スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

【小説】古都鎌倉に 完成!

22日になる前に完成出来ました。

hp43.0zero.jp

ここまで応援して下さった方々ありがとうございました。
無事に25歳の誕生日を迎えられます。

以前UPしたところの続きから読みたい方は

hp43.0zero.jp

へどうぞ。
続きを読む

【小説】古都鎌倉に18

私は常日頃から血迷っているのですが、
件の血迷った小説の続きを、別のサイトで公開しましたので、
ご覧になりたい方は下記リンクよりご覧ください。

色々と社会的に不適切とされる表現がある可能性がありますが、
それでも良い方のみ。
hp43.0zero.jp

【小説】古都鎌倉に17

読んで下さるという方は「続きを読む」からお願いします。
続きを読む

【小説】古都鎌倉に16

突然の吐露に、いよいよ彼女はぽかんと目を見張る。やがて意味が理解出来てきたようで、頬に赤みが差すのと同時に、

「だのに、何故背く」

今まで距離を取っていた彼が、美雪の肩を掴んだ。腰をかがめ顔を近づけ、しっかりと目を合わせる。それが辛くて目を逸らす彼女を、そのまま上半身だけ抱き取る。

「貴女は私の妻なのだぞ。いずれ月にも連れて行くつもりだ」

耳の後ろでそう囁かれて、顔から体が熱くなる。非を詰られているというのに。
そういえば、たまに会う日系の少年、ケーンが、「マイヨさんはさぁ、尋問のプロだぜ。飛行機だけじゃなくってさ」と、冷やかし混じりにそう言っていた。自称、彼の弟分だそうだが、どういう経緯でそうなったのか詳しくは知らない。いや、それだけではない。彼のことを、本当は良く知らない部分が多いかもしれない。

「その心を、裏切るようなことをするなど…許さん」

短い黒髪の、くりくりした目が可愛らしい少年はこうも言っていた。「一度目をつけられたら最後、もう逃げられない。降参、降参」と、笑いながら。
現に今、自分は逃れられない状態にあるのではないか。いつになく体が密着していることを思い、急に恥ずかしくなる。

「あっ…あの……私、違います。そんな、つもりじゃ…」

しどろもどろになっているところを、左耳たぶに甘噛みされた。体の奥までじわっと伝わる感触。

「あ……」

完全に頭の処理が止まってしまいそうで、こんな声を上げるのが精一杯だ。

「それならば」

再び視線を戻し、美雪の瞳を捉えた彼の顔には笑みが浮かんでいる。場の主導権を握っているのは自分だという余裕の現れだ。

「うぅ……」

―こんな至近距離って…困るよう……

今度は視線をよそにやることもできない。

「証を立ててもらおうか。私を愛している、と」

強く迫られてうろたえるばかりの彼女を、面白そうに見ている。意地が悪そうな目で。あぁ、そうだ。この人はこういう人だ。
頭が真っ白になる。離して欲しくて、身をよじる。でも、彼は意外と腕にしっかりと力を入れている。痛くはないが、抗えない。
続きを読む

【小説】古都鎌倉に15

冗談にしか聞こえないようなことが、真顔で至極当然に口にされて、美雪は思わず体が震えた。先ほどのような、官能の混じったものではなく、百パーセントの恐怖。これが、彼に向き合った者が感じるという威圧感なのか。

「そんな、私は…そんな大それたこと、考えられません……」

彼に敵視される。そんなことは、あってほしくない。美雪は、彼を愛していることを自覚した。
それでも、これ以上言葉が出て来ない。

「君が国籍のことを気にしているのは分かる。少数民族だからな。しかし、繰り返し言うようだが、帝国ではどのような人も差別なく一丸となって平和に暮らしていけるよう、国の基盤から整えられ、全てが計画されている。我々も努力している。移民の為にも、様々な施策が講じられてきた。これ以上、何が不十分だというのだ?」

最後の一言は美雪にだけではなく、上から抑圧するものか、はたまた横から批判するものか、誰に言うでもないという調子で放たれた。

「いずれ地球圏を統一しても、地球にもあまねく同様の政策が行き渡るようにする。そのことは、政府が確約している」

彼が話す素晴らしい国のことは、好きだ。平和で、どんな人も手を取り合い、小さな幸せを分かち合える世界。そうなったら素敵だと思う。
けれども、何故か、これだけ月日が経ち、軍に籍を置いていようと、無条件で賛成は出来ない。反発が湧いてきてしまう。

「はい。そうだと思います。でも、…貴方は、いつも、国のことばかり…」

今まで言わなかったことを、ぽろっと口に出してしまった。上目遣いに彼を見ながら。軍人である彼にとって常に国事が優先なのは、仕方ないことだと思っていた。国防を仕事とするのだから。それを、頭から否定する気がして。
彼は一瞬だけ意表を衝かれたという表情になった。しかし、すぐにしかめっ面に戻る。それはそれで冷徹な格好良さがあるが、最近美雪は少し惜しいとも思う。折角綺麗な顔立ちをしているのだから、もっと優しい、嬉しそうにしている彼も見てみたい。

「…私は、君を危険な目に遭わせたくないのだ」

彼女と目を合わせないようにしながら、彼は呟くように言った。青年が話の終わり際に、彼の変わりようを嘆いたとき、確かに胸が激しく痛んだ。
彼は努めて、弱点を作らないようにしてきた。いつ命を奪われそうになるか分からない仕事だからだ。彼女という存在が、気付かないうちに自分の弱点になってしまっていたとは。考えもしないことだった。しかし、身近に置くのを許したら、いつかはこうなると分かっていた。

「貴女のことは、自分が守ると決めたのだから」

それなのに。不甲斐ない自分を彼は恥ずかしく感じた。

「…え……。そうなのですか…?」

きょとんとした顔で自分を見つめながら、弱々しく応じる美雪。彼は自分の額に手をやった。

「自覚が無いのか。貴女は危なっかしい。見ていられないほどにな。だから、軍という場所で…いやそれだけでなく、これからやっていく上で、危機に陥ることが少なくなるように助け諭し、見守ってきたというのに。ずっと常に私が傍にいてやるわけにはいかないからな」
続きを読む
前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2024年03月 >>
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31
自由領域