スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

小ネタ(スズナリでクリスマス)

もうすぐクリスマスという頃、鈴が相談があるというので試しに話を聞いたみると、鈴から意外な言葉が飛び足していた。

「サンタになりたい?」

夏実は思わず聞き返して、まじまじと鈴を見やる。鈴は至って真面目な表情で頷いていた。

「どうしてまた?」

今、自分がどういう顔をしているかと問われたら上手く答えることは出来ないであろう複雑な表情を浮かべて夏実は聞き返す。

「なーちゃ、あのね、おねいちゃんはサンタさんがいることを信じていないんだって。
でも、鈴はサンタさんがいることを証明したいんだけど、どうやってサンタさんに会いに行けばいいのかわからないから、だったら鈴がサンタさんになればいいよねって」

言っていることは無茶苦茶だが、鈴の気持ちななんとなく伝わってくる。
と同時に、何かが夏実の中でひらめいて、鈴に耳打ちするように自分の顔を近づけていった。

「それなら鈴ちゃん、こういうのはどうかしら?」

悪戯をする子供のような晴れやかな笑顔で夏実はこそこそと鈴に伝えていく。
鈴は頷きながら、じっと夏実の提案を聞いていたが、やがてぱあっと表情を輝かせると夏実の手を握り締める。
それもつかの間のことで、鈴は夏実の手を放すとすぐさま駆け出していっていた。

「なーちゃありがと!鈴、おねいちゃんのためにがんばってくるね!」

元気よく手を振っていく鈴を見送って、夏実は一息ついて表情を綻ばせる。
見守るような、どこかもの寂しげな様子はどこかしら姉や母親を思い浮かばせていた。

「せっかくの二人の時間だから、大切にするのよ」

誰にも聞こえないように呟いて、夏実は消え去るようにその場から立ち去っていく。





クリスマスの夜に鈴はこっそりと自分達の部屋から脱け出すと、母親に作ってもらったサンタの衣装に身を包んで、鈴は眠っているはずの楓の部屋に舞い戻っていく。
案の定、楓はすやすやと寝息を立てていて、鈴はこの日のために用意しておいたプレゼントを楓の枕元にそっと置く。

「おねいちゃん、メリークリスマス」

去り際に、楓の耳元で呟いて、楓の頬に触れるくらいに軽く口づける。
そのまま部屋から出ていこうとしたが、なにかに自分の腕を捕まれていた。
鈴はいきなりのことに驚いてびくっと身体を震わせると、おそるおそる振り返っていく。
そこには表情は読み取れないものの、楓がゆらゆらと起き上がってこちらを見てきていた。
あまりの出来事に、鈴は目を白黒させて固まってしまう。

「妙にそわそわしてると思ったら、なにやっているのよ鈴?」

どことなく呆れた口調で楓は鈴を見据えてきていた。
別に怒っているように感じられるわけではないが、あっさりと鈴の名前が出たことに、鈴の頭の中は真っ白になってしまっていた。

「鈴は鈴という名前じゃないよ。鈴はれっきとしたサンタクロースだよ」

明らかに自爆をしていることに気付かずに、鈴はなんとかその場を誤魔化そうとしている。
思わず楓は苦笑いを浮かべてしまい、掴んでいた鈴の腕をゆっくりと放した。

「はいはい、わかったからもう寝ようね、鈴?」

とにかく鈴を落ち着かせようとあやしていると、鈴が突然ぽろぽろと大粒の涙を流し始めて、楓はわたわたと思い切り慌ててしまい、泣き止むように鈴の背中をさすっていく。

「ああ、ごめんね鈴。お願いだからこれ以上泣かないで」
「違うもん。鈴は鈴じゃなくてサンタさんだもん。
おねいちゃんのためにやってきたサンタさんだもん」
「鈴…」

鈴の気持ちが嬉しくて、気づけば楓はそっと鈴を抱き締めていた。
そこでようやく鈴は泣き止んで、ゆっくりと楓に向かって振り返る。

「…おねいちゃん?」
「ありがとね、鈴。…じゃなくてサンタさん。とっても嬉しかったよ」

楓は我ながら甘いと思っていたが、すぐに鈴がぱあっと表情を輝かせるものだから、些細なことと思うことにした。

「ま、たまにはいいか」

肩をすくめて一息つくと、鈴が思い出したように身を震わせる。

「…鈴?」
「そうでした。鈴は他の子供達にプレゼントを配らないといけません。
ずっとおねいちゃんと一緒にいたかったけど、ここは我慢して子供達に会いに行くね」

そう言うなり、鈴は部屋から飛び出していき、部屋に静寂が訪れる。
いきなりの展開に、楓はポカンと呆気にとられていた。

「…一体、これは何だったの?」

よくわからなくて混乱したまま途方に暮れていると、いつの間にか着替えてきた鈴が何事もなかったように戻ってきた。

「鈴!これはどういうこと!?」
「ええと、おねいちゃんどうしたの?」

どういうことかと問い詰めようとすれど、鈴はとぼけて答えようとしない。
あくまでもさっきの人物とは別人と言い張る鈴に半ば感心して、楓は苦笑いを浮かべながらも質問の仕方を変えることにした。

