「いいんじゃないのかな。だって、それだけブライトのこと気にしているわけだし……べつに、ミルロにもブライトにもなにをいったわけじゃないんでしょ?」
「うん。ただ、ふたりの話が終わるまで、そばに座っていただけ」
「だったら大丈夫なんじゃないの?」
「……うん……そっかな」
「レインは人を嫌な気持ちにさせるようなことしないもん。大丈夫だよ」
「うん…でも……」

レインは曖昧にうなずきながら、またお茶を飲む。
ファインはこれ以上、なんといってあげたらいいかわからなくなって黙ってしまった。
すると、隣からプーモがしみじみとコメントをよせる。

「乙女心は複雑なものでプモ」

「そ、そっか」

ファインはプーモの顔をみる。すると、プーモはファインの目を見て、妙に真面目くさった顔で深くうなずいた。
それがどこかわざとらしくて、ファインは思わずクスリと笑ってしまう。

「もー、ファイン、笑ったわね」
「ええ? ち、違うよ」

けれど、レインもおかしくなったのか、クスクスと笑いだす。

「……本当はわかってるのよ。私、ブライト様のことになると、変になるなって」
「変じゃないよ」
「本当にそう思ってる?」
「う……」

またレインが笑った。

「でも、だから、おんなじ」
「へ?」
「ファインもこのごろ、変だった」
「ええ?」

レインは今度は落ち着いてお茶をコクリと飲んでから、おもむろにファインをみつめてニコリと笑う。

「シェイドとなにかあった?」


ええっ、と声をあげてファインがテーブルから身体をひいたので、弾みでカチャンとカップが鳴った。