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時は眠り、君は眠る

誰だ、私の眠りを妨げるのは。
この館に何用だ。

……何、廃墟だと思っただと?…ふむ、誰かがいるとは思わなかったと。

まぁ、私とて数か月前にこの家を引き継いだのだが。
そこの椅子にでも座ってくれたまえ。来客を立たせたままでは非礼に当たるからな。

この格好が珍しいか。今時外套に三つ揃え、アスコットタイなんて服装ではな。個人の趣味だ。堪忍してくれたまえ。
何、「日本語お上手ですね」だと。確かに、灰髪にはしばみ色の目では日本人とは見られるまいが、ここに居を構える前から独学していたからな。世界各地を旅してきたのでその程度はいともたやすいことなのだよ。

こんな薄暗いところでよく生活できるな、という顔をしているな。私は明るすぎないところでひっそりと暮らしていくのが好きなのだ。ただこの館の年季の入った不潔さには自分もかねがね不服を抱いているところだ。徐々に元のような立派な洋館に戻せたらそれが良いが。

あぁ、この酒に興味があるか。しかしね、これはいわば私専用に調合した薬用効果のある酒でね。他の人が飲んだらどうなるか保証は出来ないのだよ。代わりにこれをどうかな。今のものほどではないが、なかなか美味なワインだぞ。

……男、二人か。廃墟探索が趣味なのだと。他人の敷地や邸に入ってはいかんぞ。片方は……某仏教系大学か。将来聖職者となるなら、余計そう言ったことは慎むべきではないのかね。そんなつもりはない?いやそれでもだめだ。
ところで女性の知り合いはいないのかね。……いない?何が不服と言うわけでもないが、できれば女性の方をここへお招きしたい。美しいお嬢さんを……携帯電話には結構色々な名前があるではないか。なぬ、やめてほしいと。男にはなるべく関心を持たないようにしてきたが場合によっては、君たちのように若く精力的な体、またそれも良いかもしれないな。

昔は男と見れば皆殺しにしてきたんだけどもな。今はそこまではしない。
女性を呼んでおいで、そうしたら今回、こうして邸に入ったことは帳消しにしてあげるから。
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