冲方丁


再読。


武装集団による空港占拠事件。時を同じくして起きた国連都市の襲撃事件。一見無関係に思えた二つの事件だが、ある人物の残した携帯電話が事件の全貌を明らかにする。

最初に読んだ時は電話のシーンになるたびに『スプライトシュピーゲル』と切り替えて読み進め、電話のシーンになったら『オイレンシュピーゲル』に戻る、という読み方をしました。だから今回通しで読むと、やはり全体の流れがわかりやすいです。

今回は読んでいて辛く感じるシーンが多かったです。キャラクターに感情移入しすぎて同じ目線で怒り、傷付き、悲しんでしまったようです。
涼月と吹雪のカップルを応援したいです。意識している涼月が可愛くて…可愛いのに、自分の劣等感と向き合う苦痛と全力で戦わなければならないのが見ていて辛くなったりもします。どうしようもない自分を抱えてそれでも進む、そんな彼女が好きです。今回酷いことを鳳に言ったことも含めて。
陽炎は今回いっぱい頑張りました。あのシーンは読んでいて辛かったです。毎回助けに来るのは夕霧なんだと思うと胸が熱くなります。狙撃シーンは格好良いのに本人の心情が…というかまた鳳からの評価が上がっています。
夕霧。一途さに胸が痛くなるくらい。孤軍奮闘、仲間の救出、伸ばし続ける手。報われて欲しいです。ジゼルなんかじゃないって証明して欲しいです。包帯姿でレベル3を転送する痛ましさ。でも似合う。そう思ってしまうのが悲しいです。
いつも以上に大人達が渋く格好良く、まるで洋画を観ているかのようでした。
シュテファンは名前が夕霧のストーカーと同じなのと登場タイミングのせいで疑っていたのですが、的外れでした。
いちいち好きなシーン挙げていたらキリがないのでこの辺で。短くまとめられる人は凄いと思います。