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未来への一歩

 


俺の可愛い弟分であるツナと、愛弟子(って言うと機嫌が悪くなるけど)雲雀に会いに日本に来た帰り道、
世の中では珍しい部類に入るが、
俺は見慣れた、愛しく思っている銀髪に呼び止められ、近くの寂れた喫茶店に押し込まれた。


なかなか大胆な誘い方すんなー。なんて、外見だけ見れば一級品であろう女に、一方的に言い寄られているように見える構図に悪い気がするはずもなく、暢気に獄寺の後に続いて席に着く。


「んで、どうしたスモーキン。」
「……相談がある。」


真面目で思いつめたような声色に、
うーん、やっぱりそうだよな。なんつーかデートって表情じゃなかったもんなぁ。と、なんとなく残念な気持ちになりながら、注文を取りに来た店員に、「コーヒー2つ」と適当に頼んで下がらせる。

あ、そういえばスモーキンってコーヒー飲めたっけ。まぁダメそうなら別のもう一回頼めばいいや。



注文を取りに来た時と同じ店員が、何か言いたげにチラチラとこちらを見ながらコーヒーを持ってきたが、笑いかけたりでもすれば後々面倒なので、申し訳ないがそのまま無視する。
最近はこういう視線にも慣れてきたけど、マフィア関係の女から向けられるのと、一般女性からのそれとは少し種類が違うから、やりにくい。


「……てめぇ、やっぱモテんだなぁ。」
「金髪が珍しいだけじゃね?」
「俺も銀髪だけど?」
「まぁまぁ。それより、相談って何だ?」

とりあえずブラックの状態で口を付けた獄寺に安心しつつ、自分も飲み始める。……うん、ブラックは苦手だ。ありったけのミルクとシュガーを投入しよう。


「話の前に確認したいことがある。」
「ん、なんだ?」


「お前、今現在、恋人はいるのか?」
「はぁ?……………いないけど。」


恋人の有無なんて、もっとそういう雰囲気で聞いてほしかった。
「お前、スパイじゃねぇだろうな」くらいの鋭い目付きは一体なんだ。事務連絡にしたってもう少し聞き方ってものがあるだろう。まず、両手を顎の下で組むのは止せ。俺は重要参考人か。


「……恋人の有無が相談となんか関係あるのか?」


自分で言うのも悲しいけど、獄寺が俺のこと好きっていう可能性は皆無だし。(態度見てれば分かる。)


あ、もしかして獄寺に恋人ができたとか?え、それで俺に相談!?かなりショックなんですけど、それ男だと思われてない典型的なパターンじゃねぇか。
それで、マフィアとして恋人がいるとどーのこーのとか体裁でも気にしてんのか?そんなん大丈夫だとおもうけどなぁ…つーか、相手誰!!?

ツナは、確か好きな子居た気がするし、いつも一緒にいる山本か?その可能性は高いな。
俺の愛弟子も獄寺のことは好いてそうだが、本人全く自覚なしだし。それとも大穴で六道?もしくはヴァリアーっていう可能性も………


「じゃぁ好きなやつは?好みのタイプは?婚約者は?」
「ってスモーキン、ストップ!とりあえず落ち着け、なんでそんな質問すんだよ。」


「いや、落ち着いてる。見りゃわかんだろ。…………なんでって、そりゃリボーンさんに言われたんだよ。」
「リボーン?」


「女の俺に伴侶がいないとなると、争いの火種になる可能性があるから誰か相手を見つけろって。ファミリー内のヤツでも構わないけど、マフィア間の絆を深めるためには別のマフィアに所属してるヤツがいいって言われて…。」


「それで、俺?」


「お前と10代目は仲が良いから、初めはユニんところのγにしようと思ったんだけど、あいつユニのこと好きそうだからやめた。」



な、なんつーこと獄寺にさせてんだリボーン!!
コイツの性格上、そんなこと言ったら即行動するに決まってるじゃねーか。悪い男のトコロにでも行ったら、速攻喰われて捨てられるぞ。


「とりあえず、俺以外のところにはまだ行ってないんだな?」
「おう。」


なんつー無鉄砲さ。後先全く考えてねぇなコイツ。


「っていうかリボーンさんが、とりあえずお前のトコロに最初に行けって。」
「……なるほど、」


リボーンの策略は分かった。
こんだけ美人なマフィア、しかもボンゴレファミリーの部下となれば、その他の男共が群がってくるのも分かるし、恐らくファミリー内でもイザコザは起きるだろう。火種になるっつーのは的を得ている。
その抑制剤に俺を推薦したのだろう。
つか、獄寺にいつか好きな男ができるまでの当て馬ってワケか。本当、性質の悪い提案しやがる。


「俺が獄寺の恋人になればいいのか?」
「……お前が嫌じゃなければ。」


嫌なハズがない。俺が断るはずがないことを知った上で、リボーンは俺を指名したんだ。俺が、獄寺を少なからずそういう対象として好いていることを知って。だけど、

「お前はそれでいいのか?俺のことそういう対象として好きじゃねーだろ。」
「年上は全員敵だからな。」


「そうだろ。好きでもない男と付き合えるのか?俺との関係を勘繰られた時、恋人らしい行動をしなきゃなんねーんだぞ。」
「な、なんだよ恋人らしい行動って……」


「単刀直入に言おうか。俺とキスできるのか?」
「っ、キ………でも、他のヤツとするくらいなら、お前がいい。」



「…………」

ガツン、

「おわっ、跳ね馬!!?」


撃沈。何その台詞。可愛過ぎ。
あっけなく机に突っ伏した俺に、なぁどうなんだよと声を掛けてくる獄寺の顔なんてとても見れない。
俺、今、顔真っ赤です。


「……分かったよ。」


あーぁ、結局リボーンの思う壺だ。
お膳立てされて恋人の座掴むなんて、カッコ悪過ぎんじゃねーか!


