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birthday

※雲獄+ルサン高校生設定です。
四人は幼なじみで、校内でも有名な仲良しグループです。
okでしたらどうぞー!!














5月5日、こどもの日。
世間一般ではGW真っ只中なので学校も会社も休みなハズだというのに、
この並盛高等学校は、都内でも有名な進学校だかなんだかで、休日返上で授業があった。

「あ〜〜っ、もうやってらんねぇよ!」

今年受験のある三年生の講習ならともかく、二年生も授業とはどういうことか。

午前中の授業が終わり、ガシガシと綺麗な銀髪を乱暴に掻いて、
板書を写していたノートを放り投げる。

「ちょっと隼人、お腹好いたからって暴れないで大人しくしなよ。」

真っ白な肌をシルバーアクセで飾る隼人と呼ばれた派手好きな少年とは対象的に、
手触りの良さそうな真っ黒な髪で、黒い学生服を清潔に着こなした隼人と同じクラスの男は、
派手な少年が勢い良く投げたノートをなんなくキャッチして、声変わりした低いテノールで静かに諭す。

「や、別に腹が減ってイライラしてるわけじゃねぇよ。
今日は恭弥の誕生日だってのに、なんだってウチの学校は授業があんだよ!」

赤くなりつつも、「特別な日」なのにどうして。という感情が良く伝わり、
恭弥と呼ばれた黒い男も、少し嬉しそうに微笑んだ。

「でも朝一番で隼人がお祝いしてくれたじゃない。」
「"おめでと"って言っただけじゃねーか。……安上がりな奴。」

「それでも嬉しいんだよ。」

浅く、真っ直ぐに隼人に向かって微笑んだ恭弥に照れたのか、「バカ、」と一言だけ吐いて、
ここが教室だというのも全く気にせず、ポケットからタバコを取り出す。

「隼人……教室だよ。」

駄目だよ。と優しく咎められ、「ちぇ、」と口から煙草を取ろうとしたとき、

「俺の作ったメシの前に煙草吸うとはいい度胸してんじゃねーか。」

ドスのきいた声と共に現れたのは1つ年上で三年生のサンジ。
細身の長身と、獄寺に負け劣らずの光に当たると綺麗に光る金髪。
かなり目を惹く存在の彼が、なぜわざわざ二年生の教室まで来たかというと、両腕に抱えた、弁当を彼等と一緒に食べる為だ。

「おい、隼人。煙草を吸うのは勝手だが、俺のメシの前はヤメロ。」
「うっせーな、まだ火ィつけてねぇよ。」

「ならいい。」

一見いがみ合っているような会話だが、実際はそうではなく、
サンジには鞄から弁当を取り出していて心なしか微笑んでいるし、
獄寺に至ってはニコニコと机の用意をしている。

ただ煙草を教室で吸うのはどうかと思うが。


旗から見れば頓珍漢なこの二人、
校内では美人(男だが)で有名ではあるが、それとともにもう一つ、短気で喧嘩っ早いことでも名が知れている。
そんな短気な二人が、喧嘩もせず仲良くしている理由は、
お互いが兄弟のように思っているからであり、むしろサンジの喧嘩っ早さを見て育った隼人が、それをそのまま引き継いだだけなのである。

(外見は違えど、中身はそっくりだよ。)

そう思うのは幼馴染同士なだけで、その他の外野からしてみれば、
高嶺の花すぎて、そんな内部を見れる輩は一人も居ない。

ゆっくりとお昼の準備をしていると、ドタバタと激しい足音と共に「メ〜〜〜シ〜〜〜っっ!!!」という叫び声がだんたんとこの教室に近づいてくる。

「サンジ〜〜っ!!めしっっ!!」

煩い掛け声と共に、教室の扉を勢い良く開けたのは、隼人や恭弥よりも1学年下のルフィだ。

「珍しく遅かったな。」

そう言って笑うサンジの隣に迷うことなく座り、
「なんか、いろんなヤツに貰ってたら遅くなっちまった。」
と、元気の良い笑顔で返され、確かに良く見ると、彼の手は綺麗にラッピングされたプレゼントでいっぱいだ。

「誰から貰ったんだよコレ。」

そう言ってプレゼントを数えるサンジに対して、
「ん〜〜?誰だっけ?忘れた!!」
と思いっきり言い張る男は、背後にドーーン!と効果音がつきそうなくらい胸を張っている。

