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新年どうお過ごしですか?(神アレSS)

 


「あ、神田!」

長い廊下を歩いている最中だった。
誰もいないと思っていた深夜の場所で予想外の声に、表には出さず驚く。

「何してんですかこんな時間に?」

「てめぇこそ何してんだ。また迷子かよ」

「‥‥‥違いますよ」

俺の隣をキープしたこいつはそっぽを向きながら返事を返した。
また迷ったようだ。

「監視野郎にひっついてりゃ迷わないだろうよ」

「そんないつもいつもリンクに合わせられませんよ」

幼い子供のように頬袋を膨らませて文句を言いだしたが、今こいつは監視の元を離れていてもいいものなのか。

(そういや、こいつと二人になるのは久しぶりだな)

周囲の反対は関係なく、上からの決定でいつも監視がついていた。
任務でペアになり軽く二人で策の話をする時はあれど、傍には必ずあのいけ好かない金髪が立っていた。

しかし今は、完全な二人っきり。
チラリと隣を見遣れば、監視野郎の話は終わって、食堂の新メニューの話を嬉しそうに話していた。
軽く相槌を打ちながらこいつと過ごす静かな時間は、悪いもんじゃない。
そんならしくない事を考えていた最中だった。

「!?」

突然、教団の静寂が破かれた。

どこか遠くで破裂音のようなものが聞こえ、複数の叫び声まで混じっている。

「AKUMAか!?」

素早く愛刀に手をかけ、騒ぎの中心に向かおうとしたその時、俺の腕をモヤシが掴んだ。

「何やってんだモヤシっ!」

「おめでとうございます!」

「は?」

俺の腕を掴んだままこいつは笑いながら言った。
わけが分からず、「何言ってんだお前」と怪訝な顔を向ければ、こいつはさらに声を出して笑う。

「年が明けたんですよ神田。今食堂で年明けパーティーが始まったんだと思います」

「‥‥‥‥あぁ‥‥」

年明け、そんな事など完全に忘れていた。
そもそも年が変わるからといって他に何か変わるわけでもあるまいし、そんな事でなぜ浮かれられるのか不思議でならない。
一瞬にして張り詰めた神経がジワジワと緩み、阿保らしいと舌打ちした俺に、またこいつは笑う。

「ねぇ神田」

「‥‥ンだよ」

「明けましておめでとうございます」

「あぁ」

「今年もよろしくお願いしますね」

「今年は足手まといになるなよ」

もーっと怒ったような声をあげるが、こいつは笑ったままで、俺もつられるように笑った。
こんな年明けも悪くないと、つい先程阿保らしいと考えていた事を棚に上げてそんな事を思う自分が可笑しかった。

「じゃあ僕はパーティーに行きますね。どうせ神田は参加しないんでしょ?」

そう言って階段を降りはじめたモヤシは、踊り場に着くと俺に振り返る。

「今年神田が一番に話したのって僕ですね」

その言葉に、思わず驚いた顔をすれば、モヤシは少し照れたような笑いを残し階段を駆け降りて行った。
しばらく呆けていた俺だったが、そんな中、そういえばモヤシは迷っていたのではなかったのかと疑問が浮かんだ。
その割には、食堂にまっすぐ向かったモヤシ。
なぁ、もしかして

(俺を探してたのか?)

そんな筈はないと思いながらも、期待だけは捨てきれないでいたのだった。




END





大変遅くなりましたが‥‥

新年おめでとうございます!!
新年の挨拶をする前にどうしてもアレきゅんの誕生日を祝いたくて先にアレきゅん誕生日SSをUPさせました☆
充分遅いんですけどね(笑)

さて去年は思ったように話が書けなかった気がします‥‥。
今年はもっとたくさん書けるように自分なりに頑張りますのでどうか見捨てないで下さい;

ではでは☆
2012年も良い神アレ(リンアレ)でありますようにVv



 

いつもキミを見てるから(アレン誕生日SS)

 


誕生日プレゼントを貰った。

「たくさん貰っちゃいました」

「そのようですね」

両手に抱えたカラフルな包みをリンクに手伝ってもらいながら机に置いていく。
仲間から貰ったプレゼントを並べて、ふーっと息を吐きながらその顔は幸せに満ちていた。

「さっそく開けちゃっていいですかね」

「散らかさないで下さいよ」

一つ一つ丁寧に封を開けてまた机に置く。
自分の為に選んでくれたのだろうプレゼントは、心を温めてくれる。
しかし、一つ一つとプレゼントの中身を出していくにつれて、アレンの笑顔は固まっていった。

「‥‥‥」

リナリーからのプレゼントは、水色をしたふんわりと丸いマグカップだった。
ラビからは、赤と白の縦長の、そして神田からは藍色の‥‥マグカップ。

「‥‥三人で打ち合わせでもしたんでしょうか」

「キミが夜寝ぼけてカップを割ったからじゃないですか」

「でも誰にも割っちゃった事言ってませんよ」

なんででしょーっと呟くアレンの隣で、リンクは密かにため息をついた。

彼らが知らないわけがない。
いつも使っていたはずのカップが急に食堂の物に変われば気がつくだろう。
毎日見ていたなら、なおさらだ。
そして毎日、視線を感じていた。
一番傍にいた自分だからこそ、ひしひしと感じるのだ。

「日替わりで使おうかな‥‥」

真新しいマグカップを手に取り悩むアレンの横で、リンクはそんな事を考えながらまた小さくため息を吐いた。
用意していたプレゼントを‥‥マグカップの入ったプレゼントを後ろ手に隠しながら。





END
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