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強くも脆い、繋ぐ糸2



「くくく…、やっと出て行ったな、あのカス。」

「っ、ざけんなてめぇ!」

スクアーロが出て行ったとたん、今まで抑えていた怒りが爆発した。

「や、やめろって言ったじゃねぇか…!!」

「あぁ、言ってたな。途中までよく我慢してたと思うぞ……声、」

「〜〜っ!!」

からかうような口振りに、獄寺の怒りはますますヒートアップする。

「でも、善かっただろ?」

「だっ、誰が……!!」

「ふっ、……震えるほど感じてた癖にか?」

「っ!!!」

「服脱ぐ前でよかったなぁ。」

コイツには悪いと思う心はないのか…!?

あっけらかんと言い放つザンザスに獄寺の怒りも収まらない。

スクアーロは自分たちが何をしていたか、明らかに気が付いていた。
(次からどんな顔して会えばいいんだ…!!)


突きつけられた現実に、あまりのショックに言い返す気力すら奪われる。

そんな獄寺は、怒りと恥辱で顔は真っ赤、いまだに冷めぬ快楽に目には涙が溜まったままだ。


(なんでコイツ、こんな可愛いんだろうなぁ。)

もともと、可愛い系より綺麗系の方が好みで、ましてや男なんて興味の欠片もなかったのに。
全く、俺様の好みをどれだけ変えれば気が済むんだコイツは…。

「スクアーロに知られるなんて…いや、現場を見られるなんて…10代目になん…うー…」

「おら、ぶつぶつ言ってねぇで再開するぞ。」


その言葉と、ニヤリと笑った男にマズイと防衛本能が働くが、時既に遅し。

「あっ、ちょっ、やめ…!!」

もとよりザンザスの手は獄寺の男のシンボルを握ったままの状態だったので、止めようにも間に合わない。


「あ〜?何言ってんだ。さっきからガチガチに勃たせてるくせに。」

誰のせいだ!と叫んでやりたいが、そんなことしてもきっと無意味…いや、自分にいろいろ返ってくる。

必死に身体を押し返そうとするものの、快楽で力の入らない体では、ザンザスの力には敵わない。


「ひ、ぃ…っあ!」

「それに、アイツが居た方が感じてたじゃねーか。」

グチグチと先端から溢れ出る蜜を全体に塗りつけて、荒々しく扱かれる。

「ぅあっ、ザンザ…あああっ!!」

蜜の溢れ出る先端に爪を突き刺し、グチグチ水尾と鳴らしながらせば、甘く甲高い声が上がる。

「やっ、やぁぁっ!…っは、んあぁっ、」

痛いほどの快感に、ザンザスの手を掴んで止めようとするが、
力の入らなくなってしまった手では、ザンザスの逞しい腕に添えられるだけで用途をなさない。
飲み込めなかった唾液が口の端からだらしなく垂れているが、それを拭うこともできなあいまま、ザンザスの良い様に嬲られる。