それくらい、覚えろよ。とも思うのだが、
興味のあるものはある。ないものは無い。
その区別がはっきりしている彼は、そんな性格をもカバーするほどの包容力とリーダーシップを持ち、
且つ、持ち前の明るさで、彼を憎むものは殆どいない。

「それより、メシだ!!」
「全く……」

そうやって、苦笑して深く追求しないサンジもまた、彼に絆されている人間の中の一人なのだ。

「なぁ、サンジ。今日のメシは何だ?」
「今日は、ルフィと雲雀の誕生日仕様で豪華にしてあるぞ。」

ニィ、と笑って言えば、
「本当か!?」
「本当?」

と二人して同じような返事が返ってくる。

一見、元気なルフィと、大人しい雲雀では似ていないように見えるのだが、
興味が無いものには全く容赦がないところだとか、何も言わなくても周りがついてくるカリスマ性だとか、
一度キレてしまうと、誰にも手が付けられないところ等、性格はそっくりなのだ。

「あと、食後のデザートにケーキもあるからな。」

そう言ってサンジが全てを机に並べれば、嬉しそうに微笑む他3名。

(本当、コイツ等可愛いよな。)
他人には滅多に笑わない3人が、毎昼食事の度に、嬉しそうに笑ってくれるその瞬間が、
サンジとしては料理人冥利につきる至福の時なのだ。

ただ、
毎年欠食児のルフィ、全く家事の出来ない隼人、我侭で美味しい物しか食べない恭弥。
自分は来年卒業してしまうというのに、一体コイツ等はどうやって生きていくつもりなんだろう。と素直な疑問を直接本人たちにぶつけた所、
「よし、サンジ留年しろ!」
と自信満々に返され、ルフィの自慢の麦藁帽子ごと踵落としを決めたのはつい最近の話だ。
(いい加減、自立させねぇとな)
と思いつつも、こうやって誰かにとってめでたいことがあれば、
そのつど完璧な料理を用意するのだ。

自分のことは棚にあげているが、サンジもまた、サンジなのである。


「それにしてもサンジ、
お前今日これ作るの大変だっただろ?」

もぐもぐと、一般人では入れられない量の食べ物を咀嚼しながら伺うと、
「ルフィ、余計なことは言うな。」

ぴしゃりと、サンジから「黙って喰え。」との制止が入る。

そんなサンジの様子に、(あぁ、何かあったんだろうな)と感じた恭弥と隼人であったが、
「何で?なんかあったのか?」

無意識に空気を読んで口を閉じた恭弥とは裏腹に、天然の隼人は、その疑問を口に出して聞いてしまった。

「何でって、俺の誕生日だぞ?
サンジも特別昨日の夜から祝ってくれてるに決まってるじゃねーか。」

さも当たり前、と返すルフィと、
これ以上は何も聞くなと強い視線を送るサンジ。

サンジの表情を見れば、一体ソレが何を意味しているか分かりそうなものなのに、

「徹夜で遊んでたのか?」
だったら俺達も呼んでくれれば…

と、頓珍漢なセリフで追撃する隼人。

もうそれ以上は聞いてやるなと、この四人の中で一番落ち着いている恭弥が、それとなく隼人を止めようとしたが、

「は?隼人、お前なに中学生みたいなこと言ってんだよ。
恋人が一晩一緒に過ごしてすることっていったらセックスしかねぇだろ。」

「!!!!?」
「なんだその過剰反応。女子か。」

わはは、
と豪快に笑うルフィ。

まさかそんな答えが返ってくるとは思ってもいなかったのだろう隼人は、「サンジ、悪ィ」と呟いて、真っ赤になったまま俯いてしまった。

「ルフィ、てめぇ……!!!!」

昼食中の教室で、とんでもないカミングアウトを大声でしてくれた年下の後輩に、
なんでそうもデリカシーっつうもんがねぇんだ!とブチ切れているサンジ。

一般人ならば泣いて赦しを乞うような、殺人的なオーラを出しているサンジに、全く臆することもなく、「まぁまぁ、いいじゃねーか本当の事だし。しししっ」と悪びれる様子も一切なく楽しそうに笑っている。

