「貴方の物語の主人公は貴方しか居ませんよ」
「はーい良い子の皆ー、ラツィお兄さんですよー」
「ラツィと申します。以後お見知り置きを」
「僕は書物を編纂する御仕事をしています。此の世界の始まりから終わり迄の有りとあらゆる秘密を一冊の本に纏めると云う、途方も無い御仕事です」
「おや、お早う御座います。……早く顔を洗って来たら如何です?」
「こんにちは。今日は日差しも暖かく、絶好の散歩日和ですね」
「こんばんは。今宵は月が綺麗ですね」
「くす。素敵ですね」
「違いますぅー。お兄さんニートじゃ有りませんー」
「フランさん、何だか僕に対する時とヘリオスさんに対する時とで態度が露骨に違いませんか!? 泣きますよ!?」
「ラザさんは貴女の事を本当に心配して居るのですよ。其れは判るでしょう? フランさん?」
「嫌ですねぇ。心なんて読めませんってばぁー」
「ラザさんはもふもふですねぇ」
「お兄さんは此でも結構真面目なのですよ?」
「お兄さんローティーンにしか興味有りませんからー」
「えええっ!? ちょ、ちょっと!?」
「ーーさて。本日は何を語りましょうか。どの様な物語をお望みですか?」
「お久しぶりです、ヘリオスさん。貴方は覚えて無いでしょうから、初めましてとでも名乗りましょうか」
「テロルさんて、髪が伸びた以外に外見が変わって無いのですが……。いえいえ、別に喧嘩を売って居る訳では」
「フィルさんは正直ちょっと苦手ですー。メンタル強い方は詰まらないですよー」
「世界を知りたいと願うならば、教えて差し上げましょう。秘密ですよ? レファルさん」
「レファルさん……? はぁー……。彼(ア)の時の子供が随分と大きく成った物ですねぇ」
「わー死ぬー。お助けー」
「不老不死に成りたいと思う気持ちは理解しかねますねぇ。結局最期には死なせて呉れと泣いて懇願するのでしょう?」
「僕は、蚊帳の外の存在なんです。物語に干渉する事のできない、只の傍観者。登場人物には成れないのです……」
「世界は、物語なんです。語り、語られ、然うすることで成り立って居ます。過去も未来も現在も、全てが」
「流石に僕も、未来に対しては沈黙するしか有りません。だってネタバレですからねぇ」
「さて、お手並み拝見と行きますか」
「うーん、事実は小説よりも奇也とは好く言った物ですね」
「僕にとっては時間も空間も全てが無意味です。ページを捲った程度で巡って行く、只其れだけの事」
「何うして本を捨てると云う発想が出来るのです?」
「だから人間は愚かだと言っているのです」
「ま、家事は一通りこなせますよ。ってそんなに意外そうな顔しないで下さいよぅ」
「いえ、僕、アルコールは……」
「……アダマイトさん、貴方には此の書物を差し上げましょう。世界の真理、魔法、其の全てを。……ご免なさい、僕には此の位しかして上げられ無い……」
「マイトさぁぁん。馬鹿ですか、貴方は」
「僕が『何』かって? くすくすくすくす。只の、カタリタガリのモノカタリですよ」
「さようなら。もうお会いする事は無いでしょう」
シマ
「此にて、お終い」
基本的に誰に対してもですます調。よっぽどのことがない限りは崩れない。
やたらと漢字変換ばかりだが、口調そのものは口語的。語尾が間延びしている時はふざけている時。
さん付け呼びには彼なりの親しみを込めた表現。
本心ははぐらかしている……と思いきや結構わかりやすい。