スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

地面

閉店間際に
スグルさんが来て
どこか行こう
と誘われた

アタシは
かなり迷った末に
オッケーをだした


同じバイトの男子は
辞めた方がいい
と言った

一理あると思い
じゃぁ襲われたら連絡するから
飛んで来てよ
って言ったら
その時にはもう手遅れだろうけどいいよ
と、言ってくれた
本当にいいヤツだ
一生友達でいたい




スグルさんは
コンビニの近くの居酒屋で
働いる


たまに
うちの店に来る


最近は頻繁に来る



スグルさんは
同い年だった


年上かと思ってたって言ったら
アタシを年下だと
思ってたと言われ
お互い、よく言われるんだょねー
で落ち着いた




二人で
歩いてファミレスへ行った



スグルさんは
よく喋る人だった


話の内容は
かなり刺激的で
考えて動けないアタシとは
真逆の性格を
しているんだ
ということを感じた



どうやら
感性や直感を大切に
する人のようだ


スグルさんは
フリーターだけど
生きる力がある人のようだ
仕事も良い加減でサボり
コミュニケーション能力に長けていて
店長に重宝されてる



なんていうか
完全にネコタイプだ



それを指摘したら
まゆみちゃんは
子犬タイプだょね
と言われ
とっくに
見抜かれていた



とりあえず
三時間くらい
ずっと話を聞いていたかもしれない


そこそこ
楽しかったけど
疲れた…



ファミレスを出ると
空が白んでいた


綺麗だと思った


朝焼けだね
と言ったスグルさんの横顔は
キラキラと輝いていて
地平線を思わせた


自転車を取りに行ったあと
駅から途中まで歩き
十字路で別れが来た


久しぶりに
まゆみちゃんみたいな
可愛い子に会えた
と言われた



今まで話を聞いた上で
嫌味とかお世辞とか罠とか
そんなんじゃなくて
素直な人なんだな
と思った


だけど
アタシとスグルさんは
どうやら合わないだろうと思った

真逆だ
そう思って
アタシを知らないから
そんなこと言えるんです
って言ったそしたら
そうかな…
どうにかなるんじゃない??

だって
オレの人生
今のところ
どうにかならなかったことないょ

って言ってた


なんともいえなくて
アタシは黙ってみた



どちらかが
先に歩き出すのは気まずいから
お互い同時にイヤホンを
はめて
歩き出そう
ということになり
アタシはウォークマン
スグルさんは携帯の
イヤホンを
耳にはめて
手を振って歩き出した



もうほとんど
明けきった空の下で
線の細い
スラリとしたスグルさんの姿は
計算された絵画のように
景色に当てはまっていて
何故かアタシは
スグルさんから目を離せなかった


襲われるどころか
深夜のファミレスで
ずっと話していただけ




口説かれるんじゃないか
とか
手を握られるんじゃないか
とか
帰り道に抱き寄せられるんじゃないか
とか
若干期待していた
自分が恥ずかしかった


やっぱりアタシ寂しいんだな…



だけど
それだけを埋めるために
スグルさんや
誰かを使うのは
よくないな
とか思った


もっとスグルさんが
下心で動いてくれたら
アタシは
こんな気持ちに
ならなかったかもしれない




でも
アタシはやっぱり
しばらくの間
恋はしないんだろうな
ということを
思った



ウォークマンを付けてから
すぐ自転車のペダルを
踏み込んだ


朝の光が
眩しかった
前の記事へ 次の記事へ