*長くなっててごめんなさい*
1.
ないものねだり
2.
なんでもねだり
3.
恋の寿命
4.
Boo!
5.
悲しくなる前に
6.
雫に恋して
7.
mist...
8.
Amist...
9.
Dracula La
10.
ADracula La
11.
INCUBUS
12.
AINCUBUS
13.
猟奇的なキスを私にして
14.
A猟奇的なキスを私にして
*やっぱり唐突に続く*
新八くんは思いがけない高杉さんの昔話を聞き、その爛れっぷりに肩をふるふるさせております。そんな新八くんにしたり顔で諭す銀さん。
「だろ?最低な奴なの、あいつは。分かっただろ?だからもう高杉と会うんじゃねーぞ。お前みてーなガキなんて、野郎にとっちゃ珍しい玩具でしかねーよ。何されっか分かったもんじゃねェ」
だからもう会うなよ?絶対高杉に会うな。金輪際高杉と話すなよ、目も合わせちゃダメだから。妊娠すっからなお前なんて。すぐ孕むから、新八なんて。肝心なとこでアホアホだしよ、そのくせ身体はスケベだし。頭アホで身体エロいってどんだけだよ、ったく。これだから新八はダメなんだよ。分かったらもう他の男と会うな。てか分かったも何もねーわ、もう禁止な、禁止……
などと懇々と諭し続ける銀さんですが(いや途中から絶対おかしいだろ)、新八くんはあんまり聞いておりません。そして銀さんの諭しを遮るように、頬を染めてポツリと洩らします。
「でも……女癖悪いのは銀さんも一緒だし…」
「あ?」
おずおずと吐き出されてきた新八くんの言葉に、ピクリと不快そうに片眉を上げる銀さん。しかし新八くんはめげない。大きな目をキッと吊り上げ、できるだけきつく保って、それでも可愛いけど気持ちだけはきつめに保ち、銀さんを糾弾。
「一緒でしょ!?銀さんだってそういうとこで、ゆ、遊郭とかで遊んでたんじゃないですか!高杉さんと何が違いますか!」
「いいだろうが別に、男にはそういう時もあんの!発散させなきゃ治んねー時なんて山ほどあんの、股間の剣ちゃんと抑えとかねェと本番の戦で本物の剣も握れねーから」
「良くないです!てかその開き直り方どうなの!?」
ケッ、とばかりに方頬で笑って相手にしてくれない銀さんに、新八くんはもう怒りでふるふるしちゃう。だって銀さんだって女遊び好きじゃないですか。それを棚に上げてね、まあよくも高杉さんの悪口をペラペラと。
だから新八くんだってね、頬を染めながらも徹底糾弾の構えですよ。
「銀さんなんて、女癖は悪いし……か、咬み癖はあるし!」
「げっ」
「その、あの、無駄に大きいのに遅漏だし!僕が止めてって言っても絶対聞いてくれないし!変な時だけ何回もしたがるし!」
「うげ」
「体格差なんて何も考えずに乗っかってくるし、俺の全てを受け入れろって勢いだし!銀さんと僕の体重差10キロくらいはありますよ!?分かってますか!」
「……。……ハーイ(しぶしぶ)」
って、銀さんやっぱりロクでもねええええ!!おーいもう大好きだよコノヤロー!!遅漏で巨根で絶倫かよ!そのくせ咬み癖もあんのかよ!?