「あっ、あぁぁ…!」

「はっ、お前先端弄られるの好きだよな。」

「だ、まれ…っ!あぁっ、ザンザス!!」

「っ、……なんだ。」

熱に浮かれ、自分の唾液で汚した顔を向けられれば、普段他人には無関心を突き通しているザンザスでも、息を飲むほどの色気が漏れている。


「あっ、あっ、もう…!!」

「…一回、先に出すか?」

「っ、いい、一緒に…!!」

「ふっ、…我慢できない癖によく言うぜ……、」

「えっ!あっ、ちょ、やぁぁっ!!」

突如強く扱かれ、気を抜いていたせいか一気に高みに連れて行かれてしまう。

「やめっ、ああっ、…ふああぁっ!!な、んで…!!」

「慣らさねぇと出来ねぇし、その間にどうせ出しちまうだろ。……ほら、出せよ。」

「あっ、だめ…!!い、くぅ…あああっ!!」


激しく扱きながら、親指の爪で獄寺自身の先端を抉れば呆気なく達し、
吐き出したものはザンザスの手に受け止められる。

「ぁ、…はっ、はぁっ…」

「…濃いな。溜まってたのか?」

「だ、まれ……」


獄寺の減らず口も、今この状況では大した威力もない。


「おい、今からが本番なんだ。へばるなよ。」


力の入らない獄寺を持ち上げると、スラックスと下着を股辺りまで下げ、
先ほど受け止めた白濁を指に塗りつけ、獄寺の後方へと指を進めた。







***************



「あぁっ、うあっ…ゃ、ああぁ!」

「くっ、相変わらず…良いモン持ってるなぁ。」


ザンザスによって入念に解された後部は、何の抵抗もなくザンザスの契りを受け入れ、
その男しか知らない獄寺のナカは、ザンザスのモノの形に合うよう吸縮する。


「あ、ああっ、…はっ、あぁぁ!」

「は、お前っ、最高だぜ…」

「ぅあっ!ひ、ぃああっ…!」

獄寺の腰を掴み上下させながら、
タイミング良く下から突き上げる。

ナカの一番深いところに届くよう、内壁に擦り付ければ跳ねるように飛び上がる体と、高く上がる声。


「ぅあああっ!は、げし…っああぁ!!」

「くっ、」

そして、その度に搾り取るよう吸い付いてくる獄寺のナカ。


「あっあっ、だめっ…!また、ぁあっ!」

「はっ、はぁ、…何回でもイケよ。」

その言葉をきっかけに、後ろだけに集中していた愛撫を、獄寺の前にも与えてやる。

「あっ、んぁぁっ!」

「はっ、はぁっ……服が邪魔だな、」


思ったことを口にすれば、驚いたように見開く獄寺の目とかち合った。


その様子に、コイツも同じこと思ってたのか。と、普段の意地悪い笑みではなく、普段見せないような笑みを作れば、


「え、なっ、おまっ…!?っぁぁあっ!」

「っ!!!……くっ、」

思い切り締めつけられた。
あまりに急な出来事に危なく出してしまうところだった。
奥歯を噛み締めてその快楽をやり過ごす。

……どうやら獄寺自身も無意識に締め付けたのだろう。自分でやっておきながら、ナカにある俺自身をリアルに感じてしまい、自分で自分を追いつめている。


「…はっ、獄寺てめぇやってくれるじゃねーか。」

「い、いや…今のは無意識……」

「終わったら服脱いでもう一回やるぞ。」

「え、ちょ…もう無理だって…!
あっあぁんっ、ザンザス…!!」


無理だと言いながら快楽に溺れていく瞳を見て、


また俺は満足げに微笑んだ。















お前はよく、
どうしてだとか、何故だとか、
俺たちの関係に理由を欲しがるけれど、


そんなの答えは決まってる。



(俺がお前を気に入って、お前がそれを受け入れた。)

ただ、それだけ―――――。



*強くも脆い、繋ぐ糸*
(俺がお前のボスを殺さないのは、
今のお前との関係を壊さない為だと知ったら、お前はどうするんだろうな…?)





end



more...!

強くも脆い、繋ぐ糸1


一度は命を狙われた。
今もなお、10代目の首を狙うこの男。


「―――獄寺、こっちに来い。」


横暴で傲慢な態度は気に食わないし、
憎むべき相手であるはずなのに、


「……少しだけだぞ。」

なぜ俺はコイツを選び、
コイツは何故、俺を選んだのだろう…。





*****************



「うお゛お゛お゛お゛い!開けるぞぉ!!」

ヴァリアーアジトの執務室。
ボスを筆頭に、守護者と呼ばれる幹部達に与えられた執務用の個人部屋。

守護者の執務室ですら、部下はまともに訪れたことなど無いのだが(恐怖で)、その中でも断トツで誰も来ないのが、ボスの部屋。

ボスの殺気が満ち溢れているこの部屋は、誰も来ないどころか、前を通るのですら寿命が縮まる。


そんな部屋に命知らず…いや、信頼しあっているからなのか、ヴァリアーの実質の右腕である銀髪の男が、
返事を待たず、勿論ノックすらなしで、扉をブチ破る勢いで雪崩れ込んできた。


