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昼下がりの星(リンアレ現代パロ)

 


今朝のテレビでは、今日の最高気温は30度を越すと言っていた。
それを裏切らず、座っているだけで汗がにじむような休日の昼下がり。
本屋からの帰り道で暑さに負け、私はコンビニでアイスを買った。

小さなアイスが12個入ったこのシリーズは最近のお気に入りで、近くの公園のベンチに座りビニール袋から取り出す。
小さな公園は人の気配は無い。
こう暑いといくら元気な子供達でも、外で走り回るよりクーラーの効いた室内でゲームの方がいいのだろう。

そんな事をぼんやり考えながらアイスの箱を開けた時、



「「あっ」」



通常は丸いはずのアイスが、一つだけ形が違った。
しかし、それに驚いたと同時に、私の声と重なった聞き覚えのある声に驚いた。



「すごーい! これに星の形が入ってるのってラッキーなんですよ!」

「ウォーカー‥‥」



ベンチに座った私の後ろからウォーカーは私より嬉しそうに声を弾ませる。



「いつから居たんですか?」

「今ですよ。たまたまリンクを見つけたから来てみただけです。それよりアイス一個ください」



私が返事をするより先に通常の丸いアイスに手をのばして口に入れた。
その様子に座って食べなさいと促せばウォーカーは私の隣に座って「つめたー」と幸せそうに笑った。



「僕それの星形初めて見ましたよ」

「私もです。とくに星形だからといって何もありませんけどね」

「でも嬉しいじゃないですか。知ってます? 星が入ってるといい事が起こるかもしれないんですよ?」

「誰が言っていたんですか。そんな事」

「パッケージに書いてます」



言われ、箱の蓋を閉じてみると、確かに書いている。



「何を根拠に‥‥」

「そんな真剣に考えなくても‥‥。ただの遊び心ですよ。でももしかしたら何か良い事あるかもしれませんね」



そう言いながらアイスへ再び手をのばしたウォーカーに習い私もアイスを一つ口に入れた。
少し溶けかけたアイスは冷たくて甘い。



「‥‥良い事なら、もうありました」

「え?」



まだ口の中で転がしていたアイスを飲み込み、ウォーカーが顔を覗き込む。



「何があったんですか!? リンクがそんな事言うなんて珍しいですよね! いっつも難しい顔してるのに」

「すみませんね難しい顔で。別にたいした事では無いので‥‥それより早く食べてしまって下さい。溶けかけてます」

「そういう事なら任せて下さい!」

「一気に三個も食べるな!」



更に手をのばすウォーカーに慌てて私も口に入れた。
見つけると良い事があるらしい星のアイスは最後まで残り、ジャンケンで勝ったウォーカーが食べた。





休日の昼下がり。

偶然キミに会って、
キミは私に話し掛けて、
私の隣に座って、
私に笑いかけている。

これが良い事でないのなら
なにを幸せと呼ぶのだろう。




end
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