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A猟奇的なキスを私にして (銀新)

猟奇的なキスを私にして (銀新)

*長くなっててごめんなさい*
1.ないものねだり
2.なんでもねだり
3.恋の寿命
4.Boo!
5.悲しくなる前に
6.雫に恋して
7.mist...
8.Amist...
9.Dracula La
10.ADracula La
11.INCUBUS
12.AINCUBUS




*新八くんセコムこと銀さんが駆け付けてきたとこから*




「ぎ……銀さん!!??」
「ちょっと待てコラァァァ!!!!」

新八くんが驚いて硬直する暇もない。
あっという間に高杉さんと新八くんの元に走り寄って来た銀さん、すんごい勢いで新八くんの手首をとって立たせる。てかもうね、晋助からべりっと引き剥がす勢いです。
仔猫の首根っこを引っ掴むくらいに軽々と新八くんを扱う。

「おいィィィィィィ!!??何やってんだ新八!バカ!すっげえバカ!信じらんねえお前、散々探させやがってこのバカ!」

バカバカ言いまくってんなあ。銀さんの中ではホッとしてるのとイライラとが混ざり合って、ハンパないんでしょうね。余裕なし。
新八くんはそんな銀さんにどぎまぎしつつ、『やっぱり銀さんは来てくれた!』って途方もない安堵で胸をいっぱいにさせつつも、潤んだ目で銀さんを仰ぐ。

「あの、銀さん……(まだ心臓ドキドキ)」
「(一切聞いてない)どうしたんだよ?やっぱまだ昨日のこと怒ってんの?アレはほら、俺も頭に血ィ上ってたからね、訳分かんなくなっちまったっつーか?お前すげー拒否るし、マジに泣いてるし、でもそういうお前がちょっとかわいくてよ。何つーかほら、」
「あ、あの、銀さ」
「(やはり一切聞いていない)お前にはまだ分かんねーだろうけど、男って下半身と上半身で別の生き物だろ?そこだけ別モンなんだよ、だからその、昨日のは俺も一応反省…………あ?つかお前、何でこんなことにいる訳?」


でもようやく自分の手元に戻ってきた新八くんにホッとしつつ、新八くんの姿かたちや様子に何か違いがないか愛を込めて確認しつつも、ここで銀さんはようやく傍らに居る男の顔をちゃんと見た。忌々しそうな視線をそいつに注ぎ、てめえ誰のもんに手ェ出してんだコルァ的な、極めてチンピラに近いメンチをそいつに向かって切り……

「って、お前かよォォォォォ!?!?何でてめえがここに居んだよ高杉!ふざけんな!てめえコラ、新八に何してやがった!?」


──って、銀さんうるせえええ!この男はいつ何時も喋り倒さずには居られねーのかよ!(心から)新八くんの話を聞きしない!駆け付けてくるなり怒ってるし!そのくせ新八くんの確認に必死だったので晋助にやっと気付くっていう有様!!もー心から大好き!!
こんな銀さんには心からの信頼を寄せます、問答無用で。


一方で晋助はそんな銀さんにね、当然ながら鼻白んでおります。当たり前です。イラァッとした様子で前髪を掻き上げ、それでもゆったりと立ち上がる。

「……久しぶりにあった俺に対しての第一声がそれか?相変わらずの不粋野郎だな、てめえは(ペッ)」
「は?不粋もクソもねーんだけど、てかどうでもいいんだけど。俺が聞いてんだよ、お前は新八にここで何してた訳。なあ。答えようによっては殺す」

ちょ、もう銀さん凄え怒ってんじゃん。こういう時の銀さんの目の色は尋常じゃないもんね。こっわ
でも晋助は晋助なんで、一歩も退かないと思うけど。常人が見たらハンパなくドン引きしそうな銀さんの怒ってる様子も、別に気にしてない。くつくつと喉を震わせ、思わせぶりに笑ってるくらいで。

「別に何もしてねえよ。……まだな(ニヤリ)」
「……あ?(ピキッ)」

めっちゃ挑発してくる晋助に煽られて、銀さんのこめかみの血管が引き攣れてる。ムカつきで引き攣れてる!(楽しい)
でも近い位置でメンチ切りあってる銀さんと晋助を見て、飛び上がって驚くのは新八くん。殺気立ってる二人がちょう怖いけど、勇気を出して銀さんの着流しの袂をツンツン引っ張る。

「ぎ、銀さん?あの、よく分からないけどごめんなさい。僕、別に高杉さんとは何も……(おずおず)」
「ああ?何もねえことねーだろ。だってお前、俺が来る直前にこいつに何かされかかってなかった?てか高杉にキスされようになってたよな、新八(即答)」

おお。凄え。銀さんしっかり見てる!視力良さそうだもんね銀さん、つか総じて身体能力高いもん。バッチリとキス直前の現場を旦那に押さえられてて、うっと言い淀む新八くんなのです。
晋助はそんな銀さんと新八くんの様子に、いたく愉快そうに喉を鳴らしてます。きゅうと猫のように目を細めて、とっくりを苛立つ銀さんを眺める。

「だからまだ何もしてねえっつっただろうが。嫉妬か?銀時ィ」
「っ、はああ?!てめえ相変わらずクッソ腹立つなオイ、部外者はすっこんでろ!」
「一言一句違わずにその言葉を返してやる。今の状況を見てみろ。部外者はてめえだろうが」


銀さんと違って今の晋助は余裕ある。やっぱり奴は後追いタイプなのかもしれないですね。後から追いかけても勝利できるっていう。よっ、色男。銀魂界きっての生粋の間男!(褒めてます)
はっ、と小馬鹿にしたように嘲笑う晋助に、銀さんはもうムカついてムカついて仕方ないだろうなあ。