「他に好きな女できたら言ってくれな。そこまで迷惑掛けるつもりはねーから。」


何、言ってんだ。こんな良い女が傍にいて、他の女に目が行くわけねーじゃんか。それは俺の台詞だっつーの。


まぁそうなる前に、獄寺が俺を好きになってくれるように自分で頑張らねーといけねぇな。それまでは生殺になるだろうけど、そこは我慢だ。そういうつもりでリボーンも俺にチャンスをくれたんだと思うし……いや、半分以上は自分の暇潰しだろうけど。


あと雲雀と山本からは殺意を向けられるんだろうな……ハハッ、まぁそこはいいや。


「おい、本当に大丈夫なのか?」

その他諸々は徐々になんとかするとして、とりあえず



「これから俺のことは"ディーノ"って名前で呼べよ、隼人。」

 

 


END

 

 

 

非常識な隣人2

 

 

「隼人、今のは僕の聞き間違いか何か悪い冗談かい?」
「っ!!」
そういって顔ギリギリに投げつけられたのは、愛用のトンファーではなく、英和辞書。
(こ、こんなの、好きな女にやることじゃねぇ…!!)

当たりでもしたら、間違いなく顔が潰れる勢いで飛んできた辞書に、
一瞬、恭弥の怒りは嫉妬からくるものかも、と思ったがやはり違う。
これは、単なる怒りだ。おもちゃを取られた子供のような。やっぱり俺の事は好きでもなんでもなかったんだ…!!

「きょ、っ!!」

話し出そうとした獄寺の顎を、雲雀の片手が捕らえ、開いた口を閉められる。
「ぐっ、ぅ…!」
「あれだけ大人しく僕に抱かれておいて、沢田と付き合うだって?僕を馬鹿にしてるのかい?」

完全に目が据わってる。
閉められた顎が、とてつもなく痛い。

「あれだけ毎回好きだってうわ言のように言ってたのは、僕を沢田にでも重ねて見てたのか?」

俺が、恭弥に好きって言ってたのか。
確かに、俺は恭弥が好きなんだろうけど、まさかそんな不毛なことを口走っていたとは。無意識とは恐ろしい。
それに、お前を10代目と重ねて見るなんて、そんな恐れ多いことする訳ないだろう!

とりあえず何か反論しなくてはと思い、両手で恭弥の腕を掴むがびくともしない。
まさか、ここまで力の差があるとは思っていなかった。


「その度に『好きだ』と返した僕の言葉を、キミは沢田からの愛だと思って受けていたの?それとも馬鹿な男だとでも思ってせせら笑ってた?」

………なんだって?


「これだけ分かりやすい位置にキスマークまでつけたっていうのに、告白してきただって?
キミも許せないけど……まずは沢田だな。殺してくる。」


そう言って、掴んでいた手を思い切り振り子にしてソファーに横顔から叩きつけられるように投げ捨てられる。

「ってぇ…、ちょっと待て恭弥!!」

強い衝撃に頭がグラグラして焦点が合わないが、形振りなんて構っていられない。
このまま行かせてしまったら、10代目は血祭りに上げられるのは確定だし、俺との縁も切られてしまう。
それだけは、嫌だ!

「お前、俺のこと好きだったのか!?」
「……だったじゃなくて、今も好きだよ。」

馬鹿なこと聞くな、と言いたげに此方を振り返りもせず戸口に向かう恭弥に、何も考えず思い切り叫ぶ、
「じゃぁ、俺と付き合え!幼馴染じゃなくて、恋人になれ!」
「……………………ちょっと待って話が見えない。何、沢田はもういいの?」


怒りがどこかにすっ飛んだ様子の恭弥をもう一度定位置に戻し、
よく分からない、と言ったので10代目が殺されないよう、事細かに説明する。
詳細はこうだ。

10代目が「雲雀さんに、俺に告白されたから付き合うって宣言してみたら?」と提案してくださったのだ。もちろん、それは俺が恭弥の何人もいるセフレの中の一人だったら嫌だ。と言ったから、なんだけど。
恭弥が10代目と付き合うことに対して怒ったりすれば、俺のことを渡したくないっていう証拠だから、そのまま俺から告白すればいい、と。
もしも、恭弥がなんでもないように、俺のことを10代目に引き渡すのであれば、それは本当に俺のことをなんとも思ってなくて、単なるセフレとしか見てないのだから手を切れ、と。

