俺の彼女がマジメ過ぎる童貞メガネな件(銀新♀)

こちら、幸福安心委員会です。(日常)



*24だと流れるのでこっちに書いておく*


今日、つか昨日ニコニコの超パに行って来ました。妹の旦那さんが毎年行く!ってほどガチなボカロオタなので、チケ取って貰って連れて行っていただいた次第ですね。いや〜面白かったね。何もかも初めて経験だと感動するね、てか周りの皆がミクさんの曲でガチ泣きしてるのにまず私は感動してたもんね(そこで?)。皆が本当に楽しんでるのを見て感慨深かったよね、こういう世界もあるからいいなあ(日本安心だなあ)って感じだったもの。超パは楽しかった!

が、しかし。それはプロローグとして、ここからがうちのブログっぽくなっていきますが、件の超パのゲーム実況してみた。のコーナーにてね、2チームがスプラトゥーンで競ったのですよ。そして負けた方が罰ゲームだったのね。負けたチームにいたメガネの男子がめっちゃいじられてたんだけど、もみくちゃにされたメガネ男子、視界の方にマイク向けられてまず何を言ったかと言うと、

「眼鏡返して……」

ですよ。必死な顔で(萌え)。
そしてそれに対して、

「メガネが本体だもんね」

と後ろのチーム仲間から声がかかり(ももも萌えェェェ)、

そしたら超パってステージ脇のスクリーンでも視聴者のコメントをずっと流しっぱなしにしてるのでコメントもリアルタイムでもちろん伺えますが、

そこのコメ欄に、

「新八じゃんwww」
とか、
「新w八wwww」

とか瞬間風速でぶわって出てたのを、私は決して見逃さなかったッッ!(カッ)
見逃す筈ないじゃない!!メガネが本体言われたら目を見開いて血眼になって、ステージを凝視せずにはいられない!

いや〜まさかの銀魂ネタ、しかも新八くんネタキタコレ状態ですよ。私なんて一人で祭りですよ、隣りの妹に、

「しししし新八くん!新八くんネタきた!」

ですよ、ペンライトを振りつつ(落ち着けよ)

てか私も視聴者だったら絶ッッッ対ツッコミ入れてるもんね、さすが皆はわかってますね。しかし超パでかまされるとはね、つーかもうアレっすねこれ、

新八くんの親しみやすさは国民レベルってことでいいですかね(いいです)




Many Classic Moments51

*まとめ*



*



 小部屋に作り付けられた窓からは、眩しいばかりの朝陽が燦々と差し込んでいる。その朝陽に照らされた少年の白い頬を見ていた桂が、不意にポツリと呟いた。

「今日で新八くんが意識不明になってから三日目……か」

 半ば穏やかな表情で懇々と眠り続ける新八とは対照的に、新八の枕元に座する桂の表情は暗い。それもその筈で、既に今日がリミットの三日目を迎えたのだから尚更だった。
 新八が意識不明となってから、今日で三日目を迎える。それすなわち、新八をこの山城から離れた病院に担ぎ込む、との約束を医師と交わした期日が来たと言う事である。ずっと目覚めぬ新八をこのまま、この戦の前線に置いてはおけぬ。このままにしていていいはずがない。
 だけれど、そうやって新八がこの場から離れると言うことは何を意味するのか。

 今この場に居る桂も銀時も、坂本も高杉も、誰も何も言わぬが……各々の胸にはひしひしと迫り来る“その時”への覚悟や、抑えきれぬ想いが満ち満ちていた。

 そんな想いを一手に受けるように、桂が重々しいため息を吐く。新八が昏睡状態に陥ってからずっとこの部屋に詰め、ろくろく睡眠も取らずにいた男達を諌めるように。

 「高杉……そして銀時。新八くんが目覚めぬまま三日経ったということは、お前達がこの部屋に詰めてからもう三日にもなったという証でもあるぞ。お前達、三日前に戦が終わってからほとんど眠っていないだろう?そろそろ限界だ。お前達も……新八くんもな」

