「……テロルの仕事って、あいつ一人捕まえればいいんじゃないの?」

「しょーがないでしょあの野郎が部下けしかけて来るんだからー!!」

「ご、ごめん」

哀れな少年は完全にテロルに気圧されていた。
それでも疑問があったのだろう。恐る恐る口を開く。

「そもそも『儀式』って、何?」

テロルの肩が落ちた。

「呆れた! あんたって何も知らないのね!? よくそれで首を突っ込めたもんだわ」

「だって、おれはミーナを助けに来ただけだから」

「助けるって誰から? 何から?」

ケトルは何かを言いかけ、自分の中に解答が無いことに気付いた顔をした。

「……ほら、答えられないじゃない。だから説明してあげるって言ってんの」

ケトルが首肯する。
やはり根が素直だとサルファーは思う。それが少年の美徳なのだろうとも。

「で、最後」

テロルはケトルの手を取り、体を起こさせる。

「みっつ。あんたにうろちょろされて仕事に支障が出たらイヤ。あまつさえ死なれたりしたら目覚めが悪いっ!」

「う、うん?」

「だから余計なことしないで頂戴。返事!」

「は、はい!」

打てば響くようにケトルが呼応した。