「そういう訳だったんだ。」
「ちょっと待って、何人もいるセフレの中の一人って何の話。」

「え、山本はセフレが何人もいるから、恭弥もそうなんだろ?
っていうか、俺の事好きなら全員と手を切れよ。」

そう言った獄寺に、「馬鹿な子」と言って綺麗に笑った後、獄寺の横っ面を引っ叩いた。

「〜〜〜〜ってぇ!!」
「馬鹿じゃないの!隼人以外にいる訳ないだろ!っていうか僕をなんだと思ってるんだ!」

殴られた頬を自分の手で押さえるが、すごく熱い。絶対手形が残ってる。
っていうか恭弥がブチ切れている。

怖い。

「僕の好きっていう言葉は、買い言葉に売り言葉だとでも思ってたの!?」
「あ、いや……最中は気持ち良過ぎて、意識殆ど飛んじまってるから覚えてねぇんだよ……。」

そういって真っ赤になっていしまった獄寺に、雲雀の怒りも消沈する。

(この子、どうしてこの空気の中でそういうこと平気で言えるんだろう。)
「………」
「俺、恭弥に好きって言われたこと無いと思ってた。」

続いて、しゅんとしてしまった獄寺に、

「……分かった、よく覚えていられるように、今日からは注意して抱くようにするよ。」
「うん。」

折角、夜用の顔で囁いていったのに、
赤くなるどころか満開の笑顔で頷かれてしまっては、もうどうしようもない。


非常識な隣人

「で、もし僕が沢田のところに行けって言ったら、どうするつもりだったの?」
「そのときは責任とって、俺と付き合おうって10代目が!」
「へーぇ、」


「って聞いたんだけど。覚悟できてるよね?」
(ひぃぃぃぃ、獄寺君空気読んで!!)

 



END

 


あとがき、という名の懺悔


和姫さま、50000hitフリリク参加どうもありがとうございます。
そして、多大なる放置、どうも申し訳ございませんでした。
本当、すみません。もうどれだけ放置していたのかすら分からないほど置きっ放しにしていてごめんなさい。

当初頂いた
雲♀獄←ツナで、「ツナに告白されて、雲雀に別れを告げる獄寺」というリクを、
雲獄←ツナと間違えて一本書いてしまったが故に、全く思いつかず「なーにやってんだ私、」と(_ _ )

一応、幼馴染設定にしてみましたが、
ツナの告白というよりも「俺と付き合って。」は「俺の作戦に付き合って。(棚から牡丹餅待ち)」みたいな構図になりました。

結果、シリアスではなくギャグです。あくまでも。

本当、すみません。
何と言ったらいいか、謝る以外にないです!すみません!

もしもしもし、こちらの文字でよろしくれば
和姫さまに限りお持ち帰りください><
書き直し、別リク追加、なんでもお応えいたしますので、なんなりとお申し付けください!!

 

夕菜

 

 

非常識な隣人


「おはようございます10代目!!」

春になりかけの3月半ば。まだ北風が寒い季節。
真っ赤な鼻をした獄寺くんが、今学期最後となる授業に出席するため、教室に入ってきた。

「おはよ、獄寺くん。」


俺だけに向けられた挨拶に、優越感を感じながら返事を返す。

「今日、異常に寒いっすね!」
「……スカート短くしてるからだよ。」

そういいながら仕度を始める彼女は、凶悪風紀委員が幼馴染ということもあり、
通常では許されない長さのスカート丈でも、大目に見てもらえている。

真っ白な足が、惜し気もなく晒されている太腿は、健康な中学男子には目の毒だ。
これでスカートの中身でも見えてしまえば一発K.Oノックアウトものなのだが、
どれだけ暴れても、一切晒されることのないその甘美な領域は、
流石、幼いころから植えつけられた雲雀さんの躾の賜物としか言いようがない。

「ツナ、獄寺おはよ!」
「おはよ山本。」
「馴れ馴れしくすんじゃねー!」

彼女の美脚に見惚れていると、突如現われた山本。
どうやら朝練帰りなのだろう、寒い北風もなんのその。
ブレザーを着ず、白シャツのボタンも適当にしか留めていない状態だ。
そんな薄着のまま、寒そうにしている獄寺の肩を後ろから抱き、爽やかスマイル装備だ。


鬱陶しそうに山本を押しのける獄寺くんだが、
山本の高体温に、満更でも無さそうな顔をしている。……実に面白くない。

「山本、寒くないの?」
「走ってきたから暑いのなー!」

だったら余計離れろよ。そう思ったが、当の獄寺君自身はそんなこと思っていないようなので、口出しはやめておく。
俺の恋人だったなら、速攻離れさせるけど。


そうこうしているうちに、山本の体温で温まってきたのか、なかなか外さなかった彼女に似合う白いマフラーを外す。


「…………ご、獄寺……それ、目に毒なのなー」

獄寺くんを見て苦笑いをしながら視線を逸らし、肩から腕を外した山本に、
なんだ?と思って首元を見ると、

(うわ……、)

火傷や虫刺されだなんて誤魔化せないほど、くっきりとついたキスマーク。

「え、えっ?」

山本の態度と、自分を見て真っ赤になった俺ににうろたえている。
恐らく、何が起こっているのか獄寺くん自身は分かっていないのだろう。

「な、何……?」

慌てて、身だしなみを確認するが、首元は自分では見えないので、気付かない。
教えてあげたいが……何と言うのが正解か分からず、何も言えない。


「獄寺、首。」

そんな俺を察したのか、気を利かせた山本が、近くの席の女子の手鏡を断りもなく奪い取って獄寺に渡す。

「首?
…………っっっ!!!」

自分で確認した獄寺君も、真っ赤になる。
その反応は、つまりそういうことですよね。

「獄寺くん彼氏いたの?」


友達だから、当然報告してくれるものだと思ってたのに。というニュアンスを含めて口を尖らせる。
本当は、それだけの理由じゃないんだけど。
それにどうせ相手は雲雀さんだ。自分で言うのは情けないが、勝ち目は……ない。