そりゃあ新八くんも付き合いきれないねえ。大型犬、つかもはや狼に乗っかられてるようなもんだしね。中々止めてくれないし、イヌ科だから射精もずっと続くんでしょ?しかも時々興奮して噛んでくるケモノ。ううわ、そりゃキツい。
でも新八くんには付き合ってもらいますけどもね。ふふ。だってうちの銀さんには新八くんだけなんだもん。つかこんなにも面倒臭くて複雑な銀さんのことをまるっと全部受け止めてあげられるのなんて、新八くんしかいないのだと思いますよ。
「本当にちゃんと分かってるんですか?!(プンプン)」
「……ごめんって。悪かったって、な?怒んないで新ちゃん」
新八くんの剣幕に押され、しぶしぶ自分の非を認める銀さん。つか遅くね?やっとじゃね?やっと自分の非を認める段階かよ!(銀さん)
でもいつものように甘えてくるような雰囲気の銀さんだけど、甘えてふざけてうやむやにしてくる感じなんだけど、新八くんは許さない。
「いやです!僕は怒ってます!だってこの咬み痕のせいで……高杉さんに銀さんとの仲がバレちゃったんですよ」
顔を赤らめながら、うなじにそっと触れてね。その痕のせいで自分と銀さんとの関係が高杉さんに露呈してしまった訳ですから。それさえなきゃ、高杉さんだってあんな悪ノリはしなかっただろうしさ。
その事実を恥ずかしげな新八くんのお口から洩らされ、銀さんは真顔でポンと手を打つ。
「ああ、なるほど。それであの悪ノリな訳ね。納得」
「納得、じゃねーよ腹立つんだよォォォォォ!!ちょっとは反省してください!(激怒)」
「反省してるって。でも俺も何かお前相手だと、ヤってもいいかなって気分に……てか俺をそういう気分にさせるお前も悪くね?(真顔)」
「な、何ですかそれは!開き直らないでくださいっ!都合の悪い所ばっかり僕のせいにして!」
「わーったよ。じゃあもう咬まねえって。なるべく咬まないようにするから」
「なるべくじゃなくて!」
「ハイハイ、多分もう咬みません。できる限り善処いたします〜」
「まだ“多分”とか言ってる!てかその態度!!お、怒りますから!僕ほんとに怒りますからね!?」
あくまでもしらっとした顔で唇を尖らせ『何でコイツこんなに怒ってんの?』的な態度を崩さない銀さんに、新八くんはいよいよ怒り心頭。怒りでぷるぷるしてる。けど銀さんにあれよあれよと言い含められ、
「じゃあ許してくんないの?」だの、
「怒んなよ」
だのと耳元で甘く囁かれ、図らずも新八くんの理性はぐらぐら揺れちゃうね。絹糸のような黒髪をさらさら梳かれれば気持ち良いし、銀さんの大きな手のひらで愛しげに頬を包まれればうっとりして。ポーズだろうけど(ポーズかよ)、下手に出て御機嫌伺いをしてくる銀さんに陶然となりますね。
「(銀さんが僕にお願いしてる……僕に嫌われたくないのかな?)」
って好きな男が自分にへり下る様子に、何故か胸が甘く痺れちゃう。やっぱり銀さんのポーズなんだけど(だからポーズかよ)、それでも新八くんは銀さんに陶然とする気持ちを抑えきれない。
だってだって、やっぱり惚れた弱み。新八くんはとことん銀さんが好きなのです。大好きだからね、ヒドイ事されても許したくなってしまう。甘えさせてあげたくなる。てか銀さんの甘言にはす〜ぐほだされて、フラフラなびいていく新八くん。
しかし不意に真顔に戻った銀さんに、
「あとはホラ、なるべく今後は早くイくように努力すっから。あと重いのが嫌ならお前が上乗っかれよ。騎乗位でも対面座位でもいーよ?」
「そっ……そ、そういう問題じゃないいィィィィィィ!!」
などと言われたら羞恥でひっくり返りそうになり、赤面で絶叫せずにはいられない新八くんなのです。さもありなん、つかうちの銀新パターン。
つか騎乗位も対面座位も既にしたことあるでしょうがね、ええ(いや、えっと、銀新ちゃん)。でもなかなかこれは攻めが自ずから動けない体位なので、新八くんがもじもじいじいじ動くのに焦れた銀さんがイラァッとして、途中から新八くんのことをドサッて仰向けに押し倒して、いやいや言って逃げる新八くんの細腰を掴んで引き戻し、その反動でずっぷりと全長を咥えさせ、新八くんの白い両脚を肩にかけて、そのまま奥まで重く突いて、逞しい腰を絶えず動かして新八くんのいいところをぐりぐり擦り上げ、そしたら新八くんもひぐひぐ啜り泣きながらたまらずに射精してますけどね(だから銀新ちゃん?)。でもイった直後で敏感な媚肉を関係なしにごりごりやられて、結局は泣きが入るまで開放してもらえず。結局は銀さんにされるがままになっちゃう、かわいそうで最強にカワイイ新八くん。
てかもうこのまま銀新は二人して男性向けに移行できる気がする(それもどうだろう)