「鈴、さっきまでここにサンタさんがいたんだけど、どういうことなのか鈴はわからない?」

すると、「サンタさん」がいることを信じてくれたと鈴は満面の笑みを浮かべながら、事の顛末をしゃべり出していく。

「あのね、おねいちゃんにサンタさんがいることを信じてもらうには、なーちゃがこうしたらいいって教えてくれたからだと思うの」

予想はしていたが、想像通りの展開に楓は思い切りうなだれてしまう。

「もし、私がサンタを信じなかったら、サンタさんはどうするつもりだったと思う?」
「ええとね、なーちゃはそういう時は黒いサンタになってサンタさんを信じない悪いおねいちゃんをお持ち帰りすればいいって言っていたと思うの」
(とりあえず、信じておいてよかった…)

後日、今回の計画を持ち出してきた人物に文句を言いに行くとして、なんだか疲れた気分になってしまった。

「鈴、とりあえず寝ようか?
サンタさんが持ってきてくれたプレゼントを開けてみたいし」

プレゼントはクリスマスの朝に開けるのが正しいクリスマスの楽しみ方と説明して、楓はベッドに潜り込む。
鈴も嬉しそうに楓に倣ってベッドに潜り込んでいった。

「うん!明日が楽しみだね。おねいちゃん」

そう言うと、二人は身を寄せ合って睡魔に身を委ねていく。
明日の朝を笑顔で迎えるのを楽しみにしながら、二人は指を優しく絡み合わせながら心地よく微睡んでいった。










…ええ、なんだかわけのわからない文章になってしまいましたが一応、クリスマスに鈴が楓にサンタクロースを信じてもらうためにいろいろと頑張る話です



クリスマスまでに間に合いませんでしたがまた来年のクリスマスにでも読んでください
orz

小ネタ(ボーダーブレイク)

オペレーターである私の朝は早い。戦場では全員に戦況などを伝えなければならないので、兵士達とのコミュニケーションが欠かせない。
そんなわけで、私は軽めに朝食を取るとファイルを抱えて部屋を出る。

「おはよう」
「おはようございます、上官殿」
「うっす」

廊下ですれ違い様に挨拶を交わしながら、食堂へ向かう。コミュニケーションも大切だけど、その日の兵士達の健康状態を見るのも私の仕事だ。
さすがに不調の者を戦場に送り出すことは出来ないので、そこは朝食の内容、食べた量などで判断する。もちろん、コミュニケーションも欠かさずに。

「おはよう」
「お、おはようございます、上官殿!」

妙に緊張した面持ちで食事中にも関わらず、一人の少女が直立不動の体勢で敬礼をしてきた。

「別にそんなに畏まらなくてもいいのに」
「し、しかし、上官殿の前で無礼は出来ません!」

今時めずらしい、驚くほど真面目な態度にクスクスと微笑んで、彼女に座るように指示すると、私は彼女の目の前の席を指差していく。

「ここ、いいかしら?」
「も、もちろんです!上官殿の好きになさってください」
「そう?嬉しいわ」

そう言って、予め入り口で受け取っておいたコーヒーを置いて、彼女の前の席につく。
目の前の彼女を見やると、なぜか顔を赤らめていて私をまじまじと見つめていた。

「どうしたの?私の顔になにかついてる?」
「い、いえ、上官殿の肌がとても綺麗で見とれてました」
「あら、ありがと」

ますます顔を赤くする彼女がなんだか面白くて、私は彼女に興味が湧いてくる。

「よかったら今度遊びに来ない?
貴女も十分肌が綺麗だし、私のとっておきの手入れの仕方を教えてあげるわ」
「そ、その…、いいんですか?
あ、あと、お褒めの言葉ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」

