「あ、待ってー」
のんびりと掃除道具を片付けていたファインがシェイドの方に行く。
教室の掃除が終わり、これから昼休み。
いつの間にかバスケットに夢中になっていたシェイドは、最近では掃除も手際よく済ませてファインを誘いだすほどだ。
2人が連れだってドアから姿を消すと、教室には、今日、室内遊びを選んだ子だけが残る。
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そうして、レインは小箱にベルマークをいれる。
ふたごが自分たちの席に着くと、ほかの生徒もチラホラと箱のところに行っては何枚か入れていった。
そうして昼休み。
「ファイン、行くぞー」
教室の後ろのドアからシェイドの声が響く。彼は使い込んだクラスのバスケットボールを器用に指先の上で回転させながら、赤い髪の少女に呼びかけた。
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翌日の朝。
レインとファインは爽やかな笑顔で教室のドアを開けると、すでに来ていたアウラーのところへ近づく。
「アウラー、ベルマーク持ってきたの」
「ありがとう。そうしたらベルマーク箱に入れておいて」
ベルマーク箱とは、アウラーとアルテッサが作ったもので、教室の一番後ろのロッカーの上に置いてある。
図工の得意な彼がほとんど作ったのだが、アルテッサはそこに宝石の国のプリンセスらしく、煌びやかな宝石をちりばめたので、にわかに素晴らしい小箱に変身してしまったものだ。
なかに詰め込んであるのが、アクセサリーではなく、様々な形に切りとられたベルマークというのがなんだか面白い様子をしている。
レインとファインはロッカーまでいくと、ファインが箱を開け、レインが大事そうにスカートのポケットから昨日見つけたベルマークを取り出した。
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「あ、ベルマーク」
レインが新しいエンピツの詰まった箱を見て言った。
「ホントだ、やったね」
ファインがレインの手元をのぞき込む。
ここはおひさまの国のお城の二人の部屋。
レインは自分の机の引き出しからハサミを取りだすと、ベルマークを丁寧に切り抜き始めた。
「いま、何点くらい集まったのかな」
ファインがハサミの動きを目で追いながら楽しげにつぶやく。
「そうね、明日またアルテッサとアウラーに聞いてみましょう」
レインが大事そうにベルマークをペンケースに入れると、二人は顔を見合わせて微笑んだ。
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「約束しましょう、ね?」
「え? は、はい」
いつになく積極的なブライトに、思わず頷いてしまったレインだった。
さて、問題の昼休。
ファインは約束通りシェイドと一緒にクラスの花に水遣りをし、成長日誌を書き、それから二人並んで校庭のバスケットゴールがある場所へと向かった。
すでにそこで遊んでいたいつもの仲間はシェイドが参加したことで、ゲームのレベルがあがったと喜び、次の日の約束もとりかわした。