「俺も知らなかったのなー。」

俺に便乗した山本も、当然好ましい顔はしていない。
しかしコイツの言葉の意味は、「どういうことだ説明しろ」と、男として問うている。
つまり醜い嫉妬だ。


「あーぁ、獄寺冷てぇのー」

なんていつもどおりの笑顔と口調で話しているつもりかもしれないが、目が据わっている。

「や、別に彼氏とか、そんなんじゃ……!!」

真っ赤な顔して、必死に否定する獄寺君。可愛い……じゃなかった、
「じゃぁ、それは…?」
まさか、キスマークじゃないなんて言い訳、しないよね?という目で見れば、

「ぁ、あの……これは恭弥に……その、多分昨日……」

真っ赤な顔を伏せながら、歯切れの悪い答えが返ってきたが、
つまり「昨日、雲雀さんにつけられた。」ということだろう。

「多分って?」

僅かな可能性に期待をかけるが、
「俺、その、…………最中のコトはあんまり覚えてられないので、
いつ、どのタイミングでつけられたかまではちょっと……分からないです。」


その多分かよ。
せめて、雲雀さんじゃないかもしれない的な台詞とか、……最中って……

「つまり獄寺は雲雀と付き合ってるのか?」
「っ何言ってやがる野球馬鹿!!別に俺とアイツはただの幼馴染で…!!」

「ただの幼馴染はね、キスマークはつけないんだよ獄寺君。」


そう言うと、真っ赤な顔をさらに赤くし、

「そっそんなことは分かっています10代目!!
ただ、アイツの気まぐれでっ、たまにヤるだけで、
別に付き合ってるとかじゃないんです!!!」

そんなとんでもないことを、朝礼の始まる前、
教室に人がほぼ全員集まっている中で、彼女は堂々と叫んだ。

 

 

 

 

 

+++++++++++++++

 

 

発狂してしまいそうな山本と、自分で叫んだのに全く状況が理解できていない獄寺くんを、
唖然とする女子と、真っ赤な顔で俯いた男子という、
かなり気まずい空気の教室にこのまま居ても状況が悪化する。と、屋上へと引き摺り出した。

「10代目!!信じてください!
俺、恭弥とヤることはヤってますけど、別に付き合っているわけじゃないんです!本当です!!」
「も、もう分かったから!!」

「付き合ってないので、ヤっていはいますが報告もしなかったんです!」
「分かったってば!落ち着いて!!」

報告をしていない=裏切り
とでも頭の中の回路でなっているのだろう。必死に付き合っていないことを強調するが、問題はもうそこにはない。
今は「ヤっている」ことが、問題なのだ。

必死で弁解する獄寺くんと、発狂してフェンスに頭突きをしている山本。
……頼むから飛び降りたりはするなよ…。

「本当、恭弥の欲求を満たすだけで…!
あっ、たまに俺から誘うこともありますけど…!!」

「っっじゃぁ、俺でもいいじゃねーかー!!」
と、空に向かって叫ぶ山本。
俺も、正直山本の気持ちに同感だ。
そりゃ、彼氏でもない男とヤってるなんて、
獄寺君に思いを寄せてる俺らからすれば、理解できないし、なにより雲雀さんが憎い程羨ましい。

「とりあえず、もう分かったから獄寺君。とにかく落ち着いて、ね?」
これ以上、余計なことを言わないでくれ。

「俺、別に裏切られたなんてそんな小さなこと思ってないから安心して?」
「………はい、」

本心を隠した沢田の台詞。とりあえず優しいその声色に癒されでもしたのか、大人しくなる。

「獄寺君はどうして雲雀さんとシてるの?」
「え?………自然と、恭弥がそういう雰囲気にするんで。」

なんだそれ!!
雰囲気だけでヤれるんかい!!


「雲雀さんに『付き合って』とか『好き』とか言われたりはしてないの?」
「そ、そんなこと言われたことないです。」

雲雀さんに言われる想像でもしたのか、真っ赤になって俯く。

「じゃぁ獄寺くんは、雲雀さんのセフレなんだ。」
「せ、セフレ…!!!」
「そう、セックスフレンド。分かる?」
「分かります。山本がたまに家に連れ込んでいる不特定多数の女のことですよね。
確か「別に好きでもなんでもないけど、自分の欲求を満たすためにセックスする相手」のことですよね……あれ?」

そこまで自分で解説して、どうやら気付いたらしい。真っ赤だった顔がどんどん青褪めていく。
可哀相だけど、心を鬼にする。
そして比較対照とされた山本は、「どうして知ってるんだ…」と遺言を残し、そのまま地面に沈んだ。


「じゅ、じゅうだいめ…!!そういうことって、好きな女には普通しないものなんじゃ…!!」
「俺ならそうだね。もし付き合っているなら、毎日「好き」って伝えるし、ましてや付き合ってもいない状態でシたりしないよ。」
「っ、」

やっと結論に至ったのか、
瞳にいっぱいの涙を溜めた状態で、床のタイルと睨めっこしている。

(全く、手の掛かる……)
雲雀さんといい、獄寺君も。

 

「……ねぇ、獄寺君。俺と付き合ってみる気ない?」

 

 

 

+++++++++++

 

 

 

10代目に言われ、どうしたらいいか分からず、授業もなにもかもサボったまま校内をうろつき、
とうとう恭弥がいるであろう応接室の前に着いてしまった。
(ど、どうしよう。)

何て、言ったらいいのか。
(………………………………………………駄目だ。何も思いつかない。もう一周してから考えよう。)