 高杉と銀時の顔を見るが、二人は特に何も言わなかった。だがその目の下に刻まれたくまや、良いとは言い難い顔色を見ていれば、二人が睡眠すらろくに取っていない事がありありと分かる。分かるから、桂だとてもう決断せざるを得なかった。

「……新八くんを、町の病院に運ぼう。他の志士の面々に話して、力を借りるんだ」

そう言って、宥めるように高杉の肩に手を置く。高杉は桂の手を振り払いもせず、だけれど目線は新八の寝顔に固定されたままだ。虚ろにも見える翠の瞳は昏く濁り、うんともすんとも言わぬ。
 坂本はそんな戦友達を見るに見兼ねたのか、心配気な眼差しで高杉を窺う。

「……大丈夫じゃ、高杉。もう向こうの病院にはわしが話を付けてあるきに。新八くんはもう三日も何も口にしとらん。医療の整った施設に移して、点滴なり受けた方が絶対にいい。おまんも分かっちゅうがや」

 坂本の穏やかな言葉に促され、頷いた桂は新八の身体に掛かった布団を捲る。そして新八の身体をそうっと起こしかけた。

「さあ……高杉。もういいだろう。新八くんを……」
「新八に触んじゃねェ」

 だけれど、次の瞬間には高杉の手がそれを払う。容赦なくバシッと振り払われた桂を見て、しかしいきり立ったのは当の桂ではなく、傍らにいた坂本の方だった。
 高杉の着流しの胸元をぐわしと掴み、間近で怒鳴る。

「高杉っ!!おまんはまっこと……この分からず屋が!おまんだけじゃない、銀時もヅラもどんだけ我慢しゆうと思っちょる!?限度位わきまえいや!」
「っ……離しやがれ」

 いつだって高笑いをしている筈の陽気な男がブチかました、真剣な怒声。高杉の胸倉を掴み締める手に血管が浮かぶほどの痛切なその力。なのに高杉はギリッと唇を噛み締め、坂本の手を強引に払っただけだ。
 
「新八くんを本当に死なせる気か!わしらの近くに置いとけば、必ずまた新八くんは戦に巻き込まれるんじゃ!その時になって新八くんが動けん、目が覚めんなら、誰が新八くんを護る!?」

 振り払われた坂本は全く動じず、懇々と続けた。その言葉は今まで誰もが言い掛け、飲み込んできた言葉そのものである。誰もが懸念したが、懸念するが故に口にできなかったものだった。
どれだけ大事でも、どれだけ絆が深かろうとも、この戦場に植物状態の人間を置いておける筈はないのだと。

 しかし坂本の憤りを鎮めるように、高杉と坂本の間に突然すいっと割り入ってきたのは銀時だった。静かに両者の顔を見てから、最後は新八に目を止めて。

「俺が護るよ。新八が一生このままでも、俺は新八を護る」

 静かだがきっぱりと言い切ったその声と、銀時の真っ直ぐな瞳には、いくら桂だとて動揺と驚きを隠せない。

「銀時……お前よもや」
「うん。俺が新八を病院に運ぶわ、ヅラ。あとの事は任せたからな」
「お前はまさか、そのまま前線から遠のくつもりか?」
「ああ。だって仕方ねーだろ。新八を独りにできねえ……したくねーんだよ。新八と離れたくねえ」

 桂は焦りを浮かべながら銀時を見やるが、もう銀時を止められなかった。
 しかし銀時の表情は平静に凪いで、ごく静かなものだ。怒声を上げるでもなく、焦っている訳でも何でもない。だからこそ、もう己の考えを変える事は銀時にはないのだと誰もが分かった。理解した。

