スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

かわいい!(神アレ学パロ)

 

僕が通う学校はかなり大きな高等学校だ。
一学年だけで千人を越えるマンモス校で、その中で普通科、特別進学科、美術科と分かれる。
僕は美術科に通っているのだけど、何がどうしてこうなったのかは知らないが、普通科と対立していた。

「ねえアレン、ちょっと凡人のトコに偵察しに行かない?」

そう言っていたずらっ子のような笑いを向けてきたクラスメイトのロードに、僕は苦笑いをこぼす。
近々催される文化祭、その準備の様子をちゃかしに行こうと行っているのだ。

行けばまたもめるのは目に見えているし、正直面倒で行きたくないが、ロードは僕が行かないと言っても無理やり引っ張っていくだろう。
渋々腰をあげ、やりかけのポスターを簡単にかたずけてロードに付いて行った。

「あんまり問題は起こさないでね?」

と、一応釘をさすが、あまり期待はしていなかった。



***



「やっほー、凡人達ー! どんなつまんない事やってるか見に来てあげたよぉ!」

「ンげっ! 来たか変人どもめ」

普通科の教室に入ってそうそう挑発的な言葉を吐くロードに、あぁまたモメるな……と時計を見ながらため息を吐く。

普通科の生徒のラビとリナリーも慣れたもので、いつものように下らない言い合いが勃発していた。

「何そのウサギ。鍋でもすんのぉ?」

「しねーよ!! ウチのカントリーヌちゃんになんって事言うんだ!」

「うわ、名前ダッサイねー」

僕が心で思った事をロードはサラリと口に出した。

「ウチのクラスはラビットカフェをするのよ。けっこうウサギ飼ってる人が多いから」

「ンで、どんな具合になるか何人かウサちゃんをつれて来てみたわけさ。分かったらさっさと帰れ!」

「獣臭い中でお茶飲むのぉ? 超悪趣味だね」

「おおおおれのカントリーヌちゃんは獣臭くなんかないさぁっ!!」

「だからダサいってその名前」

何故か涙目になってきたラビを見てられず目をそらす。
すると、誰が連れてきたかは知らないが、床に置いているカゴに入った淡い茶色のウサギと目が合った。
僕と目が合うと、そのウサギは長い耳をピンと立て鼻をヒクヒクさせている。

(……かわいい)

実はけっこうかわいいモノ好きだったりする僕は、ふわふわのその生き物に触りたくて仕方ない。
が、こんな険悪な雰囲気の中「触らせてほしい」なんて言えるはずもなく、帰りにペットショップ寄ろうかな……なんて考えていると、

(あ……)

普通科の生徒が、ふわふわのその子の首を掴み上げた。
少し乱暴な手に驚いたが、僕が口を出すわけにもいかないので心配ながら黙って行方を見守っていると、そのウサギは意外な所に行き着いた。

「ほら」

「えっ?」

ずっと目で追っていたウサギが、僕の胸に押し付けられている。

「触りたかったンだろが」

腕を出すとそのまま収まったウサギは見た目通りふわふわで暖かい。

「あ……ありがとうございます。えっと……」

「神田だ」

神田と名のる男子生徒は気だるそうに手をポケットに入れて僕を見下ろした。
そう言えば見覚えがある。
いつもラビとリナリーと一緒にいる人だ。
今まで話した事は無かったので(声を聞いたのも初めてだ)詳しくは知らないが、おそらく彼も騒ぐ周りに無理やり付き合わされているくちだろう。

しかし、こうしてわざわざ気を使ってくれた所をみると、悪い人では無さそうだ。
もしかしたら、言い争ってる彼らに巻き込まれる前に逃げて来たのかもしれないが。
どちらにしても、こんなかわいい生き物に触れたのだから僕としては嬉しい限りで、珍しくロードに付いてきて良かったと思えた。

腕の中のふわふわのウサギは優しく撫でると嬉しそうに鼻を押し付けてくる。

「かわいい……」

こんなに愛らしい生き物がこの世にいたのかと頬が緩むのを感じながら、ロードが冷やかしに飽きるまでずっとウサギと遊んでいた。

文化祭当日はロードに内緒でここに来ちゃおうかな、なんて考えてながら。




end








お久しぶりです!
ずいぶんサボってしまいました(;´∀`)
一応このお話は続く予定です☆
気長にお待ち頂けると嬉しいです(笑)


 
前の記事へ 次の記事へ