スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

王子様とならず者 30 (月赤)

「では、次。レイン様」

キャメロットの声に、レインは「はい」と言って、明るい笑顔になると、そのままドレスをなびかせてクルリとターンしてみせた。
これから始まるダンスパーティーに期待と喜びを抱いているレインは自然と輝いている。
それはファインもハッとさせるような美しさだった。

「レイン、きれい」

思わずファインの口から言葉が出る。
特に、レインの複雑に結い上げられた水色の髪にきらめく髪飾りは、彼女の新しいアクセサリーで、それがとてもはえていた。

そのことを伝えると、レインは顔を赤らめる。

「本当!? ありがとう、ファイン。ほら、これ、自分でデザインして作ってもらったものなの。前にファインにも絵に描いてみせたもの」
「あの絵の髪飾り?」
「うん」

それからレインは照れたように、小さな声で付け足した。

「……ブライト様、宝石のデザインをするでしょう? それを聞いてから、私もしてみないなと思って。ルルに相談して、宝石職人さんにあの絵を見てもらったら、こんな風に作ってくれたの」
「すごーい」
「えへへ。ファインも今度、作ってもらわない?」
「うん! でも、私、デザインなんかできるかな」

ファインがちょっと首をかしげる。
そんな様子を見て、レインとルルは顔を見合わせ頷いた。
ルルが白い小箱を取り出して、ファインの前に立つ。

「ファイン様、これを」
「ルル、これは…?」
「レイン様がファイン様のために作っておいた髪飾りです。ご覧ください」

びっくりした表情のファインは、ルルとレインの顔を見てから、ありがとうと言って箱を開けた。

中からは、真珠の粒が散りばめられた、深紅のルビーが輝く髪飾りが現れた。

「わあ…」

ファインがその宝石の輝を見つめる。
興味深そうにキャメロットとプーモも側にきた。

「まあ、美しいアクセサリーですこと。レイン様、ルル。いつの間に」

キャメロットがうっとりとため息をつきながら微笑む。

「すごいでプモ。ファイン様、さっそくレイン様のように髪につけてみるでプモ」
「うん!」

レインに手伝ってもらって宝石を身につけたファインは、ルルから渡された手鏡で自分の姿を見て、ますます顔を輝かせた。

「お二人とも、大変お綺麗ですよ」

キャメロットが誇らしげに言う。

ファインとレインは自然と澄ました足取りで、月の国のダンス会場へと向かっていった。




続きを読む

王子様とならず者 29 (月赤)

…おはようございます(あれ) 昨日は帰宅したら、寝落ちしました(^^;

*********
「ファイン様! レイン様! 廊下は走らず!」
「「はい、キャメロット!」」
「ダンスをするときは落ち着いて、かならずパートナーと呼吸を合わせて」
「「わかってる、キャメロット!」」
「背筋はピンと」
「「ピンと伸ばして!」」
「そして……」

キャメロットは一呼吸おいて、じっとふたりのお姫様の顔を見てから言った。

「プリンセスはいつも、花のように美しい笑顔を」

お手本を見せるように、キャメロットは微笑んだ。

それを見て、ファインとレインはお互いを見やってから、それぞれに笑顔を見せた。

「キャメロット! こーんな感じ?」
「ファイン様。……それは、いい笑顔ですが、元気すぎてヒマワリみたいです。レディの微笑みとはもうちょっとしとやかな…」
「えー…こう? ウフフ、ウフフフフ…ウッフフフ」
「あー!! いいです、ファイン様。さっきの笑顔の方がよかったです。無理な笑い方はなさらないでください」

キャメロットが焦ってファインを止めた。
レイン、プーモ、ルルもびっくりした顔をして、キャメロットに同意するように頷く。

「ファイン様、そんな笑い方、どこで覚えたでプモ」

プーモがげんなりと肩を落としながら、苦笑いしているレインと頭を抱えているルルの上あたりに浮いている。

「ひどい、みんな。私だって、レディになろうとこっそり練習してたのに」

眉をひそめるファインを見て、レインは側にいくと、まあまあ、と肩を優しくたたいた。




続きを読む

本日は

帰宅したらまずブログ更新をこちらでやりたいと思います(>_<)g

iPhoneから送信
続きを読む

今日、10月22日…?

あれ、いつの間にこんなに時間が経ってたんでしょうか…。
うおう…。べつのことにかまけていたから…?
すみませんーー(><) 
帰宅したらまずパソコン開こう(震え声)
あ、今日は実家に行くかもしれないのですが(汗)

話の舞台は次から夜のパーティー会場に変わります。
流れとしては、パーティー中に、月の国の大臣がなんか不穏な動きをしていて、その手下を誰かがエクリプスと見間違えて、会場がザワザワして、ごまかすついでにシェイドが「エクリプスは逮捕しましょう」くらい言って、ファインが思わず絡んで、二人だけで話しているところに、大臣の手下がなんか仕掛けてきて、とっさにシェイドがファインを庇って相手を攻撃(鞭で)して、追い返したけど、ファインから「あなたがエクリプスなんじゃないの」的なことをいわれて、しかたなく認めるけど、うまいことファインを誘って忘れ薬を飲ませてしまう。

