スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

AROCK ME BABY (銀新)

*続きました*



「な、何でそれを先に言ってくれなかったんですか!?銀さんのばか!ばかばか!」
「言えっかよバカ!三十路近ェ男がてめーみたいなガキのことで悶々としてるとか、アホ過ぎて引くわ!誰が言えるか!」

真っ赤な顔で言い募る新八くんに、銀さんも負けじと言い返す。だってそりゃ銀さんは素直には言えないよ〜。そうやって色恋で荒れてる自分がまず嫌だろうし、今まで誰か特定の人の事だけを考えて、考え続けて、悶々とした体験もそうないだろうし。何より自分がここまで新八くんに執着しているとは思わなかったもん。自分にとっての新八くんが、ここまで大きな存在になっているとはついぞ思わなかった。

新八くんが自分にひっついてた時は好き勝手できたし、いいように扱ってた。捌け口みたくぞんざいに抱いた時も多々あった。それでも悦んでいる新八くんだったし、自分に従順なそんな様子がすごく可愛かったから、別にこの関係を深く考えたことはなかった。でも新八くんが離れて初めて、他の誰かを好きになったのだと言われて初めて、銀さんの中で何かが生まれた。


コイツを手放したくない。
手放せねえ。
他の奴なんかに渡せるはずあるかよ、


って強く強く思った。誰かをそんな風に想ったことなんて、過去には一度もなかったのに。そんな風に誰かを縛りたいって思ったことも初めてだった。
それが独占欲っていう原始的な感情なのだとも、銀さんは初めは気付かなかった。そんな感情を自分が持てることにさえ気付けずにいた。でも、もう分かった。

それが、その厄介な感情こそが、誰かを真実に愛するということなのだと。


雨の日は一緒に傘をさして、晴れの日は空を見上げて。春は桜を見て笑って、冬は雪の積もった道をはしゃぎながら歩いて。ただ誰かとそんな日々を分かち合うということが、ひどく得難いものだって銀さんは知ってた。昔から知っていた。だからこそ、今度は手放せなくなった。
松陽先生が亡くなって、ガキの頃から攘夷までを共に駆けた友人達とも道が分かたれて、いい加減に大人になった自分が、そうやってまた誰かと同じ時間を共有することになるなんて思ってもみなかったから。

獰猛で怠惰で奔放で、自由で複雑でロクデナシで。でも同時に、誰よりも深い哀しみと孤独を抱えている自分。
ずっと昔から抱えているその孤独の中に簡単に入り込んだそいつは、甘やかに自分の生活を侵していった。
そしてその“誰か”は、もう失うことなんて考えられないくらい、自分の中に自然に存在していた。


だから護りたかった。温かな気持ちをただ与えたいだけでなく、ずっとその笑顔を護りたいと思った。その無垢な表情を見ていると、胸が軋むような不思議な感覚を覚えた。でも護りたいだけでなく、縛りたいし、独占したい。こっちを向いてくれないと腹が立つし、イライラして落ち着かない。その笑顔が自分に向けられてないと嫌で仕方なくて、動向に一喜一憂して。


そんなの──どう考えても好きだからに決まってる。






「そ……それで、悶々としながらも何かわかったんですか」

新八くんは赤い頬のまま、おずおずと銀さんを見上げる。

「ああ。分かった」

銀さんの声はいつものように飄々としてて、さっきと違ってどうにも気持ちが読めない。だから新八くんは首を傾げたけど。

「何が分かったんです?」
「どこにも行くなよ、新八」

急に銀さんの両腕が背中に回って、ぎゅっと強く抱き締められたことには仰天してしまった。

「っ!ぎ、銀さ」
「高杉だけじゃねえ、他の誰のもんにもなるなよ。……俺だけって言ってくれよ」

耳元をかすめる、銀さんの熱い吐息。

「お願い」

切羽詰まったように揺れている不安げな声は、まるでいつもの銀さんじゃないみたい。でもどんな顔をしているかを確認したいのに、銀さんがぎゅうぎゅう抱き締めてくるから、新八くんはただその場に縫い止められるように立ち竦むのみです。
けど抱き締められて、銀さんの匂いが鼻腔をかすめれば、否が応でも新八くんはときめく。

銀さんの高い体温。抱き締めてくる逞しい腕。着物越しに合わさった身体。それを感じると何だか喉が渇くように苦しくて、なのに胸が甘く痛んで、頭の芯が緩く弛むのが分かる。
好きな人の腕の中で、うっとりと恍惚に酔い痴れてしまう。