サンジに襟首を掴まれ、ガクガクと揺さぶり続けられているのにも全動じず、

「なぁ隼人、お前らまだヤってなかったのか?」

よりにもよって、恭弥ではなく隼人へと質問を投げ掛ける。

「う、えっ……?!そ、そんなこと何で……!?」

しどろもどろで答える隼人。
最早、ルフィより年上だという影もない。

「そっか、まだか。」

うまく答えられない隼人を、持ち前の勘で見極め、勝手に答えを出す。
(だったら最初から聞くなよ……。)

ルフィ以外の人間に、隼人が同じ質問をされたら、完全にキレているところだが、
やはり恭弥にとってもルフィは弟みたいな存在であり、大抵の事は許してしまえる。
……例え、隼人が茹でダコみたいになって机に突っ伏してしまっていても、だ。

そんな兄心を発揮している恭弥に向かって、弟分のルフィは
「恭弥、おめーつぅことはまだ童貞か?」
「ヤメロっつってんだろルフィ!!」

とんでもない爆弾をお返しした。


あまりの直球で、さらにとんでもない衝撃を与えられた恭弥は、
目を丸くして固まっている。

怒るにも怒れない(怒れば童貞だと肯定するようなものだし、違うと否定すればただの嘘つきだ。)そんな状況をみかねた四人の中で一番兄貴分であるサンジが、ルフィに教育的指導と言う名のケリを炸裂させる。

とはいうものの、一番弟分であるルフィに組み敷かれているのだから、なんとも言えないが。


「オラ、ルフィ謝れ!!!!」
「わりーわりー、」

とても謝っているとは思えない軽さだが、ルフィはそういう奴だ。仕方ない。

「あ、そーいえば……
これ恭弥にやるよ誕生日プレゼント。」
「何…?ありがとう。」

そう言ってポケットから取り出したのは、可愛くラッピングされたピンクの包み。

仲直りの印か?と隼人と恭弥は思ったが、
なんとなく見覚えがあり、嫌な予感がするサンジは、顔をひきつらせる。

「おう、いいぞ。
エース(兄ちゃん)に貰ったんだ。今日使え。」

そう言われ袋から出せば、とんでもなく卑猥な形をした大人の玩具とあらゆる種類のゴムの数々。

そうだ、あの家系は、基本的に常識外れなのだ。

「サンジはそういうの、嫌がるからな。
使ったらエースに感想教えてやってくれ。」
「……ゴムは自分で使えばいいじゃない。」
「んにゃ、俺等は毎月気に入ったやつ箱買いしてっからいらねー。」

もう怒る気にもなれない項垂れたサンジと、
道具を見ただけで真っ赤になって固まってしまった隼人。


このとんでもない一番年下の男と、
「ふーん、いつか使うよありがとう。」と不適に笑うこの男。

教室内は、誰も動けないくらいピンクな空気を充満させて、
当人二人はそんなことには気にも止めず、その玩具の使い方を、「あーでもない、こーでもない」と話し込んでいる。

この玩具達を、恭弥が今日使うのかどうかは当人次第だが、

((誕生日じゃなかったら、速攻シメてやるのに!!!))

この金銀コンビの機嫌を治すのは、本日中には無理だろう。


end
more...!

アニカレ


※女体注意!サンジは19設定です。







「お届けもので〜〜す!!」

そう言ってチャイムも鳴らさず、我家にでも帰ってきたかのように家に上がってきたのは、家が隣のエース。
目下、姉の恋人の座を狙い奮闘中…だそうだが、当の本人は全く気付いてない。
報われない恋をもう長いこと。本人曰く「初めて会った時から、ずっと好き」ということらしいので、少なく見積もっても10年だ。(1の単

位は切捨てだ。)


「お、エースか。なんだなんだ?」

そう言って、晩御飯の食器を洗っていた手を止めて、リビングの扉を開いて出迎える。
ピンクのエプロンが、きれいなハニーブロンドと白い肌に良く似合う姉は、現在キャミソールと惜しげもないほど太腿を晒しているショートパンツを着用している。

あ、やばい。と思ったが時既に遅し。
「え、ちょ、何、どーしたの!?えっ!?」と焦ったエースのうろたえた声が聞こえたので、おおかた裸エプロンだとでも思たのだろう。
そんなエースに全く気付く様子もなく、
「おぉリンゴかぁ〜。」という嬉しそうな姉の声が聞こえたので、恐らくエースには見向きもせず、
お土産のリンゴに夢中になっているのだろう。