耳まで真っ赤にしている彼女が可愛くて、私は表情が緩くなっていくのを自覚する。
気が付けば、私は上目遣いで覗き込むように彼女を見つめていた。

「もちろん構わないわよ。あと、これはお世辞じゃないからね。貴女は十分可愛いんだから」

なんとなく彼女の頭から湯気が出ているのが見えたような気がして、私はつい肩を震わせて笑ってしまう。
彼女もようやく余裕が出てきたのか、ほんのりとだけど笑顔を返してくれた。

「ありがとうございます。上官殿のような方に言っていただけて光栄です。
それでは、今度上官殿の家にお世話になります」

そう言って彼女は朝食を食べ終えると、「作戦があるので失礼します」と去っていく。
名残惜しく思いつつも私はファイルを開いて彼女のデータを眺めてみた。
ペンを取り出して、彼女の項目にお気に入りである印をつける。

「さてと、今日も一日忙しくなりそうね」

ファイルを閉じて席を立ち、食堂を後にすると、そのまま指令室へと向かっていく。
なんとなく彼女のことを思い出して、私は唇を歪めていた。
指令室に入り、本日の出撃メンバー、戦場の様子などを次々とチェックしていく。

「ああ、あの子も出撃するのね」

リストを見ると彼女の名前が飛び込んできて、私は思わず彼女だけに回線を開いて話しかけていた。

「今日も頑張ってね」
『じょ、上官殿!?』

マイク越しでも分かるくらいの動揺ぶりに、私はオペレーターとして注意をする。

「落ち着きなさい。ここはもう戦場なのよ?
貴女の不注意で味方に迷惑をかける訳にはいかないわ」
『申し訳ありませんでした。肝に命じておきます』

朝食の時とはうってかわった凛々しい声音に、ほんのりと心臓が波打ってしまい、思わず声が途切れてしまった。

『上官殿…?』
「なんでもないわ。とにかく、無理はしないでね」
『了解しました。約束を果たすために頑張ります』

彼女の言葉に今度は私が表情を赤らめる番になってしまう。
ごまかすように回線を全員に切り替えて、私は声高に叫んでいた。

「目標到着。全機は速やかに目標を撃破するように」

今日も激しい戦いが始まっていく。私は次々と戦況を受け取ると、彼女の無事を祈りながら指示を出していった。
約束を無事に果たすために。









そんなわけでボーダーブレイクのオペ子さん(名前知らない)と真面目タイプな女の子のお話を考えてみました



始めに考えていたのはオペ子さんのハーレm…ゲフンゲフン



とにかく、小ネタでは文字数が多くなりそうだったのでこうなりました



ちなみに、真面目タイプの女の子でうちのサイトの子の名前でプレイしているので、もし見かけたらボッコボコにしてやってくださいw

小ネタ(GAで素猫のクロッキー張)

今日もキサラギは機嫌よくクロッキー張になにやら書き込んでいる。

「出来ました」

クロッキー張の中を見ると、とても可愛らしい猫がたくさん描かれていた。

「…キサラギ殿」
「ひゃあ!!」

後ろからキョージュに声をかけられて、キサラギは飛び跳ねるように驚いてしまう。

「驚かせてしまったな。すまない、キサラギ殿」
「い、いえ、こちらこそ驚き過ぎてすみません」

お互いに謝っていることがおかしくて、キョージュは穏やかに微笑むと、ポンとキサラギの頭に手を置いてゆっくりと優しく撫でていく。

「別に謝らなくていい。キサラギ殿の素猫が見たくて覗かせてもらったのだが、見せてもらっても構わないか?」

いつもの無表情ながら、いつにも増して真剣な様子に見えるキョージュにこくこくと頷いて、キサラギは自分のクロッキー張を差し出していた。

「はい、こちらでよければ」
「ありがとう。キサラギ殿の描く素猫は相変わらず可愛らしいな」

ぱらぱらとクロッキー張を捲りながら感想をつけていくキョージュに、キサラギはほんのりと頬を赤くしてついついうつむいてしまう。

「キョージュさん、ありがとうございます」

はにかんだ笑顔を見せて、キサラギは心弾んだ気持ちで返してもらったクロッキー張を大事そうに抱えている。
ふとキサラギの脳裏にあることが思い浮かび、気がつけばキョージュに提案していた。

「あの、キョージュさん。よかったらこれにひとつ描いてもらえませんか?」

顔が赤くなりながら、ほんの少しだけ勇気を出して再びクロッキー張を差し出すキサラギに、キョージュはこくんと頷くと椅子に腰を下ろして、側に置いていた鉛筆を動かしていく。
どことなく楽しげな雰囲気で描くキョージュに、キサラギは微笑ましい気分でじっと眺めていた。