「だから……す、好きじゃないってば。僕は高杉さんのことは何とも思ってません。僕の中での高杉さんは、えっと、そういう存在じゃないんです」

でもまだ銀さんが高杉さんのことを言ってくるから、ドキドキしながらも告げた。本当に自分の気持ちは高杉さんにはないと、新八くんは真摯に告げずにはいられなかった。

「じゃあ俺のことは?」
「え?」
「俺のことは……まだ好き?」

けれど、突然銀さんから聞かれた質問には戸惑いましたよ。ひょいと顔を起こした銀さんの目からは、いつものようなからかいの色が消えている。思いがけないほど真剣なその瞳。真っ直ぐに自分を射抜いてくる、その紅い双眸。
余裕のまったくない、どこかせつなげな銀さんの表情。

(銀さんが好き)




「……え、えっと」

新八くんは咄嗟にそう思ったけど、何を言おうか迷って、もう銀さんの顔を見てもられなくて、下をむくんだけど。

「好きだろ?」
「あ、ちょっ、待っ……んうう」

でもすかさず伸びてきた銀さんの手に顎を掴まれ、上向かせられて、強引なキスを受ける。背後を壁に、正面は銀さんの身体に挟まれて、どうしても逃げられなかった。

「んん、ん……っ」

ぎゅってきつく抱き締めてくる銀さんの片腕。間近で嗅ぐ銀さんの甘い匂い。押し潰されそうに分厚い身体。
鼻にかかったように甘い声を洩らす新八くんは胸が高鳴り、自分の頬がうずうずと火照っているのを感じる。こうやってキスされるとなお感じる、男のにおい。より近くで感じた生々しいような銀さんの欲望。狂おしいほどの情のせつなさ。

自分へ向けてくる、その感情の激しさ。


「っ、や、あの、銀さん?……えと、ちょっと待って、」
「だめ。待てねえ」

新八くんはときめくと同時にそれを怖くも思って身を捩るんだけど、銀さんは逃す気は一切ない。顔を振って逃げようとする新八くんの小さな頭を片手で固定して、強引にもしっかり唇を合わせる。その可憐な唇を喰らう勢いでね、ガブッと。だって新八くんの口からそれを聞かなきゃ、もう居ても立っても居られないもの。

僕には銀さんだけですって、銀さんが好きって、銀さん以外の人は好きじゃないって、

ただそう言って欲しい。今すぐ言って欲しくて、らしくもなく無我夢中で、半ば狂いそう。



「ぎ、……ん、んんっ、んー!……ふ、うぅ」

だからもうどう新八くんが嫌がろうと、己の腕の中でそのしなやかな身体を突っ張ろうとも、銀さんは新八くんを離さない。骨の軋むほど強く新八くんを抱え込み、烈しく口を吸う。そのうちに新八くんも抵抗を諦めて、ちゅっちゅとキスされるがままになっていきます。

抵抗を止めたことをすぐに察した銀さんは、今度は少し柔らかに唇を重ねて。

「……あ……銀さん」

ほとんど唇を合わせたまま呟いた新八くんは、口を閉じる間もなくまたキスされて。ああ、って甘く吐息して、全身がくらげにでもなったみたいにぐんにゃりして、だから銀さんに搦め捕られてないと立ってもいられず、だんだんと息も絶え絶えになっていく。

新八くんはやっぱりときめいて、昨日とは違ってどこかうっとりとなります。だって今の銀さんのキスは昨日とは違って、強引なんだけど性急ではない。
ゆっくり上顎をくすぐって、歯茎を舐めて、縮こまっていた舌根を優しく掬われて。音が立つくらいしゃぶられて、どこもかしこも甘く蕩かされていく。


「(僕……この人が好き)」

自然とそう思った。やっぱり自分は銀さんが好きで仕方ないのだと。
銀さんの中での自分の位置付けを考えると悲しくもなるし、せつなくもなる。だからこそ銀さんから離れようと決心して銀さんとの関係を絶ったけど、銀さんの近くにも寄らないように必死で堪えていたけど、そんな決意も努力も、全部このキスの前では無意味。

だって頭の中だけで考えたことなんて、全部凌駕していく。綺麗に塗り替えられていく。好きな人に求められる行為に。



だから新八くんは、もう銀さんに嘘をつけなかった。


「銀さん……好き。ずっと銀さんだけがすき……」

久しぶりに自分の口から出た、本当に素直な言葉。
キスの合間に愛の言葉を囁いて、銀さんの逞しい身体にぎゅっとしがみついて、あとは新八くんも夢中で銀さんの舌を吸ったさ。我慢できなくて。

深いくちづけの合間に、ちゅっちゅっと啄むみたいなバードキス。まるでいたずらするような銀さんのキスに焦れて身体を火照らせていた新八くんだから、キスの合間に囁かれた睦言にも上手く応じられない。