「隼人〜!エース、りんご持って来てくれたぞ!」

という姉の声につられて目をやれば、
耳まで真っ赤にしたエースが、姉の後ろをバツが悪そうに歩いてきた。

姉が両手に抱えるように持っているリンゴの箱。
女性に対して甘いエースが、決して軽くはないであろうダンボールを姉に持たせているこの状況を見ても、
もはやエースに冷静な判断ができていないことが見て取れる。

というか、エースの両手は自分の顔を押さえている。


姉に重い物を持たせるなんて、使えない奴。
と罵りながらも、正直哀れでならない。


「まずは生で食べたいよな!」

と意気揚々と台所に引っ込んで行った姉を確認し、
へなへなと、腰砕け状態で座り込んだエースに近寄る。

「ドンマイ」
「……俺、男として意識されてないわけ?」
「ドンマイ。」


…まず、生で頂きたいのはリンゴじゃねーよ…
とボソボソ聞こえてきたが敢えて無視。

正直、自分もエースは好きだし。将来兄として迎えてやってもいいとは思っているが、なにぶん相手があの鈍感な姉だ。
もうちょっと押してみろよ。と助言でもしてやりたいところではあるが、面倒なのでやめておく。


「隼人ー、リンゴ切ったぞー。」
「いま行く。……ほら、エース」


立ち上がれそうもないエースの手を引っ張って行くと、いつの間に切ったのか。大量のうさぎリンゴ。



「お、お前らそうしてると本当兄妹みてぇだな。」

屈託なく笑い、エースにしてみればとんでもない爆弾発言をかましたのにもかかわらず、

「見てみろ。すげぇ蜜だろ、食べ頃だ。」


サラリと流し、リンゴの話に戻る姉。
確信犯ならとんでもない小悪魔だ。


きっと隣で固まっているエースは、「俺を本当の兄妹にしてくれ」とか「食べ頃なのはサンジだ」とかいろいろ頭の中を駆け巡ったんだろうけど、結局1つも口にはしなかった。

もうちょっと押せよ。とも思ったが、
どうせ言ったところで通じねーから意味ないか。


それにしても、
「量、多くね?」

いくらエースが良く食べるほうだからといって、切り過ぎではないだろうか?

「ん?あまりにも美味しそうだったから、つい切っちまった。恭弥でも呼んでやれよ。」
「あ、バカっ!」
「……恭弥?」

誰だソイツ。
と言わんばかりの目で見てる。


「エース、隼人のこと大好きだもんな。このシスコン野郎。
恭弥は最近できた隼人の彼氏だよ。」

「ふーん、なんで教えてくんなかったの?」

「や、別に意味は……」

いつもニコニコしてるエースがちょっと意地悪そうに覗き込んでくる。
ちょっと拗ねてる顔だ。


すぐ言っても良かったんだけど、世間一般の父親張りに反対とかしてきそうで言い出しづらかったんだよ!
なんて言ったら本当にやりそうだから言えないけど!

「あぁ、そっかエースはまだ会ったことねぇもんな。ついでだし紹介してやれよ。『お兄ちゃんです。』って。」
「や、それ……」
どういう意味を込めて言ったらいいんだよ。誤解生むぞ。
っていうかこれ以上余計なこと言うんじゃねぇ!!

「…どんなやつ?」

あ、ちょっとエースの機嫌がよくなった。


「普通だよ。普通。」

っていうかあんまり会わせたくない。アイツ愛想とか良くねぇから、親への挨拶とかには絶対向いてねぇ。
……エースは親じゃねぇけど。

「普通って?」

俺に聞いても無駄だと、長年の付き合いで分かったのか、
代わり姉に説明しろ。と目で訴える。

「あー、…俺は結構気に入ってるぞ。
なんつーかそうだな、目が鋭くて隼人以外の前だとかなり殺気だってんだ。
例えると、昔のゾロみたいだな!」

「へぇー……ゾロ、ね。」

ぎゃぁぁもうやめて!
気に入ってるとか言ったあとにゾロの名前とか出すんじゃねぇ!
エースの目、据わってるから!