「誰が部外者だよ。新八に関係することで俺が部外者な筈あるかよ。てめえ、うちの新八のこと誑かしたらただじゃ済まねーぞ(ギリギリ)」
「あん?“誑かす”だと?……オイ銀時、てめえのこのガキに対する認識はどこかおかしくねェか。前から薄々思っちゃいたが」(←晋助のくせに正論)
「ああ?!何もおかしくねえっつの!てかおかしいのはお前!昔っからお前の方!」(←ツッコまれた意味もよく分かってない)

晋助もさすがに銀さんの認識にはツッコミ入れるっていう。さすがの晋助もドン引きだよ。晋助にドン引きされたらおしまいだよ(銀さん)(いや晋助)

だってそりゃそうでしょ!要は『俺の新八を誑かすな!』って怒鳴り散らして、晋助の着流しの衣紋を引っ掴む勢いなんだもん。しかし何ですかね、この女房に浮気されてる亭主感。銀さんはね、新八くんがまず自分を頼ってこないとす〜ぐこうなりますからね。その状況で新八くんが悪いとは考えず、すぐにその他の男のせいにする。ふふ。

でもでも、銀さんもいい加減頭に血が上ってるからね〜。すっげえ怒ってるからね。そのうちに晋助も余裕なんてぽしゃってムカムカムカムカしてくるだろうし、そりゃ昔っからの腐れ縁だからね、もはや銀さんの顔を見たら反射的にムカついてくるだろうし(条件反射)、何だか暗雲立ち込める一触即発の気配。
だから新八くんは居ても立っても居られずに、木刀握り締めてる銀さんの太い腕に齧り付く勢いで止めるんですよ。

「や、やめてください!銀さん!!やめて!何でそんなに怒ってるんですか!?高杉さんは何も悪くないんです!高杉さんは、あの、僕の話を……」

そして高杉さんを必死で庇って、庇って庇って……気付いた時には唐突に力を抜いた銀さんに見下ろされてるの。すっっごい冷たい目線で。

「もしかして、お前の言ってた“好きな人”ってこいつかよ。……高杉のことか?」
「……え?」

銀さんの凍り付くような冷たい声に、新八くんはぴたっと身体を硬直させる。だって銀さんの言ってる意味が分かんないんだもん。けど晋助はちゃんと分かってるからさ、ニヤリと口角を上げて新八くんに笑みを送るの。

「何だ?てめえは最初から俺に惚れてたのか?」
「えええ?!な、何で!?違っ、」

ここでようやく新八くんは意味が分かった。そう、銀さんとの関係を絶つ時に自分の放った一言、
『僕……好きな人ができました』
っていう嘘がここまで現場を、てか主に銀さんを騒然とさせている事実に初めて気付いた。咄嗟についたあの時の嘘が、ここまで銀さんを追い込んでたことにもね。

銀さんはもう凄え怒ってますよ。言わずもがな。

「ふざけんな!何で高杉だよ!?他の奴ならまだ納得……できねーけど、納得できる自信一ミリもねえけど、同じくれェ怒ってっけど、高杉だけはねーだろ!地球がひっくり返ってもありえねえええ!!!!」
「だから違いますって、僕の話聞いてくださいっ!落ち着いてくださいってば!(必死)」

全然新八くんの話聞いてくんないね(銀さん)。でもそのうちにここで言い争っていても埒があかないと踏んだのか、募る怒りでふーふー唸ってますけども、新八くんの手首をぐっと握り締めて強引に歩き出そうとする。

さっきまでの混乱と騒然を一瞬だけ消した、ひどく冷たい雰囲気で。

「もういい。……来い、新八」

でも銀さんに無理やり引っ張られて、新八くんは何故なのか不意に泣きそうになった。自分のことをまるで所有物みたいに扱ってくる銀さんの冷たい態度に、唐突に涙が溢れそうになった。

「い、痛っ!やめて銀さん!」

それは、ぎゅっと強く掴み締められた手首の、骨が軋むような痛みよりもずっと。そんな物理的な痛みよりも、ずっとずっと。
銀さんが自分を全然信用してくれないことが辛くて、銀さんがちっとも自分を見てくれないことが嫌で、心が痛くて──たまらなくなった。


「ひ、うっ……い、いやだよ、銀さん……」

大きな瞳からぽろぽろと落ちる新八くんの切ない涙に、銀さんはほんの束の間だけ怒りを忘れた。ちょっとだけバツが悪くなって、新八くんの手首を拘束してた手の力を緩めるの。ほんのちょっとだけですけどね。まだ離さないことは離さないけども。絶対離してあげないけど(だから銀さん)

高杉さんはしばらく何も言わず、だまってそんな二人を見ていた。でも急にスッと笑みをひそめ、銀さんに向けてこんな事を口にする。

「フン。いいように振り回して、従わせるだけ従わせて、それで満足か?まあ……そのガキはお前の“持ち物”らしいからな。お前の好きなとこに目印をつけようが何しようが、所有物なら構わねェんだろう?」

冷たく吐き捨てられた晋助の声に、銀さんは何も言えずに唇を噛み締めましたさ。ギリッて歯噛みしてます。
もちろん晋助は皮肉って言ってるの。目印っていうのは、新八くんのうなじについてた噛み跡のことです。そうやって自分の所有物みたく扱って、振り回すだけ振り回して、それでいて手放すこともしてやらねえ、てめえはどこまでもいい身分だなと。

「…………」

だから、銀さんは何も言えなかったです。自分と新八くんの関係を皮肉られたからね、晋助を黙って睨み付けることしかできなかった。


*続く*
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