 だいたいにして、決意を固め切った銀時を止められる者などここには誰も居ないのである。

「だから……もういいだろ、高杉。新八から手ェ離せよ」

 銀時は呟く。そして、いつの間にか布団からはみ出た新八の手を掴んでいた高杉に言及した。だれけど、高杉は新八の手を放さなかった。いや──放せなかったのだ。

「ふざけるな。コイツは……新八は、」

話しながら、新八の手をぎゅうぅと握る。己の手を握り返してくれる事はないが、新八の手は暖かった。

高杉の手を握り、こっそりと指を繋いで、時には高杉をそうっと抱き寄せ、高杉の怪我を必死に手当てしていた、新八の手。
最後は崩れ行く崖から高杉を突き飛ばし、高杉を護ったその手を、高杉はどうしても放せなかった。


 銀時は高杉の気持ちが分かるのか、ふうと軽いため息を吐く。

「てめえにはまだやる事があんだろ。この戦場で鬼兵隊動かしてけよ。鬼兵隊の総督はてめえにしか勤まらねェ」

 銀時の声は穏やかで、どこかに優しさすらあった。いつもの銀時らしくない声音。なのに高杉は、だからこそ今は銀時の目を見ることができない。

「俺ァ……このまま新八の近くに居る。俺にしかできねェ、俺にしか言えねえ言葉を、まだコイツに伝えてねェ」

 できない代わりに、新八の手を再度ぎゅうぅと握った。暖かな手を握って新八の顔を見ると、少し、ほんの少しだが……新八の瞼がピクと動いたような気さえする。

それが己の勘違いでもいい、今は。今だけは。

「まだ言えてねェんだよ。邪魔すんな、クソ銀時」


 新八に伝えたい想いがある。新八に伝えたくて、伝えられなくて苦しみ悩んだ気持ちがある。だから。


(目ェ覚ませクソガキ。俺を放っておける筈がねえとテメェが俺に言っただろうが……誓ったじゃねえか。俺を置いていくんじゃねェ)

高杉は神も仏も信じていない。元よりそんなものに頼らずとも、高杉は己の剣を信じている。己に剣と侍が何たるかを教えてくれた師こそを、まず信じている。
だが今だけは必死に祈った。何でもいいからコイツを助けろと。

(今度こそ俺を地獄に落としていい。俺の魂なんざ鬼にでも悪魔にでもくれてやる。俺がおっ死んだ後は好きにしやがれ。だから……コイツは)

 新八がこのままで目覚めずにいて、いい訳がない。高杉の気持ちを聞かぬまま、それに返事を寄越さぬまま、こうして眠り続けていていいはずがない。
 だって新八は自分で言ったのだ。僕がアンタを放っておけるはずがないでしょう、と。

だから高杉もようやく認められたのだ、俺はテメェに惚れていると。



 「うっせーわクソ高杉。何でてめえはこうも聞き分けねーんだよ。ガキの頃から変わんねーなオイ。だから、もうそれが無理だって……」

 高杉の必死な眼差しに何かを思い至ったのか、銀時はまたもため息を吐いていた。ガリガリと頭を掻き、ごく静かに吐き捨てる。
 だが、銀時のけったいな言い分に高杉が食ってかかろうとした時のことだ。



──……さん!高杉さん!


 高杉の耳に“その声”が聞こえてきたのは。




.

恋と嘘 (銀新♀)

:にょたはいいものだな(てかまだ続くのか銀新♀は)



何やかんやとのっぴきならぬ理由がありまして、約一ヶ月ほど新八くん♀に触る事もしてなかった(触れられなかった)銀さんのおかしな態度に、

「(銀さん……最近変。キスもしてくれない……)」

などと悶々とし果てた新八くん♀が、ついに我慢の限界を迎えて銀さんを問い詰め、
その新八くんのカワイイ持論に、

「銀さんのばかっ!僕に何で触ってこないんだよ、てか微妙に避けてんじゃねーよ!最近のアンタ変だよ!そりゃ僕がこんな身体になってるから……ガッカリしてるんでしょうけど!」

