※雲獄  女雲+雲獄  骸獄→←雲
という流れです。かなりバッドエンドです。
雲雀さん最低です。それでも宜しい方はどうぞ!








晴れ渡る青空、


俺と雲雀が付き合い始めた日も、ちょうどこんな青空だった。


そして、俺達が別れた日も――――――、







青空






俺は結構前から、雲雀の強さとか真っ直ぐな瞳とかが好きだった。
だから、あの日、
屋上でこの空を見ながら、「好きだ、」と言われた時、
本当に本当に嬉しかった。


俺が、「好きだ」の一言がどうしても言えなくても、
「隼人の気持ちは分かってるから、無理して言う必要なんてないよ。」
と抱きしめてくれるアイツが好きだった。
―――否、今でも好きだ。


アイツが俺に優しくする度、
無理しなくていいんだ。雲雀は分かってくれている。
そう思って、
結局俺は、一度だって雲雀に「好きだ、」なんて言ったことが無かった。



だからなのか?
だからお前は、俺に愛想を尽かしたのか…?


俺が…もっと素直だったら、

お前は今でも、俺の隣にいてくれたのか…?








+++++++



俺と雲雀が付き合いだして、半年くらい経ったころ、
雲雀の様子がおかしくなった。


おかしくなったというか、応接室以外で俺と会うことが無くなった。
もちろん休日はお互いの家に入り浸り、放課後だっていつも一緒にいた。


だから俺は気が付かなかった。



雲雀に、

―――――他に女がいたことに。






++++++


それに気が付いたのは、付き合いだして1年が経った時。
やはり、1年という大事な日。俺にとっても特別だし、雲雀にとっても特別な日だと、俺は勝手に思い込んでいた。


普段、雲雀には優しくしてもらっているから、何かお返しがしたい。
そう思い、物を渡せば良いって話ではないが、要は気持ちだ。

何か、雲雀にプレゼントしようと思い、街中を歩いていた。


今日は雲雀は用事があるらしく、俺とは会えないと言っていたので、調度良いと思い、一人でプレゼントを探していた。




すると、偶然骸と会ったので、一緒にプレゼントを探してもらうことにした。

骸と雲雀は犬猿の仲だが、骸は俺には優しい。
だから、こういう時、嫌いな相手のプレゼントでも、しっかり選んでくれる。
コイツの良い所だと思う。



「―――骸、悪かったな一日付き合わせて。」

「いいえ、決まって良かったですね。」

結局、朝から探したプレゼントは、夕方になってようやく決まった。
アクセサリーを身につけない雲雀に買ったストラップ。


1匹の銀の竜が、透明のガラス球を中心に渦巻いているデザインの物だ。
我ながら、雲雀にぴったりの物だと思う。


「骸、本当さんきゅーな。せっかくだし…飯でも食っていくか?」


「えぇ、……そうします…、」


そう言うと、歩いている俺の前に立ち、視界を妨げられる。


「……骸?」


「……、なんでもありませんよ。」


そう言いながらも、その場から退こうとしず、焦ったように様子がおかしい骸。

「…何か、あるのか…?」

「……いえ、何も。」


「…どいてくれ骸。」

「…駄目です、」


こういう時、骸は絶対に退かない。
でも、きっと骸が隠しているものは、見たら俺が傷つくもの。

「……10代目か?」

「……、いえ。」


「……雲雀、」


「……、いえ。」



ポーカーフェイスのコイツにカマを掛けたってどうせ分からない。
だけど、

「……雲雀だな。」


雲雀しかいない。
いつも笑っている骸から、一切の笑顔が消えているのだから。

「っ、隼人君!!!」


骸の静止を聞かず、俺が見たものは、



知らない女と腕を組み、その女に笑いかけながら此方に向かって歩いてくる、
雲雀だった。









++++++



「ねぇ、恭弥さん。今日はどこにつれていってくれるの?」

「さぁ、どうしようね。どこに行きたい?」

「ん〜、どこでも良いわ。」

そう言いながら、雲雀の腕にベタベタ纏わりつく女。

……群れるの嫌いな癖に、ベタベタ触らせてんじゃねーよ。
しかも、「今日は」ってなんだよ。他にも、他の日にも、この女と会ってたのかよ。


「ねぇ、今日は恭弥さんの家に言ってみたいわ。」

「僕の家…?ふふっ、そんなの良いに決まってるじゃない。」

自分のテリトリーに、その女を入れるのか。
誰も普段は寄せ付けない癖に。

「本当っ嬉しい!!恭弥さん大好きっ!!」

「……僕もだよ。」


……は、………?


