「では、次。レイン様」
キャメロットの声に、レインは「はい」と言って、明るい笑顔になると、そのままドレスをなびかせてクルリとターンしてみせた。
これから始まるダンスパーティーに期待と喜びを抱いているレインは自然と輝いている。
それはファインもハッとさせるような美しさだった。
「レイン、きれい」
思わずファインの口から言葉が出る。
特に、レインの複雑に結い上げられた水色の髪にきらめく髪飾りは、彼女の新しいアクセサリーで、それがとてもはえていた。
そのことを伝えると、レインは顔を赤らめる。
「本当!? ありがとう、ファイン。ほら、これ、自分でデザインして作ってもらったものなの。前にファインにも絵に描いてみせたもの」
「あの絵の髪飾り?」
「うん」
それからレインは照れたように、小さな声で付け足した。
「……ブライト様、宝石のデザインをするでしょう? それを聞いてから、私もしてみないなと思って。ルルに相談して、宝石職人さんにあの絵を見てもらったら、こんな風に作ってくれたの」
「すごーい」
「えへへ。ファインも今度、作ってもらわない?」
「うん! でも、私、デザインなんかできるかな」
ファインがちょっと首をかしげる。
そんな様子を見て、レインとルルは顔を見合わせ頷いた。
ルルが白い小箱を取り出して、ファインの前に立つ。
「ファイン様、これを」
「ルル、これは…?」
「レイン様がファイン様のために作っておいた髪飾りです。ご覧ください」
びっくりした表情のファインは、ルルとレインの顔を見てから、ありがとうと言って箱を開けた。
中からは、真珠の粒が散りばめられた、深紅のルビーが輝く髪飾りが現れた。
「わあ…」
ファインがその宝石の輝を見つめる。
興味深そうにキャメロットとプーモも側にきた。
「まあ、美しいアクセサリーですこと。レイン様、ルル。いつの間に」
キャメロットがうっとりとため息をつきながら微笑む。
「すごいでプモ。ファイン様、さっそくレイン様のように髪につけてみるでプモ」
「うん!」
レインに手伝ってもらって宝石を身につけたファインは、ルルから渡された手鏡で自分の姿を見て、ますます顔を輝かせた。
「お二人とも、大変お綺麗ですよ」
キャメロットが誇らしげに言う。
ファインとレインは自然と澄ました足取りで、月の国のダンス会場へと向かっていった。