そう思い、もと来た道を戻ろうと踵を返すと。

「隼人、さっきからそこで何してるの。入りな。」


言葉と共に、扉を開けて出てきた張本人。
当然、逃げるなんていう選択肢はなく、そのまま応接室に通される。


「どうしたの。」
「あ、いや……授業サボってたから。」
「ここに来た理由じゃなくて、
思いつめたような顔してる理由を聞いてるんだけど。」


じっと正面から見つめられ、
自分の考えを見透かされてしまいそうなその強い瞳に、慌てて目を逸らす。


「ほら、言いな。昔から隠し事、向いてないんだから。」


本当はもう少し考えて、良い言い回しで話したかったのだが、
自分がどれだけ考えて、言葉を発したとしても、結果を出すのは結局恭弥。
ここは覚悟を決めて、言うしかない。

「あのな、」
「うん。」


意を決して、自分の正面に座った恭弥を見れば、
肘掛に手を置いて、とてもふてぶてしい態度で聞いているのに、
驚くほど優しい漆黒の瞳とぶつかった。

「っ、」
(そーいう顔を、どうでもいい女にするんじゃねぇ!!)

咄嗟に熱くなってしまった顔を背け、
落ち着け。と自分に言い聞かせ、結局そちらを見ず、話を再開する。

そんな獄寺を、(いくつになっても可愛いな。)と微笑ましく見ていることは、
当の本人は全く気付いていない。


「それでな、恭弥。
俺達のこの曖昧な身体の関係、いい加減はっきりさせたほうがいいと思うんだ。俺達、ただの幼馴染だし。」
「あぁ、……まぁそうだね。」

なんだ、そんなことで思いつめていたのか。と、あまり自分にとっては深刻ではない話に、ホッと溜息をつき、「言葉に囚われるのは好きじゃないけど、隼人が気になるって言うのであれば、幼馴染はやめて恋人になろうか。」と言おうとした雲雀の耳に入ってきたのは、

「それに……10代目に告白されたから、お前とはもう手を切りたいんだ。」
「…………何だって?」

予想を遥かに上回る、とんでもない言葉だった。

 

 

 


未来永劫、不可

すったもんだの大混乱が3ヶ月続き、
ようやく収まった今日。
「10代目、俺たち結婚することになりました!」と真っ赤な笑顔で報告を受けて、それから約半日。

嵐が去った後のはずの、ドン・ボンゴレ執務室は、
いまだ興奮が冷めない様子で時雨金時を振り回す山本と、
残酷な男の呪い方(下巻)をニヤニヤ見つめる六道と、
獄寺に恋心を抱いていたのであろう部下達の、大幅な士気低下の空気で、
恐ろしいほど混沌としている。

(今、敵襲を受けたら誰も使い物にならないなー。)

そんな中、暢気に茶を啜る沢田の元に、一本の電話が入った。

(?国際電話……)

もしかして、ディーノさんか?
あの人は獄寺くんラブ説と、
雲雀さん大好き説(通称ホモ説)の両方があるから、
今回の結婚報告で、もしかしたら頭が沸いたのかもしれない。

出るか、否か。
迷うが一応俺の兄貴分だ。
………あと13コール鳴っても切れなかったら出よう。

「………………………ちっ。
はい、どちら様で…」
『ちくしょうあのガキ!!俺の隼人を傷物にしやがっただと!?許せねぇ!!!』
ガチャンッ!
「うわっ」


言うだけ言って切れた電話。
普通13コール以上放置されたら、どれだけ怒り狂っていたって少しはクールダウンするもんだろう。とかいろいろ頭を過ったが、
電話の相手がディーノではなく、
よく知った、むしろディーノよりも厄介な声に、落ち着いていた沢田の顔が見る見る内に蒼くなる。

「どうかしましたかボンゴレ。」
「………やばい、雲雀さん殺されちゃう。」




baby baby baby





「雲雀恭弥が殺されるとはどういうことですか?」


俺の一言に今まで屍だった奴らが急に息を吹き返す。

「願ったり叶ったりなのなー。」

時雨金時を竹刀に戻しながら平常値に戻った山本の顔には「雲雀死ね」と思いっきりかかれている。
……正直、山本を友達…否、仲間とすら思いたくない。お前、たしか爽やかキャラだろ。

そしてその他の部下たちは目を輝かせて続きの言葉を待っている。
……お前ら仕事もそれくらい生き生きしながらやってくれよ。

「山本…憎いのは分かるけど、いちおう雲雀さんはボンゴレ最強の守護者なんだから、死なれるとちょっと困るって言うか……」
「そん時は、俺が獄寺娶って、トンファー使って戦うから問題ないのな!」
「問題しかねぇよ。


はっ、冷静に突っ込んでいる場合じゃない…!!
山本の馬鹿は放置だ。今はコイツに構っている時間は0.01秒たりともない。」

「ツナ、なんでそれ声に出していった……?」

言葉にしないと馬鹿には伝わらないからね。

「骸、手を貸してくれ!」
「それよりも沢田綱吉、電話の相手はマキバ王ではないのですか?」

「あー違うよディーノさんじゃなかった。
獄寺君の保護者というか守護者というか…。
とにかく今すぐあの二人を呼んできて…!!」

あの男に目をつけられたら、いくら暴君皇子の雲雀さんの強さをもっても無傷では済まない。

恐らく何らか性的な機能に支障をきたすような病気を植え付けられるに決まっている。

そうなってしまったら……どうなるんだろ。
自分に予知能力がないのが残念だが、とりあえずアジトの全壊では済まないだろう。


――――コンコンッ
「お呼びですか10代目。」


骸に呼ばれ、綺麗なノック音と共に執務室にやってきた二人は、「婚約」の名残がまだ覚めないようすで、
獄寺くんは周りに花が飛んでるんじゃないかってくらい可愛く微笑んでいるし、
雲雀さんに至っては、凶悪殺人鬼とは思えないほど、隠せない喜びが溢れ出ている。

獄寺君は良いとして、
やっぱ雲雀さんはムカつくなぁ。
とくに、山本や骸に対してのドヤ顔の飛び火が俺にも飛んできてるとこが。


……まぁいいや。それよりも、

「二人とも、
幸せに水を差すようなこと言って申し訳ないんだけど、
今すぐどこか遠くに隠れて!」

「え、10代目どういうことですか?!」

俺のただならぬ様子を感じ取ったのか、
いつもの右腕のキリッとした顔つきに戻る。
(流石、俺の右腕……!!)