大好き?……大好き…?

僕もって…どういうことだよ…、

何、雲雀はその女が大好きなのか?


……じゃぁ、俺、は……?



物影に隠れて聞いている俺達には全く気付かず、そのまま会話が続いていく。
正直俺は、これ以上なんて聞いていられず、立っているのだって骸に掴まっていなかったら、今頃崩れ落ちている。


「ねぇ、恭弥さんっ!早く帰ってセッ―――――、」


「……隼人君、これ以上は聞かなくていいでしょう。」


骸が耳を塞いでくれたおかげで、最悪の言葉は聴かなくて済んだ。
そう、聞かなくて済んだだけ。



これから、雲雀があの女と何をするかなんて、


もう、聞かなくても分かるのだから。









++++++


とぼとぼ無言で歩く俺に、骸も何も言わず何も聞かず、
ただ、俺の家までの帰路を歩いた。




「……隼人君、僕はこれで失礼します。」


俺を玄関まで、送り届けると、それ以上は入ってこず、
帰ると告げる骸。



「……あぁ、悪かったな。」

「いえ、本当は一緒にいた方がいいのでしょうが、
まだ貴方は雲雀恭弥のモノですので、これ以上の手出しはできません。」


「……あぁ、」


「……雲雀恭弥とケリが付いたら連絡ください。…鍵、閉めてくださいね。」


そう言うと、俺の返事を待たず、骸は帰っていった。


正直、涙も出ない。
むしろ、どこかで納得さえしている自分がいた。



雲雀には女がいた。
だから付き合って1年、
キスもセックスも、何もしてこなかったんだな。



なんだ、俺は、最初から

(遊ばれていたんじゃないか。)











++++++




「おはようございます10代目!!!」


俺はちゃんと、笑えているだろうか。

「うん、おはよう獄寺君。」

いつものように、返事を返してくれた10代目に、内心ホッとする。
でも、10代目には雲雀と付き合うことになったと報告してしまっている。
なのでやはり、今回のことも報告しなければならない。


「、10代目…」

「うん、どうしたの?」

「……ひ、ばりの、事なんですが…」

「っ、」

…10代目の息を飲む音が聞こえた。
嗚呼、あなたは知っていらしたんですね。

「…今日、話してきます。俺、このまま過ごすなんて、できませんから。」

「…そう、だよね。…気付いてたのに、黙っててごめん。」

「…いえ、とんでもありません。」


こんなときにまで謝って下さるなんて、なんて10代目はお優しいんだ。
そんなの、騙されていた俺が悪いのに。








++++++





それから、その日の事は覚えていない。
応接室で、雲雀に別れを告げ、
思いっきり殴られたことしか覚えていない。



俺が目を覚ましたときには、すでに保健室のベットで、手当てされた後だった。


どうやら、10代目と山本、そして10代目と連絡を取り合っていたようで骸が、俺を雲雀から助け出してくれたようだった。


その時の俺は身体中ボロボロで、指一本動かすことすら出来なかった。






+++++++




あれから10年、
俺は今、骸の隣にいる。


雲雀は…よく知らない。
あれからも激しい女関係は続いているらしい。



でも、それ以上は知らない。知りたくない。



だって俺は今もまだ、アイツが好きで好きで仕方が無いんだ。
知ってしまったら、アイツを目で追ってしまう。


骸には悪いけど、
アイツ以上に好きになれる奴なんて、これから先一生現れない。









雲雀と別れたあの日、記憶の最後に聞いた、


『どうして、僕はキミを一番愛しているのに―――、』



あれが、夢だったのか、現実だったのか、





アイツから離れてしまった俺には、


もう二度と、確認できない
真実―――――――、




end