などと赤面で明後日な方向から問い詰めてきた、ちょいとズレてる新八くんの持論に目をカッと見開いた銀さんが、

「はっ?何?それってお前に何かしてもいいって事?つーかそうだよな?」

的な解釈をして、色々致してしまうお話を漠然と考えています(いや本当に漠然過ぎる説明だよ)
色々理由がありましてね、新八くん♀を遠ざけ気味な銀さんだった訳ですよ。なのに新八くんにそんなん言われたら目をカッと見開かざるを得ないじゃない。何言ってんだよこのメガネは犯すぞ、とこうですよ(そんな一息に)

まあ新八くんに何の相談もせずに、己で解決しようとする方向に持っていこうとしてたのが銀さんの悪いとこだった訳ですけどね!新八くん何も悪くないけどね!(確かに)

Many Classic Moments50

*まとめ*





 ──声が聞こえる。




『高杉さん!高杉さん!!』


ああ、これは僕の声だ。高杉さんを呼ぶ声。雨の降りしきる中で……

雨?

そうか、あの時は雨が降っていたんだ。戦の最中だった。高杉さんが僕を助けに来たせいで腕を斬られて、その後に僕が敵を二人倒して……それからどうなったっけ?

僕は考えるが、それから先の事は詳細には思い出せなかった。だって思い出そうにも、今の僕の目の前に広がるのは暗闇ばかりなのだ。塗りつぶされたように真っ暗な視界の中で、僕はさっきから高杉さんの名前を呼んでいる。喉が潰れるほどに声を張り上げて、叫んでいる。

 僕の好きな人。僕が初めて恋をした人の名を。



『…………な、何で答えてくれないの?高杉さん、あの、居ないんですか?』

 だけど、現実は残酷だった。高杉さんは僕に返事をしてくれない。僕が声をひそめた瞬間にしんと静まり返った暗闇が急に怖くなり、お腹の底からじわじわと恐怖が這い上がってくる。ここには高杉さんが居ないのではないか、という恐れが弱い心を満たしていく。

『ぎっ、銀さーん!!銀さん、来て!!来てください、僕はここです、ここに居るんです!!』

 一旦は叫ぶことをやめた僕だが、やっぱり名前を呼ばずにはいられなかった。今度は銀さんの名前を叫ぶ。こうすれば絶対、絶対に銀さんなら来てくれるという確信が僕にはあったのだ。

 銀さんは僕のヒーローだから。



『…………なんで?何でだよ。てかどこだよここ。何で暗いの?高杉さんも居ないの?銀さんも……』


それなのに、やはり現実は世知辛い。てかクソ喰らえだ。高杉さんどころか銀さんの名を呼んでも返ってこない返事に、僕はいよいよ怖くなる。心の底からぞっとする。静かなだけだった筈の無害な暗闇が、唐突に何かの化け物のように思えてきてしまう。
好きな人にもヒーローにも恵まれず、僕はこのまま、この暗闇の中に捕らわれていなきゃならないのだろうか。


『っ、嫌すぎるよそれェェェェェェ!!マジ無理だ!!』


僕は自分の想像に恐慌をきたして、大いにテンパった。テンパったままその辺を走り回って、あらん限りの声でまた高杉さんと銀さんの名を呼んでいた。

『高杉さんっ!銀さんんんん?!ねえ、嘘でしょ!?また僕をからかってイジってるんでしょ!?二人とも居ないんですか!?僕はここですよ!』

 ここに居るよ。ねえ、僕はここですよアンタら。本当は見つけて欲しいんじゃなくて、アンタらのことを見つけたいよ。僕が見つけて、驚かせてあげたい。

 だから、ねえ、お願いですから。


 アンタ達にまた会いたいよ。




『っ……』

 ハアハアと息を吐いて立ち止まる。僕はもう随分長いこと走っていたらしい。それなのに暗闇は延々と続いているのか、壁などの障害物にも少しも身体は掠らず、一筋の光すら射してこない。このままじゃきっと、二人には会えない。
 そう考えた途端、僕は唐突に涙を零していた。