「馬鹿だね隼人。
新婚旅行に行っていい。って言ってるんだよ。」

「言ってないです。」

獄寺君に比べてこの男…!!危機管理能力が低すぎる。
第一、新婚旅行って、自分の都合の良いよう理解しすぎだろ。

っていうか、獄寺くんのこと隼人って呼ぶようになったんですね。
そりゃそうか。結婚したら獄寺から雲雀に苗字変わっちゃいますもんね。

そうなったら俺も呼び方変えなきゃなぁ…
「雲雀さん」……は雲雀さんだし却下。
隼人さん?隼人君?隼人ちゃん?……「ちゃん」は無いな。

まぁいいや、また後でゆっくり考えよう。

「あのね、獄寺君。
今さっきシャマルから、怒り狂ったような電話が届いたんだよ。」
「えっ!?シャマルから!!?」

「殺してやる。って叫んでて、後ろで薬品のビンが擦れる音がしたから、一大事だと思うんだけど。」
「ま、まじっスか……薬品のビンってことは…
雲雀っ!!急いで逃げるぞ!」

さすが獄寺君。
シャマルの恐ろしさをちゃんと分かってるんだね。

「イタリアから日本に来るのに、少なくとも時間はまだかかるだろうから
とにかく荷造りして
「ちょっと待ちなよ。」

え、なに雲雀さん。俺の台詞まで遮って…!

「あの保険医には
………ちゃんと挨拶するから。」

雲雀さんが挨拶……!!?
できるのか!?
「おはよう」ですら怪しいっていうか、一度も返してもらったことないのに!!?

「ば、馬鹿言ってんじゃねぇ!
挨拶なんて生温い話じゃねぇんだ!
アイツ薬品のビン持ってくるんだぞ…下手したら頭から硫酸ぶっかけられる!」
「硫酸!!?」

獄寺くんも何言っちゃってるの?!
いくら可愛い娘が嫁に行くからって、婿に向かって硫酸はありえないでしょ!!

「心配しすぎだよ隼人。第一、薬品掛けられそうになったら避けるから。
……沢田綱吉、兎に角僕は逃げるつもりは無いよ。」

くっ、ちょっとカッコいいな雲雀さん…!!
そして最後のキメ顔に獄寺君ときめいちゃってるし。

あーはいはいはいはい、そんなに見詰め合わないで!
どんどん二人の顔の距離が近づいていってるんですけど!

「ぎゃぁぁぁぁ雲雀やめてくれ!俺の獄寺の唇がぁぁぁ!!」

うるさい山本!お前のじゃねぇよ!

「おやおや、二人の濃厚なキスシーンを見せ付けられるんですね。」

…なんでお前はそんなニヤニヤしていられるんだよ骸。
でも、確かに二人のキスシーンて、…ちょっと興味あるかも。(主に雲雀さんがどうやってキスするのだとか)

……まず片頬に手を当てて、反対の手で顎を上に向かせる。
顔を近づけたところで、すぐにキスする訳ではなく
一度じっくり相手の目を見る……

獄寺君、超愛されてるね。
なんというか壊れ物を扱うような、そんな感
「はやとぉぉぉぉぉ!!!!!」

「げっ、シャマル!?」

来るの早っ!!どうやってきたの!!?
っていうか邪魔するタイミング良過ぎ!!

「隼人、てめぇ子供が出来たっつーのは本当か!?」
「あぁ、電話で話したとおりだぜ。」

薔薇でも舞いそうな空気だったキス(しそうな)シーンを執務室の扉と共に一気にぶち壊したのは、
獄寺君の宣言どおり、硫酸を持ったシャマルだ。扉の修理代は後でしっかり請求させてもらおう。

「俺は絶対許さねぇぞ、お前らの結婚なんか。」
「な、なんでだよ!っていうかその硫酸下ろせ!!」

「隼人は黙ってろ。
おい、クソ坊主。てめぇこのまま簡単に隼人と結婚できるとは思ってねえよな。」
「当たり前だよ。ちゃんと筋は通す。」

「筋、だとぉ…!!?」

シャマル、めっちゃ怒ってる…!!
そりゃぁ、親心ってもんがあるとは思うけど、なにも硫酸持ち出すほどじゃ…

っていうか硫酸の蓋開けないで!

「てめぇに分かるか?
ずっと自分の娘みたいに可愛がってきた女が、
いきなり涙目で血相変えて『セックスした後、絶対ガキができねぇような後処理の仕方教えてくれ』って隼人が駆け込んできた時の俺の気持ちが!!」

えーーーーっ!!!
俺はてっきりビアンキに聞いたんだと思ってたよ!!
まさかシャマルに聞いてたなんて!


