chocolat rose☆へ戻る
あ!
わかりずらいので、リンク先をつけておきます。
月に咲く花 から飛べます。
自サイトのTOPからは、「ふたご姫」→「ロイヤルワンダー学園のお話」の中に収納しました。
「ねえ、シェイド」
「なに?」
再び暗がりの帰り道。
ふたりのつながれた手が揺れている。
「ムーンライト・ゴールドって、私たちの中で咲いたんだよね」
「え?」
「ほら、まえに一度、花が鉢の中で咲いたとき、私たち花の光を食べたでしょ。あれが新しい種だったんだよ」
「あ……」
「 とっても甘くて美味しかったけど、ちょっとびっくりしてたんだ」
「ああ。……オレなんか、あのせいでお前の身体になにか起こったんじゃないかって、心配してたんだ」
「そうなの? ううん。全然平気だったよ……それより……シェイドがいきなり……キスした方が……」
「わかったよ、それは……悪かったから」
「悪いなんて思ってないよ。ただ、その……う、嬉しかったんだけど……」
握っている手に力を込めてシェイドが歩調を速めた。
ファインは少し笑った。
たぶん、彼は困っているんだろう。
自分も歩調を速め…むしろ、シェイドを追い越してその手をひっぱるようにして走りだした。
「おい、暗いんだから、無理するなよ!?」
シェイドが手を引かれながら声をだした。
それでもファインは軽やかな足取りでシェイドを連れて走りだした。
END
*****
長々とお付き合いありがとうございました!
これでエンドとしたいのですが、このあとオマケが続きます。
光の花は次々にうまれると、あるものはゆっくり回転をはじめ、またあるものはフワンフワンと踊るように弾みだす。
そうするうちに、少しづつ花達は空にのぼりはじめた。
ファインとシェイドを包み込んでいた花達は、ゆっくりと風に乗るように高く高くあがっていく。
そして、それは空に浮かぶ月まで、光の道をつくるように空を流れていった。
「あの花達、月にいくの……?」
シェイドの腕のなかで、ファインがささやく。
「そうだな、きっと」
花達は空の星に並ぶように輝きながら、月に吸い込まれるようにしてみえなくなった。
「すごい……」
ファインの唇から言葉かこぼれる。
シェイドの瞳にもいくつものムーンライト・ゴールドの花の光が映った。
消えたと思っていた花が、いま、咲いた。
彼は無意識のうちに、またファインを抱き寄せた。
今度は後ろから抱きしめて、彼女が花をよくみえるようにする。
ファインは背中に彼の温かさを感じながら、澄んだ香りのする光の花に包まれた。
「いい香り」
ファインとシェイドは思わず微笑みあった。
するとふと、目の前にフワリと光のかたまりが生まれる。
それはすぐに光を穏やかなものにして、くっきりと花の形をつくった。
「ムーンライト・ゴールドだ!」
今度はファインが花の名を呼ぶ。
フワフワッとふたりのまわりに花がいくつも咲きだした。