という予定です。

そして、会社行ってきます…!
続きを読む

王子様とならず者 28 (月赤)

「プリンス・シェイドも剣術の稽古などされたりするのですか?」

ブライトはいま感じたものを消そうと、努めてほがらかに尋ねてみた。

「そうですね……」

シェイドが少し言葉を選ぶようにゆっくりと返答をしてきた。

「剣術も、多少は。我が国でも、いずれは皆さんが参加されているような剣術の交流試合に出たいと思っているので、基本的なことは学んでいます。あとはまあ、月の国には独自の武術がいくつかありますから、そちらも合わせてやっていますね」

独自の武術とはどんなものだろう、とプリンス達は思ったが、それよりも先にシェイドがフワリと微笑んでこう告げるように言った。

「それでは、大変申し訳ありませんが、そろそろ妹がお昼寝の時間になるので、いったんここで失礼をさせていただきます」

そうしてシェイドは「ミルキー」と妹の名を呼んだ。
ミルキーはすぐ側にいるファインに抱っこされていつのまにかウトウトしていた。

「面倒みてくれて、ありがとう」

シェイドはファインの腕から妹を譲り受けると、舵機心地がいいように抱え直す。

「妹さんのこと、よく見ているんですね」

ブライトがシェイドに向かっていった。
自分も妹を大切にしている方なので、親近感がわいたのだ。

「ええ」

シェイドはそう言われて、無意識なのだろうが、素直な笑みをこぼす。
その表情が、急に彼を幼い少年のような雰囲気にさせ、まわりの者達をハッとさせた。
穏やかな空気にアウラーがおどけた口調で言う。

「僕もそんな可愛らしい妹がよかったな。物心ついた時から、なぜだか僕は妹のソフィーにふりまわされっぱなしで」

クスクスとブライトが笑う。

「プリンス・ソフィーは自分のしたいことをどんどんしていくものね」

すると、今度はソロが大げさにため息をついて肩をすくめてみせた。

「それでもやっぱり僕は皆さんがうらやましいよ。僕のところなんて、女兄弟が多すぎて、誰が誰だかわからないときがしょっちゅうだもの。みんないたずら好きだから、わざと入れ替わって僕をびっくりさせたりするんですよ?」

これには一同、笑ってしまった。

「ソロのところが一番大変そうだね」

アウラーが愉快そうに言うのを聞きながら、シェイドは完全に眠ってしまったミルキーの頭を撫でる。
そこへファインも寄ってきて、最後にもう一回、とミルキーの頭を撫でさせてもらった。

「また夜のダンスパーティーで会えますから」

シェイドがファインに言う。

「うん」

ファインは寝ているミルキーに手を振ってバイバイをした。

去って行くシェイドの後ろ姿を眺めながら、みんなはそれぞれの感想を口にした。

「よかった。最初は、どんな話題で話していいのかわからなかったけど、彼は礼儀正しくて、妹思いのプリンスって感じだね」

アウラーが感心したように言う。

「ええ。月の国とはこれを機に、いろいろと交流をしていきたいなあ」

ソロも、小さいながらタネタネの国のプリンスらしい様子で微笑む。
ブライトもほっとした顔で笑った。

「僕も…彼とうまくやっていけそうな気がするよ」

そんなプリンス達の言葉を聞きながら、ファインは嬉しい気持ちを感じていた。
大好きなミルキーの兄が、みんなともっと親しくなるのは大歓迎だ。

けれど。

心の底に、消え去らない暗い気持ちも、冷たい霧のように残っている。


シェイドは月の国のプリンスで、みんなと同じ世界にいる人だから、こんなにすぐ受け入れられる。



けれど、あの人は?


こんなに朗らかに笑っている友人達が、素敵な王子様達が、みんなそろって受けつけない存在。


あの人がまた現れて、皆の心を逆なでするようなことをしたら、彼は憎まれ、消してやりたいと思われるだろう。

なぜエクリプスはみんなを傷つけるのだろう。

そして彼は、なにに傷つけられているのだろう。

「プリンス・シェイドだったら、エクリプスのこと、どう言うのかな」

ファインは誰にも聞こえないくらい小さな声で、囁いてみた。

そういえば、エクリプスとプリンス・シェイドが一緒にいるところはまだ見たことがない。

ファインは急に、自分の中にエクリプスの姿が強く蘇ってくるのを感じた。
全身に、彼の気配を感じる。

(あーあ…)

ファインは、明るい光の中、楽しそうにお茶会を続けるみんなの姿をぼんやりと目に映す。

(なんで私は、こんなにもすぐ会えない人のことばっかり考えているんだろう…)

大好きなふたごのレインにさえ、その名を出すことをとめられている。

(エクリプスは、私のことなんて、ぜんっぜん、気にしてないかもな)

ふう、とため息をついてから、ファインはグッと顔を上にあげた。

やめよう。
あんまり悩むのは自分には向かない。

ファインはプリンス達に手を振ると、その場を離れ、今度はプリンセス達のところへ向かっていった。

レインがファインを見つけて嬉しそうに手招きをしてくれる。
ファインはまた元気な自分を心に感じて、レイン達の元へ小走りに近づいていった。
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2016年10月 >>
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31