うわっ、雲雀さんも相当驚いた顔してる。

「てめぇにゴミみてぇにヤり捨てられた後、
コイツがどんな気持ちで毎回一人で後始末してたか分かりもしねぇくせに…!!」

「ちょ、シャマルまじでやめてくれ…!!」

うわぁぁ、
そりゃ、シャマルも怒り狂うよ。
流石の雲雀さんも冷や汗かいてるよ。
今、雲雀さんが何考えてるか超直感とかなくても分かる。
(なんでそういう相談をピンポイントでこの親父にしたんだ…、挨拶とかそういう問題じゃないよ。
っていうか認めてもらうとか未来永劫無理だろ……。)
まぁ、こんなところだろうな。

「てめーみてぇな避妊もできねぇ最低野郎に俺の隼人を渡すくれぇなら、
そこのウジ虫みてぇな馬鹿にくれてやった方が100倍マシだ!!!」

「これはまぁ、怒り狂うのも理解できますね。」
「そりゃぁ、ウジ虫の山本の方がまだマシだっていう判定にもなるよね…」
「え?ウジ虫って俺のことだったのか…?」

え?って、勿論そうでしょ。
骸も俺も、雲雀さんよりかはマシっていうよりも、
俺等の方が遥かに良いっていうか、今の状態で比べられるほうが失礼だよ。

「シャマル!俺は山本と結婚する気はこれっぽっちもねえぞ!!
それに、確かにゴミみてえにヤり捨てられてはいたけど、それは過去の話だ!!」

うわぁぁぁ、獄寺君、火に油注いだよ。
キミはアレだよね。悪気は無いけどすぐコトを荒立てるよね。

「とにかく、隼人とお前の結婚は認めねえ。
隼人、お前はちょっとこっちに来い。ガキが健康体か見てやる。」
「え?お、おぅ…。」

雲雀さんには散々怒り狂ったのに、母体の獄寺くんのことはやっぱりちゃんと心配するなんて、
獄寺君のこと、大好きなんだろうなぁ。

獄寺君に負担を与えないように、優しく腰を抱くと、そのまま執務室を出て行ったシャマルを見届けて、
とりあえず、青褪めたままの雲雀さんをなんとかしよう。

 

未来永劫、不可

「早速、婿舅問題が勃発しましたね。」
「僕、既に心が折れそうなんだけど。」
(ま、自業自得ですよ。)



end

広大無辺に迷惑

 

「じゅぅぅぅぅだいめぇぇぇぇぇぇ!!!」
「わっどうしたの獄寺くん!」

ノックもせず、ましてや当人の許可もなく他人の部屋に入ることなんて絶対にない獄寺が、
敬愛する10代目の執務室を通り越し、秘密の地下室(拷問部屋)へとノック等一切なしで泣きながら駆け込んできた。

「ご、獄寺くん、落ち着いて…」

沢田の懐にタックルする勢いで抱きついてきた獄寺に困惑する沢田。
普段の冷静な彼ならば、10代目に抱きつくなんてコト、絶対にしない。

「どうしてしまったんですか、隼人君は……」

普段ではありえない彼の様子に、多少のことでは驚きも関心も示さない六道でさえも唖然としている。
まぁ、獄寺への関心は元から異常にあるのだが。


卑猥な玩具が点在する拷問室には、
泣き喚く獄寺、困惑する沢田、成り行きを見ている六道、
お仕置きが終わり開放された山本の4人がいた。

「雲雀さんと、うまくいかなかったの?」

優しく慰めるような沢田の言葉に、時間をおいてコクリと小さく頷いた。

それを見た山本は沢田の後ろでガッツポーズ。
その山本を骸が膝で蹴り上げる。

(うまくいかなかったって…
事情は知りませんが、両思いなんでしょう?)

他人が見ても相思相愛の二人。まだくっついていないのかと、何年もどかしい気持ちで二人を見てきたことか。

(……本当に甲斐性なしですね、雲雀くんは。)

「いてっ、いてぇ!」

いらいらする気持ちを、目の前の山本に何度かぶつけた六道は、
最近ずっと調子の悪そうだった獄寺と、必死で慰める沢田を見て、なんとなく状況を理解する。

「ね、獄寺君。
雲雀さんに何言われたか、細かく教えてくれる?」

泣いてばかりの今の獄寺じゃ、何も把握できない。とやさしく沢田が宥めていると、
突如、顔を上げた涙目の獄寺に、さすがの沢田もクラリとくる。

「ひっく、じゅぅだいめぇ、むくろ…」
「な、なに…」
「どうしたんですか…」

切羽詰ったような声色に「あ、いやな予感がする。」と思ったが、時既に遅し。

「誰でもいいから俺とセックスしてくれ!!!」


「「はぁぁぁ!!!?」」
「よろこんで!!!」


baby baby baby

突如の獄寺の告白に、目玉が飛び出るかと思うほど驚いた沢田と六道。
獄寺の言葉をもっとも早く理解し、受諾する返事を出した山本は、
素早い六道の対応によって、山本が獄寺に飛び掛る前に、
開口された触手ボックスにて締め上げられている。


「く、るし……!!」
「隼人君、滅多なこと口にしてはいけませんよ。」
「そ、そうだよ獄寺くん!」

歯切れの悪い沢田は、容赦のない力で触手に締め上げられる山本を見上げ、肝を冷やしている。
(良かった……骸がいて。あやうく、ヤっちゃうところだったよ。)

本当、危ない奴らである。

「据え膳喰わぬは男の恥って言うしね。」
「……何、仰っているんですかボンゴレ。」

恐ろしいほど冷酷な目で見下ろされて、
あ、やべ声に出てたか…と思ったが、まぁ良い。どうせ骸しか聞いていない。


「とりあえず、雲雀くんとのやりとりを教えていただけませんか?」

軽蔑された眼差しを沢田に向けたまま、腕の中の獄寺を自分の方に引き寄せ、話をさせる。

(くっそ、似非紳士め……!!)

