それでも花は咲き誇るのだろう。

日曜日の夜に、帰宅した父に、私が甘かった、だからもうちょっと頑張って続けてみる、と告げたとき、びっくりしたような嬉しそうな顔をされて、自分がしたいようにしなさいと言われたときなんか感動した。

休みを明けての月曜日、つまり今日、辞めるか否かの決着をつけるべく仕事に出かけた。やるべきことを早々に片付けて、奥様に話をするために。
土曜日のお話の件ですが、と切り出して、一番の原因を考えた結果、私の意識の甘さではないかと思い至った旨を伝えた。
意識を改めて仕事に励もうと思います。ですが、もしこの私の結論が的外れで他に要因があるのなら、例えば、もっと他の、私という人間の根本的な部分が合わないのだと判断されたり、もしくは本当に即戦力として働ける人材が欲しい、ということであれば、それは私は適任ではないから辞めるつもりだった。それならば納得のいく話だったから。
しかし、奥様が語り出した予想外な内容にかなり面食らった。
実はね、と、語り出した真実。まず、私の電話対応に対して苦情があったとのこと。これは自覚あり。おじいちゃんからの電話で、何度も聞こえないと指摘され最終的には別な人に代わられてしまったことがある。確かに声の大きさは十分ではなかったし、話の内容も理解に苦しみ返答にもしどろもどろでもたもたしながらだったから、相手方が気分を害しても致しかたない話。私に非がある。このことが私が解雇を言い渡された理由の一つであるという。けれど、私はそれを後日に知った。今週一杯で辞めてもらえる?と言われた時、電話の対応で声が小さいとは言われたが、苦情があったことは一切言われなかった。苦情があったと叱られるなり注意されるなりしていれば改善に努めることもあっただろうが、それは伝えられていなくて、なんだか突然解雇となったことを疑問に思う。しかも土曜日は、「あなたにこの仕事は合わないかもしれないから」という話がほとんどで、ここがだめだから直しなさいとかいうのがほぼなかったのだ。あってもそれは最後のころに思い出したように出てきた。別な人から声が小さいと指摘されていたから、その段階でとっくに改善していなければならないことではあるから、やっぱりこれも私の考えが甘いのか。
それから、私が引き継ぎをしてもらっている人やもう一人の事務の人に「あの子はこの仕事ダメかもしれない」と言われたのだと聞かされた。これも初耳だ。土曜日は社長の意向でと聞いていたが。実際に教えている担当の口からその判断は確かにえらく重要か。引き継ぎをしてくれてる人にこう言われたから、とりあえず土曜日に諭してみたのよ、みたいなこと言われた。今日で辞めて発言は本気じゃなかった?
あと、もたもたのんびり仕事されては困ると言われた。つまりは即戦力が欲しいのだと。確かに、早く使えるようになって欲しいのだと言われることはわかる。ただ、あまりにも猶予がなさすぎると嘆きたくもなる。これも私の甘えか?話を聞くと、あまりに厳しい要求なのだ。こっちは忙しいんだから、あなたにもたもたされるとたまったもんじゃないのよと聞こえた。
初めてだから時間はかかってしまうかもしれないが、できる限りの努力をして、なるべく早く知識をつけ、なるべく早く使える人材となれるようやるつもりではいる。しかし、一回や二回の経験で、最悪、一度聞いただけの説明でこちらの求める結果を出せ、だが失敗したら認めない、というのでは困るという話。奥様の言い方では、どうしてもこう捉えられてしまったのだ。一週間で解雇の判断をされてしまうのも頷ける。本当にこうだったら私は頑張れない。
「とりあえず暫くやってみて、ね?」話を聞いていて、なんだか言葉がなくなって、自分の考えを半分も伝えられぬまま話は終わってしまった。なんだか腑に落ちない気分のまま一日が過ぎた。
帰宅して母に話したら、苦い顔をしていた。「社会人は甘くないんだよって、ちょっとやそっとのことで投げ出そうとしてるならそう言うけど、これは言えないよね」と不愉快そうに言っていた。「そこまで無理して我慢して頑張らなくても、もっとほかにいいとこあるじゃんて思ってしまうけど」「その会社、ちょっとどうなの?」と、母にしては珍しく感情的になっていた。あちら側の解雇発言が相当印象悪いらしい。
まぁ私も思ったんだ。これは、「本当に合わない」線も考えられるのではないかと。仕事の内容もそうだけど、環境的にも。中小企業で、一つの家族が丸ごと会社になってそこに他人の従業員が加わっているというとても濃くて特殊で独特で難しい会社だ。社長も奥様も一癖ある人たちで、解雇という言葉を使って私を試すくらいだから。環境的にはもしかしたら合わないのかもしれない。解雇を告げられたことで、私も会社に良いイメージはない。いざとなればあなたのことなんて簡単に切り捨てるのよ、ということね?まぁ今なら代わりはいくらでもいますから。ごもっともです。
まあ、全ては仮説にすぎない。まだ何もしていないのだから。まだまだ私は未熟で甘いから、こんな弱音しか言えないのかもしれない。
明日、引き継ぎしてくれてる人にたくさん話を聞いてみようと思う。仕事の内容や、私に対する評価も。どんなところがダメなのか、合わないのか、全てを話した上で聞いてみようと思う。
どう転ぶのか、それはやってみなければわからない。とりあえず、仕事である以上、やりたくないことでも何でも、やらなければならないことはやる。その根性はあるつもりだ。しかし、それでも本当にこれは「違う」と思った時は、自らの意志で辞めるつもりでもある。早々に切り上げて次の場所でそれはもう頑張る。引き継ぎの問題もあるし、なるべく早めのほうが互いに痛手も少ないだろう。まぁ、これは最後の手段。辞めることはいつだってできるのだ。とりあえず明日、話をしよう。
今週がけっこう正念場だと思う。