ガーデンの奥のほうにムーンライト・ゴールドの鉢があった。
近づいてみると、それはしっかりと蕾を閉ざしているままだった。
シェイドはそれに、どこかほっとするような、寂しいような、複雑な気持ちになった。
じっと、その花をみつめる。
月明かりの下でほのかに青い光を放つ葉と茎と蕾。
しばらく心奪われたようにそれを眺めていた。
それからシェイドはスッと膝をついて蕾にふれた。
「お前はちっとも咲かないな」
その声は、苦笑いしているようで優しかった。
だが
「シェイド?」
ふいにかかった声にビクリとする。
彼はサッと人の気配を感じとった。