恭弥と結婚してから数年、
今は大企業の若社長となった恭弥と、時をともに過ごし、もう何年になるのだろうか。


婚約を破棄してしまったり、襲われかけたり…といろいろあったが、今も風との仲は続いている。

 

 


「恭弥、今日は風との会食の日だろ。いつまでそうしてるんだよ。」


銀色の髪を持ち、両目が黒の女の子を抱き上げる夫に、早く準備をするように声を掛ける。

「分かってるよ。」


「ほら、隼、パパを放してやれって。」


「やー、」


「やー、じゃなくて…」


「隼はママに似て、甘えん坊だね。」


「なっ!俺は甘えたりしねーよ!」


「どうだか。
ね、隼。」


「ねー、」


やけに仲のいい二人に恭弥にはとてつもなく苛つくが、可愛い自分の子供を見ていると、怒り出すこともできない。

 

「……ママ、いじめちゃだめ。」


自分が恭弥と隼に虐められているとでも思ったのか、とてとてと後方から走ってくるのは、黒い髪と緑の目を持つ、男の子。

 

「恭、」


「パパ、早くいきなよ。」

ムっとしながら、恭弥を睨むこの子は、本当に恭弥と瓜二つだと思う。


「キミ…パパに向かってなんて言う口利くの。」


いやいや、お前らそっくりだよ。と言ってやりたいが、これ以上恭弥の機嫌を損ねても面倒なので、何も言わず、成り行きを見守る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほら、恭ももうやめなさい。恭弥、本当にそろそろ行かないと。」


「うん、分かってるよ。
ほら、隼、恭、パパがいない間、ママの言う事よく聞くんだよ。」


「はーい」
「…うん」


「じゃぁ、行ってくるね。夕方には帰ってくるから。」


「うん、気をつけて。」

2人の子供が見ていないことを確認してから、
朝の日を浴びながら、どちらともなく口付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

もしも、キミとあの日あの時出会わなかったら、きっと今の僕たちはココにはいない。
だけど、キミと出会わなかった未来なんて、想像できないし、ありえない。


だって、きっとコレは運命。


キミと出会うことのない世界なんて、絶対にない。

 

キミの運命の相手は僕しかいないんだ。
だから僕が、キミを幸せにする。

 

だれかに誓った訳じゃないけれど、
自分に誓った言葉だけは、必ず守る。

 

だからずっと、僕の側で笑顔でいてもらうよ。

 

 

 

 

 


初恋の人、End