「あれだ。愛嬌とかなくて愛想も悪ぃな。エースとは正反対だな。」

「俺と正反対で、サンジは気に入ってるんだ。」


地雷だ。
もう怒りと嫉妬で口だけが笑ってる。

大好きな姉が、今日は憎い。


「隼人、彼氏さん呼んでくれる?俺、見てみたい。」


ニコリともしない顔で言われれば、頷かざるおえない。
縦に首が千切れるんじゃないかってくらい振る。

つーか、エースが怖い。

「なーに怒ってんだエース。そんなに隼人に彼氏ができたのが悔しいか。」

そう言ってカラカラ笑う姉に、本物の殺意を覚える。
いつもは姉が笑っていると、柔らかい顔して見つめているエースも顔が強張っている。


「恭弥、可愛いんだぜ〜」

そんなエースの様子に気付くことなく、ニコニコと喋りかける姉は、
肝が据わっているというか、神経が図太いというか、馬鹿というか……


雲雀を褒める=ゾロを褒める
みたいな図式がおそらくエースの中に成立しているのだろう。

こんな状態で紹介される雲雀の身にもなってほしい。
なんていうかもう、最悪の事態しか予想できない。



そうこうしているうちに、玄関のチャイムが鳴る。
雲雀だ。

とうとう来てしまった…
けど今はやばい、なにがやばいってエースの目が据わってて、
徐に玄関に向かいだしたのがヤバイ。

「ちょ、エース待って俺が出るから!!」


急いで大きな背中を追い越して扉をあける。
ゾンビみたいに歩くエースを追い越すなんて造作もない。


「雲雀っ!」
「こんばんは。どうしたの血相変えて?」

どうしたもこうしたもねぇ!
最悪の場合、お前殴られるぞ!あの太い筋肉付の腕で殴られたら、いくら雲雀でも意識飛んじまう!!
つーか顔が変形する!!

この事態を理解しておらず、冷静な雲雀が今はちょっと羨ましい。


「よっ、恭弥久しぶり。」

そんな俺の心も知らず、暢気に顔を出す姉。
一瞬、雲雀の顔がぎょっとしたが、すぐいつもの顔に戻った。
……そーいやぁ、前から見たら裸エプロンみたいな格好だったな。


「夜遅くにすみません。リンゴ頂きにきました。」
「いや、こっちこそ呼びつけて悪かったな。」

姉の格好には特に触れず、丁寧に挨拶する。
猫被りもいいとこだ。


「……こいつが彼氏?」
ゾロ似の?と聞こえてきそうな怪訝な台詞。


確かに目付きとか喰えねぇ態度とか、猫被りなところ(なんで分かった)は似てねぇこともねぇな…。
でも、アイツの中学時代はもっとゴツくてこんなひょろくなかったし、色白すぎじゃねぇか。

とか、いろいろ聞こえてくる。
エース、大人気ねぇ……。

自分で言うのもなんだが、エースにとって俺は可愛い妹みたいなモンだ。
やっぱりゾロ似だろうがなかろうが、俺に手をつけたって時点で処刑レベルの大罪人にみえるんだろう。

だが、手ぇまでだしてこないところをみると、
ゾロとあまり似てなかったのが良かったのだろう。
(というか、俺から言わせればゾロと雲雀は全く似てない。)


「悪ぃな恭弥。
コイツ、隼人のこと妹みたいに可愛がってるから、隼人に彼氏ができて面白くねぇんだ。」

「そうですか。ということは、お姉さんの恋人?」

姉はエースの態度に一応フォローをいれている。すこし感謝。
エースもエースで、雲雀の恋人発言に、少し気分がよくなったみたいだ。

しかし、
「コイツ、エースってんだ。家が隣なだけで恋人じゃねー。
今日はエースがたくさんリンゴ持ってきてくれて美味しそうだったから、恭弥も呼んだってわけ。」

「そうでしたか。」

あっさり恋人の部分を否定した姉に、項垂れるエース。
どんまい。と心の中で合掌して雲雀を見ると、
「なんだ、恋人じゃないなら猫被る必要もないな。むしろこの家に頻繁に出入りしていて『兄』という家族のような称号を得ている男……邪魔だな」
と顔に書いてある。
というかそう思っているのが分かるほど悪い笑み。
それに、先ほどのエースの先制攻撃(主にひょろいと言われたあたりだろう)よほど堪えているのだろう。


あ、ちょっとまずいかな。と思っているとリンゴを取りに姉が台所に戻って行ってしまった。


「アナタ、お姉さんの恋人じゃないんだね。
そういう目でアナタが見てるから、てっきりそうなのかと思ったよ。
まぁお姉さんはそんな目でアナタのこと見てないようだったけど。」

「ちょ、雲雀…!!」

何、藪から棒に喧嘩売ってんの!?

