※ 骸獄で甘め。描写はないですがちょっと卑猥(?)な言い回しがあるので、16歳以下の方は閲覧注意です。
「ねぇ、隼人君。
僕達このまま、溶けてくっついちゃえば良いと思いません?」
情事後の気だるい空気の中、
自称ロマンチストのナルシスト変態野郎が、俺を抱きしめながら問う。
「良い訳あるか馬鹿。俺は立派な右腕になるんだ。」
眠気もあって、いつもより強い口調で本音を言っちまった俺を許して欲しい。
僕の可愛い隼人君の未来を独り占めしようだなんて、沢田綱吉…アイツだけは生かしておけません…!!
なんて、槍でも取り出しそうなコイツを止めないと…
と、頭では分かっているのだが、散々好き勝手された後だ。
指一本だって動かすのがダルい。
というか眠い。
ロマンチストだか、雰囲気を大事にするだか知らないが、
仮にも恋人であるこの俺が眠たそうにしているんだから、
静かに寝かせてあげようとか思わないんだろうかこの男は。
「むくろ、ねむ…、」
「っ、未来を沢田綱吉に占領されて、尚且つ今は睡魔に貴方を取られるのですか!」
そう言って騒ぐ馬鹿。
理不尽だ。
ものすごく理不尽で不愉快だ。
「だれのせいで眠いと思ってるんだよ……」
「隼人君が煽るからでしょう。」
煽ってねえよ。人のせいにするな。
あ、無理。目が勝手に閉じる……
「ちょ、隼人君。本当に寝そうじゃないですか。」
当たりまえだ。俺は疲れている。
何せ、絶倫なお前の気が済むまで相手してやったんだからな。
というか、何故寝かせてくれない。
いつもなら、甘い雰囲気のまますんなりと寝かせてくれるのに。
「む、……んん〜、」
「はーやーとーくーんー!!!!」
「だぁぁぁぁぁ!!!うるせぇぇぇ!!!」
眠いっつってんだろうが!!!
肩まで揺すってくれてんじゃねーよ!
「何なんだよ今日は!!!!」
「だから、僕は隼人君と溶けてくっつきたいんです!」
「無茶言うな!!!」
何が溶けてくっつきたいだ!
「今まさに引っ付いてるだろ!」
「……まぁ、そうなんですけど〜、」
あ、なんか俺今押してる。
何かもう一息じゃね?
ぎゅーとか抱きしめてやったら、コイツ黙るんじゃ……駄目だ、指一本動かせない。
つーか眠い。
怒鳴ってちょっと目が覚めたけど、全然頭は働いてない。
むしろストップしてる。
「……本日の営業は〜、終了させていた、だきま…」
「ちょ、寝ぼけたこと言わないで下さい。襲いますよ?」
襲うって…どっちが寝ぼけてんだよ…、
あ〜もう、めんどくせぇなぁ、
「……ほら、骸見てみろ。」
「……何ですか?」
「そこ、シーツ……俺と、お前のが、混ざり…あって…溶けたみたいにくっついて……ほら、」
「……なんという卑猥な表現。」
「………」
「そうですね。僕達のが溶けて混ざり合ってますね。」
クフフ、と嬉しそうに笑い俺の頭を自分の胸板に押し付けてくる。
硬い。
硬いけど、暖かさが心地よい。
「クフフ、…おやすみなさい。」
どうやら俺の台詞がお気に召したようで、ぐいぐい抱きしめながらも、
俺が寝るのを許可してくれているようだ。
まぁニタニタした空気は強く伝わってくるが。
「お、やすみ……、」
規則正しい心音に安心し、薄れる意識
眠たい俺には、アイツの言っている意味を全部理解なんてしてやれなかったけど、
俺の心を占領しといて、
まだ欲しいなんて、贅沢な奴。
溶ける
(溶けてくっつかなくたって、俺はお前の傍にいるっつーの。)
end