「……うるせーぞカス。」

「あ゛あ゛ん!?……ってなんだ、爆弾小僧までいるじゃねぇか。」

「…あぁ。」


勢いよく入り、まず目にとまったのは、
膝の上に獄寺を座らせ、部屋の真ん中にあるふかふかのソファーに深く腰をかけるザンザス。

「悪ィなぁぁあ゙、邪魔しちまったかぁぁあ!?」

「うるせー、別に良い。……寝てるだけだ。」

獄寺は、ザンザスの方を向き顔を肩の上におき、身体を挟み込むような形で小さくなっているため顔が見えず、寝ているかどうかは確認できない。が、

「その体勢で寝るなんて無理じゃねぇかぁ?」

20を越えた男がソファーの上で抱き合っているのもおかしな話だが、
果たしてあのザンザスが、我恋人といえど、自分に全体重を掛けられた状態を目を覚ますまで待っていられるのだろうか。
…答えは、否。きっと数分も持たずに飽きる。

第一普段からあまり寝つきの良くない獄寺が、スクアーロの声に目を覚まさないのもおかしい。

なによりそう言った後、意味深にニヤリと笑った。 ……なにかある。




(なんか、小刻みに震えてねぇかぁ?)

注視しないと気付かないレベルだが
フルフルと、獄寺の肩が震えているように見える。
…目に見て取れるということは、その振動は少なくとも抱かかえているザンザスには間違いなく伝わっているだろう。


「…で、なんか用でもあるのか?」

それなのに、それを気にするそぶりも無いなんて…やはりおかしい。
いくら冷酷なこの男でも、腕の中の恋人が震えていたら心配す、「んっ」


「……?なんだぁ、」

震える獄寺をじっと見ていたから気付いた。
一層大きく飛び跳ねたかと思ったら、獄寺から漏れた声。


(なんだ寝言かぁぁ?それにしては妙に艶かしいような…、
そういえばよく見れば耳まで真っ赤…ん?ま、まさか…!!)

「お、おい…ボス、てめぇまさか…、」

「ククッ、遅ぇよ。居たきゃ居てもいいぞカス。」

「っ!!出てくっつーの!!」


(そういうことか!そういうことか!!)


気付いたとたん顔を真っ赤にして部屋を飛び出したスクアーロ。


そ、そりゃぁノックも返事もなしに入っていった俺も悪いけど、
真っ昼間からしかも執務室で何やってんだアイツら!

ああ゙あ゙あ゙あ゙、俺のカスやろぉぉ゙ぉ゙お゙!!


年の差と身長

伸びた……伸びた、伸びたっ!!!




大嫌いな学校も、大嫌いなイベントも、
今日のこの日、この数分の為に我慢できる。

そう、僕にとって今日は待ちに待った一年間の一大イベント。


意味不明な椅子に座って頭に棒を押さえつけられても、

エノキが刺さったような不格好な機械の上に立たされたり、

黒い杓文字を片目に当てたり、
ピンクのナース服着た女が、胸元のあいた服で誘惑してきたって関係ない。


(5センチ、伸びてる…!!)

言わずもがな、僕の身長が。


飛び上がりたいほどのこの喜びが顔に出ないよう、持ち前のポーカーフェイスを裕に使い、
本日1日の業務(学生生活)の全てを終えた僕には、

その数字しか見えてないし、頭の中は兄だけでいっぱいだったりする。




(また、隼人に近付いた…!)

もう成長が止まっている兄に、徐々に近付いていく僕の身長。

きっと兄も喜んでくれるはず!帰ったら速攻報告しよう。


お兄ちゃんと僕


「隼人っ!!」

勢いよくリビングの扉を開ければ、ソファーで寛ぐ兄の姿。

「おー、お帰り恭弥。」

寛いだ姿勢のまま、顔だけこちらに向ける兄の姿。
…うん、今日はスーツじゃないから社会人には見えない。


「とりあえず手ぇ洗ってこい。」

「言われなくても、うがいだってするよ。」

「ははっ、そうだよな。もうコーコーセーだもんな!」

「……馬鹿にしないでくれる?」

こんなやり取りが出来るのも、強く言い返せるのも、
今の兄が私服で、僕たちの距離が離れてないように見えるから。


でもやっぱり馬鹿にされているとしか思えない…、でもそれも今日まで。
だってまた一つ隼人に近付いたんだから

「隼人っ、隼人!」

「ん〜?」

「僕、身長伸びたよ!」

「ん、あ、…え?まじでか!!」
そっかそっか、今日はそれで機嫌よかったのか!よかったなー!と、はしゃぐ兄。

あーもうすごい可愛い。

「だから僕、174センチになった。」

「おー、とうとう170の壁を越えたかぁ。」

「うん。」

もうすぐ隼人に追いつくよ!その気持ちを込めて見つめれば、

「じゃぁ俺とあと12センチ差かぁ〜」

(…は、12…?)