「ま、お姉さんそういうことに疎そうだし、
何より、妹の恋人…仮にも血縁関係でない男が家まで来るのに、あんな格好で出向かせるなんて男として失格だよ近所のお兄さん。」

「……なかなかいい性格してんじゃねーか。」


ちょっとやばいってこの空気。
リンゴなんかいいから戻ってきて!!


「てっきり前回会った緑頭の人が彼氏だと思ってたよ。お似合いだったし。」
「よし、表出ろクソガキ。」


エースの殺気に気付いた姉が、台所から飛んできたが時既に遅し。二人とも庭に出て行った。


派手な乱闘音と罵りあう声が聞こえる。
素手のエースが雲雀のトンファーを受け流す。

「あー…あぁやって喧嘩してると、本当ゾロと被るなぁ。
恭弥の本性が見てみたくてエースに吹っ掛けさせたけど、恭弥も大概短気だよな。」


全部わざとだったのか……
姉の計算高さに驚きつつ、そのせいで争う羽目になった二人が哀れに思う。

何はともあれ姉のせいで、
雲雀がエースに認めてもらえる日は、恐らく一生来ないだろう。



END

実兄義兄

「なぁ…兄貴にお前のこと紹介したいんだけど。」

学校からの帰り道。意を決したように早口で話す彼を見れば、真っ赤な顔を俯かせていて表情は読めない。
しかしその言葉に、相当な勇気が込められていることは容易に想像がつく。

「…いいんですか?」
確か、お兄さんは隼人君のことを溺愛していて、彼に近づく男は完膚なきまでに叩きのめされる……という話を聞いたことがある。


「骸がよければ…だけど。」
「もちろん。むしろお願いしたいくらいです。」

上目遣いで伺われてしまえば、当然、断るなんてできるはずもない。

それに、「帰りが遅いと怒られる。」という理由で毎日6時には隼人君を家に送り届けている。
この面会で、僕のことを少しでも信用してもらえれば、隼人君に課せられた家庭内規則が軽くなるかもしれない。


「でも、兄貴おっかねぇから…。」
「大丈夫ですよ。」


さすがに弟が連れてきた恋人を、(親でもあるまいに)いきなり殴りつけるなんてことはないだろう。
それに隼人君の兄ということは、きっと彼に似てとてつもない美人だろう。

(むしろ、会ってみたい。)

―――――そんな淡い期待は、見事打ち砕かれることとなる。








+++++++++++++








「お帰り隼人。
隣のは……当然友達だろうな?」

ただいまー。と扉を開けた玄関で待っていたのは、
スラリと伸びた高い背に、きゅっと締まった細い腰、かわいいピンクのエプロンと、白い肌。
口にはタバコ、綺麗な金髪、見事なまでの青い瞳、
そして何故か巻いた眉に、きっちり着込んだ黒いスーツ、額に浮き出た青い筋。


とても美しい…という点ではイメージどおりではあるが、纏う空気が
(とてもカタギには見えませんね…)

どこぞのマフィアのボスよりよっぽど怖い。
二、三人…いや、確実にもっと殺っているオーラがでている。
本当に血が繋がっているのか……否、同じ空間で生活していることすら疑わしい。