「好きだよ。新八」






*続*

ROCK ME BABY (銀新)

*長くなっててごめんなさい*
1.ないものねだり
2.なんでもねだり
3.恋の寿命
4.Boo!
5.悲しくなる前に
6.雫に恋して
7.mist...
8.Amist...
9.Dracula La
10.ADracula La
11.INCUBUS
12.AINCUBUS
13.猟奇的なキスを私にして
14.A猟奇的なキスを私にして



*やっぱり唐突に続く*



新八くんは思いがけない高杉さんの昔話を聞き、その爛れっぷりに肩をふるふるさせております。そんな新八くんにしたり顔で諭す銀さん。

「だろ?最低な奴なの、あいつは。分かっただろ?だからもう高杉と会うんじゃねーぞ。お前みてーなガキなんて、野郎にとっちゃ珍しい玩具でしかねーよ。何されっか分かったもんじゃねェ」

だからもう会うなよ?絶対高杉に会うな。金輪際高杉と話すなよ、目も合わせちゃダメだから。妊娠すっからなお前なんて。すぐ孕むから、新八なんて。肝心なとこでアホアホだしよ、そのくせ身体はスケベだし。頭アホで身体エロいってどんだけだよ、ったく。これだから新八はダメなんだよ。分かったらもう他の男と会うな。てか分かったも何もねーわ、もう禁止な、禁止……


などと懇々と諭し続ける銀さんですが(いや途中から絶対おかしいだろ)、新八くんはあんまり聞いておりません。そして銀さんの諭しを遮るように、頬を染めてポツリと洩らします。

「でも……女癖悪いのは銀さんも一緒だし…」
「あ?」

おずおずと吐き出されてきた新八くんの言葉に、ピクリと不快そうに片眉を上げる銀さん。しかし新八くんはめげない。大きな目をキッと吊り上げ、できるだけきつく保って、それでも可愛いけど気持ちだけはきつめに保ち、銀さんを糾弾。

「一緒でしょ!?銀さんだってそういうとこで、ゆ、遊郭とかで遊んでたんじゃないですか!高杉さんと何が違いますか!」
「いいだろうが別に、男にはそういう時もあんの!発散させなきゃ治んねー時なんて山ほどあんの、股間の剣ちゃんと抑えとかねェと本番の戦で本物の剣も握れねーから」
「良くないです!てかその開き直り方どうなの!?」

ケッ、とばかりに方頬で笑って相手にしてくれない銀さんに、新八くんはもう怒りでふるふるしちゃう。だって銀さんだって女遊び好きじゃないですか。それを棚に上げてね、まあよくも高杉さんの悪口をペラペラと。
だから新八くんだってね、頬を染めながらも徹底糾弾の構えですよ。


「銀さんなんて、女癖は悪いし……か、咬み癖はあるし!」
「げっ」
「その、あの、無駄に大きいのに遅漏だし!僕が止めてって言っても絶対聞いてくれないし!変な時だけ何回もしたがるし!」
「うげ」
「体格差なんて何も考えずに乗っかってくるし、俺の全てを受け入れろって勢いだし!銀さんと僕の体重差10キロくらいはありますよ!?分かってますか!」
「……。……ハーイ(しぶしぶ)」


って、銀さんやっぱりロクでもねええええ!!おーいもう大好きだよコノヤロー!!遅漏で巨根で絶倫かよ!そのくせ咬み癖もあんのかよ!?
そりゃあ新八くんも付き合いきれないねえ。大型犬、つかもはや狼に乗っかられてるようなもんだしね。中々止めてくれないし、イヌ科だから射精もずっと続くんでしょ?しかも時々興奮して噛んでくるケモノ。ううわ、そりゃキツい。

でも新八くんには付き合ってもらいますけどもね。ふふ。だってうちの銀さんには新八くんだけなんだもん。つかこんなにも面倒臭くて複雑な銀さんのことをまるっと全部受け止めてあげられるのなんて、新八くんしかいないのだと思いますよ。


「本当にちゃんと分かってるんですか?!(プンプン)」
「……ごめんって。悪かったって、な?怒んないで新ちゃん」

新八くんの剣幕に押され、しぶしぶ自分の非を認める銀さん。つか遅くね?やっとじゃね?やっと自分の非を認める段階かよ!(銀さん)
でもいつものように甘えてくるような雰囲気の銀さんだけど、甘えてふざけてうやむやにしてくる感じなんだけど、新八くんは許さない。