『うぅ……ひっ、ひぐ』

いつもであれば皆がいるから、涙も我慢できる。銀さんにからかわれるのが嫌だから、涙だって飲み込む。高杉さんに意地悪を言われるのが関の山だから、どれだけ涙目になろうと本当には泣きはしない。できるだけだけど、幼子のように涙は見せない。
なのに今の僕ときたら、泣き虫だった子供の頃のように喉を震わせて泣いている。ひぐひぐと喉を鳴らし、“その想像”に恐怖して涙している。

 もう二度と高杉さんにも銀さんにも会えないんじゃないかと思うと、こわくてたまらなかった。それは死ぬことより、ずっとずっと。


『銀さん……高杉さん……』


 再びあてどもなく歩きながら、僕はまた懲りもせずに高杉さんと銀さんを呼ぶ。もはや独り言にも近い。なのに呼ばずにはいられないのだから、僕の心にどれだけあの人らが肉薄しているかという証明のようなものだろう。


でも、その時だった。そうやってあてどもなく彷徨う僕の耳に、確かに聞き慣れた二人の声が届いてきたのは。



『新八!』
『新八ィィィィ!!』

暗闇を切り裂くように、高杉さんと銀さんの声が綺麗にユニゾンして響いてくる。僕はずびっと鼻を啜り上げ、暗闇の中で顔を起こした。キョロキョロと周りを見渡す。

『こっ、ここでーす!!僕はここですよ!高杉さん、銀さん!』

ようやく聞けた二人の声に、僕は盛大に安堵する。盛大に涙も引っ込み、心から安心して叫び返した。僕はここです、と大いにアピールするかのように、その場でぴょんぴょんとジャンプする。

『テメェそこに居んのか。待ってろ今行く』
『おまっ、ちょ、待っとけ新八!!そこでストップな!』

高杉さんと銀さんの声が重なり合って暗闇に響く。ばらばらの口調なのに同じことを言っているのが面白くておかしくて、僕にはちょっぴり変な感じだ。でもいつも喧嘩ばかりしているのに、ここぞという時では必ずやシンクロ率120%を叩き出すのが、高杉さんと銀さんという侍達だった。


 僕の周りにいる、僕の大切な人たち。







 『──死ぬな!』

 すると突然、急に目の前がパアッと開けた。暗闇の黒が終わり、代わりに、眩しいほどの白い光が僕の目を射る。僕の手を引っ張り上げてくれたのは高杉さんだった。隣りには銀さんの姿も見える。
なのに、肝心の僕はちっとも目を開けられないのだ。銀さんに抱かれている感覚は分かるのに、その腕の中の僕は目を覚まさなかった。

『新八!オイ!なあ、俺の声聞こえるか!?』

 銀さんが僕を呼んで、ピシャッと僕の頬を叩く。なのに、僕は目を開けられない。
高杉さんも銀さんも二人してずぶ濡れだし、銀さんに至っては血まみれだ。なのに少しも構わず、二人は必死な目で僕を見て、少しでも雨の当たらない場所へと僕の身体を横たえてくれる。


 雨。



 ……ああ、雨。この雨だったのか。

あの時の戦の最中で降っていたのは。





『何でだよ!……何でこんな、何で新八はてめえなんかを庇って』

 その雨が降りしきる中で、顔を歪めた銀さんが高杉さんを糾弾する。顔を背ける高杉さんの、その左腕に巻かれた包帯。血を吸って赤黒く染まった傷痕。

いや……それは包帯じゃなく、正確には鉢金を捨てたあとの僕の額当てだ。僕が手当てをしたんだ。だって高杉さんこそ、今は酷い怪我をしている。僕を助けに来たせいで、高杉さんは敵に斬られてしまった。
 僕がもう少し強かったら、もう少し上手く立ち回れていたら、きっと高杉さんは斬られていなかった。