「あ、兄貴…
今日は、こ、恋人連れてくるって言っただろ。友達じゃ、ねぇよ。」

そんな兄に、たじろぎながらも説明する隼人君は、
いつものツンケンした態度とは打って変わって、大人しい。

極度のブラコン兄弟だ。とは聞いてはいたがここまでとは。
…正直先が思いやられる。


「恋人?
………はっ、冗談だろ。」

吐き捨てるような物言いが勘に触るが、ここでキレたらこちらの負け。
どうにかして僕自身を気に入ってもらわなければいけない。

「初めまして。隼人君とお付き合いさせて頂いております、六道骸と申します。」

丁寧に頭を下げる。恋人の家族に対しては最大の敬意を払わなくては。

「おい隼人。」

「なんだよ。」

(…完全に無視ですか。)
僕には目を向けず、依然厳しい態度で隼人くんへ問いかける。



「お前、今日恋人連れてくるっつってたよな。」

「言った。だからこうして、
「何で男だよ!普通可愛いレディーだろ?」

「女とは言ってないだろ!」

「普通、弟の恋人って言ったら女だと思うだろーがよ!
そう思って、おもてなしの料理まで準備しちまったじゃねーか!」

え、男が相手だってことも伝えてなかったんですか!
隼人くん…そこは事前に説明しておいてくださいよ。


「でも、兄貴の恋人だって男じゃねーか!!」

(お兄さんの恋人も男!?)
…そういうことなら、まだハードルは低いか。


「そうだけど、こんな優男じゃねぇよ。」


や、さおとこ…
この兄弟喧嘩ともいえる状況で、兄から浴びせられる僕への罵倒でだんだんとHPが削られていく。

「だいたいなぁ…おいっ、てめぇちょっとツラ見せてみろ!!」

そういうや否や前髪を掴まれ、強引に上を向かされる。


「っ、」
「やめろ兄貴!!」

掴まれ、引き上げられる髪が痛く、暴力ともなんとも言える状況。
それなのに、至近距離で見つめられたコバルトブルーに僕自身が引き込まれていく。

「……まぁ、ツラ構えは悪くねぇな。」

自分自身でも、顔に関しては自信があるが
金髪碧眼のこうも整った顔に見つめられてしまえば、自信喪失もいいところだ。

「兄貴!離せよ!!」


必死に僕の髪から手を引かせようとする隼人君の行動も虚しく、じっと見つめる余裕の表情。


「ふーん。まぁ、顔については次第点ってとこか…」

お気に召したのか、召さないのか。どちらともとれる言葉を残して掴んでいた前髪を離した。

「骸!わ、悪い大丈夫か!?」
「…えぇ。」


唖然と立ち尽くす僕に、心配そうに寄り添う隼人君。
なに、兄弟でこうも違うものなんですか…?

「こんなモヤシのどこがいいんだか。」
とまだ、僕を罵りながら優雅にタバコに火をつける男に、若干…いや、殺意が沸く。

しかし、僕を心配そうに見つめる隼人君の緊張を少しでも和らげようとそっと微笑むと、
少しの間大人しくしていた天使の容姿をした悪魔(もはや骸には悪魔にしか見えない)からとんでもない爆弾が投下された。

「ところでお前ら、どっちがネコなの?」

「「は!?」」


次はセクハラですか!?
と叫び出したいのを抑えながら、チラリと隼人君の方を見れば、
真っ赤な顔して口をパクパクしている。

可愛い…ですが、その反応で一目瞭然ですよね。



「ふーん、なるほど。…ってことは六道、お前がタチか。」

「そうなりますね…」


あー、このパターンはなんとなく「ウチの娘を傷物にしやがって!」的な制裁でもくるんでしょうか。
そりゃ、この溺愛加減から言うと間違いなく殴られるでしょうね…、まぁ僕も男ですし殴られるくらいで許してもらえるのなら安いものです。

そう思い覚悟を決めていると、意外にも構えていた衝撃はこず、
「ちょっとこいよ。」
そういって強引に手を引かれ、部屋の中に通された。

「ちょ、兄貴どうしたんだよ!?」


突然の兄の行動に驚いているのだろう。
何がなんだかわからない様子の隼人君が、僕と兄を追って後ろから小走りについてくる。


「えっと…お兄さん?」
「お前が二度と隼人を抱けねぇように、今から開発してやる。」
「?…それはどういう……?」


「俺が、お前を掘ってやるっつってんだよ。」
(………ほる。っっ掘る!!?)

「え、ちょっ…はぁ!?は、隼人君!!」
「あ、兄貴冗談だろやめてくれ!!」


「ははっ、冗談じゃねぇよ。おら、来い。」

慌てる僕たち二人を完全に無視。
振りほどこうにも、引かれる腕が異常に強く、全く歯が立つ様子もない。
(こんな細い身体のどこにこんな力が…!!)


「よっと、」

ボスンと振り投げられたソファに倒れこむと、上から圧し掛かる愛しい人の兄。

「ちょっ…!!」

「振りほどけるモンならやってみろよ。
ま、無理だと思うけどね。」

俺の方が強いし。

ニヤリと笑い、豪快にジャケットとエプロンを脱ぎ捨てた兄の妖艶な笑みに、必死で抵抗したが全く歯が立たず
ぴくりとも動かない押さえつけられた自分の身体に舌打ちをしたと同時に、首筋に落ちてきた、兄の暖かい舌の感触に、
(本当に喰われる…!!)
と背筋が凍りつき顔面を蒼白にした僕を助けたのは、

隼人君が泣きながら電話した為にすっ飛んできた、兄の恋人らしき人だった。





end


more...!
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