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自慢の恋人(山獄)

かったるい授業と授業の合間。
たまたま10代目は職員室に呼び出されちまって暇なので、机に頭を預けて寝ようとする。

 

「―――――獄寺っ」


…野球馬鹿。俺が今眠ろうとしてるのが分からないのか?


そのまま無視してやろうかと思ったが、

 

「あっ!ねぇねぇ武!」


…同じクラスの中田だったか中村だったか忘れたが女子が野球馬鹿に声をかけて来やがった。

 

野球馬鹿は俺の席の前に座って話しかけてきたので、必然的にその女子も俺の席の前に立って話している。

 


「田中、どうしたのな?」

――――田中か…おしいな。

 

「昨日、武に告った子に聞いたんだけどさぁ、」


(はっ!?)

昨日そんなことがあったなんて知らなくて、勢いよく机から顔を上げると、


俺がいきなり起きたことに驚いた顔をした中…中田?さんと、
しまったという顔をして苦笑いしている野球馬鹿の顔があった。

 


「―――で、その子に聞いたんだけど、武あんた彼女できたらしいじゃん!」

 

「「――――は?」」


おっハモった。


っじゃなくて!彼女だと?!俺という、こっこっ恋人がいながら!

 

「そのフられた子がさぁ、なんかすごい惚気られたって言ってた〜。(笑)
誰か知ってる?獄寺君。」

 

「――――いや…」

思いっきり野球馬鹿を睨みながら言ってやる。

 

「なんかね〜、かなりツンデレで学校では全く構ってくれないけど、家に帰ると甘えてきて凄い可愛いんだって!毎日お互いの家に行き来してるらしいし!」

 

…おい。ちょっと待てそれって―――


「で?誰なのよ武!女ったらしのアンタが特定の彼女作るなんて!」

 

野球馬鹿はちらっとこっちを見てから――…

 

「あ〜、内緒。そいつすげー恥ずかしがり屋だから。まだ皆には言えないのな。」

 

ってこっち見ながら言いやがった。
急激に頬が熱くなるのを感じる。

 


「…へ〜。まぁせいぜい仲良くやりなさいよ!」

 

それだけ言うと中田さん(?)は去っていった。

 

「なぁ〜獄寺、」

 

「……」

 

「お前ちょっと妬いただろ。」

 


「――――っ!!!!」

 


「…チャイム鳴ったから行くなー。」

 


あのバカ。俺は次の授業が始まるまで、
眠たさとは別の意味で机に伏せた顔を上げることができなかった。

 

 

 

 

 

 

愛しき君(女→雲♀獄)

放課後、風紀の仕事で見回りをしていると1人の女に声をかけられたが、返事してやるのも追い返すのも面倒くさくて放置しておいた。


「ねぇねぇ、雲雀くんってさ――――」


何なんだ馴れ馴れしい。
なんか言ってるが聞かないし聞こえない。早くどっか行ってくれないかな?

 

「ねぇってばー!」

女は僕の袖を引っ張って返事をしろと急かす。 


この僕にここまで突っかかってくる女も珍しいが、そろそろ我慢の限界だ。
(咬み殺す。)
そう思ったときに前方に愛しい人の姿が見えた。

 
「―――隼人、」

気付いたら、その人の名前を呼んでいた。 

隼人も僕に気が付いたのか、嬉しそうにこちらに走ってくる。

 
腹が立っていたのが嘘のように、彼女に対しての感情だけで埋め尽くされる。 


――そう、自分自身でも驚くほどに、
隼人に気を取られすぎて女の行動に反応するのが遅れてしまった。と、いうか傍に煩い女がいたことすら失念していた。


「ひば――――っ!」

 

気付いたときにはもう遅かった。
その女は信じられないことに、僕の口を自分の口で塞いだのだ。
――――隼人の目の前で。

 
しまった、と思ったときにはもう遅かった。隼人が唖然として立ち尽くしているのが見える。
女は雲雀から口を外すと隼人に向かってニヤリと笑った。

 
咬み殺すという言葉よりもシンプルに、ぶん殴ってやろうかと思った。
が、それよりも早く、隼人が女の腕を掴んで僕から引き離した。

 

そして隼人は間髪入れず、僕にキスをした。

隼人は僕の腰に手を回し、僕は隼人の頭を自分のに押し付けるように強く引き寄せた。
女に見せつけるかのように、深く深く舌を絡め、お互いを喰い尽くすようなキスを。

 
長いキスが終わった後、既に女の姿はなかった。

  

