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落ちたパンを拾い食いA

ぎいっとドアを閉める。そうよ、わたしは臆病者。だからドアは背中で閉める。そのとき、そっと目を閉じると、背中に温度が触れてくる。背中合わせで戦った海賊たちは、この温かさを常に感じていたのかと思うと、冷え性のわたしには羨ましい。家を出る時のわたしは、化粧で武装して、背中合わせで外界と戦う。負けるわけにいかない。この一瞬に全てを込めて、弓矢の嵐をかわし、わたしは進む。数歩歩くと、相手はもう消えている。それを確認してから、心の瞬間冷却装置をオンにして、わたしは駅へと向かう。

落ちたパンを拾い食い@

わたしは、ジャム派。塗りたくるという行為は、恣意的に物事を動かしている気になる。とりわけ、白い食パンを紫に染め上げるのは快感。乾くのを待つあいだ。いや、待たないけど。スプーンの裏についた残りを、なめあげる。女の子を捨てた瞬間。きっと朝の食卓で、女の子は皆自殺をする。食事が終わると息を吹きかえし、化粧で武装して前髪を整え、エネルギー満タン。そうして、ドアをおしとやかに押しのけたら、女の子は始まる。蠍が何匹いても、女の子は無くならない。everywhere、ガール。



致死量の酸素

抜けていく炭酸。二酸化炭素が自殺をする。世を恨んだのではない。飲み手の過失が原因だ。事件に大きいも小さいもないんだ。目の前をしっかりピンでとめて。できれば名前も書いて。



きっと才能にも大きいや小さいはない。嫉妬を下味とした、ろくでもない規矩で判断していることだろう。物差しはきっと燃えるごみ。


「愛してる」はUFOキャッチャーでは決してつかめない。掴むのは虚空だけ。這い出して鳥の餌になってどっかに運ばれる。口を開けて待っているのは、きっと悪意。



ひじ掛け椅子と滑り台

鉄棒を見て懐かしいと思うとき。何かを忘れているのだろう。


窓から見える、空。雲をどけた風たちは、今頃どこで何をしているのだろう。


青空だね。空が青く見えるのはレイリー散乱。太陽から長旅をして届けられる光。受けとるまで包まれていて。最後に散らばってしまったら意味がないよ。意味は、あるのだけれど。



意味を、探して。拾って棄てて拾う。永遠のリサイクル。
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