「いやです!僕は怒ってます!だってこの咬み痕のせいで……高杉さんに銀さんとの仲がバレちゃったんですよ」

顔を赤らめながら、うなじにそっと触れてね。その痕のせいで自分と銀さんとの関係が高杉さんに露呈してしまった訳ですから。それさえなきゃ、高杉さんだってあんな悪ノリはしなかっただろうしさ。
その事実を恥ずかしげな新八くんのお口から洩らされ、銀さんは真顔でポンと手を打つ。

「ああ、なるほど。それであの悪ノリな訳ね。納得」
「納得、じゃねーよ腹立つんだよォォォォォ!!ちょっとは反省してください!(激怒)」
「反省してるって。でも俺も何かお前相手だと、ヤってもいいかなって気分に……てか俺をそういう気分にさせるお前も悪くね?(真顔)」
「な、何ですかそれは!開き直らないでくださいっ!都合の悪い所ばっかり僕のせいにして!」
「わーったよ。じゃあもう咬まねえって。なるべく咬まないようにするから」
「なるべくじゃなくて!」
「ハイハイ、多分もう咬みません。できる限り善処いたします〜」
「まだ“多分”とか言ってる!てかその態度!!お、怒りますから!僕ほんとに怒りますからね!?」

あくまでもしらっとした顔で唇を尖らせ『何でコイツこんなに怒ってんの?』的な態度を崩さない銀さんに、新八くんはいよいよ怒り心頭。怒りでぷるぷるしてる。けど銀さんにあれよあれよと言い含められ、

「じゃあ許してくんないの?」だの、
「怒んなよ」

だのと耳元で甘く囁かれ、図らずも新八くんの理性はぐらぐら揺れちゃうね。絹糸のような黒髪をさらさら梳かれれば気持ち良いし、銀さんの大きな手のひらで愛しげに頬を包まれればうっとりして。ポーズだろうけど(ポーズかよ)、下手に出て御機嫌伺いをしてくる銀さんに陶然となりますね。

「(銀さんが僕にお願いしてる……僕に嫌われたくないのかな?)」

って好きな男が自分にへり下る様子に、何故か胸が甘く痺れちゃう。やっぱり銀さんのポーズなんだけど(だからポーズかよ)、それでも新八くんは銀さんに陶然とする気持ちを抑えきれない。

だってだって、やっぱり惚れた弱み。新八くんはとことん銀さんが好きなのです。大好きだからね、ヒドイ事されても許したくなってしまう。甘えさせてあげたくなる。てか銀さんの甘言にはす〜ぐほだされて、フラフラなびいていく新八くん。


しかし不意に真顔に戻った銀さんに、

「あとはホラ、なるべく今後は早くイくように努力すっから。あと重いのが嫌ならお前が上乗っかれよ。騎乗位でも対面座位でもいーよ?」
「そっ……そ、そういう問題じゃないいィィィィィィ!!」

などと言われたら羞恥でひっくり返りそうになり、赤面で絶叫せずにはいられない新八くんなのです。さもありなん、つかうちの銀新パターン。

つか騎乗位も対面座位も既にしたことあるでしょうがね、ええ(いや、えっと、銀新ちゃん)。でもなかなかこれは攻めが自ずから動けない体位なので、新八くんがもじもじいじいじ動くのに焦れた銀さんがイラァッとして、途中から新八くんのことをドサッて仰向けに押し倒して、いやいや言って逃げる新八くんの細腰を掴んで引き戻し、その反動でずっぷりと全長を咥えさせ、新八くんの白い両脚を肩にかけて、そのまま奥まで重く突いて、逞しい腰を絶えず動かして新八くんのいいところをぐりぐり擦り上げ、そしたら新八くんもひぐひぐ啜り泣きながらたまらずに射精してますけどね(だから銀新ちゃん?)。でもイった直後で敏感な媚肉を関係なしにごりごりやられて、結局は泣きが入るまで開放してもらえず。結局は銀さんにされるがままになっちゃう、かわいそうで最強にカワイイ新八くん。

てかもうこのまま銀新は二人して男性向けに移行できる気がする(それもどうだろう)




「もうっ!自分のダメなところを棚に上げて、高杉さんのことばっかり批判して!銀さんのそういうところ良くないですよ!」

でも銀さんのとんでも発言にひっくり返る寸前で持ち直し(さすが江戸一のツッコミ使い)、懇々と語ってた新八くんですが、やっぱり銀さんはそれが面白くないの〜。どうしてもまだ晋助を庇ってるように見えるんだもん。