獄寺を腕から取られた沢田。
六道を心の中で罵倒しまくるが、実際現時点での安全牌は六道一人である。


六道の膝に座りながら、ぼそぼそと雲雀との遣り取りを事細かに説明する獄寺。
六道に正面から抱きつくような格好になっているが、切羽詰っている獄寺本人は、そんな構図に全く気付いていない。
六道は持ち前のポーカーフェイスで誤魔化してはいるが、獄寺に正面から抱きつかれるという状態が心なしか嬉しそうだ。

「兎に角、雲雀さんのところに言って話したは良いけど…
かくかくしかじかなわけか……。」

六道の話術でこれまでの流れを聞き出した。
沢田は心底、雲雀のその対応に呆れ返ったようだ。
絶対的なチャンスを棒に振ったその男に殺意すら沸く。
(俺の獄寺くんを孕ませといて…!!もう、なんで獄寺くんはあんなDV男がいいんだろ!)

ちゃっかりと自分のものにしている厚かましさも、
先程の必殺☆涙目&上目遣いをモロに喰らった沢田は、ほぼ正常な思考回路が作動しておらず気付きもしない。


そんな状態の沢田はさておき、
「だからってセックスしてくれって……それはないでしょう。」
六道は意外とマトモだった。

「いいですか隼人君、男というものはですね……」

普段ド変態で通っている六道とは思えない紳士っぷりを発揮し、先程の「セックスしてくれ」発言を咎める。

「だって、雲雀が…」
「わかっていますが、そんなことしたって貴女にはなんの利益もないでしょう?」

六道に静かに叱られて半泣き状態の獄寺だが、そんな彼女に心を乱されることもなく、淡々と話す。

(骸のやつ……今まで、ただの変態とか思っててごめん。)

六道のあまりに完璧な対応に、自分の心がどれだけ汚れているかを思い知らされる沢田。
そして完全に忘れられているが、依然として締め上げられている山本。

「理解していただけましたか?」
「ぅ、ん……」

もう完全に泣いてしまっている獄寺の頭を、自分の肩口に預けさせ、
綺麗な銀髪を手に絡めながら頭を撫でる六道。

「骸……変態だと思っててごめん。」
「……全くですよ。
まぁこの部屋に貴方達がいなかったら、流石の僕でも頂いてますよ。」
「おい。」
やはり、六道も同類であった。

「それよりも、話を聞いた限りだともうすぐ雲雀君も隼人君を追ってこの部屋に入ってきそうな気がしますが……」

六道のその発言にビクリと身体を強張らせた獄寺。
大丈夫ですよ。と優しく背を摩る六道に、
とりあえず膝の上から獄寺君おろせよ…と思ったが、それを口にするより先に

「獄寺っ!!」

図ったかのようなタイミングで拷問室の扉を蹴破り登場した雲雀。
驚いて顔を六道の肩口から顔をあげた獄寺が見た雲雀は、
息を切らし、汗までかいている。どうやら全力でアジト内を探し回っていたらしい。

「なに、その体勢……」

蹴破って入った部屋の中央に、雲雀にとって宿敵である六道の膝の上に獄寺が乗り、
腕の中にすっぽりと納まっているのだ。
眉間に皺がよるのも頷ける。

(あーぁ、一番面倒なときに来ちゃったよ。)

「おい、獄寺から離れろ。」

面倒そうな沢田は無視し、
殺気を振り撒き、六道を睨みつける雲雀。

「おやおやおや、」

そんな雲雀の様子にニヤニヤしながら、わざと獄寺の頭を引き寄せる。

「っおい…!!」
「ちょ、むくろ…!!」

やめてくれ!と慌てる獄寺に気付かれないように、そして雲雀に見せ付けるように頭部に口付けを落とす。


「っ、やめろ!!」

素早く、予想以上に強い力で獄寺を奪い返すと、自分の胸に獄寺の顔を押し付け、
獄寺から見えないよう、そのままの体勢で六道の顔面に回し蹴りを喰らわす。

「ぐっ…!」
「わっ、ちょ、ひばり…!!」

状況を理解していない獄寺は、雲雀に抱きしめられていることに驚き声を上げるが、
そんなことはお構いなしな雲雀は、ぎゅう、と獄寺を抱きしめ、六道が口付けた場所を袖で拭う。

「今回は、僕が悪いから大目に見るけど……」
「ひ、ばり?」

恐る恐る見る獄寺の顔を乱暴に両手で挟むと、そのまま引き寄せ、
見せ付けるように、思い切り口付ける。

「ん、んむぅーーーー!!」

「うわぁぁぁぁ!!雲雀やめてくれ!俺の獄寺になんてことするのなー!!」

触手ボックスに絡まれたまま、ジタバタ暴れる山本に、
蹴られた頬を押さえ、目が据わっている六道。

「っはぁ、…なに、すんだ馬鹿っ!」

真っ赤な目で睨み上げる獄寺を優しく見つめた後、自分の腕の中に戻し、

「次、僕の女に手ぇ出したら殺す。」

暴れる獄寺を抱え上げ、一切振り返ることなく拷問室を後にした。


広大無辺に迷惑
(これでようやく、くっつくのかな。)
「……略奪愛って燃えますよね。」

「やめろよ、頼むから。」

 

 

END

 

 

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