「ふむ。こんなものか」

クロッキー張を開くと、そこにはキサラギの描いた素猫とはまた違った可愛らしい素猫がのんびりと昼寝をしている。
とても可愛い寝姿に、キサラギはじっと見入っていた。

「キョージュさん、ありがとうございます。とっても可愛いです」

クロッキー張を両手でギュッと包み込んで、キサラギは満面の笑みをキョージュに向けてくる。

「うむ。私も書いててとても楽しかった。
キサラギ殿。もし良ければ、また次も書かせてほしい」
「…はい!」

表情を輝かせるキサラギに、キョージュはクスと微笑んでクロッキー張を見つめていく。
その様子にキサラギはふと言葉が思い浮かび、気がつくと口を開いていた。

「なんだか二人だけの秘密みたいですね」

この言葉にキョージュは珍しく目を丸くしてキサラギを見つめている。
自分の言ったことにようやく気づいたのか、キサラギはみるみるうちに顔が紅く染まっていく。

「…そうだな、私とキサラギ殿の二人だけの秘密だな」

真顔で言ってくるキョージュの様子がおかしくて、キサラギはついつい笑ってしまう。
それに応えるようにキョージュも笑いだし、しばらく二人はとても楽しそうに笑い合っていた。









ただクロッキー張に素猫を書くというお話ですが、キョージュとキサラギが好きなのでこんなふうになってしまいました



ちなみに素猫とはトモカネが素描を間違えて読んでしまった時にキサラギが猫の絵を描いたことがきっかけです

小ネタ(GAで四月バカ)

「キサラギ殿、今日はエイプリルフールだということなのだが」

キサラギの家にキョージュが遊びに来て、キサラギの部屋に招き入れた途端、キョージュはいきなりこんなことを切り出してきた。
キサラギは思わず目を丸くしてしまい、不思議そうな表情でキョージュを見つめてきている。

「え…と、どうしたんですか、キョージュさん?」

キサラギの疑問に応じるようにキョージュは口を開いてきた。

「それでどのようなウソをつけばいいのか分からないのだが」

キョージュの言葉にますます訳が分からなくなり、キサラギの目が点になってしまう。

「あの、キョージュさん?
別にエイプリルフールだからといって、ウソはつかなくても…」
「ウソだ」

きっぱりと放ったこの一言でキサラギの頭の中がさらに混乱してしまい、ぐるぐるとした訳のわからない感情がキサラギを支配していた。

「…キョージュさん?」
「ああ、すまない。キサラギ殿には分かりづらかったか。
『どのようなウソをつけばいいのかわからない』ことがウソなのだ」

キョージュの解説で大まかなところは理解したけれど、どうしてもキサラギには分からないことがひとつあった。

「キョージュさん、どうしてこんなウソをつこうと思ったんですか?」
「それは朝一番にノダ殿が『今日、好きな人にウソをついたらいつも以上に仲良くなれる』と…」
「多分、それウソですよ?」

キサラギの言葉に遮られ、今度はキョージュが目を丸くする番になる。
まるで、今気づいたかのような表情にキサラギはクスクスと笑い出してしまった。
…とそこでなにかすごいことを言われた気がして、キサラギは言われたことを思い出してみる。

「…好きな…人…?」
「うむ、キサラギ殿のことを言っているのだか、何かおかしかったか?」

平然と言い放つキョージュに、キサラギはみるみるうちに頬が赤くなっていく。
顔から湯気が立ち上ぼりそうなくらい赤くなっているキサラギの表情に、キョージュは不思議そうに首を傾げていた。

「大丈夫か、キサラギ殿?」

そっと引き寄せるようにキサラギを包み込み、キョージュは穏やかに微笑みかける。
破れそうなくらい心臓の鼓動を繰り返してしまい、キサラギはどうにかして落ち着こうと大きく息を吸い込んだ。

「キョージュさん、今の言葉はウソじゃないんですよね?」

キョージュにからかわれてるんじゃないかとキサラギは一抹の不安を感じてしまうが、そんなことはお構い無しにキョージュは堂々と口を開いてきた。

「うむ。こればかりはウソにするわけにはいかないからな」

とりあえず、ノダには後で感謝しようと思いながら、キサラギはキョージュに笑顔で応えることにした。









寝おちに寝おちが重なって、エイプリルフールもかなり過ぎてしまいましたが、キサラギとキョージュで四月バカを書いてみました



ていうか、四月バカでどうしてこんなにいろいろと思いつくんだろ?