「え、……隼人186もあるの…?」

「うん。確かそんなもん。」

嘘だ…!
僕の目分量ではせいぜいあって180くらいだと思ってた…!


「恭弥くらいの時に一気に伸びてなぁ…1年で8センチくらい伸びてたなぁ」

はははっ、と昔を思い出して照れ笑いする兄に内心まったく穏やかじゃない僕。


僕より線も食も細い兄が、なんでそんなにスクスク育つんだ…
(イタリアの血が憎い……!)

なぜ僕には日本の血しか流れてないんだ。
兄の背を越すどころか、追いつくのでさえ困難な気がしてきたよ……

「いやいや、きっと恭弥ももっと大きくなるって多分!」

「………凄く曖昧な言い回しありがとう。」

「あー、いやー…えーっと…」

「日本人でも186くらい簡単にいけるのな!」

「そうそう!186なんてすぐそこ………って、山本!?」

「お邪魔しますのなー!」

「勝手に入ってくんじゃねえよストーカー野郎が!」


落ち込む僕を、慰めようとしてくれる兄の優しさを受け取るところだったのに、
不法侵入野郎が途中から混ざってきた。

紛れもなく、僕の大嫌いな山本武。

「日本人の血しか流れてなくても186くらいいけるのな!俺だって獄寺よりちょびっと高いし♪」

「っ見下ろしてんじゃねー!果たすぞっ!!」

若干煽られた僕の兄は山本に食ってかかるのに必死で、僕なんか既に眼中になくなってしまっている。

悲し……いや、本当にムカつく奴だよ山本武。


「それにほら……獄寺弟は手も足もデカいから、もっと身長伸びると思うぜ!」

「……そう?」

「あぁ!」

ニッコリ笑った憎き男。
やっぱり笑顔は胡散臭いけど、ちょっとは良い奴なのかもしれない。

「隼人っ、僕、頑張って大きくなるからね!」

「お、おう。頑張ってな!」

「うん!」


兄に「頑張って」と言ってもらえれば、僕の身長もやる気出してくれそうな気がするよ!


「え、でも獄寺の弟は小さいままのが良くね?
可愛いくなくなったら只のガキじゃん。」


…前言撤回。
やっぱコイツ大っ嫌い!!!


年の差と身長
(ムカつくムカつくムカつく…!)

「おい山本!恭弥苛めるなっていつも言ってるだろ!」

「あはははは」
(俺もコイツ、大っ嫌いなのなー!)

弟・コンプレックス

僕には兄が一人いる。
年は7つ離れ、ちょうど10年前から一緒に暮らし始めた、
血のつながらない兄弟だ。


今年社会人になった兄が、毎日皺一つない漆黒のスーツに袖を通す度、
今年やっと高校生になり、真新しいプレザーを着る僕とは、



住む世界が違うんだと、
毎朝、思い知らされている。


お兄ちゃんと僕



兄に特別な感情を抱き始めたのは、もう思い出せないほど昔の話。


初めて会ったあの日から、兄はガサツで喧嘩早くて、どこをどう見ても男だったのに、
眩しいほど光る銀髪だったり、透けてるんじゃないかと思えるほど白い肌だったり、
時折見せる幼い表情が、僕の心を掴んで離さなかった。

