くらり。ミーナの身体が力を失い、倒れる。

「ミーナッ!!」

ケトルが抱き止めた時には、彼女は気絶していた。

「テッ、テロル! どうしよう!? 息はしているけれど……」

「落ち着きなさい。一定間隔で呼吸してんなら心配いらないわ。疲れが出たんでしょ」

「うん……」

きっと肉体も精神もケトルが想像出来ないくらい疲れていただろう。今は寝かせてあげたかった。

「結局最後は助けられちゃったなー」

助けると言ったのに、これでは逆だ。
テロルが聞き咎める。

「それでいいんじゃない?さっきのミーナは『助けられっぱなしは嫌!』って思ってたわよ、きっと。助けて、助けられてで世の中回ってんだから素直に感謝しときなさいよねー。それに……」

テロルは一旦言葉を切る。

「あんたが助けるって言って、あたしが協力して、それでこの子は助かった。まず最初にあんたが動かなかったら結果は変わっていたんじゃない?だからあんたの行動は無駄じゃなかったと思うわよ」

ケトルは目を丸くした。その言葉はまるで、

「労ってくれているの?」

「結果としてあんたの存在が解決に噛んだんだから褒めるわよ、そりゃ」

ケトルの胸がじんとする。熱い喜びが湧き上がってくるようだった。
直後、テロルがふてぶてしく笑う。

「ちなみにあんた素人ってことを考慮した上で、初回サービスで採点評価甘めね。次はもっと無茶な行動を控えて実力を考えて動きなさい」

「厳しい!」