「……喋るの、は、苦手だ」
「おはよう。……まだ眠いのか?」
「……。日中、は、さすがに暖かくなるな」
「一応、こんばんはと言うべき、だろうか」
「お前ら……。いちいち、ケンカ、するな」
「……。……すまん。ぼんやりしていた」
「人からは、よく、ぶっきらぼうだと言われる」
「俺が冒険者になった理由、か。単純に、見聞を広めたかった、だけだ」
「動物は好きだが、……何か問題あるのか?」
「……。それは、俺の知ったことでは、ない」
「老け顔と、言うな。傷つく」
「俺は誰の信仰も否定しない。神は己が内にいる。それでいい」
「戦いの最中にべらべらと喋る輩が理解できない。自ら弱点を吐露する者さえ、いる。謎だ」
「引き受けた以上、仕事はこなす。相応の報酬を出すなら、そちらのやり方に口出しは、しない」
「ユリウスという都市は、交易の十字路だ。四方から人が混ざり合う。北方人種も、南方人種も、西方人種も、東方人種も。獣人も、古代種もいる。しかし皆、仲良く暮らせているわけではない。縄張り争いといがみ合いがこの都市の日常だ」
「……いかん。饒舌など俺らしくないな」
「公用語さえ覚えていれば、最低限は生きていけるだろう。……少なくとも、フェンデルク王国では」
「俺の民族は、国家を持たない。常に、大国から、目を付けられている」
「俺は、レファルのように、うまく舌が、まわらない」
「白堊、無理を、するな。また、ため込んでいるだろう」
「泣くな、慧羽。……怖いなら下がっていろ」
「パルの、ノリには、ついて、いけない」
「俺、パル、白堊は、孤児院の中で同い年だった。が、俺は実年齢よりもずっと年上に見られていた」
「リャオ、援護する」
「リャオではないが、やはりフェンデルク語は、難しい」
「ぬが。離れろ、リャオ」
「……いつのまにか俺とリャオがセットにされているっ!?」
「孤児院の先生達はどうも信用ならない、が、俺達のように親のいない子供達は、ここ以外のどこで生きていけるというのだろう」
ぶっきらぼうで、口下手で。ひどく断片的な喋り方をする。どっしりとした男性口調、のイメージ。
普段から寡黙で口数は少ない。喋るのは苦手だが、嫌いなわけじゃない。しかし聞き役にまわる方がもっと好き。
当人が話さない分、周りの連中が好き勝手に喋り倒すからバランスは取れているのかもしれない。