そう、僕は生まれてこのかた、兄以外を綺麗だとか、可愛いだなんて思ったこともなかった。


要するに、
始めて好きになった人は、
自分と同じ男で、兄弟で、年が7つも離れている。

ただそれだけ。

「………はぁ、」


世の中にはもっと辛い恋愛をしているであろう人間が五万といるだろうけど、
だからと言って、自分の状況がプラスだとはとても思えない。

「………不毛だ。」

「あ〜?何だよさっきから。」

今まで僕の存在すら無視していた隣に居座る彼に視線を向ければ、



ミルク味の棒アイスを、これでもか!というほど卑猥に舐め、
2人掛けのソファーの片割れに座り、携帯をピコピコピコピコいじりながら、隣にいる僕をチラリとも見ず、



食べてください。と言わんばかりに、露出されたうなじとか……
こんな美味しそうな状態を、何度もみすみす取り逃がしてる事とか、
(全部だよ!!!)


声を大にして叫んでやりたい、『食わせろ』と。



(……それが出来たらどんなに楽か。)


我が儘な弟だったら、冗談だって笑い飛ばされても良いから言えたのに…、それはそれで悲しいけど。



「うあっ、……山本に呼び出された。」

「……」

そう、そして最近、兄にベタベタまとわりついている男が一人いる。

どうやら兄と同じ会社の同僚らしい…、
が、絶対アイツはそうは思ってない。


たまに、兄が見ていないところで、
兄の肩に手をかけ自分の方に引き寄せた時、僕に向けてくる視線が、『どうだ、小僧?』と言ってるようで気に食わない。


ああそうだよ!羨ましいよ!

僕が同じことしようとしても、身長が足りないから背伸びしないと出来ないしね!


「ちょっと行ってくるな。」


行くな。と言ってやりたい。

「あんな奴、羊の顔していつか隙見せたらペロッと食べられちゃうよ!」って言ってやれたらどんなに良いか。


「……いってらっしゃい。」


それでもそう言えないのは、これ以上子供っぽいと思われたくないから。

「あ、今日の晩御飯シチューにするから、早く帰ってきてね隼人。」

それでもやっぱり釘さしちゃったり、
兄のことを一度も「兄さん」とは呼ばず、名前で呼び続けてるところが、


なんだかんだ言って、まだ僕は幼稚なのだと思い知らされるんだ。



弟・コンプレックス
「ん、分かった。すぐ帰ってくるから一緒に作ろうな、恭弥♪」

(だからそういうところが可愛いんだってば!!)



end

ロリィタ・コンプレックス

※雲♀獄←山前提ですが、ほとんどでてきません!そして、恐ろしいほどのパラレルですので要注意です!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
あれだけ、マフィアマフィアと騒いでいたのに、
ツナがごくフツーのサラリーマンになって、
骸がどっかのホストクラブで働くようになり、
獄寺が教師の資格を取り、
雲雀が頭の悪い俺じゃ分からないくらい、凄いトコロに就職して……獄寺と、結婚した。
 
 
 
ずっと、獄寺が好きだった俺は、
獄寺の後を追うようにして、同じ教師へとなったのだが、もうその時には手遅れで、
一度もアイツに思いを告げることができないまま、この想いを封印した。
 
それから一度たりとも会ってはいないが、
アイツへの想いは吹っ切れてないし、諦めだってついてない。
 
 
そんな気持ちのまま、他の女に手を出す事も出来ず、
ここ何年か悶々とした日々を過ごしている訳だが、
 
だからと言って……
 
『おい!山本っ、聞いてんのかよ!』
 
俺の半分ほどしかない身長で、俺を見上げる一回りも離れた教え子を、
(いろんな意味で)可愛いと感じてしまっている俺は、
 
 
(もう、末期症状なのなー!!)
 
 
 
 

『おい、山本!』
 
「はいはい、山本先生なのなー」
 
 
俺を呼び捨てにするこの子は、最近良く絡んでくるようになった3年2組の「つばさ」ちゃん。
綺麗なストレートの黒髪に、澄んだ瞳。女の子にしてはキツイ目つきをしていると思うが、
何故か俺は最近、この子がお気に入りのようだ。
 
「つばさちゃん、俺になんか用?」
 
『ううん、別に。』
 
ぶっきらぼうな話し方や、がさつな態度が、どことなく昔の獄寺を彷彿させるものがあるのか、容姿は全く似てないこの子に昔の獄寺を被せて微笑ましく見つめている俺は、
聖職者の称号を剥奪され、ロリコンという名前を付けられてもおかしくないような気がする。
(いや、別に手を出してるわけじゃないけど…)


まだ自制心でなんとか保ててはいるけれど
たまにこの子をそういった対象に見てしまいそうになる自分が怖い…!!
 
