かったるい授業などサボってしまおうと、いつものサボり場所となっている屋上へと足を向ける。


屋上へとつながる階段を上り、扉を開けると、
綺麗な青空に、ところどころ広がる雲。



(今日のお昼は絶対10代目と屋上で食べよう!)


そう思い、一歩扉をくぐると、視界の端に映る黒。


(……?)



全身黒ずくめなんて、10代目を狙うどこかのファミリーが、
並中の屋上から進入したのかもしれない。



そう思い、気配を殺し、そっと覗き見ると、


(………学ラン…?)


よく見ると、腕に風紀委員の紋章をし、頭に黄色い何かを乗せている。
……と、いうことは、


(雲雀、か……)



つい過敏に反応してしまった自分に恥ずかしくなりつつも、
授業をサボっている自分が制裁されない、というのもおかしな話。
雲雀が俺の存在に気付いていないならまだしも、
アイツが人の気配に気付かないなんて、それこそ有り得ない。



(なら、どうして…)
と、気になってしまったものはどうしようもない。


全く動く気配の無い雲雀に、少しなら…という好奇心まで沸いてきて、
足音を立てないよう、気配を押し殺し、そっと近づいていく。



(……ね、寝てるのか…?)


近づき、しゃがんで、顔を覗き込んでも、開かれることの無い瞳がそれを固定していて。


(珍しい…、)


こんなところで無防備に寝ているなんて。
人が近づいても起きないなんて。




フェンスにもたれ掛かって静かに目を閉じている雲雀は、
正直寝ているのか、死んでいるのか分からないほど綺麗だ。




(日本人とは思えないほど、肌白い…)


ついつい自分の肌と見比べてしまうほどだ。







(まぁ、たしかに今日は日差しも暖かいし…眠くもなる、か…)



そう思えば、自分もだんだん意識が遠のいていくのを感じる。


(やべぇ、雲雀の近くで寝るなんて、…まるで、まるで俺が…)


頭では駄目だ、と命令を出しているのに、閉じる瞳と、全く動こうとしない体。


(駄目だ、…俺が……ひ、ばり…に……)





抵抗する意識とは裏腹に、閉じる目を止めることなど出来ず、

雲雀の足元に蹲り、そのまま眠りに落ちた。







(なんでキミ僕の足元で寝てるの。)
(ち、ちが……!ただ日差しが暖かかったから…!!別にお前の側だと安心したとかじゃねーんだからなっ!って聞いてんのか雲雀!!!笑ってんじゃねー!!!)




end