「―――隼人…」
「ぼーっとして襲われてんじゃねぇよ。ちゃんと…気を付けろ。」

「うん。ごめんね隼人。――――…続きしようか。」

 

 

―――そうして2人手をつなぎ応接室に向かった。

 

 


end(2013.7.15加筆修正)

 

 

 

 

未知なる快感

初めての

獄寺side

 

 

雲雀と付き合いだして1ヵ月が経った。

 


幸せ真っ只中…ではあるが、
俺には今悩みがある。


それは――――
…手を出す機会を伺っているのだ。

 


やはり男として、俺から仕掛けなくては、と思う。

 

 

だがいまいちどうすればいいのか分からないのだ。
こんな話10代目に相談するわけにもいかないし…

 

 


というわけで、本当に不本意で、嫌々で、仕方なくだが、
唯一俺が話せる奴、「山本」に相談しているのである。

 

 


「で、俺はどうしたらいいんだ?」

「どうって…、つーか獄寺は何もしないほうがいーんじゃねーのか?」

「あ?意味わかんねーよ。
お前女と付き合ってる時なんもしないのか?」

「それはするけど…」

「だから俺が何したらいーか教えろって!
俺はまだ誰かと付き合っ…
…別に初めてって訳じゃねーけど!
一応教えろって言ってんの!」


ウソだ。人とつきあうのは初めてだ。

だがわざわざ山本にそんなこと教えてやる義理はねぇ。
っていうか、さっさと教えろまどろっこしいな!!
 

「あ〜…だから…
つーか何、もう獄寺分かってないから単刀直入に言うけど、獄寺がタチなの?俺は獄寺がネコだと思ってたんだけど。」

「―――…は?タチ?ネコ…?」

「あ〜…だから、」


どうやらヤっ…ヤ、ヤる時にどっちが女役かってことらしい…

 

「獄寺真っ赤なのな〜」

「うるせぇ、バカ!野球バカ!色魔!」

「色魔ってお前…、まぁいいや。で、どっち?」


困った顔とは一変。ニヤニヤしてだらしない…というか、最強にドSな顔してやがる。
こいつ、こんなキャラだっけ…


「そんなの…俺が男役に決まってんだろ!」
「そうは見えな…
「俺が男役なの!!」
「わかった、わかった。そうか〜…う〜ん。」

おい!なんだその嘘言うなみたいな顔!!!

「おい!山本っ!」

「あ〜、
(余計なこと言って掻き回してやってもいいけど…雲雀に咬み殺されんのもめんどうだからな。)

獄寺は―――――………」

 

 

「そっそんなんでいいのか!?」

「あぁ、まあ考えても分かんねえだろうし。とりあえず試してこいよ。」

「おっおぅ。さんきゅーな山本。」

 

バタバタバタ――――

 


「まったく。手の掛かる奴。」








+++++++++++






雲雀side

 


何をしてるんだこの子は。

 

今、僕の恋人「獄寺隼人」は何故か…何故か、
いきなり応接室に来たかと思ったら、僕の膝の上に乗って、首に腕を絡めて擦りよっている。

 

「…獄寺?」

「何だよ。」 

「それは僕の台詞でしょ」

「別に意味は無ぇよ。」

 

…意味はないって、
顔が真っ赤なのだろう、見られないようにきつく首に抱きついている。
まあ耳が真っ赤なのが見えているから意味はないのだけど。 

この子はもしかして誘っているのだろうか。
いや、恥ずかしがり屋の彼のことだ。自ら誘うなんてあるはずがない。


もし、あるとすれば…
(誰かに何か言われた…かな?)

  

「獄寺、」

「…んだよ。」

「顔あげてよ。」

「……」

 
そろそろと真っ赤な顔をあげて、上目遣いで…しかし強さを失わない瞳で見つめられては、


「…っ!」

ちょっと、本当に誘ってるわけ?


「獄寺、キミ、誰に何言われたか知らないけど、一体どうゆうつもりなの?」

「……」
「――――獄寺、」


できるだけ優しく、なだめるように言うと、
大体獄寺は大人しくなって話し始める。


それよりも僕がこんな風に話すなんて獄寺以外に考えられないけど。

「山本が――、」


(山本…)
獄寺にベタベタ触る気にくわない奴。


「雲雀と…その…キ、キス…とかすんのに、どうしたらいいか?って聞いたら、その…」

「僕の膝の上に乗って抱きつけ、とでも言われたの?」

「…あぁ。本当は雲雀を押し倒すくらいの勢いでやった方がいいんじゃないかって思ったんだけど、山本が最近はそうじゃないって。」

この子…僕を襲うつもりだったのか。


「結局、キミは僕とキスしたかったの?」

「っ!なっなんでそうゆう―――」

「獄寺」

 