 
こんなことで、悶々と悩み、「俺は変態なのでは…」という自問自答を繰り返す毎日を、これから先、何年も続けていかなくてはならないのならば、

雲雀と幸せな家庭を築いているであろう獄寺に、今すぐ会って、思いの丈をぶつけてしまいたい!そしていっそのこと、思いっきりフってくれさえすれば、新しい女に目を向けられるかもしれないのに…!!
 

……やっぱり今のは嘘だ、
獄寺と雲雀が別れてれば良いのに!!
 

なんだかんだいって、俺はまだ獄寺が好きで、未練たらたらなのだ。
 
『今日ね、ママが迎えに来るんだ!』
 
「……そうなのなー。」
 
ああ、子供は無頓着でなんて可愛いんだろう。
この子と(ちょっと気は強いけど)話していると、自然と心が落ち着いて…あー、俺、もしかして、この子の事――……ってそんな訳ねえ!!
 

「…職を失うところだった……。」
 
『はぁ?』
 
冷や汗ダラダラの俺に、不快そうな小さな視線が突き刺さる。
 
……うぅ、こんな視線を送り方まで獄寺そっくりなのなー!

 
『あ、ママ来た。』
 
「おー、じゃぁ気をつけて帰れー。」
 
ポンポン、と軽く頭を撫でてやり、(何俺っ、先生っぽい!!)
一応先生なのだから、母親にも挨拶しておこうと視線をあげる。
 
 
「どうもお世話になっております。体育の――――、」
 
『ママー!』
 
「……は?お前何やってんの。」
 
「っ、獄寺!?」
 
視線を上げた先には、見間違えるはずも無い。
会いたい、会いたい、と思っていた獄寺本人。


「な、なっ、なんっ…!?」
 
「うわー……まじかよ。」

胡散臭そうに俺を見ながら、つばさちゃんを抱きかかえる。


「つばさが、背の高い、口癖が『山本先生なのなー』って言う奴がいる。って言ってたからまさかとは思ってたけど。」
 
「ご、ご、獄寺…!!」
(超美人…!!)
 
もはや、獄寺の話は俺には届いていなかった。

学生の時より遥かに綺麗になった獄寺が、いきなり俺の目の前に現れて、もう我慢なんてできないのなー!

「ごっ、」

「人の話聞けよハゲ。つーかテメェ俺の娘に手ェ出してねえだろうな?」
 
「だ、出すわけねーのな!」
 
いきなり核心を突くような発言をする獄寺に焦って、答えたが、
……よかった、「かろうじて」とか余計な言葉が勝手に出てこなくて。
 
……っていうか
「娘!?」
 
「は?『雲雀翼』。間違いなく、俺と雲雀の娘だろーが。」
 
嗚呼、そう。別れてなかったんですね…。
 
「獄寺に、全然似てないから…」
 
「おう、だろ?面白いくらい雲雀にしか似てねーの!」
 
ケラケラ笑う獄寺に、俺の心は超複雑。
 
「何、俺……雲雀の顔にクラッとキてたわけ…?」
 
「ん?何だって?」
 
「…なんでもないです。」
 
もう何て言うか、項垂れるしかない。
 
 
俯いたまま顔を上げない俺に、会話続行不可能だと悟ったのか、
「さー、帰ろうねー」とか言いながら、つばさちゃんの手を引いて、歩き出す獄寺親子。……間違えた雲雀親子。
 

『ママ、最近話してみて思ったんだけど、アイツ笑顔が胡散臭い。』

「あ?……そうか?(コイツ、恭弥と同じこと言ってやがる…)」


つばさちゃんの雲雀みたいな一言に、心にばっさりと傷が残る。

本当、顔も中身も
雲雀そっくりだよ!

 

ロリィタ.コンプレックス
(どれもこれも…獄寺の血が混ざってるのが悪いんだ!!)

 

 

end

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