をする姉に更に溜息を吐きつつ、2階の姉部屋へ向かう。風呂場の扉は閉めるなと言われたので開けっ放しだ。どうかパジャマを持ってきたときに裸体を見せ付けられませんように。とガラにもなく神でなく姉自身に願いを込めてみたりもしたが、恐らく願いが届くことはないだろうという確信があった。

 

案外片付いている姉の部屋に入り、お目当ての上から2段目の引き出しをあけると、色とりどりのつるつるした手触りの下着が詰め込まれていた。正直下着なんてどれも同じだろうと適当に掴んでみたが、その形状を見て愕然とする。

(…え、これどうやって履くの?)

大きい穴が開いていて、どこに足を通すのか分からない。よくよく見ると、紐しかないものもある。(僕の好みなのって、色とかそういう話だと思ってたけど、え、形の話?まともなの見当たらないけど。)とにかくこんな際どい下着が好みだなんて間違っても思われたくない恭弥は、結局引き出しを引っ掻き回して、布地が一番多そうなものにした。

 

なんだか今日は無駄に疲れたな。と思いながらいやいや脱衣所に入る。

「――――姉さん持ってきたけど、なんでこんな下着しかないの…」

「おーさんきゅ、って汚くねーからそんな雑巾みたいな持ち方するなよ。」

ポイっと定位置に投げ捨てれば、「おいおい、下着に興味がねーなんて男じゃねぇぞ」なんでブツクサ言っているが、もうどうだっていい。実際下着なんかには興味ないしね。

 

「いつもこんなの履いてるの?」

「べ、別にいいだろっ、俺だってピンクとかレースとか付いてるヤツはいたって!」

問題はそこじゃないよ、今は布の面積の話。それにピンクとか男のロマンだから。とは微塵も口にせず、険しい顔をしたまま問う。

「ちなみに、よく分からないところに穴が開いているのがあったけど…アレはなに?」

 

「あー?―――後ろに穴がくるOバックのことか?あれは貰い物だ。」

「絶対履かないでよ、約束して。」

 

 

End

 

++++++++++++++++++

 

ロビさんとついったで盛り上がった姉獄ネタ。こーいうパロ好きなんです!!^p^///

案外長くなってしまった!
女体好きな人と語り合えるのは本当嬉しいことですよね^^ ついったバンザイ!!

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