「もうっ!自分のダメなところを棚に上げて、高杉さんのことばっかり批判して!銀さんのそういうところ良くないですよ!」
でも銀さんのとんでも発言にひっくり返る寸前で持ち直し(さすが江戸一のツッコミ使い)、懇々と語ってた新八くんですが、やっぱり銀さんはそれが面白くないの〜。どうしてもまだ晋助を庇ってるように見えるんだもん。
「……そんなあいつが好きなのかよ」
だから、ふてくされような声でポツリと言った。まだその問題をしつっこく気にしてます。それに新八くんはもごもごと口籠る。
「ち、違いますよ!僕は高杉さんが好きな訳じゃないです!銀さんの誤解です!」
新八くんは誠意を込めて言ったけど、不貞腐れた様子の銀さんはそっぽを向いてて。
「だってお前言ったじゃん。『好きな人ができました』って。俺のことはもう好きじゃねえから、俺とヤらねえって」
「それは……そうですけど(たじたじ)」
「そのタイミングで高杉だろ?あいつ以外に誰だよ。大穴で土方クンとか言ったら、もうここでお前犯すから」
「はっ!?ま、真顔ですごい怖いこと言わないでくださいよ!何で土方さんまで、ってか土方さんにまた何かしたらそれこそ僕は本気で怒りますよ!銀さんのこと、絶ッッ対に許しませんから!」
銀さんは冗談言ってるように見せかけてますが、あくまでもいつもの悪ふざけとかブラックジョークの延長で「ここでお前犯すわ」とか言ってる感じですが、目は笑ってないんで。目はめっちゃマジなんで。だって晋助のみならず、土方さんのことまで新八くんが庇ってるんだもん。
銀さんはそれにハンパなく苛立つが、いっそここでマジに犯ろっかな、そろそろ犯しといた方良くね?、という気にもなるが(だから銀さん)、でも理性を最大限に動員して、ぷんすか!ってカワイイ顔で怒ってる新八くんから必死に目を背ける。新八くんの小さな唇もすんなりした身体も、手を伸ばせばすぐにでも触れられる位置にあるのに、だからこそ必死で目を背ける。
「……つーかさ、俺もう煮詰まってるもん。鍋底こびりつく勢いでグツグツ煮詰まってるから仕方ねーだろ。お前の好きな男のことが全然分かんなかったしよ。お前が……俺とはもう、キスもしねえっつーし」
そして、渋々言った。あの雨の日のことを。
あの日に新八くんにキスを拒絶され、ひどく複雑な心境を抱いた己のことを語った。自分から離れていって初めて、新八くんの存在がどんなに大きいかに気付いたと。そこでやっと、銀さんは自分の気持ちに気付いたから。
「銀さん……は、あの時、僕とキスしたかったんですか?」
新八くんはそんな、どこか苦しそうに語る銀さんを見て、銀さんの切ない声を聞いて、鼓動が大きく乱れる。ドキッと大きく心臓が弾み、早鐘を打つように鼓動はどんどん速くなっていく。
「……うん」
「な、何でです?」
「だから昨日言ったじゃねーか。前まではさんざっぱら二人でいい思いしてたのに、お前が急にそれ止めるって言って。もう触んなだの言って、俺のことずっと拒否って。神楽が居る時くらいしか俺の側来ねーし。そしたら……お前が気にならねえ筈ねーだろ。しまいには他の野郎に盗られたかと思ったら、ムカつかねえ筈ねーよ」
ぽつぽつと洩らされる銀さんの語りは、いつもの饒舌さのかけらもない。でもそれは嘘じゃないって新八くんにも分かる。今の言葉たちは間違いなく真実って分かる。
微かな苛立ちと焦燥を滲ませる語り口は荒くて、少し怖い。でもだからこそ、剥き出しの銀さんの心を差し出されたようにも感じて。
「銀さん……僕のこと、気にしてくれてたの?だって銀さんったらずっと不機嫌で、最近は朝帰りもしょっちゅうだし、何かすごく怖くて、話しかけ辛くて……だから僕……」
新八くんはドキドキするのを止められなかったです。頬がかあっと熱くなって、どんどん顔が赤くなっていくのが分かる。そっぽを向いて訥々と語る銀さんを、何だかバツの悪そうな、いかにも言いたくなさそうなことを渋々語る銀さんの横顔を見上げて、ぎゅうっと己の袴を握りしめた。
銀さんはそんな新八くんにチラと目を向け、はああ、と大きくため息を吐く。己の焦燥に気付かずにのほほんと過ごしていただろう新八くんには凄く凄く腹がたつけど、でももう銀さんも開き直った。
「ああそうだよ。俺ァずっと不貞腐れながら、てめえの事ばっかり考えてたんだよ。お前が他の男と付き合ってんじゃねーかって、俺以外の男にヤられてんじゃねーかって考えて、その妄想で死ぬほど腹一杯だよ。腸煮え繰り返ってたっつーの。ふざけんな。……ああ、クソ!」
けど開き直ったとは言え、最後だけ憤ってますね。大きく吼えたその声に新八くんはビクッとするけど、もう銀さん同様に言葉を止められないのです。
*続きます*