ハロウィンの当日、ファインは熱をだして寝ていた。
あんなに楽しみにしていたのに、残念でならない。
けれど、仕方がないのでベッドに潜り込んでいる。
ファインは熱い頭で身体を起こすと、枕元に用意されたサイドテーブルからジュースを一口飲んだ。
飲みながら窓に目を向けると、白いレースのカーテンごしに美しい月がみえる。
パーティー、行きたかったな、とあらためてファインは思った。
賑やかなダンスホール、工夫を凝らしたハロウィンの衣装をまとい動き回る参加者達。
そうだ、今日はなかでもめずらしい人がくるんだった。
月の国のプリンス・シェイド。
ほかのプリンスと違い、滅多に人前に姿を現さないという彼が、初めておひさまの国のパーティーに参加したのだ。
「どんな人だろう。会ってみたかったな」
ファインはつぶやく。