小ネタ(オリジナルでファンタジーもの)

「…ごめんね、最後まで貴女を護れなかったよ」

意識を失った私の大切な人を護るように覆いながら、私は辺りを見回してみる。
すでに周りにはたくさんの敵に囲まれていて脱出は不可能だった。
私達にとどめを刺そうと相手は魔力の籠った光を放とうとしている。
私は最後まで彼女を護ろうと上から覆い被さり、全ての砲撃をこの身に受けようと目を閉じる。

「…ごめんね、リア」






どこか意識の遠いところでわたしの大事な人の声がする。
辺りは真っ暗…いや、光すら存在せず、わたしの存在しか感じることができない。

「わたし…、どうしてここにいるんだろう…?」

確か大事な人を庇って、ものすごい衝撃を受けて…。

「…もしかして、あの世ってやつですか?」

独り言のようにつぶやいてみるけど、応えてくれる者は誰一人いない。
…いや、気がついたら目の前に綺麗な女の人が立っていた。

「…もしかして死神さんですか?」

もし、ここがあの世というなら、彼女は案内人といったところだろうか?

「違うわよ。ここは貴女の精神の世界。
言うなれば、私はここに住んでいる精霊といったところかしら?」

くすくすと笑って、彼女はわたしの頬に手を当てる。

「あんまり住み心地がいいものだから、居着いていたんだけど、そうも言ってられないみたいね」
「…え?」

わたしがぱちくりと目を瞬かせていると、彼女は微笑んで頭を撫でてくれた。

「貴女のお友達、ものすごく危険な状況にいるみたいね」
「フレアが!?早く助けにいかないと!」
「ええ、貴女がいなくなったら私も困るし、お家賃代わりに力を貸してあげるわ。
とりあえず、手をかざしなさい」
「えっと…、こう?」

彼女の言われた通りに手をかざすと、彼女はわたしの手を胸に当てる。
すると、そのまま彼女はわたしの中に溶け込むように入っていった。







「撃て!」

司令官とおぼしき号令を合図に私達の下へたくさんの魔力光が降り注いでくる。
私は目を閉じて、リアを覆い被さったまま微動だにしなかった。
しかしながら、いつまでも私に衝撃が襲ってくることはなく…。

「…?」

振り向けば、水の壁が私達を護っていた。

「…重い」

聞き慣れた間の抜けた声にリアを見やると、眠そうな目を擦って私を見つめてきている。

「…おはよう、フレア」

感動の再会だったはずなのに、あまりに間の抜けた声に私は急に腹が立ってきた。

「おはようじゃないわよ!このお馬鹿!!」

…ごすっ。

「…痛いよ、フレア」

そんなことを言いつつ、リアは起き上がり辺りの様子を伺っている。
…なんか雰囲気が変わった?

「心配かけてごめんね、フレア。もう大丈夫だから」

リアはその一言を皮切りに、私を抱き寄せて詠唱を始める。

「…しまった!対象はすでに接触済みか!」

司令官の叫びと共にリアの詠唱が完成したらしく、リアは大きく息を吸い込んでいた。

「吹っ飛べー!!」

リアの叫び声を合図に巨大な水柱が辺りを豪快に吹き飛ばす。
しばらくして、視界が晴れてくると辺り一面キレイに更地と化していた。

「…やり過ぎたかな?」

幸い、人里離れた場所だったのが救いで多少の事には目を瞑ることにしよう。

「…って、いつまで抱きついているの!」
「…え?抱きついているのはフレアでしょ?」

私は顔を赤くしたまま、リアから離れて呼吸を整える。

「しっかしなんだったんだろうね?
わたしの顔を確認するなり襲ってくるなんて」

リアの質問に私は答えることができない。
連中の目的もさっぱり見当がつかない。

「さあね、なんにしろ襲われるのは二度とごめんよ」

私はやれやれとため息を吐いて、リアを見やる。
こうして、リアが生きていることがとても嬉しい。
二度とリアを危険な目に合わせるのはごめんだ。

「リア、私が貴女のこと護るから」
「うん、わたしもフレアのこと護るね」

私達は目を合わせて見つめ合う。
とりあえず、宿が恋しくなって私達は街へと歩き出した。









なんか突然、ファンタジーというかバトルものが書きたくなって、突発的に考えてみました



元々、リアとフレアはずっと前から考えていて、一言で表すとボケとツンデレだったりします



とはいえ、突発的に思いついたネタですからどうやって練り込んでいこうと考え中ですが
カレンダー
<< 2024年04月 >>
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30