「……そんなあいつが好きなのかよ」

だから、ふてくされような声でポツリと言った。まだその問題をしつっこく気にしてます。それに新八くんはもごもごと口籠る。

「ち、違いますよ!僕は高杉さんが好きな訳じゃないです!銀さんの誤解です!」

新八くんは誠意を込めて言ったけど、不貞腐れた様子の銀さんはそっぽを向いてて。

「だってお前言ったじゃん。『好きな人ができました』って。俺のことはもう好きじゃねえから、俺とヤらねえって」
「それは……そうですけど(たじたじ)」
「そのタイミングで高杉だろ?あいつ以外に誰だよ。大穴で土方クンとか言ったら、もうここでお前犯すから」
「はっ!?ま、真顔ですごい怖いこと言わないでくださいよ!何で土方さんまで、ってか土方さんにまた何かしたらそれこそ僕は本気で怒りますよ!銀さんのこと、絶ッッ対に許しませんから!」

銀さんは冗談言ってるように見せかけてますが、あくまでもいつもの悪ふざけとかブラックジョークの延長で「ここでお前犯すわ」とか言ってる感じですが、目は笑ってないんで。目はめっちゃマジなんで。だって晋助のみならず、土方さんのことまで新八くんが庇ってるんだもん。

銀さんはそれにハンパなく苛立つが、いっそここでマジに犯ろっかな、そろそろ犯しといた方良くね?、という気にもなるが(だから銀さん)、でも理性を最大限に動員して、ぷんすか!ってカワイイ顔で怒ってる新八くんから必死に目を背ける。新八くんの小さな唇もすんなりした身体も、手を伸ばせばすぐにでも触れられる位置にあるのに、だからこそ必死で目を背ける。


「……つーかさ、俺もう煮詰まってるもん。鍋底こびりつく勢いでグツグツ煮詰まってるから仕方ねーだろ。お前の好きな男のことが全然分かんなかったしよ。お前が……俺とはもう、キスもしねえっつーし」

そして、渋々言った。あの雨の日のことを。
あの日に新八くんにキスを拒絶され、ひどく複雑な心境を抱いた己のことを語った。自分から離れていって初めて、新八くんの存在がどんなに大きいかに気付いたと。そこでやっと、銀さんは自分の気持ちに気付いたから。

「銀さん……は、あの時、僕とキスしたかったんですか?」

新八くんはそんな、どこか苦しそうに語る銀さんを見て、銀さんの切ない声を聞いて、鼓動が大きく乱れる。ドキッと大きく心臓が弾み、早鐘を打つように鼓動はどんどん速くなっていく。

「……うん」
「な、何でです?」
「だから昨日言ったじゃねーか。前まではさんざっぱら二人でいい思いしてたのに、お前が急にそれ止めるって言って。もう触んなだの言って、俺のことずっと拒否って。神楽が居る時くらいしか俺の側来ねーし。そしたら……お前が気にならねえ筈ねーだろ。しまいには他の野郎に盗られたかと思ったら、ムカつかねえ筈ねーよ」

ぽつぽつと洩らされる銀さんの語りは、いつもの饒舌さのかけらもない。でもそれは嘘じゃないって新八くんにも分かる。今の言葉たちは間違いなく真実って分かる。
微かな苛立ちと焦燥を滲ませる語り口は荒くて、少し怖い。でもだからこそ、剥き出しの銀さんの心を差し出されたようにも感じて。

「銀さん……僕のこと、気にしてくれてたの?だって銀さんったらずっと不機嫌で、最近は朝帰りもしょっちゅうだし、何かすごく怖くて、話しかけ辛くて……だから僕……」

新八くんはドキドキするのを止められなかったです。頬がかあっと熱くなって、どんどん顔が赤くなっていくのが分かる。そっぽを向いて訥々と語る銀さんを、何だかバツの悪そうな、いかにも言いたくなさそうなことを渋々語る銀さんの横顔を見上げて、ぎゅうっと己の袴を握りしめた。

銀さんはそんな新八くんにチラと目を向け、はああ、と大きくため息を吐く。己の焦燥に気付かずにのほほんと過ごしていただろう新八くんには凄く凄く腹がたつけど、でももう銀さんも開き直った。

「ああそうだよ。俺ァずっと不貞腐れながら、てめえの事ばっかり考えてたんだよ。お前が他の男と付き合ってんじゃねーかって、俺以外の男にヤられてんじゃねーかって考えて、その妄想で死ぬほど腹一杯だよ。腸煮え繰り返ってたっつーの。ふざけんな。……ああ、クソ!」

けど開き直ったとは言え、最後だけ憤ってますね。大きく吼えたその声に新八くんはビクッとするけど、もう銀さん同様に言葉を止められないのです。



*続きます*
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2016年07月 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
アーカイブ