 高杉さんは決して僕のせいにしないし、高杉さんの性格では銀さんに到底言えないだろうけど。



 何も言わずにいた高杉さんに業を煮やしたのか、僕を抱きかかえたままの銀さんが高杉さんに食ってかかる。

『──何とか言いやがれ!てめえのせいで新八が、』

 やめて銀さん!そうじゃないんですってば!

 そう言いたい僕なのに、銀さんの腕の中にいる僕は決して目を覚まさない。
 て言うか僕、何でこうまで目を覚まさないんだろう。てか待って……僕は今、なんで“僕”を見てるの?何で目を開けない僕が銀さんに抱えられている図を、当の僕自身が見ているの?

 え、待って待って、これって何?僕が二人いるってこと?これが噂の?これがあの?……ゆ、幽体離脱?

 ねーよ……

 いや、ないと信じたい!僕は僕のためにもッ!!



『……まだ、新八の心臓は動いてる。生きてる……」

そのうち、僕の胸に手を押し付けた高杉さんがポツリと呟いた。
 そそそ、そうですよ高杉さんっ!僕は生きてるの!生きてますよ、幽体離脱とかしてねーよ!少し、ほんの少しだけ今の僕の身体ってば透けてるけどね!

僕が僕自身を見下ろすっていう、絶賛ミラクルな体験中ですけどねェェェェェェ!!??怖えェェェ!!





 結局それから、どっちが桂さんたちを呼びに行くかで揉めた銀さんと高杉さんのすったもんだが起こり、最後は負傷している高杉さんが僕と共に残ることになった。


『新八……テメェ』

去って行く銀さんの背中を見送った後、物言わぬ僕の身体を抱いた高杉さんがポツリと呟く。その声。その表情。

悔しくてやるせなくて、歯痒くて辛くて。全部を複雑にないまぜたような、その。

『何でテメェはいつも……いつも自分を放り出す。何で俺のために、ためらいなく突っ込んでくるんだよ。弱えくせに……ガキのくせに』

押し殺すような声でポツポツと語る高杉さんの横顔を、僕は切ないような想いで見つめていた。

 だって、仕方ないじゃないですか。僕だってよく分かんねーよ。なのに、アンタが死ぬかもって思ったらもう身体が動いてたんだ。後々の自分が幽体離脱をかますことになるとか、こんなミラクル体験をするとか、まさか僕だって思わないですよ。

だってあの時の僕は、アンタが死ぬことの方が、よっぽど怖かったんだ。アンタをなくしたくなかったんだよ。


 高杉さん。



『新八……』

高杉さんがぎゅっと抱きしめた僕の頬に、数滴の雫がポタポタと落ちる。それが決して雨だけでなく高杉さんの涙にも見えるから、僕の心は不意にきゅうぅと切なく痛んだ。


 ねえ、高杉さん。アンタは何でいつも、僕の前では肝心なことを言ってくれないんだろう。いつもいつだって、僕のことなんてさもどうでもいいような素振りで扱うのに。僕のことは常に馬鹿にしてくるし、からかうし、本当に意地悪だらけだし。足りない言葉を補う事もなく、行動は常に傲岸不遜。僕の前ではとんだ俺様オトコだよ。

 なのに、何で今、僕の身体を抱くアンタの腕はそんなに優しいのだろう。
 何でいつも、いつだって、アンタはその不器用な優しさを僕にくれるのだろう。


 力の入らない左腕で、何でそんな風に僕を抱き締めるの?




『死ぬな……』



 ねえ、伝えたいよ。言いたいよ。僕はまだアンタに言わなきゃだめなことがあるんだ。





 僕は、高杉さんが好きなんですって。











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