わたしの名前は、藤原藍璃(ふじわらあいり)。
本当は、もう一つ名字があるけど、日本では、お母さんの名字を使っているの。
下の名前は、パパが、草の青と、石の青という意味の漢字を選んでつけてくれたの。パパは、青色が好きなんだって。でも、かき氷は、ブルーハワイじゃなく、苺シロップのを食べているけどね。
夜、眠るときは、時々怖くなるの。
パパは、外国の人だから、パパに似て私も眼の色が青いの。それに、髪の色も灰に近いくらい薄い。周りと同じじゃないのは、やっぱり少し気になるときもあるんだ。からかう子もいるしね。
だから、明日も学校があるな、って思うと眠れなくなるときがある。
そういうとき、パパは、何も言わないで傍に居て、髪を撫でていてくれる。
わたしが、そっと目を開けて顔を見ていると、
「お父さんは、ママと藍璃が世界で一番大切なんだ」
って言う。
藍璃のパパは、偉い軍人さんなんだって。
いつもは厳しくて、怒らせると恐いけど、枕元に来てくれるときは優しい。その内、落ち着いてきて、知らないうちに眠くなる。
たまにお休みのキスをしてくれることも…あったかな。寝ちゃうから、よく覚えてない。
朝は早くに仕事に出かけていくよ。
だから枕元には居ないんだけど、少し、気配が残っているような感じがする。わたしも笑顔で、安心して学校に行けるの。
パパも頑張ってる。だからわたしも勉強頑張らなきゃ、って、思う。
窓の外は、気持ちいい、青空。パパはこの空を飛んでいく。きっと、この空が好きだから、青が好きなんだよね。