そっと顎を指で上げてキスしてやる。

 

「っ!」

真っ赤になって。
全く、可愛い以外の言葉が見つからない。

 

この子に襲われるなんて、
本当に考えられないよ。

 

  

 

 

 

 


そんな雲雀の気持ちを知ってか知らずか、獄寺が山本に女の襲い方を聞くまで、そう遠くはない。

 


end(2013.7.15加筆修正)

独占欲

――――バタバタバタバタ

 

校内を駆けまわる、ものすごい足音。
一人や二人なんてもんじゃない。

 


「(咬み殺す…!)」

 諸悪の根源を叩きのめすべく、応接室のドアに手をかけた。

瞬間、

「…っ!」

「…わっっ!ひばり!!
!悪い入れてくれ!」

「ちょっと…!!」


バン!

ちょうど扉が開いたのを良い事に、身軽なこの男は身体を滑らすように応接室の扉を潜り、
廊下を走ってきた勢いを殺すことなく、応接室に雲雀を引き込み、戸を閉めた。
 

「……。」

「……。」

 

『獄寺君!?ここにいるんでしょ!』

『出てきてよ!プレゼント用意したんだからさあ!』

『獄寺君!』


普段はチラチラと獄寺を遠巻きに見つめている女子の軍団だろう。
いつものしおらしさはどこへ消えたのか、戸を叩き割りそうな勢いで喚いている。

一応、ここ、応接室なんだけど。


最強風紀委員長の魔の巣窟だと知っているハズなのに、
女子とは時に、恐怖をも打ち消す心の強さが眠っているらしい。

 

「…悪ぃ、ひばり。ちょっとかくまって。」

「…まったくしょうがないね。」


往生際の悪さと煩さに、一人残らず咬み殺してやりたいが、相手は数十人の女子生徒。
力の上では全く問題ないが、どうにも気分の悪い鉄斎になりそうだ。


「あいつらいらねえっていってんのに追い掛け回しやがって。」
「だからってここに逃げ込みにわざわざ来たの?」


「うっ…違っ!!
た、たまたま扉が開いたから…って、別にどこに逃げ込んでって良ぃじゃねーか!」

「いいけど。」

 

明らかに、この部屋目指して走ってきたよね?と、思ったが口に出すのはやめておいた。
その代わりに、やわらかく笑ってやると、
顔を真っ赤にして背ける。


「ねえ。そんなに女の子たちが邪魔なら僕たちのことバラせばいいじゃない。」
「だっダメだ!そんなことしたら10代目にばれちまう!!」
「(もう気づいてるでしょ…)」

本当に、この子は頭が弱いな……。


そんなやり取りをしているうちに、諦めたのか廊下が静かになってきた。
だけどまだ数人は残っているらしい、雰囲気と気配で分かる。

 

…うん、彼女ら邪魔だし、丁度いい機会だ。ちょっと遊んであげようかな。

 

「ねえ隼人。」

「何だよ雲雀。」

「いつもは2人いきりの時は恭弥って呼んでるじゃない。…呼んでよ隼人。」

 

最高に甘い声で言ってあげる。もちろん外に聞こえるようにね。


「―――――きょうや…。」


ワォ、顔真っ赤にしたまま言わないでよ。
理性飛ぶかと思ったよ。


というか、キミ、外にまだ女子が残ってることに気づいてないんだね。

それでも本当にマフィア?
まあいい。とりあえず牽制しておくとするか。

 

「隼人。今日誕生日だね。おめでとう。」

「おぅ。って今日それ何回目だよ。
昨日から泊まって行くとかいきなり言い出して0時ピッタリに言ってくれたじゃねーか。」

 

「…そうだったね。」
(自分から言ってくれるとは…)


外の女子たちが聞き耳を立てているのがよく分かる。

もうちょっとかな。

 


「そういえば隼人。誕生日プレゼント何が良い?」
「あ?それは昨日も言って―――」


「僕が欲しいってやつ?
何言ってるの、もともと僕は君のものじゃない。
昨日もあげたしね。
他に何かないの?」
「えぇ〜?」


お、女子が去って行ったね。まあこんだけ聞かせれば少しは噂も広まるだろう。
できれば女子だけじゃなく、邪魔な男子共にも広まってくれるといいんだけど。

 


…まぁ、とりあえず、今何か欲しいものを考えている可愛い恋人を、
先にいただくとしよう。

 

 

end(2013.7.15加筆修正)
追記→おまけ

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