「ねぇ、アレンってさー‥‥。ユウのどこが好きなん?」
談話室にて発した言葉に、フォークでケーキを口に運ぼうとしていたアレンの手が止まった。
「ななななんっ、何の事でしょう僕が‥‥か、神田をす‥‥すっ、好き、と‥‥か、そんなんあるわけないじゃないですかラビっ」
「アレンってすっげえ分かりやすいな」
あらぬ方向に視線を向けながら、ケーキに飾ってあったイチゴをフォークでめった刺しにしだしたアレンを見て、とりあえずイチゴを救出した。
まあその後食べたけど。
「アレンもユウも分かりやす過ぎだって。あれで隠してるつもりだったってのに驚きさ」
「うそ! ラビいつから知ってたんですか!?」
「三ヶ月と四日前から。たぶん他の奴も知ってんだろ」
「えぇっ!?」
「だーかーらー‥‥。二人とも分かりやすいんだっての」
ただでさえ犬猿の仲と噂されていた二人だ。
そんな彼らが急に食事を共にしたり、笑いながら(アレンだけだけど)二人で歩いていたら、誰だって察しはつくだろう。
それに、アレンの表情だって変わった。
ユウと居る時は本当に楽しそうで、笑顔は花が開いたように優しい。
やはりちょこちょこ喧嘩は見かけるが、それはお互いが心を開いてるからこそ出来るのだと思う。
そして何よりあの男だ。
アイツは隠すどころか見せつけている節があったような気がする。
ユウの前で表情がコロコロ変わるアレンが可愛いなぁ、なんて見ていようものなら、殺気をビンビンに含んだおっかない視線を投げつけて来るのだから。
「で、アレンはユウのどこが好きなんさ?」
「そ、それ言わなきゃいけないんですか‥‥」
「んー、別に無理に聞こうとは思わないけどさ。ただユウなんかのどこを好きになったのかなーって‥‥。あんな凶暴で性格悪くて優しさの欠片もない冷酷男なんかを、さ」
「!?、神田は冷酷なんかじゃありません!!」
ちょっと挑発するように言ってみれば、簡単に乗ってきた。
話の話題がユウだからってのもあるだろう。
「神田は‥‥優しいですよ?」
「えー、全然そうは思えないんだけど」
「そんな事ありませんって!」
「じゃあ例えば?」
「えっ‥‥。た、例えばですねぇ‥‥」
アレンは思い出すような動作を見せながら、少し頬を染めながら続けた。
「例えば‥‥。僕が寒そうにしてたら暖かくしてくれたり」
「コートとか貸してくれるんさ?」
「いえ、えっ‥‥と。抱きしめて‥‥くれたり」
「わぁお」
「それとか、迷子にならないように人が多い所では肩を抱いててくれたり」
「へー」
それは周りに俺のモンだと威嚇しているのだと思う。
「あと、お風呂で髪とか背中洗ってくれるんですよ。僕はちゃんと洗えてないって言って」
「マメだな」
ただボディタッチがしたいだけの下心じゃないのか。
「あとは‥‥、あっ、この前服を買ってもらっちゃったんですよね!」
「どんなの?」
「ショートパンツとタンクトップです。動きやすいから部屋着にしろって神田が」
それこそ下心だ。
オマケに部屋着って事は他の野郎には見せたくないらしい。
「それに、髪切ったりタイを変えただけですぐ気づいてくれるんですよ。一センチ切っただけでも。褒めてくれたりはしないんですけど、『変えたんだな』って‥‥。気づいてくれるだけでもやっぱり嬉しいです」
「そうさねー」
ストーカー並みの観察力だ。
「あ、あと‥‥」
「ん?」
不意に下を向いたアレンの顔は、赤くなりながらもどこか嬉しそうだ。
「キス‥‥する時に、僕の後ろが石垣の時なんか背中に手を添えててくれるんです。たぶん僕が痛くないように‥‥」
「へっ、へぇー‥‥。優しい‥‥な」
「そうでしょ!!」
優しいと言う単語を出せば、アレンは目を輝かせながら俺を見た。
その後は、最初の神田との関係を恥ずかしがっていたアレンはどこへやら、ひたすらノロケ話を聞かされるハメとなったのだった。
* * *
「よぉユウ‥‥」
「なんだクソ兎」
「お前って意外にプレイボーイだったんさね」
「モヤシ限定だ」
「反論してこねぇさ!? 何この自信満々な態度!? イラッとくる!!」
「それよりテメェ‥‥、モヤシと何話してやがる。まさか二人っきりだったんじゃねぇだろな」
「ウッセェこのモヤシバカ!!」
「誉めたって許さねーよ」
「誉めてねぇっ!!」
変わりゆく時代と友人に、俺はなかなかついて行けそうにない。
end
何でもいいからギャグっぽいのが書きたかったんです(笑)
さて、突然ですがサイトの話です。
学園パロでアレンを中心に日常を書いていた『日々』ですが、ずいぶんと滞在していました。
確かに忙しいと言う事もありましたが、何よりネタが浮かばないと言うのが原因ですかね;
毎日となると似たり寄ったりな日常になってしまってましたし‥‥。
始めたキッカケとしては、リッセは更新が極限に遅い為、もし更新を期待して来ていただいている方がいたら申し訳ないと思い始めた物でした。
当サイトにわざわざ足を運んで頂いたからには少しぐらい楽しんでもらいたい‥‥と。
しかしその『日常』を書く為に作品の制作時間を削っていたのも事実で、それでは意味がありませんよね;
なので今月いっぱいで一旦外そうかと思います。
二年ほど続けていたのでちょっと寂しいですが、その僅かに空いた時間を出来る限り作品に費やして行こうと思いますので!
とにかく書きたい話がたくさんあるんですよ(笑)
ではでは、長々と失礼しました‥‥m(_ _)m