※高校生くらいの設定で骸獄+風です。
風さんは大人姿だと思って読んで下さい!!





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「今日は風が強いですね。」


獄寺を抱え込むように座り、風になびく髪をいじる。


「ちょっと寒いよなー。骸、そんな薄着で寒くないのか?」


昨日まではそこそこ暖かかったので、
骸は、学ランは着ずシャツにカーディガンという春スタイル。
一方寒がりな獄寺は、中にかなり着込んだ上で、学校指定のカッターシャツに、前開きのパーカーまで着ている。


「寒いですよ。寒いからこうして隼人君を抱きしめて暖まっているんじゃないですか。」

ぬくぬくと、獄寺を抱きしめ良い匂いのする頭に顔を埋めている骸だが、
(正直めちゃくちゃ寒いです…!)


抱きかかえ、獄寺と接している部分は確かに暖かいが、後ろの直に風が当たっている部分が寒い。


「なぁ〜、」

獄寺の甘えた声に、

「はい、何ですか隼、「おや、これはこれは嵐の子ではありませんか。」


骸の後ろから聞こえた声に、後ろを振り向くと、

「なっ、!!」

「あ……お前は確か…、」

「お久しぶりです隼人君。」

整った顔に、黒い長い髪。

「風っ…!!!」

(ふぉん…?)

「どうも、覚えていてくれたようで嬉しいです。」

ニコリと笑う男はどう見ても、
(雲雀恭弥…、)

初対面の骸には、誰なのか理解できないようだ。

「あっ、骸は初めてだっけ?」

「えぇ、この僕の嫌いなあの忌々しき鳥頭と瓜二つなこの男は一体…?」

(あぁ、そういえば雲雀とコイツって仲悪いんだっけ…)

「えぇっと…、」

「…獄寺、隼人君…でしたか?」

「あっあぁ、」

急に、風から名前を呼ばれ、そちらを向くと、


「何ですか、その南国果実のような頭をした鳥肌立ちまくりの男は…、格好つけての薄着はいいですが、鳥肌が立っていては全く格好良くありませんね。」


雲雀のように、黒いオーラを纏い、
雲雀よりは丁寧な口調ではあるが内容は相当酷い。


「あ、えっとコイツは…」

「僕はボンゴレの霧の守護者で、なおかつ隼人君の恋人である六道骸です。」

「そうですか。霧の守護者の六道骸ですね。
私はアルコバレーノの隼人君と同じ波動を持つ風と申します。」

自己紹介をしながらも相手を牽制し合う二人。


「隼人君、この中国人風情は雲雀恭弥と何か縁でもあるのですか?
あまりにも似すぎていて虫唾が走ります!」

「おや、奇遇ですねぇ。
私も貴方を見ていると、何故だか踏みつけたくなりますよ。」


風は、先程声を掛けた位置から一歩も動かず立っているが、
骸に到っては我慢の限界が来たのか、若干獄寺を押しのけて立ち上がり、
何故か既に槍まで装備している。


「雲雀恭弥共々…堕ちていただきましょうか!!!」

槍を振りかざし、風に向かっていく骸に対し、

「ふふっ、焦るものではありませんよ…
おっと、……時間です。」


フワリと風に舞い上がり、木の上に乗る。

「っ、!」

「貴方と戦うのは、今ではない。
……風に身を任せて生きるのが私のモットーですから。」


そう言い、もう一度宙に浮いた風、

「わっ、」

大きく吹いた風に、一瞬目を閉じると
次に目を開いたとき、風の姿は消えていた。



「……何だったのですか、あの男は…、」

「……さぁ、」


突然現れ、突然去っていった男に理解が出来ず、
二人の間に冷たい風が吹く。


「っ、隼人君…寒いのでもう一度…、」

気を取り直し、先程の体勢に戻そうとする骸に、

「お前、鳥肌立つくらい寒い癖に何言ってんだ。
……帰るぞ。」

「え!?ちょっ、隼人君!?」


「帰るぞー、」


無常にも、獄寺は既に帰宅モードだ。


「は、はやとく〜ん、」


「風が来なかったら、お前が鳥肌立つほど寒がってたなんて気が付かなかったぜ。
風に感謝しねーとな!」


にっこりと笑う獄寺とは対照的に、顔をひくつかせる骸。


「よし、帰ろう骸!」






(あんのアルコバレーノ…!!僕と隼人君のラブラブ時間を奪うなんて、絶対絶対許せません……!!!)



end